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2025年8月の記事

2025年8月29日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その43

しかし、酷暑が続く夏である。とうに立秋は過ぎて、もう8月も終わり。ここ千葉県北西部地方、もうちょっと涼しい風が吹いていても良いのだが、全くそんな気配は無い。明日、明後日などは、最高気温は35℃超えの予想。これだけ暑いと「熱いジャズ」は聴けない。とにかく、耳当たりの良いジャズに走ることになる。

Marcos Valle『Samba '68』(写真左)。1967年10-11月の録音。ちなみにパーソネルは、Marcos Valle (g, vo)., Anamaria Valle (vo), Claudio Slon (ds), Deodato (arr), Ray Gilbert (producer)。マルコス・ヴァーリの代表作だけでなく、1960年代のブラジリアン・ポップスを代表する一枚である。

ボサノヴァ・ブームの真っ只中、当時の米国滞在中に2枚の録音を残していが、この盤は、ボサノヴァ期の代表曲のほとんどを収めた総決算的なアルバム。夫婦でデュエットしているので息もピッタリ、ボーカルの質も高い。心地よくアレンジされたオーケストレーションをメインにした、ボサノヴァ・チックな伴奏に乗って、米国ナイズされたボサノヴァ・ジャズな要素が見え隠れするのが面白い。
 

Marcos-vallesamba-68

 
この盤では、全編英語で歌われている。明らかに米国マーケットをターゲットにしたプロデュースで、言語によるボサノヴァ色は薄まっている。が、ヴァーリのボーカルが巧みで、英語で歌いながら、ボサノヴァの雰囲気をしっかり残した歌いっぷりは素晴らしい限り。

そして、このアルバムを、1960年代のブラジリアン・ポップスを代表する一枚たらしめているのは、デオダートのアレンジ。ブラジリアン・ミュージックと米国ジャズとの融合を実現したデオダートのアレンジが秀逸。ボサノヴァの雰囲気を宿しつつ、米国人に馴染のあるジャジーな雰囲気とビートを供給する。米国ジャズにおける「ボサノヴァ・ジャズ」の指針となる様な、優れたアレンジには脱帽である。

ジャケットは「これはなんだ」という感じの、ちょっと怪しい感じですが、中身は一級品。甘くてコクのある歌声のマルコス・ヴァーリ、そして、透明感あるキュートな歌声の当時の妻のアナマリアとのデュエットは爽快感抜群で、この酷暑の毎日に癒やしを与えてくれる。
 
 

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2025年8月28日 (木曜日)

サイケなフィル・アップチャーチ

多くの有名セッションに参加してきた百戦錬磨のセッションマン、フィル・アップチャーチ(Phil Upchurch)。1941年7月19日、米国イリノイ州シカゴ生まれのギタリスト兼ベーシスト。ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリストである。

Phil Upchurch『Upchurch』(写真左)。1969年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch (g), Donny Hathaway (p), Louis Satterfield (b), Morris Jennings (ds), Bobby Christian (perc), James Mack Singers (vo), Charles Stepney (arr, cond)。フィル・アップチャーチの4枚目のリーダー作。

1969年という時代を反映した、とても「サイケデリック」なアレンジが施された、クロスオーバー・ジャズ&ファンクなアップチャーチのエレギが個性的。当時の「サイケ」なアレンジの特徴の1つ、ディープでシャープなエコーがかかっているところが、今の耳には新鮮に響くから不思議である。
 
Phil-upchurchupchurch  
 
プロデュースを後に、あのアース・ウィンド&ファイアの躍動感溢れるホーン・アレンジでも知られる、名編曲家であるチャールズ・ステファニーが担当しているが、確かに、このアルバムでも、アップチャーチのサイケなギターに、不思議な「躍動感」を感じる。そして、その躍動感が「ファンキー」。サイケなアレンジでのファンクネスは、このアレンジによるところが大きい。

あのサイモン&ガーファンクルの名曲「America」を、このサイケデリックでファンキーなクロスオーバー・ジャズ志向のアレンジでカヴァーしているところがユニーク。決して駄作&凡作の類では無く、サイケデリックでファンキーな雰囲気濃厚な中に、名曲「America」の流麗で印象的なフレーズがしっかり浮かび上がる。このバックの「サイケ&ファンキー」と、フロントのアップチャーチのエレギの「流麗で印象的なフレーズ」の対比が素晴らしい。

このアルバム、とても「サイケデリック」なアレンジが施された、クロスオーバー・ジャズ&ファンクなアップチャーチのエレギが気に入るか or 入らないか、で評価は変わるとは思うが、フィル・アップチャーチのエレギ自体は、その個性は変わず、ブレが無い。アップチャーチのエレギを愛でる上では、全く問題の無い、聴き応えのあるアルバムだと僕は思う。
 
 

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2025年8月24日 (日曜日)

落ち着いたオルガン・ジャズ

ジミー・スミスは、マイルスに紹介され、ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオンに見出され、ブルーノートからアルバム・デビューしている。1956年の初リーダー作以来、ブルーノート一本槍。後に「オルガンの神様」と呼ばれるほどの、革新的なオルガン・ジャズ盤を多数リリースしてきた。

1962年、さらなる好条件を提示した大手レーベル・ヴァーヴに移籍する。自分が育てたジャズマンが条件の良い大手レーベルに移籍していくことを、ライオンは一切止めることは無く、喜んで送り出したくらいだそう。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音を残していった。この盤は、その「置き土産」音源のひとつ。

Jimmy Smith『I'm Movin' On』(写真左)。1963年1月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Grant Green (g), Donald Bailey (ds)。質実剛健、オルガン、ギター、ドラムのベースレス、正統派オルガン・トリオの1枚。派手さのない、落ち着いた、滋味溢れるトリオ盤である。
 

Jimmy-smithim-movin-on

 
ブルージーで小粋な雰囲気が良い、ちょっと渋めのオルガン・トリオ盤。デビュー当時のアグレッシヴでダイナミックなオルガンは影を潜め、落ち着いた、ジャジーでブルージーな、滋味溢れるオルガン。これが、この盤の一番の「聴きどころ」。収録された演奏は全て、ミッド・テンポからスロー・テンポの渋〜く、小粋に落ち着いた演奏で、聴いていてしみじみしてしまう。

基本はファンキー・ジャズ。ソウル・ジャズほど、ファンク度合いは高くないし、フレーズの粘りも少ない。どちらかと言えば、ファンキー・ジャズをベースとした、落ち着いたイージーリスニング志向の、上質なオルガン・ジャズとすると座りが良い。とにかく、趣味の良い、小粋なアドリブ・フレーズが、止めどなく流れてくる。オルガンの神様、ジミー・スミスの面目躍如。

クラント・グリーンのギターもなかなかの味を出している。ジミー・スミスのオルガンに応じて、パッキパキなファンクネスだだ漏れギターを少し封印し、濃厚なファンクネスは、ジミー・スミスのオルガンに委ねるような、ちょっとファンクネス控えめのグラント・グリーンのギターは味わい深い。ジミー・スミスとの相性というよりは、グループ・サウンズとしての自分の役割をわきまえた、なかなか滋味溢れるギターである。
 
 

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2025年8月23日 (土曜日)

イージーリスニングなルーさん

1950年代は「ハードバップの時代」。1960年代に入ると、聴き手の嗜好に応じて、演奏の志向を明確に変えていく「ハーバップ・ジャズの多様化の時代」に突入する。ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズロック、イージーリスニング・ジャズなどなど、聴き手の嗜好に合ったジャズを展開する時代である。そして、ブルーノートもその時代の波に乗って、聴き手の嗜好に合った、様々なスタイルのジャズをリリースする至っている。

Lou Donaldson『Lush Life』(写真左)。1967年1月20日の録音。ブルーノートの4254番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Freddie Hubbard (tp). Garnett Brown (tb), Jerry Dodgion (as, fl), Wayne Shorter (ts), Pepper Adams (bs), McCoy Tyner (p), Ron Carter (b), Al Harewood (ds), Duke Pearson (arr)。「Sweet Slumber」の別タイトルでもリリースされていた、ルー・ドナルドソン(以降「ルーさん」)のリーダー作。

録音時は、ブルーノートお得意の「何故かは判らないお蔵入り」音源。日の目を見たのは1980年。内容は一声でいうと「ルーさんのイージーリスニング・ジャズ」である。錚々たるメンバーをバックの「ジャズオケ」に従え、ルーさんが、パーカー直系のバップなアルト・サックスを吹き上げていく。収録は全て、渋めのジャズ・スタンダード曲で固められている。
 

Lou-donaldsonlush-life

 
徹底的にイージーリスニング志向のアレンジが施されており、ブルーノートの作品群の中では、異色の響きを有している。悪く言うと「ブルーノートらしくない」マニアックに言うと「大手ジャズ・レーベルっぽい」。ただ、ルーさんのアルト・サックスは、イージーリスニング志向の様な耳当たりの良い、甘い吹奏ではなく、硬派でダンディズム溢れる、パーカー直系のバップなアルト・サックスに終始しているのが面白い。

