バグス ”ウィズ オケ”+バラード集
ディスコグラフィーを見直してみて、ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)、自身のリーダー作において、マンネリを避ける為か、他の一流のジャズマンとの共演盤が多い。加えて、企画ものが結構ある。ウィズ・ブラスオケや、ウィズ・ビッグバンド、ボサノヴァ&サンバ集、などなど。
Milt Jackson『The Ballad Artistry of Milt Jackson』(写真左)。1959年5月1日、9月9–10日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Don Hammond (alto-fl), Romeo Penque (reeds), Jimmy Jones (p, arr), Barry Galbraith, Chuck Wayne (g), Bill Crow, Milt Hinton (b), Connie Kay (ds), Quincy Jones (arr, cond)。
今回は「ウィズ・弦オーケストラ+バラード集」、いわゆる「ウィズ・ストリングス」盤である。録音時期は1959年、ハードバップ成熟期。演奏される内容は、10年後にやってくる「イージーリスニング・ジャズ」の極上の走り。今回は「ウィズ・弦オケ+バラード集」は弦オケのアレンジが命なんだが、この盤では、アレンジャーにクインシー・ジョーンズが名を連ねている。なるほど、心地良く、良い感じにアレンジされているはずである。
ヴァイブの音の響きと重なり、そして、バグスの紡ぎ出す唄うようなフレーズが、バラード曲にぴったりフィットする。そのバックに、良好なアレンジの弦オーケストラが鳴り響いて、バグスのヴァイブがさらに、ブルージーにファンキーにバラード曲を唄い上げていく。弦オーケストラをバックに、バグスのヴァイブの音がクッキリ浮かび上がる、極上のバラード集に仕上がっている。
しかし、バグスにバラードを演奏させるとピカイチ。そもそも紡ぎ出すフレーズに、たっぷりと歌心が乗っているのだから、堪らない。どのバラード曲も、その曲の持つ魅力をバグスのヴァイブが効果的に引き出している。ゆったりとしたテンポで、朗々と広々とヴァイブでバラードを弾き進めていくバグスは見事である。
「ウィズ・ストリングス」盤として、アレンジ良しの好盤、「小粋なバラード集」として、歌心満点の好盤。元々、ヴァイブの持つ、硬質クリスタルで瑞々しい音、そして、それを駆使して、極上の「イージーリスニング・ジャズ」として、聴き心地満点の好盤。難しいこと言いっこなしの、夜のしじまに心地良く響く「ながら聴きジャズ」の好盤である。
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