ジャズ喫茶で流したい・286
ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリスト、フィル・アップチャーチの1972年のリーダー作。パーソネルを見渡すと、後のクロスオーバー&フュージョン・ジャズを担う曲者ミュージシャンたちがずらりと並んでいる。ダニー・ハサウェイ、チャック・レイニー、ジョー・サンプル、ハービー・メイソン、ベン・シドランなどなど。
Phil Upchurch『Darkness Darkness』(写真左)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Lead Guitar – Philip Upchurch (g), Joe Sample (p), Chuck Rainey (b), Harvey Mason (ds) Arthur Adams (rythm-g), Ben Sidran (org), Don Simmons (ds), Donny Hathaway (el-p), Bobbi Porterhall (congas,tamb) , Nick De Caro (horns- arr, cond)。
1972年といえば、クロスオーバー・ジャズが隆盛に向かいつつある時代。そんな時代に、クロスオーバー&フュージョンの音を先取りした、エレクトリックなソウル・ジャズ。それは、優れたプロデュースとアレンジの賜物で、プロデュースにはトミー・リピューマ、アレンジにAORのニック・デカロ。時代を先取した音作りを実現した、プロデュース&アレンジ、納得である。
収録曲はカヴァー中心。ジェイムス・テイラーの名曲「Fire And Rain」、ジェイムズ・ブラウンの「Cold Sweat」、ブルースカバー「Please Send Me Someone To Love」、マーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」、キャロル・キングの「You've Got A Friend」。それぞれの名曲をソウルフルにファンキーに、アップチャーチ独特の硬質パキパキな音色で、コキコキとソフト&ハードなエレギで弾き進めていく。
キャロル・キングの「You've Got A Friend」など、その典型的な演奏だろう。緩やかなソフト&メロウな前奏から、メインのフレーズを神妙に祈る様に弾き進めていく。しかし、真ん中あたりから、いきなりハードな展開にガラッと変わる。ハードだがグルーヴィーなフレーズで、祈りが天に届く様な叫びに変化し、ダイナミックでソウルフルな弾きっぷりが見事。この変化とグルーヴ感はアップチャーチ独特の、ならではのものである。
時は1972年。インスト中心、カヴァー中心、この盤ってフュージョン・ジャズでしょ、と言われることが多いが、これはまだ、クロスオーバーでもなければ、フュージョンでも無い。上質でユニークな「エレクトリックなソウル・ジャズの成熟形」の一つ。この圧倒的にソウルフルな感覚とハードなグルーヴ感は他にはない、唯一無二なもの。名盤である。
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