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2025年6月の記事

2025年6月30日 (月曜日)

マリーナの記念すべき1st.盤です

ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、など、ちょっと癖の強い、他のレーベルにないファンキー&ソウルフル濃厚な盤が多くリリースされている。そんなアーゴ&カデット・レーベルの好盤をピックアップして聴き直してきたが、いよいよあと2枚になった。

Marlena Shaw『Out of Different Bags』(写真左)。1967年10月、シカゴの「Ter Mar Studios」での録音。アーゴ&カデット・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Marlena Shaw (vo), Richard Evans (arr)。バックの伴奏隊のパーソネルについては、資料が無い為、割愛する(オリジナルLPのライナーノーツにもパーソネルの記述が無い)。

マリーナ・ショウの記念すべきファースト・アルバム。リチャード・エヴァンスがプロデュースとアレンジを担当。レア・グルーヴ感は控えめの純ジャズ志向のジャズ・ボーカル盤。純ジャズ志向とは言うが、録音年は1967年。ジャズの多様化も進み、ビートルズの米国上陸とともに、ジャズの「ポップス音楽」としての人気に翳りが見え始めた頃。このアルバムの音世界は、どちらかといえば、ソウル・ジャズ。
 

Marlena-shawout-of-different-bags

 
この年の8月には名門カウント・ベイシー・オケのシンガーに抜擢され、文字通り、ノリにノッていた時期のファースト・アルバムの制作だったらしい。バックの伴奏もなかなか堂にいっていて、ビッグ・バンドに加え、混声コーラス、ストリングス、オルガン、ヴィブラフォン、アコースティック・ベース、と充実のバッキング。アレンジはあくまで「R&B」志向。

それでも、リズム&ビートは、意外とスッキリしたジャズ志向の強いもので、この辺りが、このマリーナ・ショウの記念すべきファースト・アルバムを「ジャズ」のジャンルに留めている所以だろう。ブルースあり、R&Bあり、4ビートのバラードありで、特定のジャンルに収まらない、ソウル・ジャズではあるが、音世界としては、後のフュージョン・ジャズの「音のジャンルの融合」を先取りしている先取的なもの。

マリーナ・ショウの訴求力のあるヴォーカル。とにかく、ジャズもジャズロックもR&Bもバラードも、この時点でもう既に抜群に巧い。アルバム全体も、ソウル・ジャズとは言え、雰囲気は「R&B」スバリそのもの。「R&B」のボーカルのバックにジャズのバックを持ってきた感じの、R&Bとソウル・ジャズのハイブリッドな音世界は、今の耳で聴くと、意外とすんなり耳に入ってくる。ジャズ・ボーカルの好盤の一枚としたい。
 
 

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2025年6月29日 (日曜日)

フュージョン名盤の一枚かと...

モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している、今月発売のレココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」。そこに「ロベン・フォード」の名前がある。懐かしい、と思って、まだ、当ブログで記事化していない、彼の初リーダー作をしっかりと聴き直す。

Robben Ford『The Inside Story』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、Robben Ford (g, vo; el-p), Alan Rubin (tp), Tom Malone (tb, bs), Lou Marini *as, ts), Russell Ferrante, Steve Perry a.k.a. Stephen Sea (syn), Mark Ford (harmonica), Jimmy Haslip (b), Ricky Lawson (ds, perc). Vander "Starz" Lockett, Tommy Vig (perc)。

ロベン・フォードの名を一躍、フュージョン・ファンに知らしめた初リーダー作。邦題「ギターに愛を」。めっちゃ恥ずかしい邦題であるが、内容は充実。楽しい演奏、そして、個性もしっかり出ている。「ジャズとロックの両方のにうまく足を踏み入れた、エレキギター(エレギ)の名手」という表現がピッタリの、スタジオ・プレイヤー上がりのロベン・フォードのエレギ。そんなロベン・フォードのエレギが堪能できる。
 

Robben-fordthe-inside-story

 
耳あたりの良い洗練されたフュージョン・エレギのオン・パレード。歌心のある柔らかなフレージングが持ち味。泣きのギターに職人芸的テクニックが見え隠れ。さすが、スタジオ・プレイヤー上がりである。今の耳にも古さは感じさせず、しっかりと訴求する。アタック強めで、フレーズがしっかり耳に残り、あまりポップではなく、当時の「ソフト&メロウ」がメインの「フュージョン・ジャズ」っぽくなくて、これがまた良い。

彼の個性の一つ「ブルース・フィーリング」もそれとなく濃厚で、1979年という、フュージョン・ジャズ全盛期に、安易に「ソフト&メロウ」に流れない、意外と硬派なフュージョン・ギターの出現やなあ、と、例の秘密の喫茶店で感心したのを思い出した。それほど、この初リーダー作に、ロベン・フォードの個性の全てが詰まっている。

バックのメンバーは、後のイエロージャケッツのメンバー。フュージョン・ジャズ全盛時、カールトンやリトナーは結構、FMでオンエアされるのに、ロベン・フォードは殆どオンエアされず。当時、ロベン・フォードの知名度はイマイチだった記憶がある。が、このロベン・フォードの初リーダー作は「良い」。聴き込み甲斐が大いにある作品です。フュージョン名盤の一枚かと。
 
 

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2025年6月25日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・139

アーゴ&カデット・レーベルは、ブルーノートやプレスティッジといったジャズ専門レーベルに比べ、かなりソウル色が強い。親レーベルのチェス・レコードが「リズム・アンド・ブルース主力」であったことが理由だろう。

ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、など、ちょっと癖の強い、他のレーベルにないファンキー&ソウルフル濃厚な盤が多くリリースされている。そんなアーゴ&カデット・レーベルの好盤をピックアップして聴き直してきたが、いよいよあと3枚になった。

Richard Evans『Richard's Almanac』(写真左)。1959年7月、シカゴの「Ter-Mar Recording Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Richard Evans (b), Jack Wilson (p). Robert Barry (ds)。シカゴに留まり、リーダー作を、たった1枚だけ残して去っていったベーシスト「リチャード・エバンス」のトリオ作。

これは珍しいアルバムである。まず、「リチャード・エバンス」というベーシストに馴染みがない。それもそのはず、シカゴで活躍していたが、生涯、NYに出ることなく、シカゴに留まったベーシストらしく、そういう理由で「リチャード・エバンス」というベーシストは、マイナーな存在なんだろう。

で、なぜ、このピアノ・トリオ盤をピックアップしたかというと、ピアノが、ジャック・ウィルソンだからである。
 

Richard-evansrichards-almanac

 
黒っぽくジャジーでもない、かといって、ファンキーコテコテでも無い。その両者の要素を演奏の底にそこはかとなく漂わせながら、表面上は、ポップで シンプルな、聴き易く、それでいて、全体を覆う雰囲気は紛れもない純ジャズという、そんなジャック・ウイルソン独特のピアノを楽しむことができるからである。

アルバム全体の音作りは、アーゴ&カデット・レーベルの音志向である、ちょっと癖の強い、ソウルフルな雰囲気濃厚なもの、ファンクネス濃厚なもの、どっぷりブルージーな歌心満点なもの、いわゆる「強めのファンキー&ソウルフルな音志向」に則った内容に、思わず聴き入ってしまう。

音の作りは、ドライな音がメイン。ファンクネス濃厚なウエット感は全く無く、カラッと乾いたファンキー・タッチが心地良い。そして、音数が少ない。そして、淡々としている。淡々と程よく肩の力を抜いた、素朴感濃厚な、シンプルで硬質なバップ・タッチがとてもソウルフル。

リチャード・エバンスのベースは「堅実」。ちょっと長めのソロ・パートもあるが、可もなく不可もなく、なソロ。ただし、フロントに回ったピアノを支えるベースは「堅実」。これといった個性や特徴は希薄だが、トリオ演奏の底を支えるベースとしては、堅実にして良好。安心して聴き進めることの出来るベースであることは、ここに強調しておきたい。

リチャード・エバンスが、たった一枚だけ残したリーダー作であるが、ジャック・ウィルソンのピアノをメインとしたトリオ盤として捉えれば、このリチャード・エバンスのリーダー作、ピアノ・トリオの隠れ好盤、としても良い内容である。しかも、アーゴ&カデット・レーベルの音志向に沿った、ファンキー&ソウルフルなトリオ演奏は、なかなかに味わい深い。好盤です。
 
 

