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2025年5月31日 (土曜日)

MJQとロリンズの共演は絶品

The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)。略称「MJQ」。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、最初にお気に入りとなったジャズ・ユニットである。

彼らは、クラシックの室内楽的な緻密精巧なアレンジと、ジャズ特有のインプロビゼーションを混在させ、ワン・アンド・オンリーな楽曲を提供する。まるで、クラシックの「バッハ」を想起させる、対位法的なアンサンブルの高尚さでグッと惹きつけ、ブルージー&ジャジー極まりないアドリブが炸裂する。

ルイスのクラシックな要素を取り入れた知的なピアノ演奏と、ミルト・ジャクソン(以降「バグス」)のジャジーでブルージーな演奏スタイルがバッチリ融合して、徹底的にブルージー&ジャジー、そこはかとなくアーティステックでエレガントな雰囲気が特徴。

The Modern Jazz Quartet『Live at Music Inn with Sonny Rollins』(写真左)。別名『The Modern Jazz Quartet at Music Inn Volume 2』。1958年8月3 & 31日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds), Sonny Rollins (ts, tracks 5–6)。The Modern Jazz Quartet(MJQ)の「Live at Music Inn」シリーズの第2弾。ゲストに、テナーのソニー・ロリンズを迎えている。

マサチューセッツ州レノックスのミュージック・インで行われたライヴ演奏集で、1958年8月3日の録音が、MJQ単独での演奏。8月31日の録音が、MJQのゲストにソニー・ロリンズを迎えた演奏。時は1958年。MJQ自身、結成後、最初のバンドのピークに向かって突き進んでいた頃。ロリンズは既にジャズ・テナーの第一人者としてのポジションを手に入れていた。
 

The-modern-jazz-quartetlive-at-music-inn

 
まず、MJQ単独の演奏が素晴らしい。冒頭の「Stardust 〜 I Can't Get Started 〜 Lover Man」からして素晴らしい。MJQらしさが横溢している。まず、このメドレーのアレンジが素晴らしい。アレンジャー、ジョン・ルイスの面目躍如。

その優れたアレンジに乗って、ルイスが、クラシックな要素を取り入れたクールで知的なピアノを弾いて、バンド全体を牽引する。そして、バグスのヴァイブが歌いまくる様に乱舞し、ヒースのベースが頑固一徹、堅実一本槍のウォーキング・ベースを弾きまくり、ケイの変幻自在、硬軟自在なドラミングが演奏全体をガッチリ支える。

ラス前「Bags' Groove」とラストの「Night in Tunisia」は、MJQとソニー・ロリンズとの共演。MJQの徹底的にブルージー&ジャジー、そこはかとなくアーティステックでエレガントで流麗な演奏をバックに、ロリンズが繊細で小粋なテナーを聴かせる。スケール広大&豪放磊落に吹きまくるロリンズばかりがロリンズでは無い。

そこはかとなくアーティステックでエレガントで流麗なMJQに演奏に呼応する様に、ロリンズは繊細で小粋なテナーで応答する。これがまあ絶品。何も、ビッグ・トーンで吹きまくるだけがジャズ・テナーでは無い。

ロリンズはテナー吹奏の表現について、想像以上に、奥が深く、バリエーション豊かであることが、このライヴ盤の「Bags' Groove」と「Night in Tunisia」の2曲のロリンズを聴いて良く判る。ロリンズのテナーの懐の深さを思い知る。

我が国では何故か評価の低いライヴ盤ですが、僕の耳にはそんな風には響かない。極上のMJQの演奏がここに記録され、懐の深い、バリエーション豊かな、繊細で小粋なロリンズのテナーが記録されている。僕はこのライヴ盤、お気に入りです。
 
 

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