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2025年7月 5日 (土曜日)

音は悪いが、好盤の『Nirvana』

以前、このアルバムは、エヴァンス・トリオについては、ベースがラファロからイスラエルズに代わって、バンドのグレードが一段落ちたとか、ラファロを失って、エヴァンスのピアノは暗くて不調だとか、評論家筋からとかく評判が悪く、確かにちょっと暗めのジャケットと相まって、ジャズを本格的に聴き始めた、ジャズ者初心者の頃は触手が伸びなかった。

Herbie Mann and The Bill Evans Trio『Nirvana』(写真左)。1961年12月8日、1962年5月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Herbie Mann (fl), Chuck Israels (b), Paul Motian (ds)。ビル・エヴァンスが、ベースのスコット・ラファロを事故で失った後、チャック・イスラエルズを迎えて結成したトリオの旗揚げ盤。フロントにファンキー・フルートの名手、ハービー・マンが参加している。

が、それから10年ほど経って、思い切って聴いてみたら、なんとなかなかの内容の良さで、以前の悪評は何だったんだ、と咄嗟に思った。恐らく、冒頭の2曲、「Nirvana」「Gymnopedie」が、エヴァンス・トリオとして、耽美的/印象派的志向な演奏の側に目一杯に振れた演奏で、この静的で墨絵の様な音の淡い広がりがメインのスローな演奏が、「暗い、不調」と曲解されたのだろう。
 

Herbie-mann-and-the-bill-evans-trionirva

 
逆に、ファンキー&ソウルフルなフルートのハービー・マンが、耽美的/印象派的志向なフルートにチャレンジした好演奏として、高く評価して良いパフォーマンス。バックのエヴァンス・トリオの演奏は淀みが無く、ハービー・マンのフルートを好サポートで支えている。特に、イスラエルズのベースが、ソリッドで歯切れの良いフレーズで印象的。全編に渡って、イスラエルズのベースは、ラファロのベースと比べて遜色無い、と僕は見ている。

3曲目「I Love You」から「Willow Weep for Me」「Lover Man」のスタンダード曲、そして、ラストのマン作の「Cashmere」については、エヴァンス・トリオは、メリハリ、ビートが効いたバップな演奏で、フロントのファンキー&ソウルフルナなハービー・マンのフルートを盛り立てている。

ピアノの音が割れていたり、ドラムの音の切れ味が不足していたり、と録音に何かと問題のある盤ではあるが、それはオーディオ的に評価すると「減点ポイント」ではあるが、バンド演奏のパフォーマンスを聴き取るという点ではあまり問題にはならない。この盤は、耽美的/印象派志向のフルートと、バップなフルートを吹きまくるハービー・マンと、イスラエルズを迎えた、新しいエヴァンス・トリオの「伴奏上手」を聴く盤だろう。オーディオ的な評価には目を瞑りたい。良いアルバムです。
 
 

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