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2025年6月24日 (火曜日)

ベンソンの ”ブリージン” 再聴

今月発売のレココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」に載っている、ウエス・モンゴメリーの名盤を聴き直していて、ふと「ジョージ・ベンソン」のギターが聴きたくなった。

ジョージ・ベンソンは、ウエス・モンゴメリーの後継者と言われた「ジャズ・ギターのレジェンド」。ベンソンは、ウエス・モンゴメリーに多大な影響を受けたジャズ・ギタリストであり、ウエスを心より敬愛しているギタリストである。つまり、ウエスを聴いたら、次はベンソン」が定番なのだ(笑)。今回は、ベンソンの「ジャズ・ギター」に着目して、このフュージョン名盤を再聴した。

George Benson『Breezin'』(写真左)。1976年1月の録音、1976年のリリース。ちなみにパーソネルは、George Benson (g, vo), Jorge Dalto (ac-p, clavinet), Ronnie Foster (el-p, Minimoog), Phil Upchurch (rhythm-guitar, b on #1, 3), Stanley Banks (b guitar on #2, 4–6), Harvey Mason (ds), Ralph MacDonald (perc), Claus Ogerman (arr, cond)。ちなみにプロデューサーは「トミー・リピューマ」。

ジョージ・ベンソンの代表盤に、フュージョン・ジャズの軟弱盤を持ってくるとは如何に、とご立腹のジャズ者ベテランの方もおられるかと思うが、この『Breezin'』、しっかりとベンソンのギターに注目して、じっくり聴いていただくと、この盤でのベンソンのギターが「エグいほど」素晴らしい、純ジャズ志向のギターを弾きまくっていることがよく判るかと思う。
 

George_benson_breezin

 
とにかく「弾きまくり」のベンソンである。ギターの音色は「ウエス直系」と評されるだけあって、ウエス独特のバップ・ギターの個性である「硬派でソリッドで骨太なギター」の音と同じテイストの、太く豊かで温かい淀みないフレージングでベンソンは弾きまくる。じっくり聴いていたら、ウエスそっくりだったりする。

違いは、ウエスはオクターヴ奏法を要所要所で繰り出すが、ベンソンはオクターヴ奏法は控えめで「売り」にはしていない。逆に「ウエスそっくり」と言われたくないので、ベンソンは「もう一つの得意」であるボーカルに、ウエスとの差異化要素を求めた。これが大当たり。そのベンソンの個性の一つ「優れたソウルフルなボーカル」は、2曲目の「This Masquerade」で聴くことが出来る。

冒頭のタイトル曲「Breezin'」の前奏のリフが「エグい」。米国西海岸の爽やかな風のような、スピード感+爽快感なリフ。そんな「エグい」リフに続いて出てくる、心地良いフレーズが爽快感抜群、躍動感抜群。ウエスの『A Day in The Life』の秀逸ギターもぶっ飛ぶ、凄くキャッチャーで印象的なリフ+フレーズ。

この盤でのベンソンの壮絶なアドリブは凄いの一言。フュージョン・ジャズは緩いなどと言ってはいけない。このベンソンのアドリブは凄い。フュージョンな「ソフト&メロウ」な雰囲気は皆無、硬派で純ジャズな正統派バップ・ギターの、ダンディズム溢れるフレーズがてんこ盛りである。この『Breezin'』、ベンソンの代表盤の一枚です。
 
 

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2025年6月23日 (月曜日)

ウエス ”A Day in The Life” 再聴

ウエス・モンゴメリーの『Smokin' at The Half Note』を手始めに、いろいろウエスのリーダー作を再聴していて、優れたギタリストというのは、演奏するフォーマットやトレンドに左右されない、いかなる演奏形式、演奏方式の中でも、自らのギターの個性を前面に出し、自らのギターの志向がブレることはない、ということを再認識した次第。

Wes Montgomery『A Day in The Life』(写真)。1967年6月6 & 26日、NYの「Van Gelder Studio」の録音。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto, Jack Jennings, Joe Wohletz (perc)。ここに、ストリングス・オーケストラが入る。

CTIレコードからのリリース。プロデューサーは、もちろん「クリード・テイラー」。録音はルディ・ヴァン・ゲルダー。ストリングスのアレンジ&指揮は「ドン・セベスキー」。メインのバンドのリズム・セクションは、ピアノにハービー・ハンコック、ベースにロン・カーター、ドラムにグラディ・テイトと錚々たる布陣。

しかし、プロデュースも、ストリングス・アレンジも、錚々たるリズム・セクションも、全ては、ウエス・モンゴメリーのギターを映させるためにある。確かに、このアルバムでは、ウエス・モンゴメリーのギターだけが、浮き出る様に、ブリリアントに輝く様に、映えに映える。
 

Wes-montgomerya-day-in-the-life_20250623200501

 
ソリッドで骨太なウェスのギターの音。そこに要所要所で、伝家の宝刀「オクターヴ奏法」が炸裂する。そんなウエスのギターが、奏でる楽曲の印象的なフレーズをくっきりと浮き出させる。とりわけ、レノン&マッカートニー(ビートルズ)の名曲「A Day in The Life」と「Eleanor Rigby」の独特のメロディーを、ウエスのギターがより魅力的に響かせてみせるところは見事と言う他ない。

バックの演奏のアレンジは、流麗でメロウなストリングス・オーケストラを活用した、フュージョン・ジャズ志向がかなり強いのだが、ウエスのギターはどこから聴いても「ウエス独特のバップ・ギター」そのもの。バックの使徒リングスがフュージョン志向だろうが、エレピの積極活用だろうが、ウエスのギターの音は全くブレがなく、全く変わらない。

CTIレコードからのリリースなので、このアルバム、一応はフュージョン・ジャズのカテゴリーの中に収まっているが、聴けば判るが、流麗でメロウなストリングスが入っているが、ウエスをフロントとするカルテットの演奏は「メインストリームは純ジャズ」志向。ウエスのギターの響きはどこから聴いても「ソフト&メロウ」なところは微塵もない。

あくまで「ウエス独特のバップ・ギター」。硬派でソリッドで骨太なウェスのギターの音。伝家の宝刀「オクターヴ奏法」が、それを更に確固たるものにする。そして、プロデュースが、ストリングス・アレンジが、錚々たるリズム・セクションが、ウエスのギターを引き立たせる。ウエスの名盤の一枚。
 
 

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2025年6月22日 (日曜日)

生涯の演奏活動を通じての好盤

アート・ペッパーの「収監後」活動後期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウは、1979年で成熟の域に達していた感がある。

Art Pepper『So in Love』(写真左)。1979年2月23日、5月26日、NYの「Sound Ideas Studios」での録音。パーソネルは以下の通り。

1979年2月23日のセッションは、1曲目「Straight, No Chaser」、4曲目「Diane」。パーソネルは、Art Pepper (as), Hank Jones (p), Ron Carter (b), Al Foster (ds)。

1979年5月26日のセッションは、2曲目「Blues for Blanche」、3曲目「So in Love」、5曲目「Stardust」。パーソネルは、Art Pepper (as), George Cables (p),, Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds)。

2つのセッションのごった煮の収録。プロデュースの趣味が悪いといえば悪い。1979年2月23日のセッションと1979年5月26日のセッションのリズム・セクションが総替えで、リズム・セクションの音、個性が全く異なる。

1979年2月23日のセッションのピアノは、大ベテラン・バッパーの「ハンク・ジョーンズ」、ベースが、中堅熟練の「ロン・カーター」、ドラムがプログレッシヴなベテラン「アル・フォスター」。
 

Art-pepperso-in-love

 
かたや、1979年5月26日のセッションのピアノは、中堅多弁の「ジョージ・ケイブルス」、ベースが哲人「チャーリー・ヘイデン」、ドラムがユーティリティーな職人「ビリー・ヒギンス」。

しかし、この全く異なるリズム・セクションをバックに、アート・ペッパーのアルト・サックスは、音を変えることはなく、フレーズの音色・展開を変えることは全く無い。見事なまでに、「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを吹きまくる。雰囲気は完全に「我が道を行く」。

あまりにペッパーのアルト・サックスが全面に出て、徹底的に「収監後」活動後期の「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを繰り広げているので、バックのリズム・セクションの音と個性の違いが全く気にならなくなって、この盤の「2つのセッションのごった煮の収録」の欠点を消している。

