ジャズ喫茶で流したい・287
ローリー・ペッパー(アート・ペッパーの妻)のBandcampでのメモを引用させていただく。1978年のアート・ペッパー二度目の来日。自らのバンドを率いてのライヴ行脚であった。
「1978年、私たちは2度目の来日を果たした。 今度はアートが自分のバンドを率いて、自分の曲を演奏した。 とても素晴らしいツアーだった。 これは山形の円形劇場で収録されたラジオ放送だった。 バンドがどんなに不思議で感動的な聴衆を集めていたかがわかるだろう」。
Art Pepper『Live In Japan』(写真左)。1978年3月14日、山形の「YBC TV Hall」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Milcho Leviev (p), Bob Magnusson (b), Carl Burnett (ds)。Art Pepper『Live In Japan Vol. 1 - Ophelia』と、Art Pepper『Live In Japan Vol. 2 - The Summer Knows』と、2枚のアルバムに分けてリリースされていたものをカップリングして、リイシューしたものらしい。
「収監後」のアート・ペッパーである。「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウが、しっかりと記録されている。このライヴでのペッパーは好調。「ペッパー・オリジナルなモード」に展開し、「ダイナミックにスイング」する。コルトレーンの影響下のブロウとするよりは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、とした方がしっくりくる。
エモーショナルで、時にフリーに時にアブストラクトに展開するのは、確かにコルトレーンっぽいが、このライヴ録音がされた時代では、これは「1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンド」となっている。そして、出てくるフレーズのノリと展開は、コルトレーンとは似ても似つかぬもの。「収監後」のペッパーのアルト・サックスの個性がしっかり記録されている。ここでのペッパーのブロウは素晴らしい。現代の第一線のサックス奏者のパフォーマンスと比べても、勝るとも劣らぬ、素晴らしい個性的なブロウである。
ミルチョ・レヴィエフのピアノも良い味を出している。変幻自在のピアノ、と形容したら良いか。1950年代〜60年代のジャズ・ピアノのスタイルの中から、ペッパーに合ったスタイルを選び出し、そのスタイルをレヴィエフ・オリジナルとしつつ、ペッパーを効果的にサポートし鼓舞する。
気のせいかもしれないが、演奏のところどころで、「至上の愛」的なフレーズがフッと出てくるのには、思わず「へっ」と思ったり、「にんまり」苦笑いしたり。しかし、それが違和感なく、自然とパフォーマンスの中で躍動する訳だから、まさしく、このペッパー・バンドのライヴ・パフォーマンスは、1970年代の、1970年代の演奏トレンドをしっかりと踏まえた、上質のパフォーマンスなんだろうと至極納得した。
1978年を生きるペッパーの極上のパフォーマンスの記録がここにある。1970年代純ジャズの名盤の一枚だと僕は思う。
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