超一流のセッション・ギタリスト
Phil Upchurch(フィル・アップチャーチ)。1941年7月19日、米国イリノイ州シカゴ生まれのギタリスト兼ベーシスト。ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリストである。
『Phil Upchurch』(写真左)。邦題「フィル・アップチャーチの真髄」。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch, John Tropea (g), keyboards : Richard Tee, Leon Pendarvis, Arron Jamal, Larry Fast (key), Jorge Dalto (p), Will Lee, Chuck Rainey (b),Steve Gadd, Harvey Mason (ds), Jimmy Maelen, Kewu, Tony Carpenter, Henry Gibson (perc)。
フィル・アップチャーチのエレギは、音色と弾き方の「個性」で勝負するエレギ。アップチャーチ独特の硬質パキパキな音色、ミッド・テンポで、コキコキと弾き進める。独特というか、唯一無二な音色と弾き方で、他にこの音色と弾き方を持つギタリストはいないと思う。逆に一度聴いたら忘れられない「音色と弾き方」。
実は、既に1960年代初頭からリーダー作を出しているフィル・アップチャーチ。この盤は、通算9枚目のソロ・アルバムになる。このアルバム、編集が面白くて、アナログLP盤のA面をジョン・トロペイが、B面をジョージ・ベンソンがプロデュースしている。
トロペイ・サイドは「ダイナミックな演奏」NYのミュージシャンが中心。スティーヴ・ガッドやリチャード・ティー、ウィル・リーらが名を連ねていて、NYクロスオーバー&フュージョン・オールスターって感じ。アップチャーチはリードのみを弾き、収録曲はカヴァー中心。シュギー・オーティス「Strawberry Letter 23」、デニース・ウィリアムス「Free」、ジャクソンズ「Good Times」。
ベンソン・サイドは「ソフト&メロウな演奏」で、LAのミュージシャンが中心。ピアノにホルヘ・ダルト、ドラムにハーヴィー・メイスンが、ベースにはチャック・レイニー。全曲フィル自身の書き下ろし曲で、演奏全体の雰囲気は「裏ブリージン」。アップチャーチはギターリードとリズムの両方を弾き流麗なフュージョン志向の演奏で、アップチャーチのリズムギターが映えに映える。
アップチャーチがリード・ギター、リズム・ギター、ベース、ドラムを一人で演奏し、デオダートがストリングとホーンアレンジをした曲「Cyrenna」がユニーク。演奏全体が心地よいファンクネスで固められて、むっちゃ格好良い。
クロスオーバー&フュージョン志向のエレギ好きにはたまらない、内容充実の「レア・グルーヴ+ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」の傑作盤。我が国のクロスオーバー&フュージョン畑では、なぜか、かなりマイナーな存在のフィル・アップチャーチ。再評価が待たれる「超一流のセッション・ギタリスト」である。
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