この盤では「収監前」活動前期のペッパーと「収監後」活動後期のペッパーの比較の議論を、完全に無意味なものにしている。ペッパーの生涯の演奏活動を通じて、彼の即興演奏とフレージングの技術と円熟度が頂点に達した、ペッパーのアルト・サックスの最終形が、この盤の演奏に記録されている。

イラストがメインのジャケはちょっと安っぽいが、中身は超一級品。好盤である。
 
 

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2025年6月21日 (土曜日)

”収監後” 活動後期の名盤です。

「収監後」アート・ペッパーである。ペッパーは、麻薬禍にてシナノン療養所に収監された前と後とで、活動前期と活動後期に分かれる。

「収監後」活動後期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。

ちなみに「収監前」活動前期のアート・ペッパーのアルト・サックスの個性は「米国ウエストコースト・ジャズ」のトレンドに乗った、流麗で聴き心地の良いストレートアヘッドなブロウ。

Art Pepper『Today』(写真左)。1978年12月1, 2日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Stanley Cowell (p), Cecil McBee (b), Roy Haynes (ds), Kenneth Nash (perc, congas on #2)。

当時、新進気鋭のスタンリー・カウエルのピアノ、セシル・マクビーのベース、そして、ドラムに様々な演奏フォーマットに柔軟に対応するロイ・ヘインズと、バックのリズム・セクションがとても興味深い、ペッパーのアルト・サックスがワン・ホーンのカルテット編成。
 

Art-peppertoday

 
1970年代純ジャズのトレンドだった「モーダルな展開」と「バップでパルシヴなリズム&ビート」をベースにした、「収監後」活動後期のアート・ペッパーの名演が詰まった好盤である。

このアルバムを聴けば、「収監後」活動後期のアート・ペッパーは、完全に完成している。後は年を重ねての「熟成」だけ。そんな充実した「収監後」活動後期のアート・ペッパーがここにある。

パフォーマンスの基本は「モード」。時々アブストラクトに、時々スピリチュアルに、時々フリーに傾くが、気にするほどではない。熱い、エモーショナルなブロウの迸り、と解釈できて、この盤でのペッパーのアルト・サックスは絶好調である。「収監後」活動後期のベスト・パフォーマンスの一つと僕は思っているくらいだ。

バックのリズム・セクションも良好。特に、スタンリー・カウエルのピアノが良い。1970年代の純ジャズのトレンド、「モーダルな展開」と「バップでパルシヴなリズム&ビート」のど真ん中をいく、安定したバッキングは見事なもの。マクビーのベースはカウエルのピアノの底を支え、ヘインズのドラムが安定したリズム&ビートを供給する。

充実したリズム・セクションを得て、アート・ペッパーは、「収監後」活動後期の「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウを繰り広げる。見事なブロウに惚れ惚れする。ペッパーの「収監後」活動後期の名盤だろう。
 
 

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2025年6月20日 (金曜日)

サルバドールの初リーダー作

モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している、今月発売のレココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」。

その記事の中のアルバムを順に見ていて、これまでに当ブログで記事にしていないアルバムもある。この際なんで、当ブログの記事にすることにした。今日のギタリストは「サル・サルバドール」。

サル・サルバドールについては、名前自体はかなり以前から知っていた。ジャズを本格的に聴き出した頃、たまたま、梅田の映画館で「真夏の夜のジャズ」が上映されることになり、これはチャンスとばかりに、授業をサボって、開館1回目の上映から居座って、3回繰り返して見た。で、この映画に出ていたギタリストの一人が「サル・サルバドール」。

『Sal Salvador Quintet』(写真左)。1953年12月24日、Van Gelder Studioでの録音。ブルーノートの 5035番。ちなみにパーソネルは、Sal Salvador (g), Frank Socolow (ts, #1-4), Johnny Williams (p), Kenny O'Brien (b), Jimmy Campbell (ds)。サルバドールのギターと一部、ソコロウのテナーがフロントの、カルテット&クインテット編成。
 

Sal-salvador-quintet

 
初出当初は10インチEP。収録曲は「Gone With The Wind」「Too Marvelous For Words」「This Can't Be Love」「After You've Gone」「My Old Flame」「Get Happy」以上、全6曲。

サル・サルバドールは、チャーリー・クリスチャン直系の白人ギタリスト。基本はビ・バップなギター。録音年が1953年なので、ハードバップ前期の影響を受けているのであろう、アドリブ・パフォーマンスは、ビ・バップ時代の弾き回しよりも長尺のパフォーマンスになっていて、サルバドールのギターについて、とても聴き応えがある。

サルバドールのギターの音の雰囲気は、アーバンでミッドナイトな雰囲気の、漆黒ジャジーでブルージーなギター。当時のジャズ・ギターとして、かなり個性的な音色。この個性的な音色のサルバドールのギターは、十分にフロントを張れるものだった。そして、この音色は、後継のモダン・ジャズ・ギタリスト「ケニー・バレル」に引き継がれている様に感じる。

まだギタリストがリーダー作を出すことが珍しかった時代に、フロントを張ることのできる、力感溢れる、ソリッドで音の芯が太いギターでリーダーを務めるサルバドールは、現代に通じる、モダン・ジャズ・ギターの先駆的存在。このサルバドールの初リーダー作を聴いていて、それが良く判る。
 
 

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2025年6月19日 (木曜日)

”at The Half Note” ウエス再び

モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している、今月発売のレココレ2025年7月号の特集「ジャズ/フュージョン・ギターの名演・洋楽編」。

その記事の中のアルバムを順に見ていて、これまでに当ブログで以前に記事にしたアルバム達が懐かしく、ついつい、聴き直している。今日は「モダン・ジャズ・ギターのレジェンド」。ギタリストは、ウエス・モンゴメリー。

Wynton Kelly Trio and Wes Montgomery『Smokin' at The Half Note』(写真左)。1965年6, 9月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Wes Montgomery (g), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

当時のマイルス・バンドのリズム・セクション(ケリー、ポルチェン、コブ)をバックに、ウエス・モンゴメリーのギターがフロントのカルテット編成。

全曲、ハーフノートでのライヴ録音っぽいアルバム・タイトルだが、実は、1965年6月、ハーフノートで録音されたのは「No Blues」と「If You Could See Me Now」の2曲のみ。残りは、1965年9月22日に、ニュージャージー州のルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオで再録音されている。

このアルバムは、ジャズを本格的に聴き始めた、今から46年前に、ウィントン・ケリーのピアノ目当てに入手した。ベースにポール・チェンバース、ドラムにジミー・コブ。このウィントン・ケリー・トリオが目当てでウキウキしながら、LPに針を落とした。
 

Wynton-kelly-trio-and-wes-montgomerysmok

 
1曲目は「No Blues」。ケリーのピアノが出てくるのを心待ちにしていたら、ウエスのギターが耳に飛び込んできた。なんや、このギターは....!。思わず僕は叫んでいた。骨太で切れ味の良いピッキング。執拗に繰り返されるファンキーでグルーヴィーなリフ。印象的なフレーズを流麗に力強く弾きまくる「オクターブ奏法」の炸裂。ウエスのギターは「かっ飛んでいる」。

2曲目の「If You Could See Me Now」を含め、ライヴのウエスは、スタジオ録音をはるかに凌駕する、凄まじい疾走感と超絶技巧がある。ウェスの真骨頂は、ライヴ録音を経験するのが一番。加えて、演奏表現が実に豊か。「If You Could See Me Now」などは聴いていて常に思う。とにかく美しい。ウェスもケリーも実に美しいソロをとる。本当に美しい。

ケリーのピアノ目当てに入手したアルバムだったが、このウエスの驚異的なパフォーマンスの前では、ケリーのピアノは「影が薄くなる」。ケリーも大健闘している。健康優良児的なハッピー・スインガー、そこはかとなく漂いマイナーな感覚。そんな個性が魅力のケリーのピアノ。ウエスのギターとの相性は抜群。そんな類まれなパフォーマンスがこの盤に記録されている。

この時期のウエスは、鬼気迫るテンション溢れる、超絶技巧な演奏のピークだった。ケリーのファンキーなピアノに触発されたということではない。逆に、ウェスがケリーを触発したといってもいいほどケリーの方が、この時期においては、いつになく元気である。

僕はこのアルバムで、ウエス・モンゴメリーのギターの虜になった。以降、ウエスは僕の大のお気に入りのギタリストの一人である。
 
 

