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2025年9月の記事

2025年9月30日 (火曜日)

ジョシュアの歌伴サックス盤

ジャズ・サックス奏者の中堅の代表格、ジョシュア・レッドマンの16枚目のリーダー作。ブルーノート・レコードでの初リーダー作。そして、新進気鋭のガブリエル・カヴァッサがリード・ボーカルを務める、ボーカルをメインに起用した初めての作品である。

Joshua Redman『where are we』(写真左)。2023念9月15日の録音。ブルーノートからのリリース。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (sax), Nicholas Payton (tp),Peter Bernstein, Kurt Rosenwinkel (g), Joel Ross (vib), Aaron Parks (p), Joe Sanders (b), Brian Blade (ds), Gabrielle Cavassa (vo),

ボーカルをメインにして、サックスが伴奏に回るという作品は、ジャズ・レジェンド、ジャズ・ジャイアントの間によくあるパターン。例えば、Abbey Lincoln『That's Him!』。ソニー・ロリンズのテナーが素敵な歌伴を提供。そして、『John Coltrane & Johnny Hartman』。魅力的な男性ボーカリスト、ジョニー・ハートマンのバックで、ジョン・コルトレーンが素敵な歌伴を提供している。

で、今回は、ジョシュア・レッドマンが、魅力的な女性ボーカリスト、ガブリエル・カヴァッサのバックで、素敵な歌伴を提供している。これが、先のロリンズやコルトレーンの歌伴に勝るとも劣らない、素晴らしい歌伴サックスを吹きまくっているから、聴き応え満点。

収録曲を見渡すと「After Minneapolis (face toward mo[u]rning)」(Woody Guthrie), 「Streets of Philadelphia」(Bruce Springsteen), 「Chicago Blues」(Count Basie), 「By the Time I Get to Phoenix」(Jimmy Webb), 「Alabama」(John Coltrane)、括弧内は作曲者。この盤は、定番のジャズ・スタンダード曲もあれば、ロック曲もあったりするカヴァーものであることが判る。
 

Joshua-redmanwhere-are-we  

 
しかも、これは解説を読んで判ったんだが、全ての曲は米国の地名に由来するものが選ばれている。つまり、米国の地名にまつわる、様々な曲を並べた、組み合わせることで米国における何かを表現したコンセプト・アルバムとも解釈できるアルバムでもある。

ジョシュア・レッドマンがインタヴューに応えているが「様々な側面からアメリカを、アメリカの理想を体験するアルバムなんだ。(中略)アメリカだけについてではなくて、いろんな意味で時間を超越した人間のテーマである愛、喪失、希望、傷心、思い出、忘却、旅立ち、帰還と、アメリカに実際に存在する場所のあらゆるプリズムをフィルターに通しているんだ」。

簡単にまとめると「コンセプチュアルなスタンダード曲集であると同時に、アメリカが抱えるあらゆる側面へのトリビュート・アルバム」とも言える。ただ、答えのない抽象的なコンセプトなので、それはあまり気にしなくても良いのでは、とも思う。

ガブリエル・カヴァッサのボーカルは、あまりジャズっぽく無いのが良い。バックの演奏については、そもそも、バックのメンバーは「ブルーノート・オールスターズ」の様相を呈していて、悪かろう筈が無い。それぞれがその事典でのベストに近いパフォーマンスを発揮していると、僕は聴いた。

こういったコンセプチュアルな側面がジャズ盤に必要かどうかは別に議論するとして、このアルバムの演奏内容としては、上質の歌伴演奏を提供していて立派な内容だと思う。コンセプチュアルなアルバムという点では、このボーカル入りというフォーマットは、聴き手への訴求という点で成功していると思う。秀作です。
 
 

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2025年9月29日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・299

「予定調和」とは全く無縁の、全く先の読めない展開。音はショーター・ミュージックの音。しかし、出てくるフレーズは全く予測不能な未知の音世界。そんな予測不能な未知の音世界を、このワンホーン・カルテットは確信を持って突き進む。即興演奏、インタープレイの極致。聴き馴れたショーター・ミュージックの音なのに、出てくる音は初出のフレーズがてんこ盛り。

Wayne Shorter『Celebration, Volume 1』(写真左)。2014年10月18日、ストックホルム・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts, ss), Danilo Perez (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)。モダン・ジャズ・テナー奏者のレジェンドの一人、ジャズ・ジャイアント、ウェイン・ショーターの81歳の時のライヴ・パフォーマンスの記録。

素晴らしいパーソネルである。ダニロ・ペレスは、パナマ出身のピアニスト。ワールド・ミュージック志向の独特なピアノは変幻自在。ジョン・パティトゥッチは、エレ・アコの両刀使い、技巧派ベーシストの第一人者。ブライアンド・ブレイドは、現代ジャズ・ドラマーのリーダー格。そんな三人をリズム・セクションを従えての、ウェイン・ショーターのテナー&ソプラノ1管の「ワンホーン・カルテット」である。
 

Wayne-shortercelebration-volume-1

 
そんな凄腕のリズム・セクションを従えてのパフォーマンスである。このライヴでは、ショーターも絶好調、心ゆくまで、ショーター・ミュージックの音世界をこれでもか、と言わんばかりに展開している。絞り出すようなテンション、妖しい黒魔術的雰囲気漂う浮遊感、ワールド・ミュージック志向トーンの野趣溢れる流麗なフレーズ。

冒頭の「Zero Gravity To The 15th Dimension」から、そんなショーター・ミュージックが大々的に展開される。リズム・セクションの出だしのワンフレーズから、ショーター・ミュージックの音がする。どう聴いたって、ショーターの音世界。そして、そんな前奏に、ショーターのテナーが滑り込んでくる。濃厚な「ショーター・ミュージックの世界へようこそ」である。

このライヴ音源は、ショーターが生前、自らが監修したと聞く。この音源は、生前、ショーターが残した「新作」。こんな素晴らしいライヴ音源が、しかも、ショーター自ら監修した音源が残っていたなんて。この音源は「Vol.1」。情報によると、このライヴ音源、全部で4枚リリースされる予定らしいので、あと3枚、これはとても楽しみだ。
 
 

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2025年9月28日 (日曜日)

フォスターの初ブルーノート盤

フランク・フォスター(Frank Foster)は、カウント・ベイシーのビッグバンドのテナー奏者。1953年の加入になる。1970年から1972年にかけて、エルヴィン・ジョーンズと共演。1975年には、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ビッグバンドに加入。1972年から1976年まで、フォスターはニューヨーク州立大学バッファロー校の黒人研究プログラムの常勤助教授。1986年6月には、カウント・ベイシー・オーケストラのリーダーに就任。フランク・フォスターは、ビッグバンド畑のテナー奏者であった。

Frank Foster『Manhattan Fever』(写真左)。1968年3月21日の録音。ブルーノートの4278番。ちなみにパーソネルは、Frank Foster (ts, alto-cl), Marvin Stamm (tp), Garnett Brown (tb), Kenny Rogers (bs), Richard Wyands (p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。リーダーのフォスターのテナー、スタムのトランペット、ブラウンのトロンボーンがフロント3管のセクステット編成。

この盤も、CDリイシュー時、ボートラを5曲追加して、全11曲になっている。オリジナルLP盤は全6曲、録音日は1968年3月21日。ボートラ追加の5曲、1969年1月31日の録音で、当然、オリジナルLPには入っていない。よって、この記事では、オリジナルLPの6曲(CDの1〜6曲目)で、内容をまとめていきたい。

冒頭の「Little Miss No Nose」は、こってこてファンキーでソウルフルなジャズロック。リズム&ビートはR&B志向。どこかモータウンに通じるビートに乗って、フォスターがノリノリのテナーを聴かせる。ここでも、ミッキー・ローカーのドラムが効いている。R&B志向の8ビートを、ノリノリで叩きまくる。フロント3管がこのローカーのドラムに煽られて、こってこてファンキーでソウルフルなジャズロックなフレーズを吹きまくっている。
 

Frank-fostermanhattan-fever

 
2曲目「Manhattan Fever」が面白い。最初は、ファンキーなソウルフルなハードバップって感じなのだが、演奏が進むにつれ、特にフォスターのテナーが「コルトレーン化」していく。シーツ・オブ・サウンド風のモーダルな吹き回しから、ちょっとフリーキーに展開するとことは「コルトレーン・シンパ」な吹奏である。3曲目のバラード「Loneliness」は、温和でハードバップなコルトレーン・ライクな吹奏に終始する。

4曲目「Stammpede」になると、モード・ジャズな演奏に変化。ただ、フレーズは端正でポップ。とても聴き易いモード。ここでもフォスターのテナーは、コルトレーンの影を追いかける。続く5曲目の「You Gotta Be Kiddin」は、R&B志向のソウル・ジャズ。モータウン・ライクなリズム&ビートに乗って、ソウルフルな3管ユニゾン&ハーモニーもご機嫌な、R&B志向のソウル・ジャズが展開される。ブレイクも恰好良い、素敵なソウル・ジャズ。

ラストの「Seventh Avenue Bill」は、硬派でメインストリーム志向でストイックなモード・ジャズ。4曲目「Stammpede」と同様に、フレーズは端正でポップ。とても聴き易いモード。ここでもフォスターのテナーは、コルトレーンの影を追いかけているが、トランペットのスタムまでが「コルトレーン化」している。トランペットで、シーツ・オブ・サインドを吹きまくる。

フランク・フォスターのブルーノートでの初登場盤。ジャズロック、モード・ジャズ、ソウル・ジャズな要素を効果的に配置した、当時のジャズのトレンドを聴く様な、バラエティーに富んだ内容になっている。ただ、アレンジが優秀なので、アルバム全体に統一感があって、その辺りはさすがブルーノートという感じにまとまっている。佳作です。
 
 

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2025年9月27日 (土曜日)

1968年のシルヴァーの好盤です

パーソネルの違いはあるが、2セッションを通じて、しっかりとした統一感があるのは、さすがにホレス・シルヴァー御大。素晴らしいリーダー・シップを発揮している。この盤の音世界は、ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ。時代は「ソウル・ジャズ全盛」なのだが、シルヴァーは「ブレない」。シルヴァーはあくまで「ファンキー・ジャズ」。

Horace Silver『Serenade to a Soul Sister』(写真左)。1968年2月23日、3月29日の録音。ブルーノートの4277番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Charles Tolliver (tp) は、2月23日と3月29日と共通。残りの3人が録音日によって変わる。2月23日が、Stanley Turrentine (ts), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。3月29日が、Bennie Maupin (ts), John Williams (b), Billy Cobham (ds)。

8ビートのエレクトリックなファンキー・ジャズあり、ノリの良い正統派ファンキー・ジャズあり、新主流派モーダルなファンキー・ジャズあり、ソウル・ジャズっぽくなるところもあるが、収録されたどの演奏も根っこは「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」。言い換えると、1968年の「シルヴァーが考えるファンキー・ジャズ」が、ぎっしり詰まっている。
 

