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2025年5月24日 (土曜日)

ベシェの「Summertime」を聴く

シドニー・ベシェ(Sidney Bechet、1897年5月 - 1959年5月)。米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のジャズ・ミュージシャン。クラリネット、ソプラノ・サックス奏者。ニューオーリンズ・ジャズの分野で活躍した。

一方、ブルーノート・レーベルは最長のジャズ専門レーベル。1939年、NYにて設立。設立者は、ブルース大好きドイツ系移民のアルフレッド・ライオン。ブルーノートは、ブギウギ・ピアノの2枚のEPによってそのスタートを切る。そして、1940年には、シドニー・ベシェの「サマータイム」がヒットを記録している。初期のブルーノートの経営は、そのレコードの売り上げでぎりぎり持ちこたえたと言われる。

Sidney Bechet『Jazz Classics with Bunk Johnson, Vol. 1』(写真左)。1993年、仏のEMI Records で制作されたコンピレーション・アルバムである。ちなみにパーソネルは、以下の通り。コンピ盤なので、パーソネルが雑然としているが、我慢していただきたい。

Sidney Bechet (cl, ss), Albert Nicholas (ci, 5, 10), George Lugg (tb, 3, 8), Sandy Williams (tb, 6, 7), Vic Dickenson (tb, 1, 2), Bunk Johnson (tp, 6, 7), Max Kaminsky (tp, 3, 8), Sidney De Paris (tp, 1, 2), Teddy Bunn (g, 4, 9), Art Hodes (p, 1 to 3, 5, 8, 10), Cliff Jackson (p, 6, 7), Meade "Lux" Lewis (p, 4), John Williams, George "Pops" Foster (b), Danny Alvin (ds, 5, 10), Manzie Johnson (ds, 1, 2, 6, 7, 9), Sidney Catlett (ds, 4), Fred Moore (ds, vo)。

シドニー・べシェがリーダーの演奏が10曲収録されているが、この中でも、一番重要な演奏が「Summertime」。

ベシェは、クラリネットの名手であり、デキシーランド・ジャズをはじめとする、ジャズ初期における「クラリネット」をメイン楽器化に大きな役割を果たしている。また、ソプラノ・サックスの先駆的な使用は、後の世代のサックス奏者も継承される、先駆的な事例となっている。
 

Sidney-bechetjazz-classics-with-bunk-joh

 
ソプラノ・サックスのジャズにおける最初の録音時の使用は、ジョン・コルトレーンの1960年10月録音の「My Favorite Things」と間違った情報がまかり通っているみたいだが、正確には、このシドニー・ベジェの1940年録音の「Summertime」が、ジャズにおける最初の録音時の使用になる。コルトレーンは、それを復活させた、と言う訳。なんでもかんでも、コルトレーンを神格化扱いするのは、いかがなものか、と思う。

このコンピ盤での演奏は、基本的に「スイング・ジャズ」の範疇である。聴かせるジャズ、踊れるジャズの基本中の基本の演奏形態であり、ジャズが大衆音楽として認識された最初の演奏形態でもある。

そんなスイング・ジャズのマナーの中で、べシェの「Summertime」の演奏は、アレンジこそまだ単純な、発展途上な簡易なものだが、べシェのソプラノ・サックスによるカヴァー演奏は、後のイージーリスニング・ジャズを大幅に先取りした様な、判り易く端正で流麗なパフォーマンスで、当時、ヒットしたのも頷ける出来である。

評論家レナード・フェザーいわく「当時こうした(甘い)ポピュラー・チューンを取り上げることは、従来のジャズ・ファンに対して少々乱暴なこと」だったらしいが、今の耳には、良質なイージーリスニング・ジャズ志向のカヴァー演奏と捉えることができる。アレンジがシンプルで成熟していないところだけは、時代が時代だけに仕方が無い。

「Summertime」以外の演奏もスイング・ジャズとして整った、水準以上の演奏が繰り広げられており、1940年頃のスイング・ジャズの良いところがしっかりと記録されている。ブルーノートのごくごく初期の録音の成功例として、ジャズ・マニアとしては、一度は耳にしておくべき音源だとは思う。
 
 

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