1970年ジョーヘンの好ライヴ盤
1970年のジョー・ヘンダーソン(以下「ジョーヘン」)のライヴ盤。LPでの初出のタイトルが『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)、リイシュー時、曲順をちょっと変え、トラックを追加したCDのタイトルが『At The Lighthouse』(写真右)。
ちょっと紛らわしいのだが、どちらも、米国西海岸のロスアンゼルス近郊のハモサビーチにある有名ジャズ・カフェ「ライトハウス」でのライヴ録音になる。ここでは、LPでの初出時の収録曲を基に話を進めたい。
Joe Henderson Quintet『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)。1970年9月24–26日、米国L.A.、Hermosa Beachの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (flh, tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。テナーのジョーヘンがリーダーの、クインテット編成+コンガ。
1970年、ジャズは「大衆化」の波に取り残され、マニア化の一途を辿り出す。電気楽器を上手く活用したクロスオーバー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがトレンド化した頃。このライヴ盤もその時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている。
フロント2管を形成する、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー絶好調、ウディ・ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペット絶好調。そして、ジョージ・ケイブルスのモーダルなエレピ(フェンダー・ローズ)絶好調。1970年のジョーヘン・クインテットの好ライヴ盤である。
コンガ入りのリズム隊も絶好調。細かくリズムを刻むレニー・ホワイトのドラムが、ジョーヘンとショウのモーダルなパフォーマンスを効果的に鼓舞する。さすがライヴ盤で、ジョーヘンのモーダルなアドリブも、ショウのモーダルなアドリブも熱量があって、ダイナミック。ほんと、自然体のモード・ジャズといった体が実に良い。
選曲も良く、LP時代で考えると、LP収録の全5曲中(1曲は「Closing Theme」なので割愛)、ブルーノート時代の『Page One』から1曲、『Mode for Joe』から2曲、有名スタンダードから1曲、タイトルの自作曲1曲、を採り上げている。
半分の3曲がブルーノート時代のジョーヘン好盤の2枚から選曲されているところが良い。ジョーヘン=ショウのフロント2管による、モーダルで個性的な展開の良いところが、このライヴ盤に詰まっているから堪らない。
かなり重厚で自由に富んだモード・ジャズでありながら、どこか軽快で軽妙なところがあって、深刻にならないのだが、これは、ケイブルスのエレピの存在が、演奏全体に良い影響を与えているからだと思う。
フェンダー・ローズの響きはモーダルな演奏に「よく似合う」。モーダルなジャズの深刻さ・難解さを緩和する様なケイブルスのローズの響き、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー、ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペットとが融合して、このライヴ盤を好盤としている。
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