落ち着いたオルガン・ジャズ『I'm Movin' On』
ジミー・スミスは、マイルスに紹介され、ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオンに見出され、ブルーノートからアルバム・デビューしている。1956年の初リーダー作以来、ブルーノート一本槍。後に「オルガンの神様」と呼ばれるほどの、革新的なオルガン・ジャズ盤を多数リリースしてきた。
1962年、さらなる好条件を提示した大手レーベル・ヴァーヴに移籍する。自分が育てたジャズマンが条件の良い大手レーベルに移籍していくことを、ライオンは一切止めることは無く、喜んで送り出したくらいだそう。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音を残していった。この盤は、その「置き土産」音源のひとつ。
Jimmy Smith『I'm Movin' On』(写真左)。1963年1月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Grant Green (g), Donald Bailey (ds)。質実剛健、オルガン、ギター、ドラムのベースレス、正統派オルガン・トリオの1枚。派手さのない、落ち着いた、滋味溢れるトリオ盤である。
ブルージーで小粋な雰囲気が良い、ちょっと渋めのオルガン・トリオ盤。デビュー当時のアグレッシヴでダイナミックなオルガンは影を潜め、落ち着いた、ジャジーでブルージーな、滋味溢れるオルガン。これが、この盤の一番の「聴きどころ」。収録された演奏は全て、ミッド・テンポからスロー・テンポの渋〜く、小粋に落ち着いた演奏で、聴いていてしみじみしてしまう。
基本はファンキー・ジャズ。ソウル・ジャズほど、ファンク度合いは高くないし、フレーズの粘りも少ない。どちらかと言えば、ファンキー・ジャズをベースとした、落ち着いたイージーリスニング志向の、上質なオルガン・ジャズとすると座りが良い。とにかく、趣味の良い、小粋なアドリブ・フレーズが、止めどなく流れてくる。オルガンの神様、ジミー・スミスの面目躍如。
クラント・グリーンのギターもなかなかの味を出している。ジミー・スミスのオルガンに応じて、パッキパキなファンクネスだだ漏れギターを少し封印し、濃厚なファンクネスは、ジミー・スミスのオルガンに委ねるような、ちょっとファンクネス控えめのグラント・グリーンのギターは味わい深い。ジミー・スミスとの相性というよりは、グループ・サウンズとしての自分の役割をわきまえた、なかなか滋味溢れるギターである。
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