Horace-silverserenade-to-a-soul-sister

 
しかし、パーソネルを見渡すと、モーダルなトランペッターのチャールズ・トリヴァー、漆黒な「どファンキー」テナーのスタンリー・タレンタイン、そして、ドラムに、モーダルなドラミングが得意なミッキー・ローカー、後のマシンガン・ファンキー・ドラミングのビリー・コブハム等々、おおよそ、ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズをやるメンバーでは無い。しかし、このメンバーが、1968年の「シルヴァーが考えるファンキー・ジャズ」を完璧にやるのだから堪らない。

「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」とは言っても、1950年代を振り返った「懐古趣味」なファンキー・ジャズでは無い。1968年時点の最先端のモダン・ジャズの音を踏まえて反映した、その時代の最先端の「ホレス・シルヴァーのファンキー・ジャズ」をパーフォーマンスしていることろが素晴らしい。さすが、レジェンド級のジャズマンが違う。

ラストの「Next Time I Fall in Love」は、シルヴァーにしては珍しいピアノ・トリオによる小粋なバラード。底に流れるファンクネスに、シルヴァーの矜持を感じる。「Mr.ファンキー・ジャズ」なホレス・シルヴァーの好盤。ジャズ紹介本やジャズのアルバム紹介などは、そのタイトルが上がらない、しかも、ホレス・シルヴァーの代表盤にも、まず、上がらない盤だが、僕は、この盤の内容については一目置いている。いつの時代にも「ブレない」シルヴァーは頼もしい。
 
 

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2025年9月26日 (金曜日)

これぞピアソンのビッグバンド

当時のブルーノートでは全く珍しいビッグバンド盤である。ちなみにCDリイシュー時、全15曲になったが、10曲目から15曲目はボートラ。LPオリジナルは、前半の1曲目から9曲目までの全9曲。よって、この記事では、LPオリジナルの9曲に限って話を進めたい。

Duke Pearson『Introducing Duke Pearson's Big Band』(写真左)。1967年12月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p, arr), Randy Brecker, Burt Collins, Joe Shepley, Marvin Stamm (tp), Benny Powell, Julian Priester (tb), Kenny Rupp (b-tb), Jerry Dodgion (as, fl, piccolo), Al Gibbons (as, fl, b-cl), Lew Tabackin, Frank Foster (ts), Pepper Adams (bs, cl), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。

さて、ブルーノートでは珍しいビッグバンド盤である。しかも、リバティ・レコードに買収されて、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンが去った後、このビッグバンド盤のプロデュースはデューク・ピアソン本人。リーダーとアレンジを担当していたピアソンが、セルフ・プロデュースまで担当したビッグバンド盤。

大手リバティからのリリースである。コストのかかるビッグバンド録音、いきおい、売れる内容になっているんだろうな、とCDプレイヤーのスタートボタンを押す。冒頭、ピアソン作の「Ground Hog」は、ポップでジャズロック気味な大衆受けするビッグバンド・サウンド。やっぱりなあ、やっぱり、ピアソンも人の子、大衆に迎合するアレンジで行くのか、と納得しそうになる。
 

Duke-pearsonintroducing-duke-pearsons-bi

 
しかし、2曲目「New Girl」から様相が変わってくる。ピアソンの音作りの個性がバッチリ出たアンサンブルで、ドライブ感が気持ち良いビッグバンド演奏が出てくる。ルー・タバキンのテナーも若々しくて良い感じだし、ミッキー・ローカーのドラミングが印象的。大衆迎合型のビッグバンドとは一線を画している。

曲が進むにつれ、硬派でハードで完璧メインストリームなビッグバンド・ジャズがバンバン出てくる。しかも、ビッグバンド・ジャズとして、こんな曲を選ぶか、と思うような、渋い選曲が出てくる。チック・コリア作の「Straight Up and Down」、ジョー・サンプル作の「New Time Shuffle」、レニー・ウェルチの歌唱で有名な「A Taste of Honey」など、こんな渋い曲をビッグバンドにアレンジするなんて、アレンジャーのピアソンに感服する。

パーソネルを見渡すと、これまた、当時の才能あるジャズマンが大集結。トランペット奏者ランディ・ブレッカー、バート・コリンズ、マーヴィン・スタム、ドラマーのミッキー・ローカー、サックス奏者フランク・フォスター、ルー・タバッキン、ペッパー・アダムス、トロンボ奏者ガーネット・ブラウンとジュリアン・プリースター。さすがブルーノート。目の付け所が違う。

後半に行くに従って、硬派な度合い、ハードな度合い、メンストリームな度合いが、どんどん高まっていく。ここまでくれば、聴いて楽しい、のレベルでは最早無い。しっかりと対峙して、ピアソンのリーダーシップ、ピアソンのアレンジ、ピアソンの個性をジックリ楽しみたい。ビッグバンドの好盤の1枚である。
 
 

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2025年9月25日 (木曜日)

グイディのカルテットな好盤

ジェイムズ・ブランドン・ルイスのテナーがフロント1管、イタリアのピアニスト、リーダーのジョヴァンニ・グイディのピアノ、トーマス・モーガンのベース、ジョアン・ロボのドラムがリズム隊のいわゆる「ワン・ホーン・カルテット」。ジェイムズ・ブランドン・ルイスのテナーの存在感抜群。

Giovanni Guidi, James Brandon Lewis, Thomas Morgan, João Lobo『A New Day』(写真左)。2023年8月、南フランスのスタジオ・ラ・ビュイソンヌでの録音。2024年7月、ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Giovanni Guidi (p), James Brandon Lewis (ts), Thomas Morgan (b), Joao Lobo (ds)。

前作『Avec Le Temps』から5年ぶりとなるECM盤。2013年にECMデビュー以来、ECMでのリーダー作の5作目。ECMレーベルでのデビュー以来、活動しているピアノ・トリオに、今回、ECM初登場のジェイムズ・ブランドン・ルイスのテナーを迎えたカルテット編成。アンサンブルの幅が広がっただけでなく、音世界の表現の幅が大きく広がった感じがする。
 

Giovanni-guidia-new-day

 
ジョヴァンニ・グイディは、1985年イタリア・フォリーニョ生まれのピアニスト。今年で40歳、もはや中堅である。そのピアノの音は、耽美的でリリカルでメロディック。音の質は深遠かつ情感豊か、音の拡がりと間を活かした弾き回しで、聴けば判るが、完璧に、ECMレーベル向き、ECMレーベル御用達なピアニストである。

冒頭「Cantos Del Ocells」、スペイン北部のカタルーニャの伝統的子守歌と言われる曲「鳥の歌」、もうどっぷりECMの音世界。トリオ演奏だと少し地味に響く曲だが、ここにブランドン・ルイスのテナーがガツンと入ってきて、深遠かつ情感豊かなテナーで歌を唄う。耽美的でリリカルなピアノ・トリオの世界に、一筋のテンションを投げかける。この辺りが「アンサンブルの幅が広がった」と感じるところ。

トリオの演奏は従来のトリオ演奏をさらに洗練されたもので、安心して聴くことが出来る。この盤は、テナーの入ったカルテット演奏で表現の広がりを獲得した、新しいジョヴァンニ・グイディの音世界を聴くべき盤だろう。ジョヴァンニ・グイディ・トリオの音世界とジェイムズ・ブランドン・ルイスのテナーが良い共鳴で、お互いがお互いを活かす、そんなカルテット演奏になっているところが実に良い。好盤です。
 
 

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2025年9月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・298

フュージョン・エレギのレジェンドの1人、マイク・スターン。2024年、ジャズ、アフリカ音楽、ゴスペルなどを取り込んだ、エレクトリックな「ワールド・ミュージック」志向のジャズがメインの、スターンの代表作の1枚であろう好盤をものにしている。

MIke Stern『Echoes and Other Songs』(写真左)。2024年の作品。ちなみにパーソネルは、Mike Stern (el-g, vo), Chris Potter (ts), Bob Franceschini (sax), Jim Beard (ac-p, key), Christian McBride (b), Antonio Sanchez (ds), Leni Stern (ngoni), Arto Tunçboyacian (perc), Richard Bona (ac-b, vo), Dennis Chambers (ds)。

バックを固めるメンバーが隅に置けない。テナー・サックスに現代の中堅クリス・ポッター、ベースに現代のファーストコールのクリスチャン・マクブライド、ドラムに現代の代表的ドラマーのアントニオ・サンチェス、ピアノ&キーボードにジム・ベアード、あと、目立つところとして、ベース&ボーカル担当にリチャード・ボナ、ドラム担当に、デニス・チェンバース。

目新しいところでは、ドイツの女性ギタリストのレニ・スターンが「ngon (ンゴニ)」を弾いている。ちなみに「ngon (ンゴニ)」は、アフリカの西部に伝わる伝統的な弦楽器の名前。アルメニア系アメリカ人[のアルト・ツンチボヤジヤン(Arto Tunçboyacia)がパーカッションを担当している。

この2人とリチャード・ボナの存在で、このアルバムには、例えば、パット・メセニー・グループ(以下PMG)の音世界に代表される、エレクトリックな「ワールド・ミュージック」志向のネイチャー・ジャズ、が入っていると想像する。

それがズバリ「当たり」で、冒頭の「Connections」のイントロのアコギの響きが既に「ワールド・ミュージック」志向。そこに、骨太テナー・サックスがメインストリームなフレーズを連発し、スターンのエレギがそれに追従し、ユニゾンで絡む。筋金入りフュージョンなスターンのギターが乱舞する。

続く「Echoes」「Stuff Happens」「Space Bar」は、一転、アーバンなコンテンポラリーな純ジャズな演奏だが、フレーズの響きがジャジーでは無い、「ワールド・ミュージック」志向っぽく、魅力的な演奏に仕上がっている。この3曲、いずれもスターンのエレギがバッチリ、キマっている。
 

Mike-sternechoes-and-other-songs

 
5曲目「I Hope So」から、一転、エレクトリックな「ワールド・ミュージック」志向のジャズに立ち戻る。ボナのボーカルが凄く効果的。どっぷり「ワールド・ミュージック」志向のネイチャー・ジャズの雰囲気が蔓延する。そこに、スターンのギターが滑り込んでくる。ニュー・ジャズ的なフレーズは、どこか郷愁を感じさせる、センチメンタルで耽美的な、それでいて、エネルギッシュなフレーズの連発。名演である。

6曲目「Where's Leo?」は、アーバンなコンテンポラリーな純ジャズな演奏に立ち戻るが、出てくるフレーズが、どこか「ワールド・ミュージック」志向にねじれているところが面白い。スターンのエレギのパフォーマンスが素晴らしい。

7曲目「Gospel Song」は、ゴスペルチックな敬虔な響きが印象的な演奏。だが、ファンクネスを極力排除して、演奏のテンポをスローに落とし、「ワールド・ミュージック」志向のネイチャー・ジャズな雰囲気の「ゴスペル・ソング」に仕立て上げている。アレンジが優秀。