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2025年6月18日 (水曜日)

再び ”Jack Johnson” を聴き直す

今月発売のレココレ2025年7月号の特集は「ジャズ/フュージョン・ギターの名演 洋楽編」。正確に言うと、モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している。

その記事の中のアルバムを順に見ていて、これまでに当ブログで以前に記事にしたアルバムが懐かしく、ついつい、聴き直したくなった。今日は「エレクトリック・マイルス」。ギタリストは、ジョン・マクラフリン。

Miles Davis『Tribute to Jack Johnson』(写真左)。1970年2月18日, 4月7日の録音。1971年2月のリリース。1900年代初頭、初の黒人ヘビー級チャンピオンとして活躍した伝説のボクサー、ジャック・ジョンソンをテーマとして作られた映画のサントラである。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

1970年2月18日の録音のパーソネルは、Miles Davis (tp), Bennie Maupin (b-cl), John McLaughlin, Sonny Sharrock (el-g), Chick Corea (el-p), Dave Holland (el-b), Jack DeJohnette (ds)。

1970年4月7日の録音のパーソネルは、Miles Davis (tp), Steve Grossman (ss), John McLaughlin (el-g), Herbie Hancock (org), Michael Henderson (el-b), Billy Cobham (ds), Brock Peters (narration)。

再び、聴き直したくなった、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃からの大のお気に入りの、「エレ・マイルス」の名盤。
 

Miles-davistribute-to-jack-johnson

 
ハイレベルの凄まじいエレ・ジャズ、クロスオーバー・ジャズの演奏を基に、プロデューサーのテオ・マセロがテープ編集を駆使して出来上がった、いわゆる「テープ・コラージュ」の傑作、マイルスのセッション演奏の素材が、凄まじく優れているからこそ為し得た「テープ・コラージュ」の傑作である。

「Right Off」の出だしから全編に渡る。ジョン・マクラフリンのカッティング・エレギの凄まじさ。その弾き出されるロック・ビートの鋭さ、激しさ、凄まじさ。アーティステックで創造的な、拡がりとイマージネーション溢れる、触れるだけで切れるような「鋭敏なエッジのエレギのビート」。

そんな「エレギのビート」に追従する超重量級のベース&ドラム。エレギに負けないエモーショナルな熱く激しく打ち付ける様な強靱でソリッドなビート。「ビートだ、ビートが一番重要だ」、マイルスの言葉が実に説得力をもって迫ってくる。

そんなエレギとベースとドラムの超重量級のビートに乗って、エモーショナルで激しいボーカルのようなマイルスのトランペットが「むっちゃ格好良い」。エモーショナルで激しい、シャウトする様な、唄う様なマイルスのトランペットが闊歩する。肩で風を切って、悠然と堂々と、孤高のトランペットが鳴り響く。

「お望みなら、世界最高のロック・バンドを組んでみせるぜ」と有言実行した(格好良いなあ〜)マイルスとテオの「テープ・コラージュ」の最高の成果の一つ。

そして、それを確固たるものにする、ジョン・マクラフリンのカッティング・エレギが刻む凄まじきビート、そして、それを支える超重量級のベース&ドラム。エレクトリック・ジャズの、クロスオーバー・ジャズの名盤である。
 
 

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2025年6月17日 (火曜日)

『Undercurrent』を聴き直す。

最近、長年愛読している雑誌「レコード・コレクターズ(以降、レココレと略す)」の特集に、ジャズ/フュージョン関連の特集が載ることが多い様な気がする。最近では、ブルーノートの100枚とか、ECMレコードの45枚、とかの特集があって、意外と興味深く読んだりした。

そして、今月発売のレココレ2025年7月号の特集は「ジャズ/フュージョン・ギターの名演 洋楽編」。正確に言うと、モダン・ジャズ、クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇の中の名盤・好盤の中で、ギターに特化して評価できるアルバムをピックアップして紹介している。

ついつい読み耽る中、これまでに当ブログで以前に記事にしたアルバムが懐かしく、ついつい、聴き直したくなった。今日のギタリストは「ジム・ホール」。

Bill Evans & Jim Hall『Undercurrent』(写真左)。1962年4月24日、5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Jim Hall (g)。現代ジャズ・ピアノの源・ビル・エヴァンスと、プログレッシヴなギターの職人・ジム・ホールのデュオ盤である。モダン・ジャズの歴史上、最高のピアノとギターのデュオ盤である。

前にも書いたのだが、ピアノとギターは非常に良く似た楽器である。単音のみならず和音も出せる。アルペジオも出来る。弦を掻きむしることもできるし、和音を連続して弾くことで、リズム楽器としての機能を果たすことも出来る。音のスケールも似通っている。つまり、ピアノとギターはあまりに似通った楽器なので、デュオでコラボすると、音がぶつかったり、音が重なったりする。

このピアノとギターの「音がぶつかったり、音が重なったり」するのを、持ち前のハイ・テクニックで避けつつ、デュオとしてのインタープレイを展開し、上質のユニゾン&ハーモニーを醸し出さねばならない。これがかなり難度が高くて、ジャズの世界では、ピアノとギターのデュオはあまり無いのが実情。
 

Evans_hall_undercurrent

 
しかし、エヴァンスとホールの二人は、そんな難度の高いシチュエーションをいとも容易くクリアする。その奇跡的な、驚異的な演奏は、冒頭の「My Funny Valentine」に聴くことが出来る。

この「My Funny Valentine」の演奏のテンポの速さは異常である。この異常なテンポの速さの中、エバンスとホールは、限りなくテンション高く、呆れかえるほどの高度なテクニックを駆使しつつ、「音がぶつかったり、音が重なったり」するのを回避し、高速なインタープレイを展開し、上質のユニゾン&ハーモニーを叩き出す。

2曲目以降は、スローテンポからミドルテンポの演奏に終始するが、お互いに「絶妙の間」を活かした、非常にスリリングでありながら、余裕のある、優しく荘厳な内容のデュオ演奏を繰り広げる。例えば、5曲目の「Skating In Central Park」なぞ、絶品中の絶品。絶妙の間、柔らかな絡み、そして心地良い響きのユニゾン&ハーモニー。

そして、今回聴き直して、改めて感じたのは、エヴァンスとホールのデュオは「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」。バップ・ピアノが基本のエヴァンス、バップ・ギターが基本のホール。どちらも演奏志向は「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」。ところどころ耽美的に傾くが、それは、二人の演奏志向である「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」を引き立てるためにある。

二人のデュオの特徴は「耽美的」にはあらず。二人のデュオの特徴は、ハイ・テクニックを前提とした「オフェンシヴ」で「ポジティヴ」なバップのインタープレイにある。この類まれなインタープレイを前提に、類まれなデュオ・パフォーマンスを繰り広げる。ジャズ・デュオ演奏の名盤中の名盤である。
 
 

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2025年6月16日 (月曜日)

チェリーの考えるフリー・ジャズ

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直している。

今日も前回に引き続き、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズのアルバムである。

Don Cherry『Complete Communion』(写真左)。1965年12月の録音。Don Cherry (tp), Gato Barbieri (ts), Henry Grimes (b), Ed Blackwell (ds)。

チェリーのトランペット、バルビエリのテナーがフロント2管のピアノレス・カルテット編成。テナー奏者のガトー・ガルビエリの参加が目を引く。ドン・チェリーが名門ブルーノートに残した3枚のリーダー・アルバムの1作目。

1960年代前半、ソニー・ロリンズ、アーチー・シェップ、ジョージ・ラッセル、アルバート・アイラーなど、オーネット・コールマンのフリー・ジャズに関心はあるが、オーネットとの直接の共演は避けたい(母屋を乗っ取られかねない)。

それでは、と、オーネットのフリー・ジャズの最高の相棒との共演を、という人たちから一斉にオファーを受けて、数々の共演盤を作成した。

そんな嵐の様な共演期間を経て、1960年代半ば、ドン・チェリーは自らのジャズを追求し始める。その最初の成果がこの『Complete Communion』。この盤には「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」のエッセンスがグッと恐縮されて収録されている。

一言で言うと「限りなくフリーなハードバップ」。演奏全体の響きは「ハードバップ・ライクでシンフォニック」。厳密に言うと、この「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」は、いわゆる、純粋なフリー・ジャズでは無い。
 

