第一期カシオペアの音の成熟
前作『SUN SUN』の、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズの音を踏襲しつつ、ボーカルを導入したり、バック・ボーカルを工夫して織り込んだり、よりポップな仕上がりになっている。サウンド・ファクターとしては、NYらしいダンスビートを積極採用し、ドラムには深いデジタル・リバーブが掛けられている。
CASIOPEA『PLATINUM』(写真左)。 1987年6月11日~6月23日は、NYの「SOUNDTRACK」、1987年6月23日は、LAの「STUDIO SOUND」での録音。1987年9月1日のリリース。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。
カシオペアの17枚目のアルバム。 自身の新レーベル、新レーベルAURAの設立後、第一弾のアルバム。ゲストに、楠木勇有行, Djavan (vo), Steve Thornton (perc), Earl Gardner (tp), Alex Foster (as), Lenny Pickett (ts, bs)。ボーカルとブラスの導入が、いかにも、米国フュージョンっぽい。
しかし、である。アメリカナイズされたフュージョン・ジャズの音ではあるが、ファンクネスはほとんど感じられない。さすが、純和製のクロスオーバー&フュージョンである。ファンク・ビートは採用されてはいるが、粘りがなく、さらっと乾いている。これが、純和製のクロスオーバー&フュージョンのリズム&ビートの特徴である。
ポップなアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向の音作りで、当時流行のダンスビートを取り入れ、ドラムには深いデジタル・リバーブがかかっているが、純和製のクロスオーバー&フュージョンの特徴である、乾いたファンク・ビートお陰で、「大味で単調で飽きが来る」という米国フュージョンの欠点をクリアしている。
乾いたファンク・ビートお陰で、メインの楽器のフレーズが、重厚なビートに埋まることなく、しっかりとビートと折り合いをつけて、しっかりと前面に出てきている。カシオペアの個性である「疾走感」も損なわれることなく、しっかりと「ある」し、カシオペアの特徴である「バカテク」が、ビートに負けることなく、しっかり聴き取れる。
ポップなアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向の採用のお陰で、演奏のテンポが、ミッド・テンポが中心になったことで、以前のカシオペアの「バカテク・疾走」フュージョンの個性が薄れて、これはカシオペアではない、とされた向きもあるが、今の耳で聴き直してみても、メインの楽器のバカテク・フレーズがしっかり聴こえているので、ミッド・テンポの演奏とは言え、疾走感は十分に「ある」。
このアルバムは、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの成熟形だと解釈している。さすが、自身の新レーベル、新レーベルAURAの設立後、第一弾のアルバム。バンド全員、気合いが入って、爽快な仕上がりである。
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