ホレス・シルヴァーの傑作の1枚『The Cape Verdean Blues』
ブルーノートの4200番台。ハードバップを基本として、聴き手のニーズに合わせた「ジャズ多様化」の時代は去り、1964年2月にビートルズが米国に上陸して以降、ロックやポップスが聴き手の心を掴む反面、その反動で、聴き手の「ジャズ離れ」が始まりだした時代に、4200番台は録音され、リリースされている。
1965年から1969年までのリリースになる。しばらくは、当ブログで記事にしていないアルバムの「落ち穂拾い」である。
Horace Silver『The Cape Verdean Blues』(写真左)。1965年10月1, 22日の録音。ブルーノートの4220番。
ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts), J. J. Johnson (tb, tracks 4–6), Bob Cranshaw (b), Roger Humphries (ds)。10月22日のセッションでは、ジャズ・トロンボーンのレジェンド、J.J.ジョンソンがセッション参加している。
ワールド・ミュージック風のエキゾチックなメロディーをファンキー・ジャズにアレンジするのが得意なホレス・シルヴァー。僕はこのシルヴァーの「エキゾチックなメロディー」が大好きで、ジャズを本格的に聴き始めて頃以来、長年ずっと、お気に入りのピアニストの1人である。
前作『Song for My Father』同様、カーボベルデ生まれのシルヴァーの父、ジョン・タバレス・シルバにインスピレーションを得た、自身のルーツに立ち返った音世界を展開した企画盤的内容。
例えば、冒頭のタイトル曲「The Cape Verdean Blues(ヴェルデ岬のブルース)」。シルヴァーの父君の出身地、カーボヴェルデ共和国に伝わる「ポルトガル民謡」をサウンドスケープをベースに、ブラジルのサンバと米国のブルースを掛け合わせたアレンジで整えられた、躍動感溢れる楽曲。異国情緒溢れる秀曲。
次の2曲目「The African Queen」は、アフリカ民謡からヒントを得て作曲された1曲とのこと。この曲では、若かりし頃のウディ・ショウのトランペットが印象的。ファンキーでブリリアントで骨太なブロウで、既にこの時点でショウのオリジナリティは確立されている。ファンキーな独特なモード・フレーズで応戦するジョーヘンも良い音を出している。
LP時代のB面、CDで4曲目から3曲は、ジャズ・トロンボーンのレジェンド、J.J.ジョンソンがセッション参加して、フロントが3管に増強されている。しかし、ビ・バップ時代からのトロンボーンのヴァーチュオーゾ、J.J.ジョンソンが、シルヴァー独特のファンキーでモーダルなフレーズを、いとも容易く演奏するとは思ってもみなかった。最初は誰か、さっぱり判らず、ライナーノーツをみて、J.J.ジョンソンの名前を見つけて驚いた次第。
4曲目の「Nutville」から、3管フロントの威力、重厚なユニゾン&ハーモニーが炸裂。アンサンブルも見事、シルヴァーのピアノが旋律楽器で参入すると、まるで「4管フロント」様に、更に重厚なユニゾン&ハーモニーが響き渡る。
クランショウのベース、ハンフリーズのドラムのリズム&ビートは、シルヴァーの考えるファンキーなモード・ジャズを鼓舞し、引き立てる。ファンキー仕立てのモーダルなフレーズ。そして、そこにワールド・ミュージック風のエキゾチックなメロディーが乗っかって、モード・ジャズの代表的展開の1つを聴かせてくれる。
この『The Cape Verdean Blues』、音楽的な個性と密度という点で、シルヴァーのアルバムの中で屈指の出来だと評価しています。良いアルバムです。
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