「収監後」のペッパーの音の安定
このペッパーのリーダー作CDはジャケットがイマイチで、どうしても触手が伸びなかった思い出がある。1970年代とはいえ、純ジャズのアルバムで、こんなポップで凡庸なイラストのジャケットは無いだろう。いかに、1970年代の純ジャズ・シーンが迷走していたかが判る。しかし、このジャケに騙されてはいけない。意外とこの盤、内容グッドの好盤なのだ。
Art Pepper『No Limit』(写真左)。1977年5月26日の録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as, ts), George Cables (p), Tony Dumas (b), Carl Burnett (ds)。アート・ペッパー復帰後の3作目。ペッパーはこのアルバムを、1977年11月21日に亡くなったレスター・ケーニッヒに捧げている。
1977年の純ジャズの音世界である。ペッパーのアルト・サックスは好調を維持。「収監後」のペッパーの音、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。ペッパー・オリジナルなモードがほぼ成熟した感のある、好調なパフォーマンスを堅持している。ジョージ・ケイブルスのピアノも良い。流麗でグルーヴィーでソウルフル。ダイナミックな弾き回しで、しっかり、ペッパーをサポートし鼓舞している。
ベースの音はエレベか、はたまた、アコベにアタッチメントを付けて音を増幅したか。いずれにしても、1970年代の純ジャズの音である。このベースの音について評判が悪いが、テクニックはまずまず、リズム&ビートも堅実。音は1970年代のジャズ録音のトレンドである「電気的に増幅された音」をとやかく言うよりは、メンバーそれぞれの演奏内容をしっかり聴くことが肝要かと思う。そんなに忌み嫌うほど、酷いベースとドラムとは感じないんやけどなあ。
とりわけ、ペッパーが、ラジオで、ロバータ・フラックが歌うこの曲を聴いて,感動して吹き込みを決意したという2曲目の「Ballad of the Sad Young Man」や、妻に捧げた3曲目「My Laurie」といった、ペッパーのバラード吹奏が魅力的。そして、CDリイシュー時、ボートラで追加収録された、ラストの「No Limit」がとても良い。「収監後」のペッパーの主要レパートリーだった、ラテン志向のアグレッシブな「Mambo de la Pinta」も良い出来。
この『No Limit』あたりで、「収監後」のペッパーの音は成熟し安定してきたと感じる。コルトレーンの影響とか、コルトレーンのモノマネとか、色々揶揄される「収監後」のペッパーであるが、この盤でも判る様に、「収監後」のペッパーのアルト・サックスは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、ペッパー・オリジナルな吹奏である。そんなペッパー・オリジナルなパフォーマンスが、てんこ盛りな好盤である。
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