セルジオ・メンデスの好きなもの
アトランティック・レコードは、1947年にアーメット・アーティガンとハーブ・エイブラムソンによって設立された音楽レーベル。レーベル設立当初は、R&Bやジャズのレーベルとして名を上げ、ソウルやロックなど、所属アーティストの音楽ジャンルの幅を拡大、1967年には現ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの傘下に入っている。
「アトランティックはブラック・ミュージック」というレーベル・カラーの印象は強く、ミュージシャンの多彩さ及びジャズ・ジャンルの幅広さは、ジャズ・レーベルの中でも白眉。ジャズ・ヴォーカルから、オーネットに代表されるフリー系、レニー・トリスターノなどの実験的ジャズ、ロイドやマーカスなどのジャズ・ロック、そしてソウル・ジャズにも造詣が深い。そんなアトランティック・レコードの好盤をピックアップして、今回の記事化である。
Sérgio Mendes『Sérgio Mendes' Favorite Things』(写真左)。1968年の作品。ちなみにパーソネルは、Sergio Mendes (ac-p, el-p, harpsichord), Tom Scott (fl, ss, piccolo), John Pisano (g), Dave Grusin (org), Joe Mondragon (b), Larry Nechtel (b), Dom Um Romao (ds), Joao Donato (per), Moacir Santos (per) , Dave Grusin (arr, cond)。メンデスが純粋なボサノバから離れ、アメリカのポピュラー音楽を取り入れた最初の試みを捉えた盤。

タイトルを直訳すると「セルジオ・メンデスの好きなもの」。メンデスの好きな曲をカバーしてます、ということと、コルトレーンがカバーしたことで有名な「マイ・フェイバリット・シングス」をシャレでかけている感じ。まず、冒頭に収録されている「My Favorite Things」を聴いて欲しい。
こってこてラテン・ジャズにアレンジされた、怪しげでダンサフルな「My Favorite Things」。思わず、声を上げて笑ってしまう。出来が悪いのではない。ここまで、徹底的にラテンにアレンジされた「My Favorite Things」は爽快ですらある。メンデスのラテンなピアノで奏でられる「My Favorite Things」のテーマ。ラテンなアレンジが素晴らしい。これはこれで「アリ」やな、と思わずほくそ笑む。
他の曲を見渡すと、バカラックの名曲カバー「I Say A Little Prayer」も、しっかりラテンしていて小気味良い。バーデン・パウエル作「Tempo Feliz(Happy Times)」は高揚感溢れるコーラスが心地良い。ソウルフル・フルートの代表格、ハービー・マンのライブアルバム『Herbie Mann at the Village Gate』にも収録された「Comin Home Baby」などは、ラウンジ・ミュージック一歩手前、小粋なアレンジが見事なソウル・ジャズ風の演奏にグッとくる。
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