セシル・テイラーのBNでの傑作
レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直している。今日は、ピアノのフリー演奏の怪人、セシル・テイラーの傑作の一枚。
Cecil Taylor『Conquistador!』(写真左)。1966年10月6日の録音。1968年3月のリリース。ブルーノートの4260番。ちなみにパーソネルは、Cecil Taylor (p), Bill Dixon (tp), Jimmy Lyons (as), Henry Grimes, Alan Silva (b), Andrew Cyrille (ds)。ピアノのフリー演奏の怪人、セシル・テイラーがブルーノートに残した2枚のアルバムの中の一枚。
セシル・テイラーの傑作の一枚。さすがブルーノートでの録音で、リハーサルをしっかり積んで、演奏のレベルは高く、拠れたところや迷ったところは皆無。セシル・テイラーのフリー・ジャズは、ピアノが主役のフリー・ジャズ。これってありそうで無い類のもので、管楽器、たとえば、サックスが主役のフリー・ジャズは沢山有るが、ピアノが主役のフリー・ジャズは、あまり無い。
ピアノは、サックスの様にフリーキーな音、アブストラクトな音が出しにくい。ピアノは、不協和音を奏でることはできるが、完全無手勝流の自由な弾き回しについては、サックスの様に音色に極端な抑揚つけたり、馬の嘶きの様な吹上げが出来ない。つまり、ピアノにはピアノなりの「フリー&アブストラクトな」演奏方法があるということで、その演奏方式の1つを提示しているのが、このセシル・テイラーのアルバムである。
ピアノは鍵盤があるので、どうしても音が定型化されてしまう。つまり「ド」の鍵盤を叩くと、あくまで出てくる音は「ド」だということ。サックスの様に吹き方を変えるだけで出せるアブストラクトな音が、ピアノでは出せない。しかし、そこはセシル・テイラー、ピアノを使って、弾き回しの「自由」と、音の重ね方の「自由」に、ピアノとしてのフリーな展開を求めている。
そして、サックスの様に吹き方を変えるだけで出せるアブストラクトな音をトランペットに求めている。もともと、トラペットは、楽器の吹き方の特性上、長時間のフリー&アブストラクトな音展開に弱い。但し、瞬間芸的なフリー&アブストラクトな音展開は、トランペットという楽器ならではのアブストラクトな音が出せる。これを、このアルバムでは、フリー&アブストラクトなピアノの展開に、効果的なアクセントを付けている。
このピアノ独特のフリー&アブストラクトな音の展開は、他の楽器のフリー&アブストラクトな音の展開に比べて、理路整然としていて、完全に感情の赴くままのフリー・ジャズな展開とは一線を画するものだと感じる。限りなくフリーに近いモーダルな展開に音の雰囲気は近いが、このセシル・テイラーのピアノのフレーズ展開は、全くモード奏法に則っていない。
この辺りが、ピアノにはピアノなりの「フリー&アブストラクトな」演奏方法があるということで、その演奏方式の1つを提示しているのが、このセシル・テイラーのアルバム、と言われる所以。ピアノが主役のフリー・ジャズは、このセシル・テイラーというピアノのフリー演奏の怪人を中心に、バリエーション展開していく。ピアノが主役のフリー・ジャズとしての名盤。
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