8曲目「Crumbles」は、ECMレーベルのニュー・ジャズを彷彿とさせる、ニュー・ジャズな即興演奏とフリー・ジャズ、破調のモードを上手くミックスさせた、アーバンなコンテンポラリーな純ジャズな演奏。それぞれの演奏力が問われる難曲だが、皆、いとも容易く対応している。

9曲目「Curtis」から、再び、エレクトリックな「ワールド・ミュージック」志向のネイチャー・ジャズに立ち返る。ここでも、ボナのボーカルが凄く効果的。どっぷり「ワールド・ミュージック」志向のネイチャー・ジャズの雰囲気が蔓延する。続く10曲目「Could Be」も、アーバンよりだが、リズム&ビートが「ワールド・ミュージック」志向。面白い曲。

で、ラストの11曲目「Could Be」は、まるで、セロニアス・モンクのオリジナルの様な、どこから聴いても「モンク・ミュージック」な演奏。思わず、ニンマリしてしまう。リズム&ビートが「ワールド・ミュージック」志向で、ワールド・ミュージックなビートで奏でられる「モンク・ミュージック」の様な演奏で、実にユニーク。

2016年7月、自宅周辺で転倒し、右腕の自由を失う大怪我をしたという報に接した時には、もうギタリストとしては活動できないのでは、と懸念したが、必死でリハビリを続け、ピックを指に貼り付けるなどして、ついに復帰を果たした。執念の現役復帰、その努力が今回の好盤を生んだ。良いアルバムです。
 
 

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2025年9月23日 (火曜日)

ルーさん流のソウル・ジャズ

タイトルの「シンガリン (Shing-A-Ling) 」とはブガルーから派生したダンス・ミュージック、ラテン・ソウル・ミュージックとのこと。前作が『Alligator Bogaloo』だから、その続編という意味合いもあるのかな、と想像する。

Lou Donaldson『Mr. Shing-A-Ling』(写真左)。1967年10月27日の録音。ブルーノートの4271番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Blue Mitchell (tp), Lonnie Smith (org), Jimmy Ponder (g), Leo Morris (ds)。

リーダーのルー・ドナルドソン(以降ルーさん)のアルト・サックスとブルー・ミッチェルのトランペットがフロント2管、オルガン+ギター+ドラムがリズム・セクションを担う変則クインテット編成。ピアノの代わりにオルガン、そして、オルガンがベースを兼ねている。

そして、このアルバムの音はというと、こってこてのソウル・ジャズの音世界。しかし、ジャジーな雰囲気は濃厚に残っている、という、一言でまとめると「ジャジーな雰囲気が素敵な、こってこってのソウル・ジャズ」という内容。さすが、こってこてのソウル・ジャズ、ノリが抜群に良い。実にグルーヴィーで、ゆるゆるにダンサフル。

冒頭の「Ode To Billy Joe」から、ルーさん流のソウル・ジャズが炸裂。ボビー・ジェントリーの全米チャートNo.1曲のカヴァー演奏だが、これがもうソウルフルでダルダルゆったりなジャズ・ファンク。ルーさんのダルダルでファンキーなアルト・サックスが妖しいソウルフルな雰囲気を撒き散らす。
 

Lou-donaldsonmr-shingaling

 
ルーさん流のソウル・ジャズのリズム&ビートを決定付けるのは、レオ・モリス(改宗後、イドリス・ムハンマド)の魅力的なルーズでダルダルなビートのドラミングだと確信する。ジミー・ポンダーのエレギがダルダルゆったりなジャズ・ファンクな雰囲気を増幅する。ロニー・スミスのオルガンは飛び切りソウルフル。

続く「The Humpback」は、ルーさんのオリジナル曲なのだが、これがまあ、ソウルフルで素敵なオルガン・ジャズ。オルガン・ジャズらしいグルーヴ感がグッド。ソウル・ジャズにはオルガンが良く似合う。ロニー・スミスのオルガンは適任だ。

歌の部分はルーさんのアルト・サックスとブルー。ミッチェルのトランペットがソウルフルに唄い上げ。グルーヴの部分はロニー・スミスのソウルフルなオルガンが担い、リズム&ビートは、ファンクネス溢れるレオ・モーリスのドラムがソウルフルに叩き上げる。ジミー・ポンダーのエレギのカッティングとソロがファンネスを煽る。

3曲目は「The Shadow Of Your Smile」。突然、映画「いそしぎ」の主題歌のカヴァーが出てくる。収録曲のタイトルを見た時は「ついにブルーノートも俗っぽくなったかあ」と思ったのだが、この演奏を聴いて思わず唸った。ボサノヴァ・リズムに乗ったソウル・ジャズで、これがムーディーで実に良い雰囲気。ルーさん、ミッチェルのライトで歌心溢れるアドリブ・ソロがこれまた、しみじみ、良い雰囲気。

残りの「Peepin」「The Kid」も、ソウルフルでファンキーなオルガン・ジャズが展開される。ルーさんのアルト・サックスはオルガンと相性抜群。ロニー・スミスのソウルフルなオルガンが、ルーさんのちょっとダルでソウルフルなアルト・サックスを引き立てる。

この盤、ブルーノートのソウル・ジャズの好盤であり、ルーさんの考えるソウル・ジャズの良きショーケースとして、この盤は優秀盤。言いアルバムです。
 
 

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2025年9月22日 (月曜日)

大衆受け狙いのウィルソン盤

大手リバティーの傘下に入って以降、当時のブルーノートとして、純ジャズ度、モダン・ジャズ度は落とすこと無く、大衆受けする「売れる」ジャズ盤をリリースする、という範疇に入るアルバムではあるが、このアルバムは、徹底して、音志向からアレンジまで、大衆受け狙いのファンキー&ソウル・ジャズを追求している。

Jack Wilson『Easterly Winds』(写真左)。1967年9月22日の録音。ブルーノートの4270番。ちなみにパーソネルは、Jack Wilson (p), Lee Morgan (tp), Garnett Brown (tb), Jackie McLean (as), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。全6曲中、3曲目「A Time for Love」のみトリオ演奏。他5曲は、フロント3管、ピアノ・トリオがリズム隊のセクステット編成の演奏。

ジャック・ウィルソンのブルーノートでの最初のアルバムである『Something Personal』とは対照的。彼のレーベルデビューが「西海岸の明るい光の中、アーバンで爽快なジャズ」だった。

それに対し、この『Easterly Winds』は、聴けばすぐに魅力を感じる、ファンクネスを湛えたフロント管の響きが芳しい、ファンキー&ソウル・ジャズで埋め尽くされている。どうして、こんなにも変わるの、とも思うし、音志向に対して、柔軟性が高い、とも思う。

クラブ・ジャズ好きの皆さんの愛聴盤で、確かに判り易い「恰好良い」ジャズがこれでもか、と展開される。ソウルフルでダンサフル。演奏志向は明らかに「ソウル・ジャズ」。アート志向よりもポップ志向が大きく勝る音作り。

ただ、単に俗っぽいイージーリスニング・ジャズに陥らなかったのは、モーガンのトランペット、マクリーンのアルト・サックス、ガーネット・ブラウンのトロンボーンの響きが、しっかりとハードバップしていて、ファンキー&ソウル・ジャズな演奏全体をしっかりと引き締めている。
 

Jack-wilsoneasterly-winds

 
そして、ウィルソンのピアノが、俗っぽい、イージーな受け狙いのソウルフルな展開に陥らないよう、しっかりコントロールされていたからだろう。アルバム全編に渡って、しっかりセルフ・コントロールされたソウルフルな響きのピアノが聴ける。
 
ウィルソンのピアノの個性は、3曲目の「A Time for Love」、フロント管がお休み+ピアノ・トリオのみ演奏で、このトリオ演奏で、良く判る。演奏の音志向としては、基本はファンキー・ジャズ・ピアノ。そんなファンキーなジャズ・ピアノで、上品にソウルフルに唄い上げていく様はソウルジャズ志向のピアノ。

5曲目「Nirvanna」は、らしくないアヴァンギャルドな雰囲気の演奏ではあるが、フレーズの展開は聴きやすいレベルの穏やかさ。圧倒的にアバンギャルドに展開することは無い。どこまでも、聴き手にダイレクトに訴求することを主眼としているのが良く判る。

ジャズロック調から、ソウル・ジャズ志向、ファンキー・ジャズ志向、アバンギャルド・ジャズ志向など、かなりバラエティーに富んだ内容のアルバムだが、充実した好調フロント3管の「賜物」で、しっかりとした統一感が維持されているところはプロデュースのお陰か.。

そう言えば、このアルバムのプロデュースは、デューク・ピアソン。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは既に引退している。このウィルソンのアルバム、プロデューサーがライオンだったら、どんなアルバムに仕上がっていただろうか。

それほどまでに、このアルバムは、徹底して大衆受け狙いなアルバム作りをしている、それまでのブルーノートには無かったアルバム内容である。
 
 

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2025年9月21日 (日曜日)

ローチの ”ビ・バップ振り返り”

フロントがトランペットとテナー・サックスの2管、ピアノレスのカルテット編成での演奏になる。ちなみに、ローチがピアノ無しで演奏した最初のアルバムでもある。クリフォード・ブラウン急逝後、ソニー・ロリンズとケニー・ドーハムを迎えてスタートした、マックス・ローチ・カルテットであったが、テナーのロリンズが脱退して、その後、テナーの後任に、ジョージ・コールマンとハンク・モブレーのどちらにするか、試行錯誤していた時代のリーダー作になる。決して、コールマンとモブレーのテナーを比較しようとする企画盤では無い。

『The Max Roach 4 Plays Charlie Parker』(写真左)。1957年12月23日と1958年4月11日の録音。パーソネルは、以下の通り。リーダーのマックス・ローチのドラムと、ケニー・ドーハムのトランペットは2つの録音に共通。テナー・サックスとベースが、それぞれの録音で代わる。1957年12月23日の録音のパーソネルは、Hank Mobley (ts), Kenny Dorham (tp), George Morrow (b), Max Roach (ds)。1958年4月11日の録音のパーソネルは、George Coleman (ts), Kenny Dorham (tp), Nelson Boyd (b), Max Roach (ds)。

テナーの後任を選ぶ過程で、次に制作するアルバムのコンセプトとして、ローチが選んだのが「チャーリー・パーカー」。ローチのドラミングは、ビ・バップで育まれた「バップ・ドラミング」。ここで、今一度、自分のドラミングの原点である、ビ・バップに戻ってみる、つまり「チャーリー・パーカー」ゆかりの楽曲をやることで、自らがやりたい、表現したいジャズとは何か、を再確認している様な内容に僕は感じる。
 

The-max-roach-4-plays-charlie-parker

 
まず、リーダーのローチのドラミングであるが、さすがである。ビ・バップなドラムを味わい深いテクニックで叩きまくる。ハードバップな雰囲気でビ・バップなドラムを叩く。それが、この盤でのローチのドラミング。フロント2管を引き立て鼓舞するバップ・ドラミングは一聴に値する。ジャズ・ドラムのスタイリストの1人の圧倒的パフォーマンスが、この盤に聴くことが出来る。

