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2025年7月 4日 (金曜日)

モラーツとブルフォードのデュオ

英国の音楽シーンの面白いところは、ジャズとロックの境界が曖昧なところ。ロックのミュージシャンがジャズをやったと思ったら、クロスオーバー&フュージョン志向のミュージシャンがロックをやったりする。

Moraz & Bruford『Music for Piano and Drums』(写真左)。1983年10月の録音。 E.G. Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Patrick Moraz (ac-p), Bill Bruford (ac-ds)。当時、ムーディー・ブルースに在籍していた、スイス出身のパトリック・モラーツのキーボードと、当時、キング・クリムゾンに在籍していた、英国出身のビル・ブルフォードのドラムのデュオ演奏になる。

ここまでのアルバム情報を見ると、プログレッシヴ・ロックの範疇のデュオ盤かとも思うんだが、聴いてみると判るが、このデュオ盤、立派にクロスオーバー&フュージョン・ジャズしているんで、ちょっとビックリする。 E.G. Records(英)からのリリースと言うことで、ここでも英国におけるジャズとロックの境界線が曖昧なところが顕著に表れていると見た。

演奏の基本は「即興演奏」をメインとしていて、演奏される内容としては、叙情的なフュージョン・ジャズ志向の楽曲もあれば、ちょっとアブストラクトにフリーに展開する即興ジャズ志向の楽曲もあれば、クラシック風に展開する楽曲あれば、現代音楽風にブレイクする楽曲もあり。
 

Moraz-brufordmusic-for-piano-and-drums

 
で、これらの演奏をアコースティック・ピアノと、アコースティック・ドラムをメインにデュオ演奏しているのだから堪らない。印象からすると、クロスオーバー&フュージョンなデュオ演奏と評して良いだろう。決して、プログレッシヴ・ロックでは無い。

まず、パトリック・モラーツのアコピがとても良い。多重録音を駆使して、ピアノ音の広がりを印象的なものにしているところも良い。そして、モラーツのピアノのフレーズの「間」を埋めるように、即興的にドラムを重ねていく。このブルフォードの職人芸的ドラミングが見事。ポリリズムあり、変則拍子あり、持てる技術の全てを注ぎ込んだ様な神業ドラミングは聴きもの。

二人はそれぞれ異なる時期にイエスのメンバーで(ブルフォードは1968年から1972年、モラーツは1974年から1977年)、1975年にはイエスのベーシスト、クリス・スクワイアのソロ・アルバム『フィッシュ・アウト・オブ・ウォーター』で共演を果たしている。

二人ともバリバリなプログレッシヴ・ロックの住人だったが、その8年後、こんなに素敵なクロスオーバー&フュージョン志向の「ピアノとドラムのデュオ演奏」を残すのだから、ジャズとロックの境界が曖昧な英国の音楽シーンは隅に置けない、とつくづく思う。
 
 

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