アレンジは、大衆迎合型のイージーリスニング志向なんだが、フロントのメインのアルト・サックスがメインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックスというアンバランスが、この盤の個性であり、聴きどころである。バックのオケがストリングスでは無いが、アレンジの大本は「ウィズ・ストリングス」な様式でアレンジされている。この辺もこの盤の面白いところ。

ジャケも明らかに大衆迎合型、イージーリスニング志向のジャケットで、これもブルーノートらしくない(笑)。録音時期的に「ソウル・ジャズのルーさん」を期待して聴くと、椅子から転げ落ちること請け合いです(笑)。でもルーさんの「メインストリーム志向の硬派なバップ・アルト・サックス」が、イージーリスニング志向のアレンジをグッと引き締めていて、イージーリスニング志向のジャズとしては十分、評価出来る内容になってます。
 
 

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2025年8月22日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その42

セルジオ・メンデス・ブラジル'65/66のオリジナル・ボーカリスト、ボサノヴァの妖精"と称されたブラジル人女性シンガー、ワンダ・ヂ・サーのソロ・アルバム。シナトラのプロデューサー、デヴィッド・キャヴァナーのプロデュース。ジャック・マーシャルのアレンジ。

Wanda De Sah『Softly』(写真左)。1965年の作品。キャピトル・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wanda De Sah (vo), Sergio Mendes (p), Sebastiano Neto (b), Chico Batera (ds)。Rosinha de Valenca (g)等、といったBrasil'65のメンバーが務めている。バックが確実に「ブラジル」なので、ボサノヴァの雰囲気も「純正」かつ濃厚。

ワンダ・ヂ・サー(Wanda De Sah)は、1944年リオデジャネイロ、イパネマの生まれ。文字通り「イパネマの娘」である(笑)。実際に、当初は「本物のイパネマの娘」として宣伝されたワンダは、まさに、ボサノヴァ界に、センセーションを巻き起こした。ボサノヴァにおける「純正」女性ボーカリストの代表格である。
 

Wanda-de-sahsoftly

 
ボサノヴァらしく、美しく、リラックスした、健康的に少しエロティックで物憂げな、ワンダ・ヂ・サーの歌唱は実に魅力的。アントニオ・カルロス・ジョビン、バーデン・パウエル、ジョアン・ジルベルト、ルイス・ボンファなどの、当時最先端の若手ブラジル人作曲家たちの秀曲を集め、優れたバックの伴奏とワンダの美しい唄声が一体となって、極上のボサノバ・ミュージックが展開されている。

ストリングス・オーケストラをフィーチャーした「Aruanda」「So Danco Samba」、ギターの音色が素敵な「Tem Do」、米国の一般聴衆をターゲットとして意識した、ラウンジ・ミュージック志向な「Quiet Nights (Corcovado) 」等、リラックスしたボサノヴァ・ナンバーが、ワンダのウィスパー ヴォイスによって映えに映える。

ジャケ写真からして「ボサノヴァの妖精」と言うイメージがピッタリ。ブラジリアン・ウィスパリング・ヴォーカル NO.1の呼び声高く、可憐でちょっと素人っぽいイノセントな雰囲気が、ボサノヴァの音世界とピッタリ合って、とにかく聴いていて心地良い。「ヴァーヴ時代のアストラッドを大人っぽくしたような感じ」とは言い得て妙。
 
 

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2025年8月21日 (木曜日)

悲劇&幻の女性ボーカルの2nd.盤

ヘレン・カー(1922-1960)は、米国ユタ州ソルトレイク・シティ生まれ。1940年代後半、バディ・モロウ楽団やチャーリー・バーネット楽団などの専属シンガーを務め、1955年、ソロ・シンガーとしてベツレヘム・レコードと契約。2作のアルバムを残したものの、その後、1960年になんと38歳で、自動車事故により逝去した悲劇の歌姫である。

Helen Carr『Why Do I Love You?』(写真左)。1955年11月11日、ロスでの録音。ちなみにパーソネルは、Helen Carr (vc), Cappy Lewis (tp), Howard Roberts (g), Red Mitchell (b),。トランペット、ギター、ベースという変則トリオをバックにした、幻の女性ボーカリスト、ヘレン・カーのアルバム。

ベツレヘムに2枚のアルバムを残し、ジャズ・シーンから姿を消した、幻の女性ヴォーカリスト、ヘレン・カーのセカンド盤。ロスでの録音なので、パーソネルは、米国ウエストコースト・ジャズの強者が名前を連ねる。まず、このウエストコースト・ジャズの一流どころがバックを固めているので、まず、内容的に「悪い」はずがない。
 

Helen-carrwhy-do-i-love-you  

 
爽やかな健康的な色気が魅力的な、キュートな女性ヴォーカル。音程はシッカリしていて、テクニックも優秀、確かに「可愛らしい」自然なボーカルで、聴き心地が抜群に良い。本格的な女性ボーカルとは一線を画する、ポップで聴き心地の良い女性ボーカルで、とにかく個性的。これだけ、キュートでハートウォーミングな女性ボーカルは、なかなか他にはない。

品の良いボーカルで、押し付けがましさは皆無。とにかく、聴き心地が良くて、ながら聴きに最適なボーカル。ベツレヘムのヴォーカル・アルバムには、独特なベツレヘム・カラーがあるのだが、この盤もその例に漏れない。トランペット、ギター、ベースの変則トリオのバッキングは、小粋なアレンジが施され、ウエストコースト・ジャズの雰囲気を色濃く宿している。

ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。女性ボーカルのラインナップも充実していて、ヘレン・カーの様に、稀少で魅力的な女性ボーカルもしっかりと残している。ベツレヘム・レーベルは決して侮れない。
 
 

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2025年8月20日 (水曜日)

女性ボーカル名盤 ”This Is Chris”

ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。女性ボーカルのラインナップも充実していて、クリス・コナーを擁しているところなどは、「ボーカルに強いベツレヘム」の面目躍如。今回はその「クリス・コナー」の名盤に迫る。

Chris Connor『This Is Chris』(写真左)。1956年4ー5月、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Connor (vo), Herbie Mann (fl), Ralph Sharon (p), Joe Puma (g), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds), J. J. Johnson, Kai Winding(tb : A3, B1,2,4)。クリス・コナー、29歳のアルバム。ベツレヘム3部作の2作品目。

彼女の一番の特徴はそのクールな歌唱。それまでの「オールド・スタイル」の女性ボーカルでは無く、ストレートでスマートな、聴き心地の良いボーカルにある。そして、歌が上手い、巧みである。抜群の表現力とテクニック。そういう歌手には、往々にして「歌心に欠ける」という欠点がついて回るのだが、クリスは歌心抜群。声の質も「軽いハスキー・ヴァイス」で、ベトつかず、適度にドライ。
 

Chris-connorthis-is-chris
 

聴き手として「聴き易くスッキリ」としてクリスのボーカルは、ジャズ者万人向け。コナーの落ち着いたトーン、繊細で感情豊かな表現、そして心に残る歌声。ジャズ者初心者の方々での「ジャズ女性ボーカルの入門盤」として、内容が判り易く充実した内容。スタンダード曲を中心にスローバラードからアップテンポまで、爽やかに唄い上げる、若き日のクリスのパフォーマンスの初々しさも魅力。

フルートとテナーの二刀流のハービー・マン、ピアニストのラルフ・シャロン、ギタリストのジョー・ピューマ、ベーシストのミルト・ヒントン、そしてドラマーのオジー・ジョンソンといった素晴らしいサイドマンがバックに控えて、若きクリスの歌唱を支え、鼓舞する。このどちらかと言えば、米国ウエストコースト・ジャズ志向の、優れたアレンジでの「聴かせるジャズ・ボーカル」といった面持ちが実に良い。

良い女性ジャズ・ボーカル盤。ジャズ・ボーカルに強いベツレヘム・レーベルの面目躍如。収録された全10曲全てが、聴き応えのある名唱・名演。クリス・コナーの歌唱のみならず、米国ウエストコースト・ジャズ志向の聴かせるバッキングも充実した、女性ジャズ・ボーカルの名盤。
 
 

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2025年8月19日 (火曜日)

トゥループの隠れた好ボーカル盤

とかくマニアックな内容のジャズ盤が魅力のベツレヘム・レーベル。カタログを眺めていると、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。

Bobby Troup『The Songs of Bobby Troup』(写真左)。1955年の作品。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bobby Troup (vo, p), Bob Enevoldsen (tb), Howard Roberts (g), Red Mitchell (b), Don Heath (ds)。ベツレヘム・レーベルの10インチのLPレコードの作品。

才能あるソングライター、そして、有能な歌手のボビー・トゥループ。魅力的な女性ボーカリスト、ジュリー・ロンドンの夫として、そして、ナット・キング・コールが歌って大ヒットした人気曲「(Get Your Kicks On) Route 66」の生みの親と知られる、知る人ぞ知る男性ボーカリストである。我が国ではマイナーもマイナー。知っているジャズ者の方は、かなり数少ないのではないか、と思う。
 