Don-cherrycomplete-communion

 
あくまで「ハードバップ」な規律を踏襲し、ハードバップなフレーズ展開がベースになった「限りなく自由度の高い」ハードバップ。この「限りなく自由度の高い」部分に重点を置いた「チェリーの考えるフリー・ジャズ」。

そんな「ハードバップ」な規律をベースに、ドン・チェリーのコルネットが、オーネット・コールマンのトーンを踏襲しつつ、ドン・チェリー独特の吹き回しとトーンで、限りなく自由度の高い、と言って、モードでは決してない、チェリー独特のアドリブ・フレーズを吹き上げる。

このオーネットのトーンを踏襲してはいるのにも関わらず、チェリー独特の吹き回しとトーンを実現しているのは、おそらく、チェリーが手にする楽器が、コルネットだからだ、と思う。

コルネット(トランペット)の運指、トーンを前提とした吹き回しが、チェリー独特の吹き回しとトーンになるのだと思う。オーネット・コールマンの楽器はアルト・サックス。コルネット(トランペット)とアルト・サックスとの楽器の違いが、チェリー独特の吹き回しとトーンを生み出している。

リズム&ビートは、フリーに近いが、しっかりとした規律をベースにビートを叩き出し、独特のフリーなグルーヴを獲得している。「ドン・チェリーのフリー・ジャズ」のリズム&ビートを担うのは、グライムズのベースと、ブラックウェルのドラム。

ドン・チェリーが名門ブルーノートに残した3枚のリーダー・アルバムの1作目には「ドン・チェリーの考えるフリー・ジャズ」がぎっしり詰まっている。「限りなくフリーなハードバップ」。

「ハードバップ」な規律を踏襲しつつ、アドリブ・フレーズは、限りなく限りなく自由度の高い、チェリー独特のアドリブ・フレーズ。ドン・チェリー入門盤としても良好なアルバム。面白く興味深い内容。好盤である。
 
 

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2025年6月15日 (日曜日)

アフリカン・ルーツ志向のジャズ

フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを全面的に押し出して、そのまんまのジャズ・ピアノをずっとイチ押しで弾き続けているピアニストがいる。Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)、昔の名前は、Dollar Brand(ダラー・ブランド)である。ここでは、今の名前、Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)で統一する。

アブドゥーラ・イブラヒムは、1934年10月、南アフリカ連邦のケープタウン生まれ。63年にチューリッヒで、デューク・エリントンの目にとまる。65年に米国に渡り、68年にはイスラム教に改宗。セロニアス・モンクやエリントンの影響を受けつつ、独特な音世界を確立。フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノは聴いていて、ジャズの音の原風景を彷彿とさせてくれる。

Abdullah Ibrahim『Live at Montreux』(写真左)。Live 18 July 1980年7月18日、モントルー・ジャズ・フェスでのライヴ録音。エンヤ・レーベルのENJA3079番。ちなみにパーソネルは、Abdullah Ibrahim (p), Carlos Ward (as. fl), Craig Harris (tb), Alonzo Gardener (el-b), André Strobert (ds)。1980年モントルー・ジャズ・フェスティバルのメインステージで繰り広げられた、白熱のライブ・パフォーマンスの記録。
 

Abdullah-ibrahimlive-at-montreux

 
デューク・エリントンとセロニアス・モンクという二人のレジェンドに影響を受けているイブラヒム。このライヴ盤では、エリントン風の組曲ライクな演奏曲と、モンク志向のモーダルなピアノ、その二つを「フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチック」なパフォーマンスを繰り広げている。

フォーキーなイブラヒムの音の個性の根っ子は「アメリカン・ルーツ音楽」ではなく、「アフリカン・ルーツ音楽」。アメリカン・ルーツなゴスペル、ファンキー、フォーキーでは無く、アフリカンなワールド・ミュージック志向の、アフリカン・ネイティヴな音世界。この音世界が目眩く音絵巻の様な組曲風な楽曲にしっかりと反映されている。

この「アフリカン・ルーツ音楽」をベースに、アフリカンなワールド・ミュージック志向の、アフリカン・ネイティヴな音世界を展開しているのは、意外とこの「アブドゥーラ・イブラヒム」しか見当たらない。そのせいか、意外と「キワモノ」扱いされ、異端扱いされ、意外と評価が低い傾向にある。が、これも立派な「ジャズ」であり、ジャズの多様化の「一つの立派な成果」である。アフリカンなワールド・ミュージック志向の響きが芳しい。
 
 

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2025年6月14日 (土曜日)

梅雨時に耳当たりの良いジャズ

今年も、一昨日、関東地方は梅雨に入った。梅雨入り宣言があった翌日から、薄日が差して湿度が落ち着いて雨が降らないのは、最近の「お約束」。それでも、気圧は微妙に乱高下していて、偏頭痛に悩まされたり、お腹の調子が不調になったり、体調不芳な日々が続く様になる。

そうなると、限りなく自由度の高いモード・ジャズや、フリー&アバンギャルド・ジャズは以ての外。暫くは耳当たりの良いジャズが聴きたくなる。

Manhattan Jazz Quintet『Caraban』(写真左)。1988年12月9,10日の録音。ちなみにパーソネルは、 David Matthews (p), Lew Soloff (tp), George Young (ts), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds)。

ベースがジョン・パティトゥッチに、ドラムがデイヴ・ウェックルに、なんだか、当時のチック・コリア・アコースティック・バンドのリズム隊をそのまま持って来たような布陣。リズム&ビートがリフレッシュされた様な印象。

相変わらず、有名スタンダード曲が収録曲に鎮座ましましているのだが、今回は収録曲全7曲中4曲。しかし、この有名スタンダード曲「Caravan」「Five Spot After Dark」「A Night In Tunisia」「You And The Night And The Music」と、手垢がべったり付いた、「ど」スタンダード曲なんだが、この有名スタンダード曲に対するマシューズのアレンジが秀逸。
 

Manhattan-jazz-quintetcaraban  

 
聴いていて、アレンジが新鮮で、「ど」スタンダード曲でありながら、手慣れた感は無いし、マンネリ感も無い。マンハッタン・ジャズ・クインテットは、この有名スタンダード曲への優れたアレンジと、演奏メンバーによる、当時として「新しい」解釈が「ウリ」のバンドだった、と言うことを再認識する。

アップテンポを基本に変幻自在なパフォーマンスが魅力の「Caravan」、渋いアレンジが良好な「Five Spot After Dark」、超有名な曲を新しいイメージの盛り上げが楽しめる「A Night In Tunisia」、8分の6拍子のアレンジと演奏半ばのアップテンポなアドリブが格好良い「You And The Night And The Music」といい感じの有名スタンダード曲の新しい響きのパフォーマンスが良い。

録曲全7曲中3曲のオリジナル曲も良い感じ。リズム隊が、パティトゥッチのベース、ウェックルのドラムに代わった効果が、このオリジナル曲のパフォーマンスに好影響を与えている。モーダルな展開に、変幻自在、硬軟自在、緩急自在な「モーダル仕様」のリズム&ビートをズバリと持ってきていて、現代の「ネオ・ハードバップ」に通じる、新しい響き、新しいグルーヴのモーダルな演奏展開になってて、聴いていてとても興味深い。

ネットでググってみても、相変わらず人気のないマンハッタン・ジャズ・クインテットだが、この『Caraban』というアルバムも出来はとても良い。マシューズのアレンジが全曲に渡って、バッチリ決まっていて、それまでのハードバップとは一線を画した、当時として「新しい響き」のハードバップを展開しているのには感心した。

1980年台の「純ジャズ復古」の潮流に乗って、新しい響きのハードバップを獲得した、マンハッタン・ジャズ・クインテットの良好なパフォーマンスがこの盤に記録されている。
 
 

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2025年6月13日 (金曜日)

ヒルの考える ”アバンギャルド”

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。と、ベスト100の中で、10枚ほどが、当ブログで扱ったことが無いアルバムとして残っているが、全部、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズのアルバムだけが残った。

Andrew Hill『Compulsion!!!!!』(写真左)。1965年10月8日の録音。ブルーノートの4217番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Freddie Hubbard (tp, flh), John Gilmore (ts, b-cl), Cecil McBee (b), Joe Chambers (ds), Renaud Simmons (conga, perc), Nadi Qamar (perc, African drums, thumb piano), Richard Davis (b, track 3)。基本、セプテット編成。

