チェリーの考えるフリー・ジャズ『Complete Communion』
レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直している。
今日も前回に引き続き、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズのアルバムである。
Don Cherry『Complete Communion』(写真左)。1965年12月の録音。ブルーノートの4226番。ちなみにパーソネルは、Don Cherry (tp), Gato Barbieri (ts), Henry Grimes (b), Ed Blackwell (ds)。
チェリーのトランペット、バルビエリのテナーがフロント2管のピアノレス・カルテット編成。テナー奏者のガトー・ガルビエリの参加が目を引く。ドン・チェリーが名門ブルーノートに残した3枚のリーダー・アルバムの1作目。
1960年代前半、ソニー・ロリンズ、アーチー・シェップ、ジョージ・ラッセル、アルバート・アイラーなど、オーネット・コールマンのフリー・ジャズに関心はあるが、オーネットとの直接の共演は避けたい(母屋を乗っ取られかねない)。
それでは、と、オーネットのフリー・ジャズの最高の相棒との共演を、という人たちから一斉にオファーを受けて、数々の共演盤を作成した。
そんな嵐の様な共演期間を経て、1960年代半ば、ドン・チェリーは自らのジャズを追求し始める。その最初の成果がこの『Complete Communion』。この盤には「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」のエッセンスがグッと恐縮されて収録されている。
一言で言うと「限りなくフリーなハードバップ」。演奏全体の響きは「ハードバップ・ライクでシンフォニック」。厳密に言うと、この「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」は、いわゆる、純粋なフリー・ジャズでは無い。
あくまで「ハードバップ」な規律を踏襲し、ハードバップなフレーズ展開がベースになった「限りなく自由度の高い」ハードバップ。この「限りなく自由度の高い」部分に重点を置いた「チェリーの考えるフリー・ジャズ」。
そんな「ハードバップ」な規律をベースに、ドン・チェリーのコルネットが、オーネット・コールマンのトーンを踏襲しつつ、ドン・チェリー独特の吹き回しとトーンで、限りなく自由度の高い、と言って、モードでは決してない、チェリー独特のアドリブ・フレーズを吹き上げる。
このオーネットのトーンを踏襲してはいるのにも関わらず、チェリー独特の吹き回しとトーンを実現しているのは、おそらく、チェリーが手にする楽器が、コルネットだからだ、と思う。
コルネット(トランペット)の運指、トーンを前提とした吹き回しが、チェリー独特の吹き回しとトーンになるのだと思う。オーネット・コールマンの楽器はアルト・サックス。コルネット(トランペット)とアルト・サックスとの楽器の違いが、チェリー独特の吹き回しとトーンを生み出している。
リズム&ビートは、フリーに近いが、しっかりとした規律をベースにビートを叩き出し、独特のフリーなグルーヴを獲得している。「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」のリズム&ビートを担うのは、グライムズのベースと、ブラックウェルのドラム。
ドン・チェリーが名門ブルーノートに残した3枚のリーダー・アルバムの1作目には「ドン・チェリーの考えるフリー・ジャズ」がぎっしり詰まっている。「限りなくフリーなハードバップ」。
「ハードバップ」な規律を踏襲しつつ、アドリブ・フレーズは、限りなく限りなく自由度の高い、チェリー独特のアドリブ・フレーズ。ドン・チェリー入門盤としても良好なアルバム。面白く興味深い内容。好盤である。
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