Bobby-troupthe-songs-of-bobby-troup

 
タイトルからすると、本人が書いた曲を集めた企画盤、と思ってしまうが、どうも、本人の愛唱歌集という面持ちで、本人が書いた曲は一曲も無いという珍品。当然「Route 66」は入っていない。それは「あしからず」である。しかし、内容は良好。しっとりと聴かせるヴォーカルが印象深い。トゥループのボーカルは、透明感のあるフレージングと丁寧に練り込まれたゆったりとした歌唱が特徴で、米国ウエストコースト・ジャズのクールさを反映しているようだ。

冒頭の「Cuckoo In The Clock」の明るい心地良さ、インスト・アレンジが印象的な、3曲目の「Laura」そして軽快な、6曲目の「Jeepers Creepers」。4曲目の「That Old Black Magic」はマーサーとハロルド・アーレンのコラボによる名曲。トゥループによるアレンジが秀逸な、5曲目の「One for My Baby」。ウエストコースト・ジャズ志向の「聴き手を意識した」穏やかに「聴かせるジャズ」がこの盤に詰まっている。

この『The Songs of Bobby Troup』のオリジナル盤は、10インチのLPレコードがベースになっているので、アルバムの収録容量の少なさから、アルバムに収録されている全8曲は、トータルで約25分しかないのが惜しい。もう少し曲が追加されていたならなあ、と思うくらい、この盤は穏やかで充実した内容になっている。隠れた「良好な」ボーカル盤として、良い内容だと思います。
 
 

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2025年8月18日 (月曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その41

サンバの新しいスタイルとしての「ボサノヴァ」をただ歌いたかったジョアン。「ボサノヴァ」での米国での成功を夢見て、英語で「ボサノヴァ」を歌い、米国ジャズマンのサポートを得て、米国で「ボサノヴァ」を広めていったカルロス・ジョビン。

2人の「ボサノヴァの神様」の「ボサノヴァ」をポピュラーなものにしていく為の方向性の違いが、明確にあった訳だが、この盤は、ただ「ボサノヴァ」を歌いたかったジョアンの米国ジャズに接近した、ボサノヴァ・ジャズの名盤。

Joao Gilberto『Amoroso』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、主なメンバーとして、João Gilberto (g, vo), Ralph Grierson (key), Milcho Leviev (syn), Bud Shank (fl), Grady Tate (ds), Paulinho Da Costa (perc), Claus Ogerman (arr, cond), バックにオーケストラが付く。

この盤に詰まっている音世界、ボサノヴァの雰囲気が全面的に押し出されていて、一聴すると、これ、ボサノヴァ・ミュージックか、と思うんだが、リズム&ビートの付け方、アドリブ展開の存在、ジャズっぽいバックの弦オーケストラ。純粋なボサノヴァ・ミュージックでは無いと感じる。そして、パーソネルを見て、ボサノヴァと米国ジャズとの効果的な融合の成果だということを理解する。
 

Joao-gilbertoamoroso

 
ジョアンのボサノヴァ・ギターの素晴らしさは言うまでも無く、ジョアンのボサノヴァ・ボーカルは殊の外、素晴らしい。「Tin Tin Por Tin Tin」を聴けばそれが良く判る。ジャズ・スタンダード曲「'S Wonderful」魅力的な「ソフト&メロウなボッサ」に変貌させた秀逸なアレンジも良好。「Wave」「Caminha Cruzados」「Triste」「Zingaro」の、カルロス・ジョビン名曲カヴァー4連発が出色の出来。

録音年は1977年。フュージョン・ジャズの全盛期で、この盤では「ボサノヴァ」が持つソフト&メロウな雰囲気が、フュージョン・ジャズと上手く合致して、この盤は、ボサノヴァなフュージョン・ジャズとしても十分、評価出来る内容である。ちなみにストリングスのアレンジは「クラウス・オガーマン」。プロデューサーは、トミー・リピョーマとヘレン・キーン。

サンバの新しいスタイルとしての「ボサノヴァ」をただ歌いたかったジョアンの意向が如実に反映されたボサノヴァ・ジャズ。米国ジャズの雰囲気やリズム&ビートを取り入れてはいるが、「ボサノヴァ」の基本の雰囲気やリズム&ビートは決して崩さず、しっかり残した上で、米国ジャズの雰囲気を取り込む、そんな雰囲気のボサノヴァ・ジャズが展開されている。ボサノヴァ・ジャズの名盤の1枚です。
 
 

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2025年8月17日 (日曜日)

ボッサ名盤「愛と微笑みと花」

ボサノヴァ・ジャズというか、このアルバムは、純粋なボサノヴァ・ミュージックのアルバムである。オリジナル収録曲だけだと収録時間は約20分と短いが、この盤の様な、本場のボサノヴァ・ミュージックを体感してから、ボサノヴァ・ジャズを聴いて欲しいと思っている。

Joao Gilberto『O Amor, O Sorriso E a Flor』(写真左)。1961年の作品。ちなみにパーソネルは、Joao Gilberto (g, vo)、unknown Strings Orchestra。邦題「愛と微笑みと花」(直訳である)。ボサノヴァの神様、ジョアン・ジルベルトのセカンド・アルバム。この盤には、ボサノヴァ・ミュージックの真髄がてんこ盛り。

この盤とかで、真のボサノヴァ・ミュージックをしっかりと体感することにより、ジャズによるボサノヴァの取り込みの塩梅とか、アレンジの上手さとかが理解出来る様になるかと思う。この盤のリリース年は1961年。ボサノヴァがまさに誕生した当時の雰囲気と、その当時のジョアンのボサノヴァな雰囲気溢れるボーカル、既に完成の域に達しているギターの奏法などが確認出来る。
 

Joao-gilbertoo-amor-o-sorriso-e-a-flor

 
サンバのギターや歌い方から、サンバのエッセンスやボッサなフィーリングを抽出した、新しいサンバのスタイルを創出したのが「ボサノヴァ・ミュージック」なのだが、このアルバムに入っているボサノヴァ・ミュージックを聴けば、サンバ・ミュージックとの違いも判るし、ジャズとの融合、ボサノヴァのジャズ化の場合、どういう雰囲気を前面に出せば、ボサノヴァ・ジャズとなるかが良く判る。

ジョアンの代表曲「オパト」「ドラリセ」をはじめ、ジョビンの名曲「ワンノートサンバ」「メディテーション」「コルコヴァード」等名曲揃い。アコースティック・ギターの奏でる「自然音」の如き、風や波を感じるリズム&ビートと、「息継ぎ」をも歌唱に変えるジョアンのボサノヴァ・チックなボーカル・テクニックが見事。

ボサノヴァの演奏とボーカルの基本がこの盤に詰まっている。ソフト&メロウで聴き心地を第一としたボサノヴァ・ミュージック。ハードバップが、とかく演奏テクニックやコード・チェンジとの戦いがメインとなり、一般大衆への訴求が疎かになり始めた時代に、ボサノヴァとジャズの融合を試みることは、ジャズの「音楽」としての福音となったに違い無い。
 
 

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2025年8月16日 (土曜日)

ハンガリーの怪人ギターの好盤

Gabor Szabo =「ガボール・ザボ」と読む。不思議な響きの名前である。ハンガリーの怪人。ブダペストの生まれ。ジャズ、ポップ、ロック、ハンガリー音楽を融合させたスタイルがユニークな、ハンガリー系アメリカ人のギタリストである。国籍不明、ジャンル不明な、硬質でロックっぽい、ちょっと「ヘタウマ」なギターが個性。

1956年のハンガリー動乱の後、米国カリフォルニア州に移住、1958年から1960年までボストンのバークリー音楽大学で学び、その後チコ・ハミルトン楽団で活動。チコのバンドを脱退以降、インパルス・レコードと契約、リーダー作を数々リリースしていく。

Gabor Szabo『High Contrast』(写真左)。1970年12月と1971年2月の録音。ちなみにパーソネルは、ábor Szabó (g), Bobby Womack (g), Mark Levine (p), Wolfgang Melz, Phil Upchurch (b), Jim Keltner (ds), Felix "Flaco" Falcon (congas), Carmelo Garcia (tom-tom, Timbales), Rene Hall (string arr), The Shadow (a.k.a.Tommy LiPuma) (tambourine, perc, record producer)。

不思議な響きのギター全開。従来からの聴き馴れたジャズ・ギターの音色がしない。アドリブ展開やフレーズも従来のジャズ・ギターのそれでは無い。独特の展開、独特なフレーズ。マイナー調な響きがエキゾチックで、ジャジーっぽさが無い。どちらかと言えば、欧州の民俗音楽的な響きがする。
 

