ジャズ喫茶で流したい・288
名アレンジャー、クラウス・オガーマンが全面参加。エレガントにセンス良く鳴るオガーマンの指揮するストリングスをバックに、ウェス・モンゴメリーが、オクターブ奏法をアクセントに、ギターを弾きまくる。ウエスの硬派なイージーリスニング・ジャズのシリーズの1枚。
Wes Montgomery『Tequila』(写真左)。1966年3月17–21日の録音。ヴァーヴ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto (conga), George Devens (vib), バックにストリングス・オーケストラが入る。プロデューサーは、フュージョンの仕掛け人、クリード・テイラー。
オガーマンのアレンジするストリングスは控えめで奥ゆかしい。バックでひっそりとフロント楽器をしっかりと前面に浮き出させ、演奏全体の雰囲気をエレガントに染め上げる。そんな趣味の良いストリングスをバックに、ウエスがギターを弾きまくる。あくまで、ウエスのギターを前面に押し出し、ウエスのギターだけを愛でる、そんなプロデュース方針が見え隠れする。
ウエスは効果的に、必殺「オクターブ奏法」を駆使する。特に、楽曲のテーマのフレーズをくっきり浮き立たせる様に、オクターブ奏法を活用する様は、まさに言い得て妙。イージーリスニング志向のジャズの「要」となる様な、ウエスのオクターブ奏法。
これを上手く活用しているのが、このアルバムを聴いていて良く判る。オクターブ奏法を全編に渡って、ガンガンに弾きまくるのでは無く、効果的にオクターブ奏法を適用する。これが小粋でお洒落。
例えば、冒頭の「Tequila」、ラテン調のポップな楽曲のカヴァーなのだが、下手なアレンジの下で、趣味の悪いギターのパフォーマンスであれば、俗っぽく嫌らしく響くのであるが、この盤ではそうはならない。
オガーマンのストリングスが洒落ていて、ウエスのギターがダイナミック。「Tequilaという、ラテン調のポップな楽曲が、しっかりとしたコンテンポラリーなジャズに仕上がっていて、硬派なイージーリスニング志向のモダン・ジャズ然としているところが素晴らしい。
この盤は、オガーマンのアレンジとウエスのギターの個性とがばっちり相性が合って、アーバンでミッドナイトなムードが芳しい、極上のイージーリスニング・ジャズに仕上がっている。8曲目、アルバム・ラストのジョー・ザビヌル作「Midnight Mood」の演奏など、極上の最高のイージーリスニング・ジャズである。
とにかく、ウエスのギターの速弾き、オクターブ奏法、カッティングなど、ウエスのギター・テクのどれをとっても素晴らしいところがこの盤のウリ。そして、それを引き出しているのが、オガーマンのアレンジとクリード・テイラーのプロデュース。
意外と地味で、ジャズ盤紹介本などに上がることのないアルバムですが、内容はピカイチ。メインストリームなジャズとして、十分認知できる、硬派なイージーリスニング・ジャズ盤の傑作です。
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