録音日によって交代するテナー・サックス、モブレーとコールマン、どちらがどうかと言えば、甲乙付けがたい。どちらもバップなテナーは得意だし、チャーリー・パーカーの曲にも順応する。端正で新鮮な響きとしてはコールマン、個性的な吹奏を楽しめるモブレー。そして、ベーシストについては、こちらも全く甲乙付けがたい。ベース自体のソリッドで重低音な音の響き、弾力ある力感溢れるウォーキング・ベース、両者ともなかなかのパフォーマンスで楽しませてくれる。

マックス・ローチが、自らの「音の原点」である、ビ・バップに立ち返って、「チャーリー・パーカー」ゆかりの楽曲をやることで、自らがやりたい、表現したいジャズとは何か、を再確認したかのような「セッションの記録」であり、その内容の良さから、ハードバップの雰囲気の中でのビ・バップな演奏が楽しめる、なかなか面白い趣向のアルバム内容になっている。
 
 

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2025年9月20日 (土曜日)

管入りジミー・スミスの優秀盤

ジミー・スミスは「ジャズ・オルガンの神様」。スミスのオルガン一発で、そのオフェンシヴでダイナミックでスケールの大きい弾き回しは、唯一無二で、他のオルガニストの追従を許さない、孤高のじゃず・オルガンとしても、未だに、ジャズ・オルガニストの最高峰に君臨している。そんなジミー・スミスのパフォーマンスは、多くブルーノート・・レーベルに記録されている。

Jimmy Smith『Open House』(写真左)。1960年3月22日の録音。1968年1月のリリース。ブルーノートの4269番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Quentin Warren (g). Donald Bailey (ds) のトリオに、ゲストとして、Blue Mitchell (tp: tracks 1, 3), Jackie McLean (as: tracks 1, 3, 4; feature track 4), Ike Quebec (ts: tracks 1, 2, 3; feature track 2) が入る。

1960年3月22日の録音だが、リリースは 1968年1月。ブルーノートお得意の「録音当時、何故かお蔵入り」盤。トリオ盤のオフェンシヴで、ダイナミックな弾き回しのジミー・スミスも魅力満点だが、実は、バックに回った伴奏上手のジミー・スミスも魅力的。フロント管を引き立てつつ、自らのアピールも忘れない。この盤でのスミスのオルガンは、ダイナミズムを封印した、流麗でシンプルで優しい弾き回し。これがとても印象的で、ジミー・スミスのアルバムの中でも、特別な響きを宿している。
 

Jimmy-smithopen-house  

 
ジミー・スミスは、前セッションのアルバム『Crazy! Baby』(1960年1月録音)で組んだ新トリオ編成で、1960年3月に、今度は「管入り」セッションに臨んでいる。米国ジャズのリスナーは「管入り」が好みみたいで、そのリスナーの好みに応えたセッションだったように思う。まず、ジミー・スミスのトリオについては、『Crazy! Baby』での好調を維持している。

ブルー・ミッチェルのトランペット、ジャッキー・マクリーンのアルト・サックス、アイク・ケベックのテナー・サックスが順番にソロを取るのだが、これがまた素晴らしいソロ・パフォーマンスを聴かせてくれる。そこに伴奏で絡むジミー・スミスのオルガンが、これまた、フロントを引き立て、鼓舞しつつ、自らも素晴らしいバッキングを聴かせる。このアンサンブルがこの盤の最大の聴きものだろう。

1960年はトリオ演奏の『Crazy! Baby』(1960年1月録音)の1枚だけのリリースに留めている。次の年、1961年は、バレルのギター入りの『Home Cookin'』、そして、同じくバレルのギター入りの名盤『Midnight Special』(1960年4月録音)の2枚のリリースになっているので、管入りのセッションは、バレルのギター入りのアルバムの内容に押されて、見送られた感がある。しかし、その内容はピカイチ。ブルーノート、遅れてリリースして大正解である。
 
 

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2025年9月19日 (金曜日)

タレンタインの ”漆黒ソウル”

タレンタインの漆黒ファンキー・テナーが、ジャズロック〜ソウル・ジャズの中で疾走する。バラードでは漆黒ファンキー・テナーが情感溢れ、歌心満点のアーバン・ブロウをキメる。オールド・スタイルではない、かといって、コルトレーンの様なニュー・スタイルでもない。その中間をいく、タレンタインの漆黒ファンキー・テナーが良い形で出た、良い演奏がズラリ6曲。

Stanley Turrentine『Easy Walker』(写真左)。1966年7月8日の録音。ブルーノートの4268番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), McCoy Tyner (p, el-p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds)。タレンタイン自ら、ブルーノート時代の作品の中でベストの1枚、とのコメント残しているジャズロック〜ソウル・ジャズの傑作。タレンタインのテナー1管のいわゆる「ワンホーン・カルテット」。

CDリイシュー時、ボートラが5曲追加されている。ボートラの5曲は、初出の6曲と、録音時期も違うし、パーソネルも異なる。ということで、今回のブログ記事は、LP時代の初出の6曲をメインに進めて行きたい。

オリジナル盤として聴く必要がある場合、CDリイシュー時のボートラというのは、はっきり言って邪魔になる。この盤については、まだ冒頭の1曲目から6曲目までがオリジナル盤と同じ曲順。7曲目以降が、録音時期も異なる、パーソネルも異なるボートラで、ここに持って来た意図が判らない。
 

Stanley-turrentineeasy-walker

 
ほど良くリラックスした吹奏のタレンタインは無敵である。冒頭「Meat Wave」では、ジャズロックのビートに乗って、警戒に疾走する。2曲目の「They All Say I'm the Biggest Fool」は、バディ・ジョンソンの1946年ヒットのR&Bナンバーのカヴァー。こういったブルージーでアーバンなバラードを吹かせたら、タレンタインは天下一品。3曲目の「Yours Is My Heart Alone」は、軽快でスインギーな演奏で、軽やかなタレンタインのテナーも魅力。

4曲目「Easy Walker」は、ピアニスト、ビリー・テイラーのファンキー・テイスト溢れる佳曲で、ミッド・テンポの漆黒ファンキー・テナーに惚れ惚れする。5曲目の「What the World Needs Now」は、バカラック・ナンバーで、唄う様にテナーを吹き上げる様はポップ&メロウ。そして、ラストの「Alone Together」は、ミュージカル曲のカヴァー。軽快でミッド・テンポの中、ハードバップなアドリブ展開で、判り易く軽やかに、アドリブ・フレーズを吹きまくるタレンタインが印象的。

バックでは、全編に渡って、軽快なファンキー・ジャズ・ピアノを聴かせるマッコイ・タイナーが印象に残る。左手のビートが効いていて、バンド演奏全体のリズム&ビートがグッと引き締まる。このアルバム全体の適度なテンションと、逆に適度な「間」を与えているのは、このタイナーのピアノに他ならない。

ジャズロック〜ソウル・ジャズのタレンタイン。特に、ソウル・ジャズ志向の演奏については、この盤でほぼ完成の域に達しているのでは無いか。アレンジも決まっているし、演奏全体のレベルも高い。ジャズロック〜ソウル・ジャズ志向なので「俗っぽい」といって敬遠するのは勿体ない。タレンタインのソウル・ジャズの傑作である。
 
 

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2025年9月18日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・297

当時のブルーノートとして、大手リバティーの傘下に入り、純ジャズ度、モダン・ジャズ度を落とすこと無く、大衆受けする「売れる」ジャズ盤をリリースする、という範疇に入るアルバムではあるが、内容は濃く、純ジャズとしても、ファンキー・ジャズとしても、ラテン・ジャズとしても、ジャズロックとしても、大衆にしっかり訴求する正統派ジャズ・アルバムである。

Duke Pearson『The Right Touch』(写真左)。1967年9月13日の録音。ブルーノートの4267番。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp, flh), Garnett Brown (tb), James Spaulding, Jerry Dodgion (as, fl), Stanley Turrentine (ts), Duke Pearson (p, arr), Gene Taylor (b), Grady Tate (ds)。

デューク・ピアソンの10枚目のリーダー作。フロント5管、ピアノ・トリオがリズム・セクションのオクテット編成。デューク・ピアソンのアレンジが冴える、当時のブルーノート・オールスターズの大編成盤である。ピアニスト、作曲家、アレンジャーとしてのデューク・ピアソンの才能が最大限に発揮された1枚。プロデューサーは、フランシス・ウルフ。アルフレッド・ライオンでは無い。

冒頭の「Chili Peppers」は、ロンドンのクラブ・シーンでクラシックとなった名曲。ラテン・フレーバーが芳しいピアソンのピアノのリードで、バンド全体が、ダンサフルにジャズロックして、疾走する。ユニゾン&ハーモニーが印象的で、アレンジの優秀性を物語る。タレンタインのテナーは骨太でファンキー。フルートの音色はファンクネスを増幅する。グラディ・テイトのドラミングはファンクネスを撒き散らす。
 

Duke-pearsonthe-right-touch

 
続く「Make It Good」は、ピアソンのシンプルでシングル・タッチで「ライト・タッチ」な、個性的なピアノが心ゆくまで聴くことが出来る。演奏全体の落ち着いたアレンジが実に洒落ていて粋。

3曲目「My Love Waits (O Meu Amor Espera) 」は、ボサノバ・ジャズ志向のムード溢れる1曲。ピアソンのシンプルでシングル・タッチで「ライト・タッチ」なピアノ・ソロが抜群に良い雰囲気を醸し出している。ジーン・テイラーのベースが、演奏の「底」をがっちりキープしていて見事。

4曲目の「Los Malos Hombres」は、どこから切ってもラテン・ジャズ。見事なラテン調のアレンジで、演奏するジャズマンのテクニックと相まって、躍動感溢れる切れ味の良い、そして、ブルーノートらしい端正で完成度の高いラテン・ジャズが展開される。ハバードのトランペット大活躍。クラブ・ジャズでウケるのも納得の名演である。

5曲目「Scrap Iron」は、スローなブルース。泥臭くならず、どこか気品漂うところはアレンジの妙。ブルースと言えば「タレンタイン」。タレンタインのテナーが漆黒どっぷりファンキーに唄いまくる。そして、ラストの「Rotary」は、モーダルで即興性溢れる佳曲。フロント管の入れ替わり立ち替わりのアドリブが楽しい、スインギーな演奏。

全曲ピアソンの作曲&アレンジ。演奏はブルーノート・オールスターズ。リハーサルをしっかり積んだであろう、端正で破綻の無い、ダイナミックで躍動感溢れる演奏が素晴らしい。ブルーノート4200番台の名盤の1枚です。
 
 

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2025年9月17日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 114

伊ジャズの至宝ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィが、サイドメンがマーク・ジョンソンのベースにポール・モチアンのドラムスという、時期は異なるがビル・エヴァンス・トリオのサイド・メンだったメンバーだった二人を従えてのピアノ・トリオの素晴らしいライヴ音源である。