Gabor-szabohigh-contrast
 

この『High Contrast』は、ザボのギターの個性が手に取るように判る。とにかく、ギターの音がユニークで、従前の純ジャズっぽさは全く無い。パッキパッキ硬質で欧州の民俗音楽的な響きは、どちらかと言えば、プログレッシヴ・ロック系のギターの音だったりする。しかし、これが結構、癖になる。

冒頭に、1976年にジョージ・ベンソンが大ヒットさせることになる「Breezin'」のオリジナル・バージョンが収録されている。これが結構、話題に鳴っているみたいだが、ベンソンの「Breezin'」の骨格の様な演奏が実に潔い。この印象的なフレーズを持った楽曲に漂う、欧州の民俗音楽的な響きが、ザボの演奏では色濃く、このオリジナル・バージョンもなかなかに聴き応えがある。

ラテン・テイストを醸しだすジャズ・ロックあり、ジャズ・ファンクあり、ソウルフルなフュージョンあり、バラエティーに富んだ内容だが、ザボの怪人ギターが一本筋を通していて、アルバム全体に統一感がある。そして、その統一感を確固たるものとし、この盤で、ザボのギターを映えに映えさせるプロデュースを、プロデューサー名人、トミー・リピューマがその力を存分に発揮している。

ザボの怪人ギターが相当に癖があるので、従来の純ジャズ・ギターが全て、というジャズ者の方々には、異端も異端、認めたくないギターだろうが、このギターの音色、フレーズも「ジャズ」である。ソウル・ギターの大御所ボビー・ウーマックとの共演も好要素として作用していて、良い感じ。この盤、硬派なクロスオーバー&フュージョンなアルバムとして、なかなか聴き応えのある内容です。 
 
 

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2025年8月15日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その40

タイトルからすると、1962年の録音で、やや落ち目だったゲッツを第一線に押し上げ、ボサノヴァ・ブームを生み出す「きっかけ」ともなったボサノヴァ・ジャズの好盤、Stan Getz & Charlie Byrd 『Jazz Samba』の続編か、アウトテイク集と思ってしまうが、まず、パートナーとなったギタリストが「ルイス・ボンファ」に代わっている。『Jazz Samba』とは全く関係無い、新パーソネルによる、新録音のボサノヴァ・ジャズ盤である。

Stan Getz & Luiz Bonfá『Jazz Samba Encore!』(写真左)。1963年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Luiz Bonfá (g), Antônio Carlos Jobim (g), Maria Toledo (vo), Tommy Williams, George Duvivier, Don Payne (b), Paulo Ferreira (ds), Jose Carlos, Dave Bailey (ds, perc)。

『Big Band Bossa Nova with Gary McFarland』が、米国仕様のビッグバンドに「おんぶに抱っこ」のイメージだったスタン・ゲッツ。再び、ブラジルのボサノヴァ・ギタリストと組むことで「ゲッツ=ボサノヴァ・ジャズ」の図式を確固たるものにしたかったのかもしれない。ボサノヴァ・ブームを生み出す「きっかけ」ともなったボサノヴァ・ジャズの名盤『Jazz Samba』の夢よもう一度、という感じで「ルイス・ボンファ」と組むことで、その再現を試みている。
 

Stan-getz-luiz-bonfajazz-samba-encore

 
この「二匹目のドジョウ」を狙った『Jazz Samba Encore!』が、その狙い通りに、ボサノヴァ・ジャズの好盤として、まとまっているのだから、スタン・ゲッツは「ラッキー・マン」。「二匹目のドジョウ」狙いは大体が失敗に終わるのですが、この盤は、ブラジル系のミュージシャンを招聘、純正ボサノヴァのリズム&ビートの雰囲気を取り込んだ、イージーリスニング志向のボサノヴァ・ジャズに仕上がっている。

ジョビンのスタンダード曲とボンファのオリジナル曲が収録されていて、とりわけジョビンのスタンダード曲が良い。曲が良いし、ボサノヴァの雰囲気を色濃く反映している演奏もグッド。本場ブラジルのミュージシャンの招聘も好要素で、刺激を受けたのか、ゲッツのパフォーマンスが冴えている。結果、『Jazz Samba』と比肩する内容のボサノヴァ・ジャズの好盤に仕上がっている。

本作セッションの好結果が、ゲッツとヴァーヴ・レーベルの自信になったのだろう、本作セッションの僅か1ヶ月後、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、アストラッド・ジルベルト等を迎え、世界的にボサノヴァ・ブームを巻き起こした名盤『Getz/Gilberto』(1964年リリース)を録音することとなる。『Jazz Samba Encore!』は、ボサノヴァ・ジャズの大ブームの始まりを捉えた好盤だろう。
 
 

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2025年8月14日 (木曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その39

ズート・シムス(Zoot Sims)。スケールの大きいブロウ、スイングの雰囲気がそこはかと漂いながらも、吹きっぷりはテクニックは確かでハードバップ。中高音域を好んで用いるらしく、テナーにしてはフレーズの音が高い。これがテナーのワンホーン盤ながら、軽快な聴き心地の良さに貢献している。

Zoot Sims『New Beat Bossa Nova』(写真左)。1962年8月28日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts), Spencer Sinatra (fl,pic), Ronnie Odrich (fl,cl), Phil Woods (cl), Gene Quill (cl,b-cl), Jim Hall (g), Kenny Burrell (g), Art Davis (b), Sol Gubin (d), Ted Sommer (perc), Willie Rodriguez (perc)。

正統派テナー奏者のズート・シムズが、大編成のジャズ・オケをバックに、当時流行のボサノヴァにチャレンジした、アルバムである。コルピックス・レーベルからリリースになる。大編成のジャズオケをバックに、朗々と小洒落て、正統派な柔らかなテナーで吹き上げるボサノヴァのナンバーの数々は意外と聴き応えがある。
 

Zoot-simsnew-beat-bossa-nova

 
演奏全体の雰囲気は、ボサノヴァをジャズ・アレンジした、イージーリスニング志向。ただ、シムスのテナーの吹奏は、硬派で正統派なジャズ・テナー。シムスのテナーだけを取りあげれば、実に上質なハードバップ・ライクな、スインギーでスケールの大きいブロウは、正統派モダン・ジャズな雰囲気濃厚。このシムスのテナーの吹奏だけで、このイージーリスニング志向のボサノヴァ・ジャズを「純ジャズ」のジャンルに踏みとどまらせている。

バックのジャズオケについては、アルト・サックスのフィル・ウッズやギターのケニー・バレルなど、人気一流ジャズマンの名前も見えるが、特に目立ったパフォーマンスは無い。ただ、シムスのテナーをバッキングするジャズオケとしては、なかなか良い演奏をしていて、安心感がある。

この盤は、ジャズオケをバックにした、イージーリスニング志向のボサノヴァ・ジャズで、「ながら聴き」のジャズとして、なかなかの内容・レベルを維持している。何故か、ボサノヴァ・ジャズのアルバム紹介には、なかなか顔を出さないアルバムではあるが、「ながら聴き」のボサノヴァ・ジャズを求める向きにはお勧めの盤である。
 
 

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2025年8月13日 (水曜日)

ブルーノートの ”初ウィルソン”

ジャック・ウィルソン(Jack Wilson)は、1936年8月3日にシカゴ生まれ。7歳の時にインディアナ州フォートウェインに移住。1962年にはロサンゼルスに移住。1963年に初リーダー作『The Jack Wilson Quartet featuring Roy Ayers』をリリース。ブルーノートでは、この盤を始め、『Something Personal』『Song for My Daughter』の計3枚、リーダー作をリリースしている。

Jack Wilson『Something Personal』(写真左)。1966年8月9–10日、LAでの録音。ブルーノートの4251番。ちなみにパーソネルは、Jack Wilson (p), Roy Ayers (vib), Ray Brown (b :#3-6, cello :#1-2), Charles 'Buster' Williams (b :#1-2), Varney Barlow (ds)。

ジャック・ウィルソンの6枚目のリーダー作、ブルーノートでの初リーダー作である。しかし、プロデューサーは、ブルーノートらしくない、エマーシー・レーベルのジャズ担当、ジャック・トレイシー。ブルーノートが大手のエマーシー傘下に入った故、このブルーノートらしくない録音になったのかもしれない。

専ら、米国ウエストコーストで活動していたジャック・ウィルソン。このブルーノート初リーダー作は、ロサンゼルスで録音され、プロデューサーは、西海岸のジャック・トレイシー。ロイ・エアーズのヴァイブが入ったクインテット編成もユニークで、ブルーノートらしくない。まるでMJQ。そういう意味で、米国東海岸ジャズの雰囲気が全くしない、ブルーノートのアルバムの中でも異色作の類である。
 

Jack-wilsonsomething-personal

 
雰囲気は、米国ウエストコースト・ジャズの1966年版。4ビートのスインギーな、1950年代のウエストコースト・ジャズの面影は全く無い。モード・ジャズを取り入れた、ハードバップとモードのハイブリッドな演奏で、音の質としては「爽快でポップ」。ファンクネスは希薄。東海岸ジャズの様な、アーバンでブルージーな雰囲気は無くて、どちらかと言えば、西海岸の明るい光の中、アーバンで爽快なジャズといった面持ちだろうか。

