エアーズのサイケ・ジャズの秀作
アトランティック・レコードは「ブラック・ミュージック」というレーベル・カラーの印象が強いが、意外と実験的ジャズ、ジャズロック、フリー・ジャズなど、時代のトレンドの最先端をしっかりと捉えた、いわゆる「尖った」ジャズの秀作を多数、世に送り出している。今回のピックアップ盤は「サイケデリック・ジャズ」。
Roy Ayers『Stoned Soul Picnic』(写真左)。1968年6月29日の録音。アトランティック・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Roy Ayers (vib), Charles Tolliver (tp, flh), Hubert Laws (fl, piccolo), Gary Bartz (as), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b, tracks 1 & 2), Miroslav Vitouš (b, tracks 3–6), Grady Tate (ds)。ちなみにプロデキュースは、ジャズ・フルートの達人、ハービー・マン。
ロイ・エアーズは、米国のジャズ・ヴァイブ奏者。自身のバンド、ユビキティと共にジャズとファンクを融合させた音楽ジャズ・ファンクを生み出す。その洗練された独自性はアシッドジャズやレア・グルーヴ、ヒップホップに関わる人々に再評価され、多くのラッパーの楽曲にサンプリングされている(Wikipediaより)。
アルバムの音世界は、当時の「ニュー・ジャズ」の範疇の「サイケディック・ジャズ」。ジャケットからして、当時の全米の精神的流行だった「サマー・オブ・ラヴ」を思いっ切り反映している「サイケなデザイン」。サイケデリック・ロックの影響を受け、実験的で厭世感漂う、夢幻的でトリッピーな雰囲気、そして、アルバム全体を覆う、退廃的なファンクネス。幻想的な妖術的なリズム&ビートが、そんな「サイケ」な雰囲気を増幅する。
そんなサウンドスケープの中を、エアーズの幽玄な響きの拡がりが印象的なヴァイブが浮遊するように流れていく。ヴァイブの硬質な音が、その浮遊するフレーズの輪郭をクッキリと浮かび上がらせる。サイケでクリスタルなエアーズのヴァイブの音。サイケなフレーズを連発するが、フレーズそのものはどこかモーダルで、しっかりジャズに根を下ろしている。このエアーズのヴァイブこそが、この盤をサイケデリック・ジャズの名盤の1枚としている。
しっかりとジャズに根を張った「サイケデリック・ジャズ」の秀作。音楽として、ジャズとして破綻しているような、無手勝流の「サイケデリック・ジャズ」もあるが、このエアーズの「サイケデリック・ジャズ」は、ジャズの範疇として安心して聴くことが出来る。「サイケデリック・ジャズ」入門として恰好の1枚である。
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