Enrico Pieranunzi, Marc Johnson & Paul Motian『The Copenhagen Concert』(写真左)。1996年12月2日、コペンハーゲン・ジャズハウスでのライヴ録音。2022年のリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Marc Johnson (b), Paul Motian (ds)。

冒頭、モチアン作の「Abacus」から、濃密なインタープレイが始まる。ビル・エヴァンス・トリオのサイド・メンだったメンバーだったベースとドラムスでのトリオのインタープレイ。どこか、エンリコのピアノは、ビル・エヴァンスのプレイを彷彿とさせるが、聞き進めていくと、フレーズの組み立て、音の重ね方、音の響き、それらは全く違う。

エンリコの旋律の響きは「欧州的」。クラシックに根ざした、硬質で端正なユニゾン&ハーモニーが実に欧州的。耽美的ではあるが、決して、抒情的に流されない、端正で破綻の無い、キッチリかっちりしたインプロビゼーションがピエンリコのピアノの一番の個性。
 

Enrico-pieranunzi-marc-johnson-paul-moti

 
耽美的でリリカルでメロディアスなところは「エヴァンス派」。しかし、硬質で端正なユニゾン&ハーモニーが実に欧州的ところがエンリコのオリジナル。

このライヴ・パフォーマンス、トリオのメンバー3名とも絶好調。特にエンリコ絶好調。絶妙なテンポ・チェンジ、美旋律の極みの白熱のソロ、リリカルで耽美的なフレーズの連発、鋭い即興、エンリコの個性全開、オリジナリティー全開である。スタンダード曲の解釈も個性的で素晴らしい。

サイドメンも絶好調。伸び伸びとした鋼の様なベースを展開するジョンソンが凄く魅力的。さすが、ビル・エバンスの最後のベーシスト。エバンス派エンリコとの相性は抜群。柔軟なソロを展開するジョンソンが躍動する。

そして、ポール・モチアンのドラムが最高。さすが、レギュラーなビル・エバンス・トリオ最初のドラマー。微妙な間を意識したモダンで粋なドラミングは、ポール・モチアンならではのもの。唯一無二なドラミングは聴きこたえ抜群。

エバンス派のエンリコの面目躍如。欧州的な硬質で端正なユニゾン&ハーモニーで、耽美的にリリカルに、バップなピアノを弾きまくる。そして、エヴァンスのパートナーであった、マーク・ジョンソンとポール・モチアンと最高のインタープレイを展開する。21世紀のピアノ・トリオの傑作の一枚である。
 
 

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2025年9月16日 (火曜日)

E. アレキサンダーは疾走する

2000年以降の比較的新しい時代のジャズも好んで聴いている。新しくその才能を開花させた新人のアルバムもあれば、20世紀にデビューして、21世紀になっても、なお活躍しているベテランのアルバムもある。ジャズ先進国の21世紀のジャズもあれば、ジャズ新興国のオリジナリティー溢れるジャズもある。

僕が感心するのは、それらのアルバムは、決して、20世紀を振り返って、懐古趣味に走るのではなく、21世紀のその録音時点での「新しい何か」を反映させていること。ジャズは進化の頂点を迎えて久しいが、まだまだ「深化の」のりしろはあるということで、今更ながら、ジャズの懐の深さを感じて感心することしきりである。

Eric Alexander『Chicago To New York』(写真左)。2025年の作品。ちなみにパーソネルは、Eric Alexander (sax), Mike LeDonne (p), Dennis Carroll (b), George Fludas (ds)。今年57歳になる、ベテラン人気サックス奏者、エリック・アレキサンダーの新作になる。編成は、アレキサンダーのテナー1管の、いわゆる「ワンホーン・カルテット」。
 

Eric-alexanderchicago-to-new-york  

 
冒頭、「Afro Blue」や「Wise One」などコルトレーンゆかりのナンバーでスタートする。アレキサンダーのテナーは「シーツ・オブ・サウンド」で疾走する。しかし、ここで「何だ、コルトレーンの物真似か」と思ってはならない。アレキサンダーの「シーツ・オブ・サウンド」は、コルトレーンのそれを深化させ、テクニックはさらに高度に、そして、フレーズの音は、アレキサンダーのオリジナル。

つまり、コルトレーンの編み出した「シーツ・オブ・サウンド」を、普遍的なテナー・サックスの奏法として捉え、自らのオリジナリティーを添加した、そんな内容の演奏なのだ。これが素晴らしい。このアレキサンダー・オリジナルな「シーツ・オブ・サウンド」がこの盤にてんこ盛り。疾走感と爽快感が印象的。モーダルなネオ・ハードバップである。

我が国のポニーキャニオンやアルファ、ヴィーナスといったレーベルからリーダー作をリリースしているんで、日本のレコード会社が金をかけて祭り上げた、平凡なテナー・サックス奏者と誤解して敬遠するジャズ者ベテランの方もいるみたいだが、どうして、まず、この2005年の新作を聴いて欲しい。コルトレーンから始まり、コルトレーンを深化させ、自らのオリジナティーを添加した見事な吹奏がここにある。好盤である。
 
 

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2025年9月15日 (月曜日)

ジャック・ウィルキンスを愛でる

ウィルキンスは、1970年代から2000年代まで、息の長い活躍をしたジャズ・ギタリスト。過小評価されている(特に我が国で)ジャズマンの一人で、1970年代のアルバム2枚は、一時的に彼を「一流ジャズマン」の位置に押し上げたが、それ以降は無名に近い存在になってしまう。

しかし、豊かな才能は他のプレイヤーからは尊敬された「幻のハイテクニックなジャズ・ギタリスト」、つまり、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、かろうじてその名を留めている。

Jack Wilkins『Windows』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Jack Wilkins (g), Bill Goodwin (ds, perc), Mike Moore (b)。ブルックリン出身の幻のハイテクニック・ギタリスト、ジャック・ウィルキンスのシンプルなギター・トリオ盤。初リーダー作になる。ギターが完全に主役なので、ウィルキンスのギターの個性がとても良く判る。

クロスオーバー&フュージョン・ジャズが全盛だった1970年代、頑なに、純ジャズ志向の、ストレート・アヘッドなアコ&エレ・ギターを弾き続けたジャック・ウィルキンス。活躍した当時は、ジャズ界きっての速弾きギタリストの一人だった。ウィルキンスは15歳でギターを始め、バーニー・ケッセルやジョニー・スミス、ジャンゴ・ラインハルト等 に影響を受けているので、純ジャズ志向+ストレート・アヘッドなウィルキンスのギターというのは、とても説得力がある。
 

Jack-wilkinswindows

 
ムーディーな、アーバンな雰囲気を醸し出す、洗練されたジャズ・ギター盤。ギターに豊かで絶妙なエコーがかかって、臨場感が豊かなギター・トリオ盤である。ジョージ・ベンソンやパット・マルティーノに引けを取らない鬼ピッキング。1970年代の純ジャズ志向の「本物のギター」で、ウィルキンス自体は、ほぼ無名ではあるが、そのギター・テクニックは特筆に値するレベルの優れたもの。

選曲がふるっていて、チック・コリアのタイトル曲「Windows」、ジョン・コルトレーンの「Naima」、ウェイン・ショーターの「Pinocchio」、ジャズロックなフレディ・ハバードの「Red Clay」等、1960年代後半から1970年代半ばくらいまでの人気曲を選んで、弾きまくっているところが、このアルバムの一番、興味を引くところ。バンド・メンバーのマイク・ムーアのペンになるラテンタッチの「Canzona」、ウィルキンスがクラシック・ギターの技巧を存分に披露する「Song for the Last Act」も好曲、好演奏。

ジャズマンの中には、1〜2枚程度、優れた内容のアルバムをリリースし、その内容が評論家筋からの評価されたジャズマンが、忽然とシーンから遠ざかってしまうケースが多くある。

いわゆる「幻のジャズマン」達で、あの人は今何処、なのだが、大体が行方不明のジャズマンが多い。逆に日本では何故か知られていない、特殊事情の「幻のジャズマン」も結構いる。今回のジャック・ウィルキンスもそんな中の一人。しかし、アルバムの音源は残っている。まずはこのJack Wilkins『Windows』を愛でることで、ウィルキンスのギターの優秀性を体感されたい。
 
 

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2025年9月14日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・296

1966年、アルフレッド・ライオンはブルーノートを米リバティー社に売却し、経営から退く。しかし、プロデュースは継続。大手リバティーの傘下に入り、純ジャズ度、モダン・ジャズ度を落とすこと無く、大衆受けする「売れる」ジャズ盤をリリースする傍ら、大衆受けしない、アーティスティック志向の硬派なモード・ジャズやフリー・ジャズの優れた内容のアルバムもリリースし続けた。このアルバムを聴けば、その一端、ブルーノートの矜持が良く判る。

Larry Young『Contrasts』(写真左)。1967年9月18日の録音。ブルーノートの4266番。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Hank White (flh), Herbert Morgan, Tyrone Washington (ts), Eddie Wright (g), Eddie Gladden (ds), Stacey Edwards (congas), Althea Young (vo)。

リーダーのラリー・ヤングのオルガン、フロント管が、ホワイトのフリューゲルホーン、モーガン、ワシントンのテナー・サックス、そして、グラッデンのドラム、エドワードのコンガのセクステット編成。ボーカルが1曲だけ入る。これまでのリーダー作には無かった、大編成コンボが本作の特徴。
 

Larry-youngcontrasts

 
特に、コンガが入った3曲が特にユニーク。演奏全体がリズミックなビートで覆われる「Majestic Soul」、モード&フリー・ジャズ志向のボサノバ・グルーヴが印象的な「Evening」、フリーな演奏の中にスピリチュアルな響きのする「Means Happiness」。これは、後世に継がれる、先進的なオルガンがメインのモード&フリー・ジャズ。この真髄は、1990年代以降、純ジャズ復古以降、次の世代のジャズ・オルガニストに弾き継がれていく。

コンガ抜きの3曲も、ヤング・オリジナルのオルガン・モード&フリー・ジャズで、聴き応え十分、様々な音の展開に聴いていてワクワクする。オルガンとドラムの攻撃的なデュオ「Major Affair」、ヤングの妻アルテアのボーカルが素敵なバラード曲「Wild Is the Wind」、そして、軽快なバンド・アンサンブルが楽しいTender Feelings」。ラリー・ヤングのモード&フリー・ジャズの懐の深さと応用力の高さが窺い知れる、グッドな演奏ばかり。

オルガンがメインの、硬派で先進的な、モード・ジャズ、そして、フリー・ジャズ。大編成コンボでのモード&フリー・ジャズは、当時のコルトレーン・ジャズを彷彿とさせるが、コルトレーン・ジャズとは一線を画する、ラリー・ヤングのオリジナルのモード&フリー・ジャズ。オルガン・ジャズの革命児、ラリー・ヤングの面目躍如である。
 
 

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2025年9月13日 (土曜日)