アーバンで爽快な雰囲気を増幅するエアーズのヴァイブが良い。高速フレーズ弾きまくりだが、フレーズは明るくポップ。エアーズのヴァイブが、米国ウエストコースト・ジャズの1966年版という雰囲気を増幅している。

面白いのは、ベースとドラムのリズム隊。叩き出すリズム&ビートは、どこか重厚で厚みのあるもの。これって東海岸風で、ウエストコースト・ジャズの軽快でリズミカルなリズム&ビートとは一線を画している。

ラス前、5曲目の「Harbor Freeway 5 P.M」でのゆったりとしたビートで、耽美的に拡がりのあるフレーズと高速フレーズを交互に弾きまくる、ウィルソンが印象に残る。アルバム全体を聴き通して、この盤はブルーノートによる、東海岸のジャズ者に向けての「Introducing Jack Wilson」的な内容のアルバムなのかもしれない。
 
 

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2025年8月12日 (火曜日)

シルヴァー流 ”ソウルの色づけ”

前作『The Cape Verdean Blues』は、ファンキー仕立てのモーダルなフレーズ。そして、そこにワールド・ミュージック風のエキゾチックなメロディーが乗っかって、モード・ジャズの代表的展開を聴かせてくれた。次作のこの『The Jody Grind』も、その路線を踏襲するかと思いきや、ワールド・ミュージック風のエキゾチックなメロディーを薄めて、ソウル・ジャズの要素を導入してきた。

Horace Silver『The Jody Grind』(写真左)。1966年11月2日の録音。ブルーノートの4250番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Woody Shaw (tp), Tyrone Washington (ts), James Spaulding (as), Larry Ridley (b), Roger Humphries (ds)。ウディ・ショウのトランペットとタイロン・ワシントンのテナー・サックス、ジェームス・スポルディングのアルト・サックスがフロント3管のセクステット編成のホレス・シルヴァーのリーダー作。

基本は、モードを導入した、ハードバップとモードのハイブリッドなファンキー・ジャズ。リズム&ビートはファンキー・ジャズそのままに、フロント2管とシルヴァーのピアノのソロ・パフォーマンスに「ソウル・ジャズ」の要素を忍ばせる、そんな「慎重な」アプローチを採用している。そうそう、ジャケもちょっと「ソウル・ジャズっぽく」しているところが可愛い(笑)。
 

Horace-silverthe-jody-grind  
 

どっぷりソウル・ジャズに迎合せず、シルヴァー流の「ハードバップとモードのハイブリッドなファンキー・ジャズ」に、流行の色づけにソウル・ジャズの要素を忍ばせている、そんな感じの内容。奥ゆかしいと言ったらよいのか、なんと言ったら良いのか(笑)。どっぷりソウル・ジャズに転身しないところが、シルヴァーの「矜持」だし、といって、趣味良く、当時の流行だったソウル・ジャズの要素を小粋に添加する。これもまたシルヴァーの「矜持」。

冒頭のタイトル曲「The Jody Grind」は、シルヴァー流ファンキー・ジャズの雰囲気を踏襲したジャズロック。ショウとワシントンの2管フロントが良い感じで飛ばす。2曲目の「Mary Lou」、続く「Mexican Hip Dance」辺りが、シルヴァー流の「ハードバップとモードのハイブリッドなファンキー・ジャズ」に、流行の色づけにソウル・ジャズの要素を忍ばせている、の部分。

俗っぽくなく、ソウルにどっぷり浸かること無く、シルヴァー流のファンキー・ジャズの「矜持」を持って、ソウル・ジャズの要素を趣味良く忍ばせる。これが、実にシルヴァーらしくて良い。ファンキー・ジャズを離れたシルヴァーはシルヴァーでは無い。このアルバムの様に、シルヴァー流ファンキー・ジャズに、奥ゆかしくソウル・ジャズの色づけをして、当時の流行に反応する。これが実に「粋」。
 
 

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2025年8月11日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・293

ブルーノート・レーベルは懐の深い、硬派なレーベルである。必要最低限しか商業主義に走らない、これは、と感じた、その時その時のジャズのトレンド、ジャズのスタイルを分け隔て無く記録に残す。そして、ジャズマンの演奏志向を良く理解し、それを最優先に録音する。だからこそ、ブルーノートは今でも尊敬され、一目置かれるレーベルとして君臨しているのだ。

Rivers『A New Conception』(写真左)。1966年10月11日の録音。ブルーノートの4249番。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Hal Galper (p), Herbie Lewis (b), Steve Ellington (ds)。サム・リヴァースの3枚目のリーダー作。サム・リヴァースによる7曲のジャズ・スタンダード曲の解釈が収録されている異色盤。

新主流派、そして、フリー&スピリチュアル・ジャズの雄、サム・リヴァースが、スタンダード曲に挑んだ、ブルーノートの異色盤。しかし、ただの「スタンダード曲」への挑戦では無い。当時、サム・リヴァースが持っている、サックス&フルート吹奏のテクニックの全てを総動員して、スタンダード曲を解釈している。つまり「リヴァースが考えるスタンダード演奏」な内容なのだ。

冒頭の「When I Fall in Love」から、ラストの「"Secret Love」までを聴けば、それが良く判る。初めのテーマを吹奏するところは、ハードバップ、若しくは、イージーリスニング・ジャズ志向の、流麗でテーマに忠実な吹奏。これが、確かなテクニックで吹かれるので、テーマの魅力がダイレクトに伝わる。リヴァースの吹奏の歌心がビンビンに伝わる。
 

Riversa-new-conception

 
そして、アドリブ部に入ると、モードに展開する。リヴァース十八番の、成熟したモーダルな展開。自由度は高いが、吹き回しが流麗なので、とても耳に優しい。そして、時々、フリーにアブストラクトに展開する。バラード曲では、スピリチュアルな響きがとても魅力的、フリー&スピリチュアル・ジャズの雄、サム・リヴァースの面目躍如。

ハードバップで入って、モードに展開し、時々、フリーにアブストラクトに効果的に展開し、スローな曲調では、スピリチュアルな雰囲気全開。そして、どのスタイルで吹いても、底に流れる「歌心」。これが「リヴァースが考えるスタンダード演奏」である。

今の耳で聴いても、新しい響き。今の耳で聴いても、全く違和感は無い。今の、現代のジャズのスタンダード解釈は、この1966年のサム・リヴァースのリヴァースが考えるスタンダード演奏」と変わりが無い。リヴァースは自分の演奏志向と聴き手とのバランスを、しっかりと考えることの出来るジャズマンだったのだろう。

このリーダー作では、聴き手の立場に立って、スタンダード曲を解釈するリヴァースが透けて見える。そして、このリヴァースの企画にゴーサインを出した、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼。ブルーノート4249番、ブルーノート4200番台の名盤の1枚である。
 
 

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2025年8月10日 (日曜日)

”Thank You, Charlie Christian”

ハーブ・エリスは、最初はテキサスで、カントリー・ミュージックをやっていたらしい。ラジオ番組でジョージ・バーンズの演奏を聴いたことがきっかけでジャズギターを始めるようになったという。モダン・ジャズ・ギターの祖、チャーリー・クリスチャンを敬愛して止まない、ビ・バップ志向のギターの弾き回しが、ハーブ・エリスの個性。

Herb Ellis『Thank You, Charlie Christian』(写真左)。1960年の作品。ヴァーヴからのリリース。ちなみにパーソネルは、Herb Ellis (g), Frank Strazzeri (p), Chuck Berghofer (b), Harry Babasin (cello), Kenny Hume (ds)。チャーリー・クリスチャン直系の「ビ・バップ」なギタリスト、ハーブ・エリスの「チャーリー・クリスチャン」トリビュートな企画盤である。

そんなハーブ・エリスの、ビ・バップな弾き回し、白人らしいスッキリとしたブルージーなフレーズ、どこか大らかでフォーキーで小洒落たアドリブが、このトリビュート盤で堪能出来る。収録された10曲中8曲がハーブ・エリスのオリジナル曲で構成。オリジナル曲で、心おきなく、ビ・バップなギターを弾きまくる。
 

Herb-ellisthank-you-charlie-christian

 
冒頭「Pickley Wickly」は、黒人霊歌を思い起こさせる、米国ルーツ音楽の響きがする名演。3曲目「Cook One」はロックンロール(これも米国ルーツ音楽)。6曲目のタイトル曲「Thank You, Charlie Christian」は、ビ・バップよろしくカッ飛んでいて、単純に格好良い。レイ・チャールズに影響を受けたとされる7曲目「Alexander's Ragtime Band」もブルージーで良し。

バックの演奏は、ハーブ・エリスのギターが「ビ・バップ」なので、基本的には、リズム&ビートの供給に徹している。時々、フランク・ストラッツェーリのピアノ・ソロが入るが、ストラッツェーリのタッチはかなり硬質で、アドリブ・フレーズは訥々として個性的。ビ・バップなピアノ・ソロをイメージしたのかもしれないが、ちょっと浮いていて惜しい。

