ジャズ喫茶で流したい・289
生前、ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンは自らを「An Adagio Guy」と呼んでいたそうだ。「Adagio」=ゆっくりと歩く速さ」だから、バラード曲の様な、ゆっくりと歩く速さでのデュオ演奏が好みだったと思われる。
そういう観点から、このライヴ・アルバムは、そんな「An Adagio Guy」が八面六臂の大活躍を見せる、秀逸なベースとピアノのデュオ・パーマンスの記録である。
Charlie Haden & Gonzalo Rubalcaba『Tokyo Adagio』(写真左)。2005年3月16–19日、「ブルーノート東京」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Haden (b), Gonzalo Rubalcaba (p)。ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンと、彼が見出したキューバ出身の天才ピアニスト、ゴンザロ・ルバルカバのデュオ・アルバム。
ヘイデンは2014年7月、惜しくも鬼籍に入ってしまったが、「ベースの哲人」として、リーダー作は数知れず、他のセッションにも多々参加して、しっかりと成果を残している。そんな成果の中で、意外と取りあげられていないのが、彼は「デュオ・セッション」の名手である、ということ。
この『Tokyo Adagio』は、そんな「アダージョ」なテンポの耽美的でリリカルな演奏をメインに置いて、先陣を切って、ルバルカバが、どっぷり耽美的なリリカルな、情感溢れるバップ・ピアノを「アダージョ」に弾き進める。
そして、そんなピアノに、ヘイデンの重厚でソリッドで哲学的なベースがそっと寄り添う。ヘイデンのベースが効果的に寄り添うことで、更に、ルバルカバの耽美的でリリカルなピアノが映えに映える。これぞ「ヘイデン・マジック」。
ヘイデンのベースは、決して自らが走り出すことはない。いつでもどこでも、ルバルカバの耽美でリリカルで情感溢れるピアノに寄り添うように、ベースラインを「アダージョ」に弾き進める。
そして、ヘイデンのソロが前面に出ると、ルバルカバは効果的なバッキングに徹し、ヘイデンは、思索的で哲学的、静的で耽美的でリリカルなベース・ソロを披露する。これが「堪らない」。語りかける様な、悟りを開くような、祈りにも似たヘイデンのベース。そして、ヘイデンのベース独特のグルーヴ。
テクニック優秀で、バリバリの弾きまくりが個性のルバルカバのバップ・ピアノであるが、このデュオ盤では、ヘイデンの好みに従って、耽美的でリリカルで「アダージョ」に弾き進める。「アダージョ」で情感豊かに。緩急抑揚を付けながらの展開することの難しさ。
ルバルカバの優れたピアノと、ベースの哲人、ヘイデンのアコースティック・ベースが、そんな「難しさ」をいとも容易くクリアしている。「アダージョ」演奏の難しさを軽々とクリアした、極上のベースとピアノのデュオ・パフォーマンス。
ジャケットも秀逸。収録されたデュオ・パフォーマンスも秀逸。ゴンサロの紡ぎ出す、耽美的でリリカルなバップ・ピアノと、ヘイデンが紡ぎ出す、思索的哲学的な、耽美的でリリカルなソリッドなベース。双方が東京で再会し,極上のデュオ演奏を繰り広げる。ルバルカバとヘイデンの「歌心とグルーヴ」の新鮮さと確かさを体感して下さい。
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