ソウル・ジャズなピアノ・トリオ

ブルーノートというレーベルは、いつの時代も懐が深い。1967年という時代でも、硬派な純ジャズ志向のモード・ジャズや、フリー・ジャズ、アヴァンギャルド・ジャズ、があれば、大衆にアピールするファンキー・ジャズ、ジャズロック、そして、ソウル・ジャズにもしっかり対応していたりする。つまり、その時代時代でのジャズ演奏のトレンドをしっかりと把握し、いち早く録音していたレーベルである。

The Three Sounds『Live at the Lighthouse』(写真左)。1967年6月9–10日、カリフォルニアのライトハウス・クラブでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, org), Andrew Simpkins (b), Donald Bailey (ds)。ブルーノート・レーベルが企画した、お抱えピアノ・トリオのスリー・サウンズの、ライムライトからのカムバック後、初のライヴ録音である。

スリー・サウンズは、もともとはファンキー・ジャズをベースとしたピアノ・トリオ。テクニックとアレンジが優秀なので、ファンクネスが前面に出ず、メインストリーム志向のトリオ演奏が印象的なピアノ・トリオだった。そして、ブルーノートでは、『It Just Got To Be』(1960年12月13–14日の録音)で、ファンキー・ジャズからソウル・ジャズへの転換の記録を残している。
 

The-three-soundslive-at-the-lighthouse

 
で、このライヴ盤に記録されているサウンドは、明らかに「ソウル・ジャズ」である。ファンキー・ジャズより「ポップなアレンジ」を施したジャズで、ファンクネスは濃厚、R&Bの音要素も反映した、ダンサフルでオフビートの効いたジャズ。これを、テクニック豊か、アレンジ優秀なスリー・サウンズが、大盛り上がりで、ガンガンに演奏を進めて行く。

アーシーな渋い渋いジャズ・ファンクの「Still I'm Sad」、ブルース・フィーリングが心に沁みる「Summertime」、ソウル・ジャズの味付けが粋な「Blues March」、ボートラの恩恵のソウルフルな「C Jam Blues」、当時、あちらこちらでカヴァーされていたポップスソング「Sunny」など、好演につぐ公園を収録した臨場感溢れる初のライヴ・アルバムである。

ソウル・ジャズのアルバムは、どうしても大衆に訴求すべく、ラウンジ・ジャズっぽく、果てはイージーリスニング・ミュージックに陥ったりする傾向があるのだが、このスリー・サウンズのライヴ盤は違う。このライヴ盤、我が国ではほとんど見向きされていないのだが、とてもジャズしている、ソウル・ジャズの好盤だと思う。さすが、ブルーノートと、ブルーノートの懐の深さを再認識した。
 
 

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2025年9月12日 (金曜日)

ルーさんの考えるソウル・ジャズ

Bogaloo(ブガルー)とは、1960年代のニューヨークで流行した、ラテン音楽とリズム・アンド・ブルース、ソウルが融合した音楽ジャンルであり、それに合わせて踊るブレイクダンスのことも指す(Wikipediaより抜粋)。特に、1960年代後半は、この「ラテン音楽」とジャズの融合がひとつのトレンドだったみたいで、ブルーノートでも、様々なイメージの「ラテン音楽」とジャズの融合音楽が録音されている。

Lou Donaldson『Alligator Bogaloo』(写真左)。1967年4月7日の録音。ブルーノートの4263番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Melvin Lastie (cor), Lonnie Smith (org), George Benson (g), Leo Morris (ds)。アーゴ/カデットからブルーノートに復帰して、R&Bやブガルーな要素を取り込んだ、「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」を表したアルバム。

タイトルの「ブガルー」なジャズは、タイトル曲の「Alligator Bogaloo」の1曲のみ。ドナルドソンの回顧を借りると、このアルバムのセッションをやった時、1曲足らなかったらしい。そこで、やっつけで作ったのこの曲。恐らく、リフを作って、皆が演奏を始めたら、当時、流行の「ブガルー」がベースの演奏になったんだろう。これがヒット曲となるのだから、何が幸いするか判らない(笑)。
 

Lou-donaldsonalligator-bogaloo

 
他の演奏はしっかりジャズしている。基本はファンキー・ジャズ。フレーズが歌心満点で流麗でファンクネス適度などで、フレーズだけ聴いていると、ソウル・ジャズかな、とも思うんでが、バックのリズム&ビートが硬派にジャズしている。R&Bな奮起が仄かに漂う、ソウル・ジャズ志向のファンキー・ジャズといった、ちょっと不思議な音世界が、この盤に詰まっている。

R&Bな雰囲気を添加しているのは、ひとえにジョージ・ベンソンのギターの「切れの良い、R&Bなビート感溢れるカッティング」が効いている。そして、ロニー・スミスのオルガンも、そんなR&Bな雰囲気を増幅している。そして、ルーさんのアルト・サックスが、バップな吹奏控えめに、飄々とソウルフルに唄う様に響いているところが、意外とR&Bっぽいんですよね。

まだ、ソウル・ジャズ色は控えめ、ルーさん得意のファンキー・ジャズに、R&Bな雰囲気を添加した、他に無いユニークなファンキー・ジャズに仕上がっているところが面白い。この辺りの音世界が、もしかしたら「ルーさんの考えるソウル・ジャズ」なのかもしれない。タイトル曲の「Alligator Bogaloo」は突然変異だろう。
 
 

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2025年9月11日 (木曜日)

ロックのビッグバンド・カヴァー

生前、クインシー・ジョーンズが絶賛する。「彼女の力強く官能的なボーカルは魅惑的で、魂を癒してくれる。才能と美しさは並外れている。彼女が歌うものは何でも、彼女は自分のものにしていて、一音一音に意味がある。一度聴けばわかる…彼女は本物だ」。この彼女とは、ミシシッピ州生まれで、ビルボードチャートで2度首位を獲得したボーカリスト、デボラ・シルヴァー(Deborah Silver)である。

Deborah Silver & Count Basie Orchestra『Basie Rocks!』(写真左)。2025年の作品。ちなみにパーソネルは、Deborah Silver (vo : main), Count Basie Orchestra。

そんなデボラ・シルヴァーが、ジャズ・ビッグバンドの老舗、カウント・ベイシー・オーケストラと組んで、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、スティング、エルトン・ジョン、ポリスといったロック界の巨匠たちの演奏を、自然なセンスと正統派ビッグバンド・アレンジで再解釈した、魅力的な企画盤。ローリング・ストーンズの名ドラマー、スティーヴ・ジョーダンがこの盤をプロデュースしている。

以下がトラックリスト。エルトン・ジョンの1973年のヒット曲「Benny & The Jets」のピアノ・シンコペーションはコール&レスポンスの様に響き、ビル・フリゼールのギター・ソロが魅力的な、スティーヴ・ミラー・バンドの定番曲「Fly Like An Eagle」。

カート・エリングの歌唱が素晴らしい、ソフト・セルの「Tainted Love」。トロンボーン・ショーティをフィーチャーした、スリー・ドッグ・ナイトのヒット曲「Joy to the World」。ボブ・シーガーの「Old Time Rock and Roll」は不思議とビッグバンド・サウンドに合う。
 

Deborah-silver-count-basie-orchestrabasi
 

1.「Paint it back」 feat. Arturo Sandoval and Pedrito Martinez
2.「Benny & The Jets」
3.「Baby I love your Way」 feat. Peter Frampton
4.「Tainted Love」
feat. Kurt Elling (duet) w/ Steve Jordan (ds), John Clayton (b)
5.「Band On The Run」
6.「A Hard Days Night」 featuring: Monte Croft
7.「Joy To The World」 feat. Trombone Shorty (duet)
8.「Fly Like An Eagle」 feat. Bill Frisell
9.「Every Breath You Take」 feat. George Coleman
10.「Old Time Rock & Roll」
feat. Wycliffe Gordon and Herlin Riley (duet)
11.「Life’s Been Good」
feat. Scotty Barnhart of The Count Basie Orchestra

まず、デボラ・シルヴァーの歌唱が素晴らしい。現代の正統派ジャズ・ボーカル。ポップスでもロックでも無い。紛れも無い「ジャズ・ボーカル」といった雰囲気のシルヴァーの歌唱が全編に渡って、素晴らしい存在感を放っている。

そして、ビッグバンド・アレンジが素晴らしい。ロック&ポップス曲のジャズ・カヴァーは、曲の持つ印象的なフレーズを忠実に再現するあまり、ジャズのサウンドに乗ったイージー・リスニング・ミュージックになってしまう傾向が強いのだが、この盤は違う。

正統なビッグバンド・アレンジに乗った、あくまで、ジャズに力点を置いた、ロック&ポップス曲のカヴァーになっているところが素晴らしい。しかも、そんな演奏を担当するのが、ジャズ・ビッグバンドの老舗、カウント・ベイシー・オーケストラ。あくまで、ジャズ・アレンジされたロック&ポップス曲が、とにかく聴いていて楽しい。
 
 

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2025年9月10日 (水曜日)

アヴァンギャルドなマクリーン

ジャキー・マクリーンとオーネット・コールマンの共演。ジャキー・マクリーンのメイン楽器は、アルト・サックス。オーネットのメイン楽器と被るので、この盤では、オーネットはトランペットを吹いている。テクニックはそれほどでもないけれど、オーネット流のアドリブ・フレーズを吹く分には、問題が無いのだろう。

Jackie McLean『New And Old Gospel』(写真左)。1967年3月24日の録音。ブルノートの4262番。ちなみにパーソネルは、Ornette Coleman (tp); Jackie McLean (as), Lamont Johnson (p), Scott Holt (b), Billy Higgins (ds)。オーネット・コールマンが客演してトランペットを吹く、ジャキー・マクリーン率いるクインテット編成。

冒頭の長尺、21分を越える大作メドレーは「Lifeline Medley: Offspring / Midway / Vernzone / The Inevitable End」。基本はオーネット流のフリー・ジャズに聞こえるが、マクリーンのアルト・サックスのフレーズにしろ、ラモント・ジョンソンのピアノにしろ、必要最低限の取り決めは守っているが、その展開は、マクリーンのアルト・サックスのフレーズはマクリーン流だし、ラモントのピアノも同様。フリーでアヴァンギャルドな展開は聴きものである。
 

Jackie-mcleannew-and-old-gospel

 
2曲目の「Old Gospel」は、タイトル通り、ゴスペル調のご機嫌なソウル・ジャズ。テーマ部はご機嫌なゴスペル調な演奏だが、アドリブに入ると、モードな吹き回しのアドリブ展開になり、オーネット流吹き回しのアドリブ展開になる。マクリーンのアルト・サックスは絶好調、血管ぶち切れ、アヴァンギャルドでフリーなアドリブを吹きまくるが、オーネットは自分の担当楽器でないトランペットを吹いている、とは聞こえが良いが、テクニック的にはあまり上手でないコールマンのトラペットである。

3曲目はまだコールマン流のフリー・ジャズに舞い戻るが、必要最低限の取り決めは守っているが、その展開は、マクリーンのアルト・サックスのフレーズはマクリーン流だし、ラモントのピアノも同様。音の作りは、あくまで、この盤を聴いていて、ちょっと耳を奪われるのが、ラモント・ジョンソンのピアノ。どこかマッコイ・タイナーの様ではあるが、重心的には軽めのビートで、タイナーのタッチより切れ味良く、躍動感がある。