このハーブ・エリスの「チャーリー・クリスチャン」トリビュートな企画盤、ハーブ・エリスのギターだけ捉えれば、ハーブ・エリスの代表作としても良い位の充実度。我が国では、あまり人気のあるほうではないが、ハーブ・エリスのギターは「間違いが無い」。ピーターソン・トリオ以外の、ハーブ・エリス単独のギター・アルバムもなかなか良いもんだ。好盤です。
 
 

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2025年8月 9日 (土曜日)

ソウルフルなスリー・サウンズ

ブルーノート・レーベルのお抱えピアノ・トリオのスリー・サウンズ。硬派で正統派、ハードバップでファンキーなピアノ・トリオとして売り出す。

1959年から1962年までブルーノート専属だったが、1962年から、ヴァーヴ、マーキュリー、ライムライトと大手レーベルを渡り歩き、イージーリスニング志向のピアノ・トリオに変身。1967年、ブルーノートに復帰している。

The 3 Sounds『Vibrations』(写真左)。1966年10月25日の録音。ブルーノートの4248番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, org), Andrew Simpkins (b), Kalil Madi (ds)。ブルーノートのお抱えピアノ・トリオ、スリー・サウンズのブルーノート・レーベルへの復帰第一弾。

これまでは、アコースティック・ピアノ一本でのトリオ演奏だったのだが、このアルバムから、ピアニストのジーン・ハリスは、オルガンにも手を染めている。オルガンを導入したということは、録音年は1966年、流行のR&B志向なソウル・ジャズに適応したということ。

このアルバム、全編、良質のソウル・ジャズを聴くことが出来る。もともとは正統派ピアノ・トリオで、ファンキー・ジャズからスタートしたスリー・サウンズ。
 

The-3-soundsvibrations

 
途中、ブルーノートを離れて、大手レーベルの下で、イージーリスニング・ジャズへと転身。そして、戻ってきたブルーノートは、ファンキー・ジャズから、ソウル・ジャズにシフトを始めたところ。

スリー・サウンズは、そのブルーノートのアルバム制作のトレンドに乗ったのだろう、それまでのアコピ一直線から、オルガンを導入、ファンクネスをより濃くし、ソウルフルな雰囲気を増幅し、ベース+ドラムのリズム&ビートも、R&B志向のねばりのある、ストロングなオフビートを採用している。

もともと、硬派で正統派なピアノ・トリオ出身のスリー・サウンズ。ソウル・ジャズに転身しても、硬派で正統派な、端正で明るいサウンド志向は変わらない。ソウル・ジャズとは言え、決して俗っぽくなく、硬派で正統派なサウンドを踏襲した、スリー・サウンズらしいソウル・ジャズを展開している。

フロア・ジャズ・クラシックの「Fever」、フランク・シナトラの1965年のヒット曲「It Was a Very Good Year」、映画音楽の「Charade」、名スタンダード曲の「Django」、その他、渋いスタンダード曲をソウル・ジャズ仕立てにしたりで、アレンジのセンスが半端無い。

とても楽しく聴かせてくれる、ソウルフルなピアノ&オルガン・トリオの好盤でしょう。
 
 

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2025年8月 8日 (金曜日)

オーネットの考える ”フリー”

オーネットのフリー・ジャズについては、僕は「それまでのジャズで、やってはいけないこと」を演奏に反映する、そして「ジャズはそもそも即興演奏を旨とする音楽だから、どんな演奏方式でも、どんな奏法でも、どんなリズム&ビートでもいいじゃないか」という演奏志向を、「フリー」というキーワードで追求している、と解釈しているんだが、このアルバムでは「どんなリズム&ビートでもいいじゃないか」をメインに追求している様に聴こえる。

Ornette Coleman『The Empty Foxhole』(写真左)。1966年9月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Ornette Coleman (as :tracks 1, 5, 6, tp :tracks 2, 4), vln :tracks 3), Charlie Haden (b), Denardo Coleman (ds)。フリー・ジャズの奇才、オーネット・コールマンのピアノレス・トリオ。オーネットがマルチ演奏者となって、アルト・サックスに加えて、トランペットとヴァイオリンも演奏している。

オーネットのブルーノート・レーベルの第2作目。このアルバムは、名ライヴ盤『At the "Golden Circle" Stockholm』に続く、ブルーノート・レーベルでの初のスタジオ録音になる。

つまりは「あれをやっちゃ駄目、これをやっちゃ駄目は、ジャズの自由度を狭める。なんでもかんでもやってみよう、というのが、真のジャズである」というのがオーネットの考え方なんだろうが、この番では、なんと、当時10歳の息子デナード・コールマンをドラマーに採用するという「暴挙=自由(フリー)」に出ている。

どう考えたって、弱冠10歳のドラマーが、感動を呼ぶ、まともなリズム&ビートを供給出来るとは思えない。しかし、オーネットは考えている。この盤での、リズム&ビートはジャズベースの哲人、チャーリー・ヘイデンに全面的に委ねている。ヘイデンの奏でるリズム&ビートを拠りどころに、オーネットは「今まで通りのパフォーマンス」を現出している。
 

Ornette-colemanthe-empty-foxhole

 
どうして、当時10歳の素人の息子デナード・コールマンをドラマーに採用したのか。オーネットの心の中が全く判らない。音楽として、聴き手の人達にちょっと失礼であろう。「それまでのジャズで、やってはいけないこと」の1つとして、ドラマーを素人から採用したのであれば、これはちょっとジョークが過ぎるのではないだろうか。

聴いていて明らかにドラミングに違和感がある。明らかに素人が自由気ままにドラムを叩いている。多少は勉強し練習したんだろうが、どう聴いても、プロのドラミングとは言い難い。オーネットは、ドラムのリズム&ビートは、実は素人が自由に叩いた方が、真の「フリー・ジャズ」に近づく、と考えたのだろうか。

しかし、名ライヴ盤『At the "Golden Circle" Stockholm』での、盟友レギュラー・ベーシストのデヴィッド・アイゼンソンはこれに賛同せず、セッション・メンバーから降りている。

もちろん、オーネットの吹奏は申し分無い。しかし、ヴァイオリンの「スクラッチのようなやり方」での弾き方は、どうにもワンパターンで飽きる。これも、素人が自由に弾いた方が、真の「フリー・ジャズ」に近づく、と考えたのだろうか。

この盤は、オーネットの吹奏とヘイデンの類い希なタイム感覚を有した「哲人ベース」によって、辛うじて及第点を獲得したアルバムだと思う。しかし、ブルーノートの総帥プロデューサーのライオンが、よくこの演奏を許したものだ、と思ったら、この盤のプロデュースは、ライオン引退後の「フランシス・ウルフ」だった。ウルフのプロデュース感覚を疑ってしまった。

このオーネットの「自分の息子はまだ音楽のルールやクリシェに縛られておらず、ピュアでフリーな演奏ができると考えた」のであれば、セッションのメンバー全員が素人でやれば、真の「フリー・ジャズ」に近づく、ということになる。これはどうなんだろう。僕は音楽家としてのオーネットをこの盤を聴いて、初めてその感覚を疑ってしまった。
 
 

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2025年8月 7日 (木曜日)

優れたモーガンの”ショーケース”

リー・モーガンは、ハードバップ期から、1960年代に入っての「ジャズ多様化の時代」の中で、モードに完全対応し、ジャズロックに適応する。テクニックが途方も無いモーガンならではの快進撃で、イージーリスニング・ジャズ志向のニーズに対しても、魅力的なカヴァー演奏で応える。そんなモーガンの雄姿を捉えたアルバムがこれ。

Lee Morgan『Delightfulee』(写真左)。1966年4月8日、5月27日の録音。ブルーノートの4243番。ちなみにパーソネルは、

1966年4月8日(Tracks 3, 4, 7-10)の録音では、Lee Morgan, Ernie Royal (tp), Tom McIntosh (tb), Jim Buffington (French horn), Don Butterfield (tuba), Phil Woods (as, fl), Wayne Shorter (ts), Danny Bank (bs, b-cl, fl), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Philly Joe Jones (ds), Oliver Nelson (arr)。オリヴァー・ネルソンがアレンジを担当したビッグバンドの大編成。

1966年5月27日(Tracks 1, 2, 5, 6)の録音では、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。モーガンのトランペット、ジョーヘンのテナーがフロント2管のクインテット編成。

冒頭の「"Ca-Lee-So」は、モーガンの鯔背なトランペットが大活躍のカリプソな演奏。モーガンは演奏力抜群。カリプソな演奏も難なくこなす、というか、モーガンのカリプソ演奏は根性が入っている。モーガン節をメインとした、硬派でメインストリーム志向なカリプソ演奏。聴衆に迎合しない、「モーガンの考えるカリプソ」が、この演奏に詰まっている。
 