リーダーのアンドリュー・ヒルは、モンクの如く幾何学的にスイングするモーダルなピアニスト。「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」という個性をしっかり表現している。基本はモーダルなピアノ。時々、アブストラクトにブレイクダウンする。

そんなヒルが、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズにチャレンジする。パーソネルを見渡すと、バンド・サウンドを形成するメンバーは、皆、フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを得意とする面子がズラリ。テナーのジョン・ギルモアとか、ベースのセシル・マクビーとか、そして、アフリカンなパーカッションが二人、入っている。
 

Andrew-hillcompulsion

 
演奏全体の雰囲気は「オーネット・コールマン」のフォロワー的アバンギャルド・ジャズ。オーネットのアバンギャルド・ジャズな必要最低限の決め事に則り、ヒル独特の理路整然としたアバンギャルド・ジャズが繰り広げられる。アバンギャルド・ジャズ、時々フリー・ジャズ、時々スピリチュアル・ジャズ、といった展開。よくリハーサルされたであろうことが良く判る、整然とした、規律溢れる、オーネット志向のアバンギャルド・ジャズ。

しかし、オーネットのアバンギャルド・ジャズの物真似では決して無い。しっかりとヒルの個性を反映して、ヒル独特のアバンギャルド・ジャズに昇華させている。ヒルの「判り易い平易で明るいモンクの様な幾何学的にスイングし音飛びするピアノ」の個性を、このアバンギャルド・ジャズにしっかり反映させている。

演奏全体の雰囲気は「オーネット志向」、そのサウンド、その音世界は、ヒル独自の「判り易い平易で明るい、幾何学的にスイングし音飛びする」展開。アバンギャルド・ジャズでありながら、難解な展開は極力回避しつつ、アフリカンなグルーヴを醸し出しつつ、モーダルなフレーズをメインとした、限りなく自由度の高い、理路整然としたアバンギャルド・ジャズが展開される。これがこの盤の「キモ」だと僕は感じている。

フリー、スピリチュアル、アバンギャルドなジャズを苦手とする向きにも、十分に訴求する「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」。限りなく自由度の高いモード・ジャズを聴き通せるスタミナのある「ジャズ耳」の持ち主であれば、この「ヒルの考えるアバンギャルド・ジャズ」は聴き通せると思う。そして「オーネット志向」の音の響きをしっかりと味わえると思う。
 
 

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2025年6月12日 (木曜日)

Montgomeryland = Far Wes

ウエス・モンゴメリー(Wes Montgomery)のリーダー作については、現在、普通に音源入手出来るものについては、当ブログでほぼ記事にしたと思う。

で、ウエスのディスコグラフィーを見ていると、モンゴメリー・ブラザーズ(Montgomery Brothers)の諸作があるのに気がついた。モンゴメリー・ブラザーズとは、ギターのウェス、ピアノのバディ、ベースのモンクのモンゴメリー兄弟がグループを組んだユニット。

Montgomery Brothers『Montgomeryland』(写真左)。1958年4月18日、1959年10月1日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。ギターのウェス、ピアノのバディ、ベースのモンクのモンゴメリー兄弟に、サックス1管、ドラムスが入ったクインテット編成。

1958年4月18日の録音は、Wes Montgomery (g), Harold Land (ts), Buddy Montgomery (p), Monk Montgomery (b), Tony Bazley (ds)。
1959年10月1日の録音は、Wes Montgomery (g), Pony Poindexter (as), Buddy Montgomery (p), Monk Montgomery (b), Louis Hayes
(ds)。
 

Montgomeryland_far-wes  

 
録音年は1958年から1959年。ハードバップ全盛期。このモンゴメリー・ブラザーズの音も、どこを切ってもハードバップ。ハロルド・ランドや、ポニー・ポインデクスターのサックスの存在が、そんなハードバップな雰囲気をさらに増幅する。

そんな中、やはり、ウエスのギターが大いに目立っている。太くてソリッドで力感溢れる音、速いフレーズは流麗に、バラードチックなフレーズは歌心豊かに、そして、ここぞという時に炸裂する「オクターブ奏法」。ウエスの完成された個性溢れるバップ・ギターが素晴らしい。

ピアノのバディ、ベースのモンクは堅実にリズム・セクションの一翼を担う。派手なところはないが、とにかく堅実。出てくる音は、典型的な「ハードバップ」な音。ドラムは2つのセッションでそれぞれ代わるが、モンゴメリー・ブラザーズの二人のお蔭か、リズム&ビートは実にしっかりしている。

しっかりしたリズム&ビートを得て、フロントの二人、ウエスのギター、そして、ランド&ポインデクスターのサックスは、気持ちよさそうに、ハードバップなフレーズを展開している。

ハードバップ時代の「ハードバップなウエス」の極上なパフォーマンスがこの盤に記録されている。ちなみにこの『Montgomeryland』は、1990年に、Wes Montgomery『Far Wes』(写真右)として、曲順を変え、曲を追加して、リイシューされている。
 
 

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2025年6月11日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・288

名アレンジャー、クラウス・オガーマンが全面参加。エレガントにセンス良く鳴るオガーマンの指揮するストリングスをバックに、ウェス・モンゴメリーが、オクターブ奏法をアクセントに、ギターを弾きまくる。ウエスの硬派なイージーリスニング・ジャズのシリーズの1枚。

Wes Montgomery『Tequila』(写真左)。1966年3月17–21日の録音。ヴァーヴ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto (conga), George Devens (vib), バックにストリングス・オーケストラが入る。プロデューサーは、フュージョンの仕掛け人、クリード・テイラー。

オガーマンのアレンジするストリングスは控えめで奥ゆかしい。バックでひっそりとフロント楽器をしっかりと前面に浮き出させ、演奏全体の雰囲気をエレガントに染め上げる。そんな趣味の良いストリングスをバックに、ウエスがギターを弾きまくる。あくまで、ウエスのギターを前面に押し出し、ウエスのギターだけを愛でる、そんなプロデュース方針が見え隠れする。

ウエスは効果的に、必殺「オクターブ奏法」を駆使する。特に、楽曲のテーマのフレーズをくっきり浮き立たせる様に、オクターブ奏法を活用する様は、まさに言い得て妙。イージーリスニング志向のジャズの「要」となる様な、ウエスのオクターブ奏法。

これを上手く活用しているのが、このアルバムを聴いていて良く判る。オクターブ奏法を全編に渡って、ガンガンに弾きまくるのでは無く、効果的にオクターブ奏法を適用する。これが小粋でお洒落。
 

Wes-montgomerytequila

 
例えば、冒頭の「Tequila」、ラテン調のポップな楽曲のカヴァーなのだが、下手なアレンジの下で、趣味の悪いギターのパフォーマンスであれば、俗っぽく嫌らしく響くのであるが、この盤ではそうはならない。

オガーマンのストリングスが洒落ていて、ウエスのギターがダイナミック。「Tequilaという、ラテン調のポップな楽曲が、しっかりとしたコンテンポラリーなジャズに仕上がっていて、硬派なイージーリスニング志向のモダン・ジャズ然としているところが素晴らしい。

この盤は、オガーマンのアレンジとウエスのギターの個性とがばっちり相性が合って、アーバンでミッドナイトなムードが芳しい、極上のイージーリスニング・ジャズに仕上がっている。8曲目、アルバム・ラストのジョー・ザビヌル作「Midnight Mood」の演奏など、極上の最高のイージーリスニング・ジャズである。

とにかく、ウエスのギターの速弾き、オクターブ奏法、カッティングなど、ウエスのギター・テクのどれをとっても素晴らしいところがこの盤のウリ。そして、それを引き出しているのが、オガーマンのアレンジとクリード・テイラーのプロデュース。

意外と地味で、ジャズ盤紹介本などに上がることのないアルバムですが、内容はピカイチ。メインストリームなジャズとして、十分認知できる、硬派なイージーリスニング・ジャズ盤の傑作です。
 
 

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2025年6月10日 (火曜日)

「ネオ・ハードバップ」の先駆け

マンハッタン・ジャズ・クインテット(Manhattan Jazz Quintet. 以降「MJQ」と略す)は、日本のジャズ雑誌『スイングジャーナル』とキングレコードの発案によるプロジェクトで、ピアニスト&アレンジャーのデヴィッド・マシューズを中心に結成されたジャズ・バンド・1984年デビュー。

