バートン&カーラのコラボ ”葬送”
とかく、ジャズロックやクロスオーバー・ジャズやニュー・ジャズに走りがちだったゲイリー・バートンが、腰を据えて、カーラの楽曲とアレンジに向き合った、硬派で純ジャズなゲイリー・バートンのヴァイブの飛翔が聴ける、壮大な組曲仕立てのコンセプト・アルバムである。
Gary Burton 『A Genuine Tong Funeral』(写真左)。邦題『葬送』。1967年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Michael Mantler (tp), Jimmy Knepper (tb, b-tb), Howard Johnson (tuba, bs), Steve Lacy (ss), Gato Barbieri (ts), Carla Bley (p, org, cond), Larry Coryell (g), Steve Swallow (b), Bob Moses (ds)。
ゲイリー・バートンが、作編曲家&ピアニストの「鬼才」カーラ・ブレイと組んだ壮大なコンセプト・アルバム。死と葬送をテーマに、副題が「言葉なきダーク・オペラ」とあるように、この時代の米国の重い空気感が漂う。カーラ・ブレイの作品を完全フィーチャーしたアルバムで、収録曲は全て、カーラ・ブレイ作。
カーラ・ブレイのコメントを引用させて頂く。「この作品は、死に向かうエモーションの上に築かれたドラマチックな音楽であり、この死という大きな喪失に対する、もっとも不敬なるものから生まれた作品である。そして舞台の上で、光と衣装を伴って演じられるように意図されたもの」とのこと。
何を言わんとしているのか、良く判らぬが、とにかく「死と葬送をテーマにした」コンセプト・アルバムだということである。
演奏的には、ゲイリー・バートンのカルテットにカーラのバンド仲間6人が加わっているパーソネルで、音的には、トランペット、チューバ、バリトン・サックス、テナー・サックス、ソプラノ・サックス、といった管楽器のユニゾン&ユニゾンに、カーラ固有のユニークな音の重ね方を施し、独特の雰囲気を醸し出している。
それに乗って、あるいは、その管楽器隊の音の「合間」を、バートンのヴァイブが、モーダルに疾走する。バートンとカーラならではの、ジャズの即興バリエーションの拡張とマンネリの回避。そんなバートン&カーラならではのモダン・ジャズの深化がこのコンセプト・アルバムに記録されている。
現代音楽やクラシックの要素をジャズに融合したようなところも、現代音楽やクラシックの要素の選択が、バートン&カーラはユニークで、他のジャズ・ミュージシャンが選択する現代音楽やクラシックの要素とは、明らかに切り口が違う。
コリエルのギターも、怪しげでおどろおどろしい雰囲気を加味して、カーラ独特の雰囲気に拍車をかける。ガトー・バルビエリのフリーキーなテナーが、演奏全体に漂う重い空気感に、不安定な要素を散りばめる。コリエルのギターとバルビエリのテナーは、このコンセプト・アルバム演奏の「要」のひとつである。
フリーに傾くようで傾かない。モードっぽいのだが、従来のモード奏法とは違った決め事で、アドリブ・フレーズの自由度を広げている様だ。管楽器隊のブラスの響きが、様々な形で、様々な響きで提示される。これも、アドリブ・フレーズの自由度を限りなく広げていく、大きな要素になっている。
これもジャズ。内容的には、賛否両論になるだろうが、これもジャズである。僕はこのコンセプト・アルバムの演奏そのものを高く評価している。新しいジャズとしての「即興演奏」の可能性を広げていると聴いた。好盤である。
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