この盤の内容は面白い。コールマン流フリー・ジャズとゴスペル風味のソウル・ジャズの2種類の、決して相容れることの無い、それぞれ異なるジャズを気持ち良くやる、という内容は、ユニークというか、何というか(笑)。そんな異質な編集の盤の中、マクリーンのアルト・サックスが、「マクリーンの考えるフリー&アヴァンギャルド」といった風情の「絶好調、血管ぶち切れ」の圧倒的なフレーズを吹きまくって、この盤に統一感を与えているのは立派である。
 
 

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2025年9月 9日 (火曜日)

サム・リヴァースのお蔵入り盤

1966年、ブルーノートはリバティ・レコードに買収されたが、大手レコード会社のリバティ・レコードの意向で、大衆受けする、聴き手のニーズに合わせたポップなジャズ盤をリリースする一方、ブルーノート設立当初からの「これは、と感じた、その時その時のジャズのトレンド、ジャズのスタイルを分け隔て無く記録に残す。そして、ジャズマンの演奏志向を良く理解し、それを最優先に録音する」姿勢は変えなかった。

Sam Rivers『Dimensions & Extensions』(写真左)。1967年3月17日の録音。ブルーノートの4261番。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Donald Byrd (tp), Julian Priester (tb), James Spaulding (as, fl), Cecil McBee (b), Steve Ellington (ds)。サム・リバースのサックス&フルート、ドナルド・バードのトランペット、ジュリアン・プリースターのトロンボーン、ジェームス・スポルディングのアルト・サックス&フルートの4管フロントのピアノレスのセクステット編成。

ブルーノートお得意の内容は優れているのに、なぜか録音当時は「お蔵入り」盤である。録音は1967年だが、リリースは1986年。オリジナルのカタログ番号と予定されていたカバーアートワークで発売されている。もともと1967年に発売が予定されていたが、1975年に発売が延期。アンドリュー・ヒルの指揮下で録音されたトラックと組み合わせた2枚組LPセット『インボリューション』(1976年、BN-LA 453-H2)に収録されているが、単独でのリリースは1986年。
 

Sam-riversdimensions-extensions

 
内容的には、サム・リヴァースの得意とする「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズがメイン。それも、理路整然とした、カッチリまとまった「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズで、アブストラクトなところや、現代音楽的な無調な展開は全く無い。勿論、フレーズ的にもテクニック的にも「破綻」が無い。「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの成熟形を聴く思いがする。それほどまでに、理路整然とした、カッチリまとまった内容に惚れ惚れする。

パーソネルを見渡すと、皆、「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズを得意とするメンバーだが、ハードバップ初期から第一線で活躍したベテランのドナルド・バードがトランペットで頑張っているのが、意外と言えば意外。それでも、聴いていると、キッチリとリヴァースの考える「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズに適応しているのだから立派である。

「コールマン流」から明らかに外れた音色と気質が、サム・リヴァースの「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの個性。この録音がなぜ約10年もの間、お蔵入りになったのか、理解に苦しむのだが、大手リバティ・レコード傘下のブルーノートでは、売上に貢献しそうにない「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズは敬遠されたのかも知れない。しかし、内容は一級品。1960年代の「モード+フリー+アバンギャルド」なジャズの代表盤として、いつまでも聴き継がれていくべき逸品である。
 
 

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2025年9月 8日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・295

ジャズ・ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンは「デュオ演奏の達人」。様々なジャズ・ミュージシャンと組んで、デュオ演奏を繰り広げてきた。ヘイデンのベースが演奏の「底」をシッカリ支え、強靱なリズム&ビートを供給し、デュオのパートナーを支え鼓舞する。このヘイデンのベース捌きが見事で、フレーズを弾き出させても、歌心溢れ印象的なフレーズを叩き出す。そういう点から、僕はヘイデンのことを「デュオ演奏の達人」と呼ぶ。

Charlie Haden & Gonzalo Rubalcaba『Land of the Sun』(写真左)。2003年12月19–22日の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Haden (b), Gonzalo Rubalcaba (p, perc), Ignacio Berroa (ds, perc), Joe Lovano (ts), Miguel Zenon (as), Michael Rodriquez (tp, flh), Oriente Lopez (fl), Larry Koonse, Lionel Loueke (g), Juan De La Cruz "Chocolate" (bongo)。

ジャズ・ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンとキューバ出身のバップ・ピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバによるアルバム。基本、メインは、ヘイデンとゴンサロのデュオ演奏。メキシコのポピュラー音楽の金字塔として知られるホセ・サブレ・マロキンの作品に主に焦点を当てている。しみじみと聞く、バラード系の作品。
 

Charlie-haden-gonzalo-rubalcabaland-of-t

 
ヘイデンとゴンサロのデュオ作品では無く、テナー・サックス、アルト・サックス、トランペット、フルート、などの管楽器、そして、ギターなどが入った豊かなサウンド・イメージであるが、これは、音世界の「彩り」の役割。演奏全体は、ヘイデンとゴンサロのデュオ演奏がメイン、ヘイデンとゴンサロのデュオ演奏が、豊かな音世界の「彩り」をバックに、クッキリ前へ出て、映えに映える。

ラテン・テイストのバラード曲を、ヘイデンとゴンサロは粛々と弾き進めていく。心にしみ入る美しいメロディー満載。ゴンザロの耽美的でリリカルで力感溢れるバップ・ピアノが美しい。そして、その美しいピアノを支え、リズム&ビートを導く、ソリッドで重量感溢れるヘイデンのアコースティック・ベースが頼もしい。そこに管楽器とギターが効果的に絡む。

デュオ名盤『Nocturne』(ここをクリック)に続く、ヘイデンとゴンサロのコラボ盤であったが、ヘイデン自身の言葉によると『ノクターン2』みたいなものにはしたくなかった、という。確かにその通りで、バラード曲集ではあるが、メキシコのポピュラー音楽をメインに据えたラテン・テイストのバラード曲集という、ユニークな内容のアルバムに仕上がっている。好盤である。
 
 

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2025年9月 7日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・294

キース・ジャレットが、ジャズ・ベースの哲人「チャーリー・ヘイデン」を自宅に招いて行った心温まるデュオ・セッション集である。デュオでの共演はなんと31年ぶり。しかし、キースは「ソロの達人」、ヘイデンは「デュオの達人」。ソロの達人とでデュオの達人が組んでの、極上のメインストリーム・ジャズなデュオ演奏に展開されていく。

Keith Jarrett & Charlie Haden『Jasmine』(写真左)。2007年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Charlie Haden (b)。1976年、チャーリー・ヘイデンの『Closeness』の冒頭「Ellen David」以来のヘイデンとキースのデュエット。キースの自宅スタジオでの気軽なセッションを収めたデュオ盤である。

キース自身「事前に準備を整えて録音したものではなく、本当にそのとき偶然に出来た音楽で、二人にしかできえなかったもの」と語るように、とても自然で淡々とした、色彩豊かなピアノとベースのデュオ演奏が展開されいます。いずれの曲にも「作為とプロデュース」が全く感じられなくて、キースとヘイデンが心のままに、デュオ演奏を繰り広げていったのがよく判る。
 

Keith-jarrett-charlie-hadenjasmine

 
キースの他のソロ演奏のように、ダイナミックで幅広な展開で弾き回すのでは無く、ヘイデンのベースの音とフレーズを良く聴き、それに応じるような、ピアノとベースとが「会話」を重ねるような、シンプルでナチュアルなデュオ演奏が続く。収録曲のどれが突出するでもない、皆、同じ流れと雰囲気の中で、淡々と極上の内容を湛えたデュオ演奏を繰り広げていく。

キースのピアノを久し振りに聴いたのだが、これだけリラックスして、プライベートな雰囲気を湛えた、躍動感溢れるパフォーマンスはこの盤の他に無いだろう。また、ヘイデンのベースは、アコースティック・ベースの良いところを前面に出しつつ、キースのピアノに寄り添うようにベースラインを弾き進めていく。もはやこれは名人芸の上を行く極上のレジェンド・パフォーマンスである。それほどまでに、ヘイデンのベースは充実している。

キースは、ライナーノーツで「Call your wife or husband or lover in late at night and sit down listen.(夜遅く、妻、夫、そして恋人、そんな二人でゆっくり腰掛けて聴いてほしい)」と言う言葉で締めくくっている。プライベートな響きと雰囲気を宿した極上のピアノとベースのデュオ。名盤です。
 
 

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2025年9月 6日 (土曜日)

サイケ・ラテンなザボのギター

不思議な響きのギター全開。従来からの聴き馴れたジャズ・ギターの音色がしない。アドリブ展開やフレーズも従来のジャズ・ギターのそれでは無い。独特の展開、独特なフレーズ。マイナー調な響きがエキゾチックで、ジャジーっぽさが無い。どちらかと言えば、欧州の民俗音楽的な響きがする。

Gabor Szabo『Spellbinder』(写真左)。1966年5月6日の録音。インパルス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gábor Szabó (g, vo), Ron Carter (b), Chico Hamilton (ds), Willie Bobo, Victor Pantoja (perc)。ザボのギターがメインの「ギター・トリオ+パーカッション」。管楽器やキーボードが無い分、ザボの「怪人ギター」の個性が如実に判る。

ハンガリーの怪人ギターの実に妖しげな「ラテン・ジャズ」。ザボの快作『Gypsy '66』(ここをクリック)に続く、ザボの2枚目のリーダー作になる。巷では「カルロス・サンタナが影響を受けたアルバム」として有名な一枚。ラテン度の高いパーカション入りの「ギター・ジャズ」。スイングレスの硬質でありながら流麗な「怪人ギター」が、パーカションの助けを得て、ラテンチックに動き回る様が面白い。
 

Gabor-szabospellbinder
 

冒頭の「Spellbinder」は、クラブジャズ・クラシック。この曲を聴けば、スイングレスの硬質でありながら流麗な「怪人ギター」が、パーカションの助けを得て、ラテンチックに動き回る様が具体的に良く判る。ほんと聴いていて面白い。ドラム&パーカッションのザボのギターに躍動感を与えている。他にこんな演奏は聴いたことがない。

4曲目「Gypsy Queen」は、ラテン・ロックの雄、サンタナの大ヒット・アルバム『Abraxas』におけるカヴァーでお馴染みの曲のオリジナル。ザボの演奏は、サイケデリックなラテン・グルーヴが芳しい。有名スタンダード曲「Witchcraft」や「My Foolish Heart」などは、ザボの「怪人ギター」で、サイケで民俗音学的な響きを付加され、不思議な雰囲気の、それでいて魅力的なスタンダード解釈がとてもユニーク。