MJQは、マシューズの優れたアレンジと、バンドのメンバーの優れた演奏技術により、1980年代半ばからの「純ジャズ復古」に呼応した、後のネオ・ハードバップの先駆けとなる、当時として、新しいハードバップ志向のパフォーマンスを展開した。

Manhattan Jazz Quintet『The Sidewinder』(写真左)。1986年10月9. 10日、NYでの録音。1987年のリリース。ちなみにパーソネルは、David Matthews (p, arr), Lew Soloff (tp), George Young (sax), Eddie Gomez (b), Steve Gadd (ds)。ルー・ソロフのトランペットと、ジョージ・ヤングのサックスがフロント2管のクインテット編成。アレンジを一手にデヴィッド・マシューズが引き受けている。

MJQの通算5枚目のアルバム。オリジナル・メンバーより、ベースがエディ・ゴメスに代わってはいるが、演奏内容としては、いかにもMJQらしい、端正でダイナミックな、鉄壁のパフォーマンスである。ハードバップ志向のパフォーマンスかくあるべし、という感じの堂々たる演奏で、緩むところも破綻をきたすところも皆無。極上の「ネオ・ハードバップ」の先駆け的演奏が繰り広げられている。
 

Manhattan-jazz-quintetthe-sidewinder

 
全6曲中、有名スタンダード曲が4曲、マシューズのオリジナル曲が2曲と、有名スタンダード曲がメインの収録だが、この有名スタンダード曲のアレンジが絶品なのと、その優れたアレンジに対するリズム隊の、ゴメスのベース、ガッドのドラムの、スピード感溢れる解釈が素晴らしい。まず、このゴメスのベース、ガッドのドラムのパフォーマンスこそが、MJQサウンドの推進役であることが良く判る。ハードバップなリズム&ビートが実に「新しい」。

マシューズのシンプルで間を活かしたピアノも極上の響き。フロント2管のフレーズの「間」を効果的に埋めつつ、シンプルなモーダルなフレーズで、フロント2管のアドリブ・イマージネーションを刺激する。このマシューズのピアノの存在も、MJQサウンドの推進役であることが良く判る。

そんなリズム・セクションのバッキングを得て、ソロフのトランペットと、ヤングのサックスのフロント2管が、悠然と自由にハードバップでモーダルなフレーズを吹きまくる。このフロント2管のフレーズは、それまでのハードバップには無い、新しい響きを忍ばせた、後の「ネオ・ハードバップ」に通じる、新鮮なパフォーマンス。

流麗すぎる、華麗すぎる、破綻が無い、作られた感が強いなど、まったくお門違いの評価がまかり通るMJQだが、ちゃんと聴いてみると、現代の「ネオ・ハードバップ」に直結する、優れた演奏力、優れたアレンジ、優れたイマージネーションを基とする、温故知新を地で行く、新しい響きの優れたハードバップであることが良く判る。この『The Sidewinder』は、その好例の1枚である。
 
 

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2025年6月 9日 (月曜日)

傑作・Gong『Gazeuse!』である

1960年代終わりから1970年代後半にかけて、ロック界を席巻した「プログレッシヴ・ロック(以降「プログレ」と略)」。クラシック音楽やジャズ、現代音楽などの他ジャンルの要素を取り入れ、複雑なサウンド構成や変拍子の積極採用、長尺な楽曲が多い、などが特徴。高度な演奏技術や実験的な音楽性を追求し、それまでのロックとは異なる「進歩的=プログレッシヴ」な音楽性を目指したロック。

プログレは英国で隆盛を極めたが、何もプログレは英国だけのものでは無い。欧州では、イタリア、フランス、オランダへと飛び火し、それぞれの国で、幾つかの代表的なバンドが生まれ出でている。「ゴング(Gong)」もその1つで、ゴングは、フランスを代表するプログレッシヴ・ロックバンド。元「ソフト・マシーン」のデヴィッド・アレンを主宰に結成。サイケデリック・ロックを原点に様々なスタイルに変化。時期によってメンバー、音楽性が変わり、派生グループも多い。

Gong『Gazeuse!』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、Pierre Moerlen (ds, vib, marimba, timpani, glockenspiel), Didier Malherbe (ts, fl), Allan Holdsworth (g, vln, pedal steel), Mireille Bauer (vib, marimba, glockenspiel, toms), Benoît Moerlen (vib), Francis Moze (b, p, gong), Mino Cinelu (perc)。

1976年、バンドは残留したドラマーのピエール・ムーランを中心に再編成。この時代のバンドは「ピエール・ムーランズ・ゴング」と分類される。脱退したデヴィッド・アレン時代の「サイケデリック色」を一掃、ニューエイジやアンビエントなどの要素を取り入れたジャズ・ロック&ュージョン・バンドとして音志向をチェンジする。その最初の成果がこの『Gazeuse!』である。

ここでも、英国同様、プログレッシヴ・ロックと、ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン・ジャズとの曖昧な境界線が存在する。
 

Gonggazeuse

 
この『Gazeuse!』は、明らかに、ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン・ジャズの範疇にバンドである、ということを証明する様な内容。上質のジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン・ジャズの音世界が展開されているから驚きである。

ギターに「アラン・ホールズワース」の名前がある。ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン畑の良い意味での「変態ギター」の代表格。まず、ホールズワースのギターが大活躍。バンド・サウンドのメインフレーズを「ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン」色に染め上げている。

加えて、このバンド・サウンドの特徴が「打楽器」の活躍。ドラム言うに及ばず、マリンバ、ティンパニの活用で、リズム&ビートが前面に出て、アーシーでジャジーな雰囲気を濃厚にしている。言い換えると、打楽器の積極活用が、前のバンド・サウンドのイメージ「サイケデリック色」の一掃を実現している。

演奏的には、英国プログレッシヴ・ロックの「ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン」なサウンドと同様。英国のサウンドよりも流麗で色彩豊か。フレーズを担うギター、サックスの音色は「定石」として、このアルバムでは、ヴァイブ、グロッケンシュピールといった鍵盤打楽器を活用して、他の「ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン」のフレーズ・サウンドとの差別化を、「ピエール・ムーランズ・ゴング」の音の個性の確立を後押ししている。

アルバム全体を通じて、メロディックで流麗なフレーズ展開、複雑なポリリズミックなリズム&ビート。テクニック優秀、リーダーのピエール・ムーランのドラミングが、バンド・サウンドを推進し統率する。フランスのプログレ・グループが奏でる「ジャズ・ロック&クロスオーバー/フュージョン」なサウンド。傑作である。
 
 

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2025年6月 8日 (日曜日)

MJQの活動前期の名ライヴ盤

まず、最初に断言するが、このライヴ盤は、MJQの名ライヴ盤『The Last Concert』と比肩する、MJQの前期のパフォーマンスを代表する、最高のライヴ盤である。MJQの良いところの全てが、このライヴ盤に凝縮されている。とにかく、見事なカルテット演奏。アカデミックな香りが濃厚、ジャズの芸術性の部分がグッと前面に出た、モダン・ジャズの良いところがこの盤に詰まっている。

The Modern Jazz Quartet『European Concert』(写真左)。1960年4月11–13日、スウェーデンのストックホルムとヨーテボリでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。MJQの「揺らぎの無い鉄壁のカルテット」。初出のLPでは2枚組でのリリースだった。

アレンジが素晴らしく、バグスのブルージーで、ファンクネス漂うヴァイブと、ルイスのクラシック風な、音を選んだ間を活かしたのピアノが、あまりに流麗で洒脱で小粋で気がつきにくいのだが、MJQのパフォーマンスは「バップ」が基本。クラシック志向のアレンジが先に印象として残るので忘れがちになるのだが、MJQの演奏は、とことん「ハードバップ」である。
 

The-modern-jazz-quarteteuropean-concert

 
欧州のクラシックの音志向&アレンジと、米国西海岸のバップ・ジャズとの融合音楽がMJQのサウンド、と僕は解釈している。バグスのヴァイブ、ルイスのピアノ、ヒースのベース、ケイのドラム。このカルテットの音は、どこから聴いても、どこから切っても、ハードバップしている。そして、演奏の底に漂うアーバンなファンクネスと、濃厚ジャジーな雰囲気が、MJQの演奏をどっぷりモダン・ジャズに仕立てている。

