ブルーノートの ”初ウィルソン”『Something Personal』
ジャック・ウィルソン(Jack Wilson)は、1936年8月3日にシカゴ生まれ。7歳の時にインディアナ州フォートウェインに移住。1962年にはロサンゼルスに移住。1963年に初リーダー作『The Jack Wilson Quartet featuring Roy Ayers』をリリース。ブルーノートでは、この盤を始め、『Something Personal』『Song for My Daughter』の計3枚、リーダー作をリリースしている。
Jack Wilson『Something Personal』(写真左)。1966年8月9–10日、LAでの録音。ブルーノートの4251番。ちなみにパーソネルは、Jack Wilson (p), Roy Ayers (vib), Ray Brown (b :#3-6, cello :#1-2), Charles 'Buster' Williams (b :#1-2), Varney Barlow (ds)。
ジャック・ウィルソンの6枚目のリーダー作、ブルーノートでの初リーダー作である。しかし、プロデューサーは、ブルーノートらしくない、エマーシー・レーベルのジャズ担当、ジャック・トレイシー。ブルーノートが大手のエマーシー傘下に入った故、このブルーノートらしくない録音になったのかもしれない。
専ら、米国ウエストコーストで活動していたジャック・ウィルソン。このブルーノート初リーダー作は、ロサンゼルスで録音され、プロデューサーは、西海岸のジャック・トレイシー。ロイ・エアーズのヴァイブが入ったクインテット編成もユニークで、ブルーノートらしくない。まるでMJQ。そういう意味で、米国東海岸ジャズの雰囲気が全くしない、ブルーノートのアルバムの中でも異色作の類である。
雰囲気は、米国ウエストコースト・ジャズの1966年版。4ビートのスインギーな、1950年代のウエストコースト・ジャズの面影は全く無い。モード・ジャズを取り入れた、ハードバップとモードのハイブリッドな演奏で、音の質としては「爽快でポップ」。ファンクネスは希薄。東海岸ジャズの様な、アーバンでブルージーな雰囲気は無くて、どちらかと言えば、西海岸の明るい光の中、アーバンで爽快なジャズといった面持ちだろうか。
アーバンで爽快な雰囲気を増幅するエアーズのヴァイブが良い。高速フレーズ弾きまくりだが、フレーズは明るくポップ。エアーズのヴァイブが、米国ウエストコースト・ジャズの1966年版という雰囲気を増幅している。
面白いのは、ベースとドラムのリズム隊。叩き出すリズム&ビートは、どこか重厚で厚みのあるもの。これって東海岸風で、ウエストコースト・ジャズの軽快でリズミカルなリズム&ビートとは一線を画している。
ラス前、5曲目の「Harbor Freeway 5 P.M」でのゆったりとしたビートで、耽美的に拡がりのあるフレーズと高速フレーズを交互に弾きまくる、ウィルソンが印象に残る。アルバム全体を聴き通して、この盤はブルーノートによる、東海岸のジャズ者に向けての「Introducing Jack Wilson」的な内容のアルバムなのかもしれない。
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