D.バードの硬派なソウル・ジャズ
1960年代後半、ジャズの多様化がさらに進む一方、ビートルズのアメリカ公演後、大衆音楽としてジャズの人気が下降線を辿り出した頃である。そんな時代の中、前作『Mustang』(1966年)はジャズ・ロック。当時、ヒットしたらしい。パーソネルを見渡すと、ハードバップど真ん中からモード・ジャズが得意なメンバーだが、なかなかノリの良いジャズ・ロックをかましていた。
Donald Byrd『Blackjack』(写真左)。1967年1月9日の録音。ブルーノートの4259番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Red (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Walter Booker (b), Billy Higgins (ds)。ドナルド・バードのトランペットと、ソニー・レッドのアルト・サックス、ハンク・モブレーのテナー・サックスがフロント3管のセクステット編成。
今回はCDリイシュー時のボートラ「All Members」は、録音日時もパーソネルも、オリジナルの『Blackjack』自体とは全く異なるので、今回は割愛して話を進める。と言うことで、録音日、パーソネルは上記の通り。
さて、前作『Mustang』(2024年6月14日のブログ参照)はジャズ・ロックだった。今回の『Blackjack』はソウル・ジャズ。ドナルド・バードのソウル・ジャズといえば、1964年に大手ヴァーヴからリリースされた『Up with Donald Byrd』(2025年5月17日のブログ参照)があるが、これは「売らんがため」の「一般ウケ」するアレンジが施された、ながら聴きに向いた、イージーリスニング・ジャズ志向の「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」だった。
さて、ブルーノートに戻っての、ドナルド・バードのソウル・ジャズはどうなのか。プロデューサーは、当然、総帥アルフレッド・ライオン。この『Blackjack』を聴き終えて、思う。ドナルド・バードはブルーノートの音と志向を良く理解し、それを明確に具現化している、と。この『Blackjack』には、ブルーノート仕様の、純ジャズ志向のなドナルド・バード流ソウル・ジャズが展開されている。
ジャズ・ファンクまでには至らない、純ジャス志向で硬派なソウル・ジャズが展開される。アドリブ展開ではモーダルなフレーズで展開しまくる面も多々あり、女性コーラスの登場などという、俗っぽくポップな仕掛けは皆無。あくまで硬派に、あくまでアーティステックに、ソウルフルなジャズを展開している。これが、実にブルーノートらしく、ドナルド・バードはジャズの演奏志向において、適応力が幅広で適応力が抜群、ということを再認識する。
ドナルド・バードのトランペットと、ソニー・レッドのアルト・サックス、ハンク・モブレーのテナー・サックスがフロント3管は、分厚く重厚、ファンクネス芳しく、唄うが如くソウルフル。バードのアーシーかつブルージー、ブリリアントで端正な吹き回しが良い。モブレーが迫力はる魅力的な、ファンクネス溢れるモーダルなフレーズを連発している。レッドのフリーキーな吹き回しも凄い。
1967年という時代に、それまでの純ジャズの演奏トレンドの数々を上手くブレンドして、硬派なソウル・ジャズに仕立て上げられた『Blackjack』の音世界。それは、紛れもなく、ブルーノートの音であり、ブルーノートの考えるソウル・ジャズの具現化でもある。ブルーノートのハウス・トランペッター、ドナルド・バードの面目躍如である。
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