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2025年6月13日 (金曜日)

ヒルの考える ”アバンギャルド”『Compulsion!!!!!』

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。と、ベスト100の中で、10枚ほどが、当ブログで扱ったことが無いアルバムとして残っているが、全部、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズのアルバムだけが残った。

Andrew Hill『Compulsion!!!!!』(写真左)。1965年10月8日の録音。ブルーノートの4217番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Freddie Hubbard (tp, flh), John Gilmore (ts, b-cl), Cecil McBee (b), Joe Chambers (ds), Renaud Simmons (conga, perc), Nadi Qamar (perc, African drums, thumb piano), Richard Davis (b, track 3)。基本、セプテット編成。

リーダーのアンドリュー・ヒルは、モンクの如く幾何学的にスイングするモーダルなピアニスト。「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」という個性をしっかり表現している。基本はモーダルなピアノ。時々、アブストラクトにブレイクダウンする。

そんなヒルが、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズにチャレンジする。パーソネルを見渡すと、バンド・サウンドを形成するメンバーは、皆、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを得意とする面子がズラリ。テナーのジョン・ギルモアとか、ベースのセシル・マクビーとか、そして、アフリカンなパーカッションが二人、入っている。
 

Andrew-hillcompulsion

 
演奏全体の雰囲気は「オーネット・コールマン」のフォロワー的アバンギャルド・ジャズ。オーネットのアバンギャルド・ジャズな必要最低限の決め事に則り、ヒル独特の理路整然としたアバンギャルド・ジャズが繰り広げられる。アバンギャルド・ジャズ、時々フリー・ジャズ、時々スピリチュアル・ジャズ、といった展開。よくリハーサルされたであろうことが良く判る、整然とした、規律溢れる、オーネット志向のアバンギャルド・ジャズ。

しかし、オーネットのアバンギャルド・ジャズの物真似では決して無い。しっかりとヒルの個性を反映して、ヒル独特のアバンギャルド・ジャズに昇華させている。ヒルの「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」の個性を、このアバンギャルド・ジャズにしっかり反映させている。

演奏全体の雰囲気は「オーネット志向」、そのサウンド、その音世界は、ヒル独自の「判り易い平易で明るい、幾何学的にスイングし音飛びする」展開。アバンギャルド・ジャズでありながら、難解な展開は極力回避しつつ、アフリカンなグルーヴを醸し出しつつ、モーダルなフレーズをメインとした、限りなく自由度の高い、理路整然としたアバンギャルド・ジャズが展開される。これがこの盤の「キモ」だと僕は感じている。

フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを苦手とする向きにも、十分に訴求する「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」。限りなく自由度の高いモード・ジャズを聴き通せるスタミナのある「ジャズ耳」の持ち主であれば、この「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」は聴き通せると思う。そして「オーネット志向」の音の響きをしっかりと味わえると思う。
 
 

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