音の鮮度というか、音の響きが「切れ味良く」「ブリリアントで」「アクティヴ」。MJQの活動前期の総決算的位置付けのライヴ盤で、バグスのヴァイブ、ルイスのピアノ、ヒースのベース、ケイのドラム、それぞれの音が「若く」「活き活き」している。ライヴ演奏での「スピード感」も特筆に値する。

僕はルイス作の「Skating in Central Park」が大好きなのだが、このライヴ盤での演奏は絶品。以前、実際にNYのセントラルパークのスケート場を見に行ったことがあるのだが、その時の光景、スケートをする人達が、気持ち良く、笑顔で楽しく滑っている、そんなスケート場の情景が瞼に浮かぶようだ。この1曲だけでも、このライヴ盤、MJQの名盤である。
 
 

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2025年6月 7日 (土曜日)

ブルーノートのヴォーカル盤・2

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。

Dodo Greene『My Hour of Need』(写真左)。1962年4月2, 17日の録音。ブルーノートの9001番。ドド・グリーンのボーカル盤である。ブルーノート9000番台に録音された2枚のヴォーカル作品の中の1枚。ちなみにパーソネルは以下の通り。

1962年4月2日の録音は、Dodo Greene (vo), Ike Quebec (ts), Grant Green (g), Sir Charles Thompson (org, tracks 1-10), Milt Hinton (b, tracks 2, 7, 9 & 10), Herbie Lewis (b, tracks 1, 3-6 & 8), Al Harewood (ds, tracks 2, 7, 9 & 10), Billy Higgins (ds, tracks 1, 3-6 & 8)。

1962年4月17日の録音は、Dodo Greene (vo), Ike Quebec (ts), Grant Green (g), Eddie Chamblee (ts, tracks 11-14), Edwin Swanston (org, tracks 11-14), John Acea (p, tracks 15-16), Wendell Marshall (b, tracks 11-16), Jual Curtis (ds, tracks 11-16)。

このアルバム、初出のLPでは全10曲(1962年4月2日の録音)。1996年のCDリイシュー時のボーナス・トラックの追加が6曲(1962年4月17日の録音)。
 

Dodo-greenemy-hour-of-need

 
11曲目から16曲目までのボートラは、続編アルバムの為に録音された未発表曲。この辺がCDリイシュー時のボートラ追加の「いらぬお節介」なところ。ここでは、初出LPでの全10曲を中心に書かせていただく。

もともとは、1962年4月2日、アイク・ケベック・クインテットの伴奏で演奏したアルバム。ドド・グリーンのヴォーカルは、R&Bとソウルフルなブルースを融合させた小粋なジャズ・ヴォーカルが個性。ヴォーカリストとしての実力は折り紙付き。ポップでブルース寄りの歌唱は、ファンクネスを漂わせつつ、アーシーでゴスペルチックな感じで、僕は大好きだ。

軽快なR&B風のリズム&ッビートに乗り、アイク・ケベックのソウルフルなテナーが全編でドド・グリーンのヴォーカルを盛り上げる。ヴォーカリストが主役のアルバムなので、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグラント・グリーンのギターはちょっと控えめ。それでも、そこはかとなくファンクネスを振り撒いて、アルバムのソウルフルな雰囲気をより濃いものにしている。

オルガンの音も効果的に響いて、このボーカル盤の雰囲気は「ポップでブルース寄りなソウル・ジャズ」。サウンド全体からブルーノート臭さがプンプン漂って、確かにこのヴォーカル盤は、ブルーノートにしか作れない、ブルーノート謹製の女性ボーカル盤である。
 
 

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2025年6月 6日 (金曜日)

ブルーノートのヴォーカル盤・1

レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」。まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにしている。

Sheila Jordan『Portrait of Sheila』(写真左)。1962年9月19日、10月12日の録音。ブルーノートの9002番。ちなみにパーソネルは、Sheila Jordan (vo), Barry Galbraith (g), Steve Swallow (b), Denzil Best (ds)。ギター・トリオのリズム隊を従えた、シーラ・ジョーダンのボーカル盤である。ブルーノート9000番台に録音された2枚のヴォーカル作品の中の1枚。

総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオン率いる当時のブルーノートは「ボーカル盤制作には手を出さない」方針だったのだが、何故か1962年、突如、ブルーノート9000番台(Vocal 9000 series)なるボーカル盤シリーズをスタートする。

が、なんとこの9000番台、2枚で打ち止め。よほど、ライオンはボーカル盤制作に魅力を感じなかったとみえる。しかし、さすがはブルーノート。2枚しかないボーカル盤だが、どちらも内容はピカイチ。

さて、順番は逆になるが、今日は9002番のシーラ・ジョーダン盤。シーラ・ジョーダン(Sheila Jordan)は、1928年、ミシガン州デトロイト生まれの女性ジャズ・シンガー。
 

Sheila-jordanportrait-of-sheila

 
ピアノレス、バリー・ガルブレイス擁するギター・トリオのリズム隊を従え、シーラ・ジョーダンが唄いまくる。旧来のジャズ・ボーカルとは一線を画する、しっとりした、キュートでスイートな歌唱は魅力十分。

派手さは全くないが、バリー・ガルブレイスのジェントル&ウォームなギター,スティーブ・スワローのクールだが強靱で推進力のあるベース,デンジル・ベストの繊細なブラッシュ・ワーク、の堅実なバッキングが清々しく、シーラのプリティなヴォーカルを際立せる。

シーラは、声を楽器のように扱う独特な歌唱が個性を活かして、スタンダード「Falling In Love With Love」「Dat Dere」「Willow Weep For Me」など趣味の良いジャズ・ナンバーをクールに歌う。

そう、ブルーノートのボーカル盤の1枚、このシーラのボーカル盤は、シーラの声を、楽器のように扱う感じのプロデュースを施している様に感じる。まさか、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンは、ボーカルを楽器の様に扱うことで、取り扱い禁止だったボーカル盤を制作することを思いついたのだろうか。

確かに他のレーベルのジャズ・ボーカル盤とは一線を画する、ブルーノート独特の女性ボーカル盤。一聴の価値あり、である。
 
 

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2025年6月 5日 (木曜日)

早熟 ”ケリー” のデビュー盤

さて、ブログの再開です。5月31日(土)以降、5日ぶりのブログになります。今日はウィントン・ケリーのデビュー盤の記事でスタートです。

Wynton Kelly『Piano Interpretations』(写真左)。1951年7月25日、8月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p: all tracks, celeste: track 17), Oscar Pettiford (b, tracks 1 & 5–10), Franklin Skeete (b, tracks 2–4 & 11–19), Lee Abrams (ds, congas)。

ウィントン・ケリーが19歳でデビューした初ソロアルバム(1951年作品)は、スタンダード中心のピアノ・トリオ盤。全曲2~3分程度と短めで、CDでは19曲。初出は10インチLP、オリジナルは8曲で、タイトルは、Wynton Kelly『New Faces-New Sounds』(ブルーノートの5025番) 。

こういったCDリイシュー時、未発表音源を追加するのが、流行し、今では常態化しているが、アルバム評論をまとめる場合。LPでの初出のイメージで語るのか、CDリイシュー時の未発表音源込みで語るのか、はっきり宣言しないといけない盤も多々あるから困る。
 

Wynton-kellypiano-interpretations

 
では、この『Piano Interpretations』は、オリジナルは8曲、CDリイシュー時に11曲追加という、強烈なボートラ追加がなされている。が、演奏自体は統一感があり、1951年7月25日、8月1日と2つの録音日に分かれているが、CDリイシュー時の未発表音源込みで語っても、全く問題の無いレベル。

さて、ウィントン・ケリーは、健康優良児的に、ポジティブにスイングするピアノが特徴。コロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。

そんなケリーのピアノの個性が、このデビュー盤で既に確立されている。早熟の天才ジャズ・ピアニストと形容してよいであろう、このデビュー盤の録音時、ウィントン・ケリーは弱冠19歳。どんなスピードの弾き回しも難なくこなす最高のテクニック。バラード曲などでの溢れんばかりの歌心。どう聴いたって、19歳のピアニストのテクニックだとも、感情移入だとも思えない。

このデビュー盤を聴くと、ウィントン・ケリーがいかに早熟の天才だったが判る一方、弱冠19歳にして、ケリーのピアノの個性の確立を確認して、以降の「伸びしろ」が不安になる。そんな期待と不安が入り交じったデビュー盤である。
 
 

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