女性ボーカル名盤 ”This Is Chris”
ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。女性ボーカルのラインナップも充実していて、クリス・コナーを擁しているところなどは、「ボーカルに強いベツレヘム」の面目躍如。今回はその「クリス・コナー」の名盤に迫る。
Chris Connor『This Is Chris』(写真左)。1956年4ー5月、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Connor (vo), Herbie Mann (fl), Ralph Sharon (p), Joe Puma (g), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds), J. J. Johnson, Kai Winding(tb : A3, B1,2,4)。クリス・コナー、29歳のアルバム。ベツレヘム3部作の2作品目。
彼女の一番の特徴はそのクールな歌唱。それまでの「オールド・スタイル」の女性ボーカルでは無く、ストレートでスマートな、聴き心地の良いボーカルにある。そして、歌が上手い、巧みである。抜群の表現力とテクニック。そういう歌手には、往々にして「歌心に欠ける」という欠点がついて回るのだが、クリスは歌心抜群。声の質も「軽いハスキー・ヴァイス」で、ベトつかず、適度にドライ。
聴き手として「聴き易くスッキリ」としてクリスのボーカルは、ジャズ者万人向け。コナーの落ち着いたトーン、繊細で感情豊かな表現、そして心に残る歌声。ジャズ者初心者の方々での「ジャズ女性ボーカルの入門盤」として、内容が判り易く充実した内容。スタンダード曲を中心にスローバラードからアップテンポまで、爽やかに唄い上げる、若き日のクリスのパフォーマンスの初々しさも魅力。
フルートとテナーの二刀流のハービー・マン、ピアニストのラルフ・シャロン、ギタリストのジョー・ピューマ、ベーシストのミルト・ヒントン、そしてドラマーのオジー・ジョンソンといった素晴らしいサイドマンがバックに控えて、若きクリスの歌唱を支え、鼓舞する。このどちらかと言えば、米国ウエストコースト・ジャズ志向の、優れたアレンジでの「聴かせるジャズ・ボーカル」といった面持ちが実に良い。
良い女性ジャズ・ボーカル盤。ジャズ・ボーカルに強いベツレヘム・レーベルの面目躍如。収録された全10曲全てが、聴き応えのある名唱・名演。クリス・コナーの歌唱のみならず、米国ウエストコースト・ジャズ志向の聴かせるバッキングも充実した、女性ジャズ・ボーカルの名盤。
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このごろ記事を楽しみにしています。66歳のジャズマニアです。クリスのハスキーボイスは大好きです。アンドレプレヴィンとの作品や、バンガード?のライブが好きです。
投稿: 吉水秀樹 | 2025年8月22日 (金曜日) 07時36分