Lee-morgandelightfulee

 
続く「Zambia」は、モーガンらしい格好良い演奏。ハードバップとモードが混然一体となった、とにかく「格好良い」モーガンのトランペット。ジョーヘンのテナーが一生懸命。モーガンの奏でる、ハードバップとモードが混然一体となった展開に、遅れてはならじ、と気合いを込めて、モーガンのトランペットに追従する。

3曲目の「Yesterday」は、レノン=マッカートニー(ビートルズ)の大名曲のカヴァー。これはあまりにベタなカヴァーなので、イージーリスニング・ジャズの甘い甘い、売らんが為の商業ジャズ的カヴァーと思いきや、どうして、モーガンは、モーガンは硬派にメインストリームに、このレノン=マッカートニーの大名曲をカヴァーする。

アレンジが良好で、ジャズっぽさをシッカリ残した、ジャズとしてのカヴァーが成立している。4曲目、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の「Sunrise, Sunset」 も、ユニークな、ミュージカル曲のカヴァー。エモーショナルなパフォーマンスのモーガンが良い。

5曲目の「Nite Flite」は、カッ飛ぶ、鯔背なモーガンのトランペットが凄い。ハードボイルドなハードバップとモードが混然一体となった演奏。ダンディズム&力感溢れるモーガンのアドリブ展開。モーガンのトランペットが映えに映える。

豪華共演陣が話題になるこの多いアルバムだが、聴いてみると判るが、主役は明らかに、リーダーのモーガンで、モーガンのトランペットが前面に出て、映えに映える。ハードバップ、モード、ジャズロック、カリプソ、ポップス曲のがヴァーと八面六臂、変幻自在のモーガンが体感出来る。当時の優れたモーガンの「ショーケース」の様な内容が実に魅力的。好盤です。
 
 

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2025年8月 6日 (水曜日)

ヤングの個性の ”正しい表出”

ラリー・ヤング(Larry Young)。ラリー・ヤングは、1940年10月生まれなんだが、1978年3月、37歳で鬼籍に入っている。今から、もう40年も前のことになる。それでも、プレスティッジとブルーノートを中心に、十数枚のリーダー作を残してくれているので、彼のユニークなオルガンを追体験することが出来る。

ラリー・ヤングのオルガンは「オルガン界のコルトレーン」と形容される。ソロ・パートに入ると、コルトレーンばりの「シーツ・オブ・サウンド」で弾きまくる。そして、このアルバムは、「オルガン界のコルトレーン」の形容を更に強固なものとしてくれる。

Larry Young『Of Love and Peace』(写真左)。1966年7月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Eddie Gale (tp), James Spaulding (as track:1, 3, 4, fl), Herbert Morgan (ts), Wilson Moorman III, Jerry Thomas (ds)。
 
この盤は、オルガンがメインの「自由度を最大限に高めたジャズ」である。モードとフリーを適材適所に織り交ぜ、素晴らしくフリー&スピリチュアルなオルガン・ジャズがここにある。

まず、編成がユニーク。ダブルドラム、3管フロントにラリーのオルガンが加わる。ベースはもちろんギターもおらず,パーカッションもいない。自由度を最大限に追求することの出来る、変則セクステット。この編成は誰が考案したんだろう。
 

Larry-youngof-love-and-peace
 

ゲイルのトランペットとスポルディングのアルト・サックスが「スピリチュアル」な雰囲気を醸し出す。モーガンのテナー・サックスが、3管フロントの音の厚みに貢献する。ダブルドラムが、フリーな展開に、リズム&ビートな明確な指針を叩き出す。

ラリー・ヤングのオルガンが、モードに展開し、フリーに展開し、スピリチュアルに展開する。自由度を最大限に高めた即興演奏を現出する為の、八面六臂のオルガンの弾き回し。そして、これが正しく機能して、当時としては珍しい、オルガンがメインのフリー&スピリチュアル・ジャズが展開されている。

といって、自由に弾きまくる、吹きまくるフリー&スピリチュアルでは無い。メインはモード・ジャズ。しっかりと規律を保った、限りなく自由度を高めたモード・ジャズ。

そんなモード・ジャズ本流の中に、フリーな展開、スピリチュアルな展開が織り交ぜられる。規律の中のフリー、規律の中のスピリチュアル。パワーと理性のバランスが取れた、オルガンがメインの「自由度を最大限に高めたジャズ」。

商業ジャズで無い。ジャズの本来の「芸術性」を追求した様な、ストイックで硬派な内容にワクワクする。ラリー・ヤングの「オルガン界のコルトレーン」と形容される個性がストレートに出た好盤。腰を据えて、じっくりと耳を傾けたい。
 
 

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2025年8月 5日 (火曜日)

聴き心地良いケッセルとホーズ

ハンプトン・ホーズは、ビ・バップ系のピアニスト。カッ飛ぶような、疾走感溢れるピアノは、ビ・バップそのもの。しかし、ホーズの弾き回しは、ビ・バップの様に単純では無い。そのビ・バップ系のピアノをハードバップに適合し、構築力と展開力のある弾き回しで、ちょっと小粋でドラマチックな表現を演出する。僕は彼を「韋駄天バップ・ピアニスト」と呼んでいる。

Hampton Hawes『Four!』(写真左)。1958年1月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Hampton Hawes (p), Barney Kessel (g), Red Mitchell (b), Shelly Manne (ds)。韋駄天バップ・ピアニスト、ハンプトン・ホーズがリーダーで、バックに「ポール・ウィナーズ」の2人、ギターのバーニー・ケッセルとドラムのシェリー・マン、そして、西海岸のベースの名手のレッド・ミッチェルが参加したカルテット編成。

リーダーがピアノ、ベースとドラムを従えてトリオを編成。そこに、バーニー・ケッセルのギターが加わるという図式のパーソネル。リーダーがハンプトン・ホーズなんだが、この盤では、フロント楽器とリズム楽器の二役を演奏仕分ける、バーニー・ケッセルのギターが目立った、前面に出た、アルバム全体の音作りになっている。
 

Hampton-hawesfour

 
とにかく、バーニー・ケッセルのギターが目立ちに目立つ。フロントに回ってバップなアドリブをバリバリ弾き回し、バックに回って、切れ味の良いカッティングで、演奏のリズム&ビートを引き締める。ケッセルのギター、縦横無尽の大活躍である。アドリブも流麗かつエモーショナル、カッティングは心地良く。聴いていて、気持ちがスッキリする様な爽快感溢れるギターが見事。

ホーズのピアノも好調で、聴いていて安定感がある。ケッセルがバリバリ弾き回している時に、バックに回ってのバッキングが絶妙。伴奏上手なホーズが印象的。ケッセルの勢いに押されているところはあるが、アドリブ・ソロでは、安定の「カッ飛び」な弾き回し。韋駄天バップ・ピアニストの面目躍如。

米国西海岸ジャズって、やっぱり良いなあ、と感心する。聴き手を意識した、適度にアレンジされたハードバップ。ユニゾン&ハーモニーが小粋で美しく、インプロビゼーションもほど良くコントロールされ、決して、過度に熱くならない。「聴くジャズ」として十分に通用する内容を旨としていて、この盤もケッセルのギターとホーズのピアノがバリバリ弾き回しているが、演奏全体の雰囲気としては、聴き易い、聴いていて心地良いパフォーマンスとして、とても良くまとまっている。好盤です。
 
 

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2025年8月 4日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・292

ハワード・マギーは、1918年3月生まれ、米国オクラホマ出身。速い運指と高音で知られた、ビーバップにおけるトランペット奏者の先駆者の一人。マギーはロサンゼルスのビーバップ・シーンを代表するミュージシャンであり、数多くのコンサートやレコーディングに参加している。1950年代の大半は薬物問題で活動は停滞。1960年代に入って、一時、リーダー作を連発したが、1960年代半ばには再びキャリアが停滞し、1976年までレコーディングは再開しなかった。

Howard McGhee『The Return of Howard McGhee』(写真左)。1955年10月22日、NYでの録音。ベツレヘム・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Howard McGhee (tp), Sahib Shihab (bs, as : tracks 1, 2, 4-9 & 11), Duke Jordan (p), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds)。

ハワード・マギーは「ビーバップ」のトランペッターと言って良いかと思う。そんなマギーの、麻薬禍からの復帰を記念したアルバムがこの『The Return of Howard McGhee』。1955年のアルバムなので、演奏のトレンドは「ハードバップ」ど真ん中。ビーバップにおけるトランペット奏者の先駆者の一人のマギーが、ハードバップなマナーでトランペットを吹きまくる。ここがこの盤の「聴きどころ」。
 

The-return-of-howard-mcghee

 
ハードバップを吹きまくるマギー。これが凄く良い。テクニックが確かなのはもちろん、マギーの吹くトランペットが実に個性的。少し濁った様なザラッとしたジャジーな音、伸びの良い高音、溢れる歌心。最初聴いた時の印象が「誰や、これ」。ビーバップにおけるトランペット奏者の先駆者なんで、どれだけハードなブロウが出てくるかとおもいきや、東海岸には無い、聴き心地優先、趣味の良い小気味良いトランペット。

