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2025年8月23日 (土曜日)

イージーリスニングなルーさん『Lush Life』

1950年代は「ハードバップの時代」。1960年代に入ると、聴き手の嗜好に応じて、演奏の志向を明確に変えていく「ハーバップ・ジャズの多様化の時代」に突入する。ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズロック、イージーリスニング・ジャズなどなど、聴き手の嗜好に合ったジャズを展開する時代である。そして、ブルーノートもその時代の波に乗って、聴き手の嗜好に合った、様々なスタイルのジャズをリリースする至っている。

Lou Donaldson『Lush Life』(写真左)。1967年1月20日の録音。ブルーノートの4254番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Freddie Hubbard (tp). Garnett Brown (tb), Jerry Dodgion (as, fl), Wayne Shorter (ts), Pepper Adams (bs), McCoy Tyner (p), Ron Carter (b), Al Harewood (ds), Duke Pearson (arr)。「Sweet Slumber」の別タイトルでもリリースされていた、ルー・ドナルドソン(以降「ルーさん」)のリーダー作。

録音時は、ブルーノートお得意の「何故かは判らないお蔵入り」音源。日の目を見たのは1980年。内容は一声でいうと「ルーさんのイージーリスニング・ジャズ」である。錚々たるメンバーをバックの「ジャズオケ」に従え、ルーさんが、パーカー直系のバップなアルト・サックスを吹き上げていく。収録は全て、渋めのジャズ・スタンダード曲で固められている。
 

Lou-donaldsonlush-life

 
徹底的にイージーリスニング志向のアレンジが施されており、ブルーノートの作品群の中では、異色の響きを有している。悪く言うと「ブルーノートらしくない」マニアックに言うと「大手ジャズ・レーベルっぽい」。ただ、ルーさんのアルト・サックスは、イージーリスニング志向の様な耳当たりの良い、甘い吹奏ではなく、硬派でダンディズム溢れる、パーカー直系のバップなアルト・サックスに終始しているのが面白い。

アレンジは、大衆迎合型のイージーリスニング志向なんだが、フロントのメインのアルト・サックスがメインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックスというアンバランスが、この盤の個性であり、聴きどころである。バックのオケがストリングスでは無いが、アレンジの大本は「ウィズ・ストリングス」な様式でアレンジされている。この辺もこの盤の面白いところ。

ジャケも明らかに大衆迎合型、イージーリスニング志向のジャケットで、これもブルーノートらしくない(笑)。録音時期的に「ソウル・ジャズのルーさん」を期待して聴くと、椅子から転げ落ちること請け合いです(笑)。でもルーさんの「メインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックス」が、イージーリスニング志向のアレンジをグッと引き締めていて、イージーリスニング志向のジャズとしては十分、評価出来る内容になってます。
 
 

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