ザボは「フォークギターにピックアップを付けたもの」を使用しており、それ故、独特の音色とフレーズがする。これが、ラテン風味のフレーズを奏でるのだから、これは他には聴けない。唯一無二である。それまでのジャズ・ギターと比べて、全く異質な、全くユニークなザボのギターがアルバム全体を闊歩する。好盤です。
 
 

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2025年9月 5日 (金曜日)

エリントン楽団の異色盤です。

ベツレヘムのデューク・エリントン作品の人気盤である。この盤では、エリントン楽団としては珍しい、デュークのオリジナル曲だけでなく、ジャズ・スタンダード曲を演奏している。ジャズ・スタンダード曲をエリントン楽団が演奏すると「こうなる」が明快に理解出来る貴重盤でもある。

『Duke Ellington Presents..』(写真左)。1956年2月の録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。元メンバーが再集結、往年のエリントン・サウンドの再演という様なパーソネルである。

Duke Ellington (p), Cat Anderson, Willie Cook, Ray Nance, Clark Terry (tp), Quentin Jackson, Britt Woodman (tb), John Sanders (valve-tb), Jimmy Hamilton (cl, ts), Johnny Hodges (as), Russell Procope (as, cl), Paul Gonsalves (ts), Harry Carney (bs), Jimmy Woode (b), Sam Woodyard (ds), Ray Nance (vin, vo), Jimmy Grissom (vo)。

1曲目「Summertime」(George Gershwin, Ira Gershwin, Dubose Heyward)
2曲目「Laura」 (Johnny Mercer, David Raksin)
3曲目「I Can't Get Started」 (Vernon Duke, Ira Gershwin)
4曲目「My Funny Valentine」 (Lorenz Hart, Richard Rodgers)
(この間はデューク曲が続く)
9曲目「Deep Purple」 (Peter DeRose, Mitchell Parish)
10曲目「Indian Summer」 (Al Dubin, Victor Herbert) 
 

Duke-ellington-presents

 
ジャズ・スタンダード曲が、エリントン・アレンジに染まっていく、濃密で幻想的なエリントン・サウンドで演奏されるジャズ・スタンダード曲は、アーバンでブルージーでジャジー。エリントン楽団ならではの、スタンダード曲の解釈が、この盤の最大の聴きものである。

聴いていると気がつくが、個性のあるメンバー達をフューチャーした音作りも、この盤のユニークなところ。キャット・アンダーソンのトランペットが見事な「Summertime」、ポール・ゴンザルベスのテナー・サックスが印象的な「Laura」「Cotton Tail」。

ハリー・カーネーのバリトンが熱い「Frustration」、ジョニー・ホッジスのアルト・サックスに惚れ惚れする「Day Dream」。ジミー・ハミルトンのクラリネットが楽しい「Deep Purple」。ラッセル・プロコープのアルト・サックス・ソロが美しい「Indian Summer」。エリントン楽団の面目躍如。

ネットを眺めてたら、このアルバムを「エリントニアンのショーケース」とする記事があって、なるほど、っと納得。個性のあるメンバー達をフューチャーするところは確かに「エリントニアンのショーケース」。そして、エリントン・バンドっぽくないところが魅力の「エリントン楽団が考えるジャズ・スタンダード集」。この盤、エリントン楽団の異色盤。意外と面白い内容です。
 
 

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2025年9月 4日 (木曜日)

良い感じで脱力した独特の歌唱

ジャズ・ボーカルの宝庫と言われる「ベツレヘム・レーベル」。カタログ全体の4分の1がボ-カル盤というから恐れ入る。確かに、ベツレヘム・レーベルのカタログを見渡すと、キラ星の如く、これは名盤だ、とか、これ聴いてみたい、とか、触手が伸びるボーカリストとタイトルばかり。ジャズ・ボーカルを極めるには、ベツレヘムから入るのが良いのかもしれない。

Bob Dorough『Devil May Car』(写真左)。1956年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Bob Dorough (p, vo), Warren Fitzgerald (tp), Jack Hitchcock (vib), Bill Takus (b), Jack Segal (ds)。才能豊かなソングライターであり、優れたピアニスト&ボーカリストでもあったボブ・ドローのデビュー盤。

ボーカルについては、さえずるような高音の声で「良い感じで脱力した独特の歌唱」が特徴。スウィング・ジャズとユーモラスなスキャットがセンスの良くミックスされた、お洒落で粋なジャズ・ヴォーカル。彼の歌声には、彼独特のユーモアと遊び心が感じられ、ジャズのスタンダード曲に、新しい魅力を添加している。
 

Bob-doroughdevil-may-car

 
ホーギー・カーマイケルの美しい「 Baltimore Oriole」、ディジー・ガレスピーの「Ow!」、チャーリー・パーカーの「 Yardbird Suite」といったバップ曲で、ドロー自身の印象的な歌詞と共に、ドローの歌唱が際立つ。そして、彼のピアノは「軽妙」。この軽妙なピアノが、ドローの歌声にピッタリとマッチして、ドローの歌唱を引き立てている。

バックに控える、ウォーレン・フィッツジェラルドのトランペット、ジャック・ヒッチコックのヴァイブも素晴らしい演奏を披露。ざっとパーソネルを見渡すと、馴染みの無いジャズマンばかりが並んでいるが、このバックの演奏の充実が、この個性的なドローの歌声をさらに引き立てている。

ちなみに、本作でも際立っているが、タイトル曲「Devil May Care」は、ダイアナ・クラールやクレア・マーティンらによってカヴァーされている。マイルス・デイヴィスが曲としてカヴァーした事でも有名。また、ボブ・ドローは、マイルスをバックに唄を歌った(「Nothing Like You」)唯一のジャズ・シンガーでもある(『Sorcerer』に収録)。
 
 

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2025年9月 3日 (水曜日)

ポップなファンキー・ジャズ盤

1966年はブルーノートがリバティ・レコードに買収された時代。ブルーノートにも、アルバム売り上げ第一という「商業主義」が押し寄せ、大衆に受けのわるい、フリーやスピリチュアルを追求するハードなジャズ盤のリリースは少なくなり、大衆受けする、聴き手のニーズに合わせたポップなジャズ盤が多くリリースされる様になる。

Blue Mitchell『Boss Horn』(写真左)。1966年11月17日の録音。ブルーノートの4257番。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Jerry Dodgion (as, fl), Pepper Adams (bs), Julian Priester (tb), Chick Corea (p, 5–6), Cedar Walton (p, 1–4), Gene Taylor (b), Mickey Roker (ds), Duke Pearson (arr)。フロント5管、ピアノがメインのリズム・セクションの、オクテット編成(8人編成)。

内容的には、聴き易い、聴いて楽しい、ファンキー・ジャズ。アレンジ的には、ジャズロックあり、ソウル・ジャズあり、モード・ジャズあり。でも、演奏のトーンの根っこは「ファンキー・ジャズ」。フロント5管、ミッチェルのトランペット、クックのテナー・サックス、ダジォンのアルト・サックス、アダムスのバリサク、プリースターのトロンボーンのユニゾン&ハーモニーが効いて、ファンクネスが溢れている。
 

Blue-mitchellboss-horn
 

1曲目「Millie」は、ピアソン作曲のジャズ・ロック。フレーズ的には、ハンコックの「ウォーター・メロンマン」を彷彿とさせる印象的なブレイクが特徴のジャズロック。2曲目「O Mama Enit」は、ミッチェル作曲のカリプソ・ナンバー。3曲目はスタンダード曲の「I Should Care」。ファンキーなアレンジが心地良い。4曲目「Rigor Mortez」は再び、ジャス・ロック。

5曲目「Tones for Joan's Bones」とラストの「Straight Up and Down」は、チック・コリア作のファンキー・モード・ジャズ。この2曲、チックの作であるが、これが実に内容に富んでいる。ファンキーな雰囲気を宿したモード・ジャズで、特に、チックのピアノのモーダルなアドリブ展開が「聴きもの」。アルバムの中で、この2曲が内容的に突出している。

アルバム全体に「聴き易さ」が前面に出ていて、ファンキー・ジャズ志向のイージーリスニング・ジャズと捉えても良い内容だが、演奏自体はしっかりとモダン・ジャズしていて、この点は「さすがブルーノート」と再認識させてくれる。この盤でも、ピアソンのアレンジがふるっていて、アルバム全体の雰囲気を、上質なモダン・ジャズとしているのか、このピアソンのアレンジによるところが大きい。
 
 

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2025年9月 2日 (火曜日)

タレンタインのショーケース

1964年2月、ビートルズが米国の地に上陸。ビートルズは米国ポップスの頂点に立ち、ビートルズに刺激されたロックが台頭。米国ポップス音楽の代表の1つだったジャズ人気は徐々に斜陽となる。その始まりが、1965年から66年辺り。フリーやスピリチュアルを追求するハードなジャズと、聴き手のニーズに合わせたポップなジャズと、二極分化が進んだ時代であった。

Stanley Turrentine『The Spoiler』(写真左)。1966年9月22日の録音。ブルーノートの4256番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), James Spaulding (as, fl), Pepper Adams (bs), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds), Joseph Rivera (perc), )Duke Pearson (arr)。

漆黒ブルージーなテナー奏者、スタンリー・タレンタインがリーダーの、コンガ入りノネット編成(9人編成)。大所帯である。メンバーを見渡すと、当時のブルーノート・オールスターズと呼んで良いような、ブルーノートで活躍していたジャズマンがずらり。一流のジャズマン達の演奏なので、9人編成とは言え、しっかりと締まった演奏をしている。

内容的には、当時の流行のジャズの演奏トレンドを詰め込んだ「ごった煮」な内容。大人のロックあり、大人のファンキー・ジャズあり、ソウル・ジャズあり、当時の米国ポップスのジャズ・カヴァー(4曲目「Sunny」)、いわゆる、米国ポップスの人気曲のカヴァーありで、演奏自体は前述の様にしっかりしているのだが、曲の収録イメージは「ごった煮」。
 

Stanley-turrentinethe-spoiler

 
しかし、そんな「ごった煮」のアルバムを、タレンタインの個性的で漆黒ブルージーなテナーが、曲毎に一本筋を通している。このアルバム、当時のタレンタインのショーケースの様な感じに仕立て上げられていて、曲毎にジャズの演奏トレンドがコロコロ変わるのだが、違和感が伴わないのは、タレンタインのブレない漆黒ブルージーなテナーのお陰といって良いだろう。

ブルーノート・オールスターズと呼んで良いような豪華なバックではあるが、このアルバムでは、あくまで、タレンタインのテナーを引き立てる役に回っている。

が、このオールスターズのバッキングが見事。ピアソンのアレンジが優れているのだろう、様々なジャズの演奏トレンドに合わせたアレンジに乗って、オースルターズは伸び伸び演奏し、それぞれの個性を出しつつ、タレンタインのテナーを引き立てる。

全体にポップなジャズの味付けがされているので、俗っぽいと敬遠する向きもあるが、僕はそんなことは無いと思う。聴いて楽しいタレンタインのショーケース。ブルーノートの企画する「ショーケース」盤はいつも「一味違う」。
 
 

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