ベツレヘムのジョニー・ハートマン
ベツレヘム・レーベル。このレーベルの一番の特色は、米国の東海岸と西海岸の両方にオフィスを構え、偏ること無く、双方のジャズマンのリーダー作をリリースしたこと。ハードバップ期の黒人中心の東海岸ジャズと、白人中心の西海岸ジャズを偏ること無くピックアップし、記録していった珍しいジャズ・レーベル。
しかし、カタログを眺めていると、あれっ、と思うんだが、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。
Johnny Hartman『Songs from the Heart』(写真左)。1955年10ー11月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Hartman (vo), Howard McGhee (tp), Ralph Sharon (p), Jay Cave (b), Christy Febbo (ds)。ベツレヘム・レーベルからリリースされた、ジョニー・ハートマンのデビュー・アルバム。
ハートマンの魅惑的低音バリトンの「漆黒ボーカル」が実にジャジー&ムーディー。ほんと「良い声」している。この魅力的な拡がりのあるボーカルで、丁寧に唄い上げる「優しいバラード集」。シナトラとかメル・トーメとは違った、小粋でダンディズム溢れる低音ボーカルの魅力。どこかセクシーでどこかノスタルジック。聴き込み始めると、とことんセンチメンタルになる。
トランペットのハワード・マギーが、これまた、良い音を出して、ハートマンのボーカルを支え、引き立てている。そして、バックを司るラルフ・シャロンのピアノが抜群に良い。「歌伴のシャロン」の面目躍如的な、小粋で味のあるバッキング。そして、ピアノ=ベース=ドラムという普通のリズム隊で歌伴をしているんだが、少しもうるさく無い。どころか、とても味のあるバッキングでハートマンのボーカルを盛り立てている。
ジョニー・ハートマンの名前については、『John Coltrane & Johnny Hartman』で有名だが、これはコルトレーンのオマケ的立場の盤なので、この盤のハートマンが代表的名唱とするにはいささか拙速が過ぎる。僕は、まずこのハートマンのデビュー盤である『Songs from the Heart』を聴いて欲しい。ハートマンのボーカルの本質と個性がこの盤に詰まっている。男性ボーカル名盤の1枚。
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