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2025年6月25日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・139

アーゴ&カデット・レーベルは、ブルーノートやプレスティッジといったジャズ専門レーベルに比べ、かなりソウル色が強い。親レーベルのチェス・レコードが「リズム・アンド・ブルース主力」であったことが理由だろう。

ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、など、ちょっと癖の強い、他のレーベルにないファンキー&ソウルフル濃厚な盤が多くリリースされている。そんなアーゴ&カデット・レーベルの好盤をピックアップして聴き直してきたが、いよいよあと3枚になった。

Richard Evans『Richard's Almanac』(写真左)。1959年7月、シカゴの「Ter-Mar Recording Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Richard Evans (b), Jack Wilson (p). Robert Barry (ds)。シカゴに留まり、リーダー作を、たった1枚だけ残して去っていったベーシスト「リチャード・エバンス」のトリオ作。

これは珍しいアルバムである。まず、「リチャード・エバンス」というベーシストに馴染みがない。それもそのはず、シカゴで活躍していたが、生涯、NYに出ることなく、シカゴに留まったベーシストらしく、そういう理由で「リチャード・エバンス」というベーシストは、マイナーな存在なんだろう。

で、なぜ、このピアノ・トリオ盤をピックアップしたかというと、ピアノが、ジャック・ウィルソンだからである。
 

Richard-evansrichards-almanac

 
黒っぽくジャジーでもない、かといって、ファンキーコテコテでも無い。その両者の要素を演奏の底にそこはかとなく漂わせながら、表面上は、ポップで シンプルな、聴き易く、それでいて、全体を覆う雰囲気は紛れもない純ジャズという、そんなジャック・ウイルソン独特のピアノを楽しむことができるからである。

アルバム全体の音作りは、アーゴ&カデット・レーベルの音志向である、ちょっと癖の強い、ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、いわゆる「強めのファンキー&ソウルフルな音志向」に則った内容に、思わず聴き入ってしまう。

音の作りは、ドライな音がメイン。ファンクネス濃厚なウエット感は全く無く、カラッと乾いたファンキー・タッチが心地良い。そして、音数が少ない。そして、淡々としている。淡々と程よく肩の力を抜いた、素朴感濃厚な、シンプルで硬質なバップ・タッチがとてもソウルフル。

リチャード・エバンスのベースは「堅実」。ちょっと長めのソロ・パートもあるが、可もなく不可もなく、なソロ。ただし、フロントに回ったピアノを支えるベースは「堅実」。これといった個性や特徴は希薄だが、トリオ演奏の底を支えるベースとしては、堅実にして良好。安心して聴き進めることの出来るベースであることは、ここに強調しておきたい。

リチャード・エバンスが、たった一枚だけ残したリーダー作であるが、ジャック・ウィルソンのピアノをメインとしたトリオ盤として捉えれば、このリチャード・エバンスのリーダー作、ピアノ・トリオの隠れ好盤、としても良い内容である。しかも、アーゴ&カデット・レーベルの音志向に沿った、ファンキー&ソウルフルなトリオ演奏は、なかなかに味わい深い。好盤です。
 
 

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