サイドマンも良い演奏。パーソネルを見渡すと、まず、マギーとフロント2管を組む、サヒブ・シハブのバリサクが印象に残る。流麗なマギーのトランペットに、ゴツゴツブリブリなシハブのバリサクの対比が珍しくも実にブルージー。そして、ジョーダン=ヒース=フィリージョーのリズム隊の素晴らしいバッキング。このリズム隊の叩き出す「ハードバップ」がマギーのトランペットを鼓舞し引き立てる。

録音はNYだが、アレンジはLA。東海岸ジャズと西海岸ジャズのハイブリットな内容は、ベツレヘム・レーベルならではの「仕業」。そんな西海岸ジャズ志向の「聴かせる」アレンジに乗って、マギーのバラード演奏が秀逸。ジャケットも秀逸。もっともっと評価されて然るべき、ハードバップなマナーのマギーのトランペットである。
 
 

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2025年8月 3日 (日曜日)

ベツレヘムのジョニー・ハートマン

ベツレヘム・レーベル。このレーベルの一番の特色は、米国の東海岸と西海岸の両方にオフィスを構え、偏ること無く、双方のジャズマンのリーダー作をリリースしたこと。ハードバップ期の黒人中心の東海岸ジャズと、白人中心の西海岸ジャズを偏ること無くピックアップし、記録していった珍しいジャズ・レーベル。

しかし、カタログを眺めていると、あれっ、と思うんだが、他のジャズ・レーベルに比べて、ボーカルものが多い。なんと、カタログ全体の4分の1がボ-カル盤。つまりは、ベツレヘム・レーベルは「ジャズ・ボーカルの宝庫」。しかも、大手のレーベルでは無い、中堅ジャズ・レーベルのベツレヘム。商業主義に走らない、硬派な内容のジャズ・ボーカル盤を量産している。

Johnny Hartman『Songs from the Heart』(写真左)。1955年10ー11月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Hartman (vo), Howard McGhee (tp), Ralph Sharon (p), Jay Cave (b), Christy Febbo (ds)。ベツレヘム・レーベルからリリースされた、ジョニー・ハートマンのデビュー・アルバム。
 

Johnny-hartmansongs-from-the-heart

 
ハートマンの魅惑的低音バリトンの「漆黒ボーカル」が実にジャジー&ムーディー。ほんと「良い声」している。この魅力的な拡がりのあるボーカルで、丁寧に唄い上げる「優しいバラード集」。シナトラとかメル・トーメとは違った、小粋でダンディズム溢れる低音ボーカルの魅力。どこかセクシーでどこかノスタルジック。聴き込み始めると、とことんセンチメンタルになる。

トランペットのハワード・マギーが、これまた、良い音を出して、ハートマンのボーカルを支え、引き立てている。そして、バックを司るラルフ・シャロンのピアノが抜群に良い。「歌伴のシャロン」の面目躍如的な、小粋で味のあるバッキング。そして、ピアノ=ベース=ドラムという普通のリズム隊で歌伴をしているんだが、少しもうるさく無い。どころか、とても味のあるバッキングでハートマンのボーカルを盛り立てている。

ジョニー・ハートマンの名前については、『John Coltrane & Johnny Hartman』で有名だが、これはコルトレーンのオマケ的立場の盤なので、この盤のハートマンが代表的名唱とするにはいささか拙速が過ぎる。僕は、まずこのハートマンのデビュー盤である『Songs from the Heart』を聴いて欲しい。ハートマンのボーカルの本質と個性がこの盤に詰まっている。男性ボーカル名盤の1枚。
 
 

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2025年8月 2日 (土曜日)

50年代のギター・フュージョン

今年の夏は酷暑。最近、猛暑の夏が常態化しているが、今年の夏はことさら「猛暑の夏」という感じが強い。これだけ暑いと、まず、複雑なフリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズは「御法度」。ハードなモード・ジャズは無意識に遠ざける。これだけ酷暑の夏の午後は、エアコンの効いた部屋で。ギター中心の、イージーリスニング・ジャズか、フュージョン・ジャズが良い。

Al Caiola『Serenade In Blue』(写真)。1955年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Al Caiora (g), Bernie Privin (tp, flh, on track: 1, 4, 5, 7), Romeo Penque (alto-fl, b-cl, English Horn, on track: 2, 3, 6, 8), Hank Jones (p, track: 2, 3, 6, 8), Ronnie Ball (p, track: 1, 4, 5, 7), Clyde Rombardi (b), Kenny Clarke (ds)。

アル・カイオラは、1920年9月生まれ、米国ニュージャージー出身の、ジャズ、カントリー、ロック、ポップなど、様々な音楽ジャンルを網羅したギタリスト。NYでスタジオ・ミュージシャンとしても成功を収め、エルヴィス・プレスリーやフランク・シナトラ等の伴奏を担当したことでも知られる。この盤は、サヴォイ・レーベルに残した1956年盤。
 

Al-caiolaserenade-in-blue

 
最初、聴き始めた時は、1960年代後半のイージーリスニング・ジャズ系のギター・インストのアルバムだと思った。ただ、音の佇まいがちょっと古い響きがする。この古さは1950年代後半。ハードバップ独特のちょっとくすんだ、音のエッジがラウンドしている音の輪郭。ちょっと調べたら、なんと、アル・カイオラのサヴォイ・レーベルに残した1956年盤だった。

アル・カイオラのギターの音は、正統派な、流麗で音のエッジが丸くて耳当たりが良い音。1970年代のフュージョン・ジャズの音と言われても、納得してしまうくらいの「ソフト&メロウ」な音。ただ、演奏のリズム&ビートは、1950年代後半のハードバップな響きなので、この盤の音世界は、一聴しただけでは「???」となる可能性大な、ユニークな音世界。

しっとりとしたバラード中心の演奏。派手さはないが、ジェントルでウォームでスインギーなカイオラのギターが、爽やかでクールで良い。ゆったりと「ながら聴き」に最適なカイオラのギター・インスト。名曲「Serenade In Blue」「Indian Summer」など、心地良い演奏がてんこ盛り。イージーリスニング志向のギター・ジャズだからといって、敬遠するのは勿体ない。「ながら聴き」の好盤です。
 
 

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2025年8月 1日 (金曜日)

ムースピールのスタンダード集

ウォルフガング・ムースピールは、1965年、オーストリアのユーデンブルク生まれ。ボストンのバークリー音楽大学でゲイリー・バートンと出会い、彼のクインテットに招かれる。1995年から2002年までNYを拠点に活動、様々なアーティストと共演。

リーダー作としては、 1989年『Timezones』(Amadeo)が初リーダー作。そして、意外と遅咲きで、2014年、ECMレーベルでの『Driftwood』でメジャー・デビュー。以降、2〜3年に1枚のペースでリーダー作をリリース。堅実な活動を継続している。

デビュー当時は、ジョン・アバークロンビーやビル・フリゼールなどの、「カッ飛んで尖った」コンテンポラリー・ジャズ系ギタリストの後継者と目されていたが、歳を経ることに、メインストリーム志向の、現代のバップ・ギターの担い手に変身しつつある。この「現代のバップ・ギター」然としたプレイが実に渋いのだ。

Muthspiel, Johnson, Blade『Real Book Stories』(写真左)。2001年3月12-14日、NYの「Watermusic Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g), Marc Johnson (b), Brian Blade (ds)。オーストリア出身の新感覚派ジャズギタリスト、ウォルフガング・ムースピールによる2001年の作品。
 

Muthspiel-johnson-bladereal-book-stories

 
オーストリアのマイナーレーベル「Quinton」からリリースされたこのアルバムは「ムースピールの考える」スタンダード演奏集。マイルス・デイヴィスやコルトレーンの名曲も交えた、有名スタンダード曲を気持ちよさそうに演奏する。スタンダード曲を演奏するムーズピールのエレギは、間違い無く「現代のバップ・ギター」。そう解釈した方が、このスタンード曲集は楽しめる。

「Someday My Prince Will Come」「All The Things You Are」「Lament」「Blue In Green」「Giant Steps」「Solar」など、流麗かつ、ちょっと癖のあるフレーズで、気持ちよさそうに弾き進めて行く。

そして、そんなムースピールを支え、鼓舞する、マーク・ジョンソンのベースとブライアン・ブレイドのドラムが、これまた、このリズム隊あってのムースピール、と言って良い位に素晴らしく、格好良く「現代のバップ」していて良好。

僕のジャズ盤聴きの1つの指針として「ブライアン・ブレイドがドラムを担当する盤に駄盤なし。好盤のみが存在する」というのがあるが、この盤も他の例に漏れず、現代のバップ・パフォーマンスとして、実に魅力的な好盤である。そして、ムースピールの確実な成長を見る思いの、良い意味での発展途上のムースピールを感じることが出来る好盤でもある。
 
 

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