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2025年6月10日 (火曜日)

「ネオ・ハードバップ」の先駆け

マンハッタン・ジャズ・クインテット(Manhattan Jazz Quintet. 以降「MJQ」と略す)は、日本のジャズ雑誌『スイングジャーナル』とキングレコードの発案によるプロジェクトで、ピアニスト&アレンジャーのデヴィッド・マシューズを中心に結成されたジャズ・バンド・1984年デビュー。

MJQは、マシューズの優れたアレンジと、バンドのメンバーの優れた演奏技術により、1980年代半ばからの「純ジャズ復古」に呼応した、後のネオ・ハードバップの先駆けとなる、当時として、新しいハードバップ志向のパフォーマンスを展開した。

Manhattan Jazz Quintet『The Sidewinder』(写真左)。1986年10月9. 10日、NYでの録音。1987年のリリース。ちなみにパーソネルは、David Matthews (p, arr), Lew Soloff (tp), George Young (sax), Eddie Gomez (b), Steve Gadd (ds)。ルー・ソロフのトランペットと、ジョージ・ヤングのサックスがフロント2管のクインテット編成。アレンジを一手にデヴィッド・マシューズが引き受けている。

MJQの通算5枚目のアルバム。オリジナル・メンバーより、ベースがエディ・ゴメスに代わってはいるが、演奏内容としては、いかにもMJQらしい、端正でダイナミックな、鉄壁のパフォーマンスである。ハードバップ志向のパフォーマンスかくあるべし、という感じの堂々たる演奏で、緩むところも破綻をきたすところも皆無。極上の「ネオ・ハードバップ」の先駆け的演奏が繰り広げられている。
 

Manhattan-jazz-quintetthe-sidewinder

 
全6曲中、有名スタンダード曲が4曲、マシューズのオリジナル曲が2曲と、有名スタンダード曲がメインの収録だが、この有名スタンダード曲のアレンジが絶品なのと、その優れたアレンジに対するリズム隊の、ゴメスのベース、ガッドのドラムの、スピード感溢れる解釈が素晴らしい。まず、このゴメスのベース、ガッドのドラムのパフォーマンスこそが、MJQサウンドの推進役であることが良く判る。ハードバップなリズム&ビートが実に「新しい」。

マシューズのシンプルで間を活かしたピアノも極上の響き。フロント2管のフレーズの「間」を効果的に埋めつつ、シンプルなモーダルなフレーズで、フロント2管のアドリブ・イマージネーションを刺激する。このマシューズのピアノの存在も、MJQサウンドの推進役であることが良く判る。

そんなリズム・セクションのバッキングを得て、ソロフのトランペットと、ヤングのサックスのフロント2管が、悠然と自由にハードバップでモーダルなフレーズを吹きまくる。このフロント2管のフレーズは、それまでのハードバップには無い、新しい響きを忍ばせた、後の「ネオ・ハードバップ」に通じる、新鮮なパフォーマンス。

流麗すぎる、華麗すぎる、破綻が無い、作られた感が強いなど、まったくお門違いの評価がまかり通るMJQだが、ちゃんと聴いてみると、現代の「ネオ・ハードバップ」に直結する、優れた演奏力、優れたアレンジ、優れたイマージネーションを基とする、温故知新を地で行く、新しい響きの優れたハードバップであることが良く判る。この『The Sidewinder』は、その好例の1枚である。
 
 

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