« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »

2025年5月の記事

2025年5月31日 (土曜日)

MJQとロリンズの共演は絶品

The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)。略称「MJQ」。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、最初にお気に入りとなったジャズ・ユニットである。

彼らは、クラシックの室内楽的な緻密精巧なアレンジと、ジャズ特有のインプロビゼーションを混在させ、ワン・アンド・オンリーな楽曲を提供する。まるで、クラシックの「バッハ」を想起させる、対位法的なアンサンブルの高尚さでグッと惹きつけ、ブルージー&ジャジー極まりないアドリブが炸裂する。

ルイスのクラシックな要素を取り入れた知的なピアノ演奏と、ミルト・ジャクソン(以降「バグス」)のジャジーでブルージーな演奏スタイルがバッチリ融合して、徹底的にブルージー&ジャジー、そこはかとなくアーティステックでエレガントな雰囲気が特徴。

The Modern Jazz Quartet『Live at Music Inn with Sonny Rollins』(写真左)。別名『The Modern Jazz Quartet at Music Inn Volume 2』。1958年8月3 & 31日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds), Sonny Rollins (ts, tracks 5–6)。The Modern Jazz Quartet(MJQ)の「Live at Music Inn」シリーズの第2弾。ゲストに、テナーのソニー・ロリンズを迎えている。

マサチューセッツ州レノックスのミュージック・インで行われたライヴ演奏集で、1958年8月3日の録音が、MJQ単独での演奏。8月31日の録音が、MJQのゲストにソニー・ロリンズを迎えた演奏。時は1958年。MJQ自身、結成後、最初のバンドのピークに向かって突き進んでいた頃。ロリンズは既にジャズ・テナーの第一人者としてのポジションを手に入れていた。
 

The-modern-jazz-quartetlive-at-music-inn

 
まず、MJQ単独の演奏が素晴らしい。冒頭の「Stardust 〜 I Can't Get Started 〜 Lover Man」からして素晴らしい。MJQらしさが横溢している。まず、このメドレーのアレンジが素晴らしい。アレンジャー、ジョン・ルイスの面目躍如。

その優れたアレンジに乗って、ルイスが、クラシックな要素を取り入れたクールで知的なピアノを弾いて、バンド全体を牽引する。そして、バグスのヴァイブが歌いまくる様に乱舞し、ヒースのベースが頑固一徹、堅実一本槍のウォーキング・ベースを弾きまくり、ケイの変幻自在、硬軟自在なドラミングが演奏全体をガッチリ支える。

ラス前「Bags' Groove」とラストの「Night in Tunisia」は、MJQとソニー・ロリンズとの共演。MJQの徹底的にブルージー&ジャジー、そこはかとなくアーティステックでエレガントで流麗な演奏をバックに、ロリンズが繊細で小粋なテナーを聴かせる。スケール広大&豪放磊落に吹きまくるロリンズばかりがロリンズでは無い。

そこはかとなくアーティステックでエレガントで流麗なMJQに演奏に呼応する様に、ロリンズは繊細で小粋なテナーで応答する。これがまあ絶品。何も、ビッグ・トーンで吹きまくるだけがジャズ・テナーでは無い。

ロリンズはテナー吹奏の表現について、想像以上に、奥が深く、バリエーション豊かであることが、このライヴ盤の「Bags' Groove」と「Night in Tunisia」の2曲のロリンズを聴いて良く判る。ロリンズのテナーの懐の深さを思い知る。

我が国では何故か評価の低いライヴ盤ですが、僕の耳にはそんな風には響かない。極上のMJQの演奏がここに記録され、懐の深い、バリエーション豊かな、繊細で小粋なロリンズのテナーが記録されている。僕はこのライヴ盤、お気に入りです。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月30日 (金曜日)

ケリーの熱い「好ライヴ盤」です

春になると「ウィントン・ケリー」が聴きたくなる、と以前書いたが、今年はもう初夏である。それでも、突如「ウィントン・ケリー」が聴きたくなった。手元のディスコグラフィーを見ると、「ウィントン・ケリー」のリーダー作で、普通に手に入る範囲で、当ブログの記事にしていない盤があと5枚。ラストスパートである。

Wynton Kelly featuring Hank Mobley『Interpretations』(写真左)。1967年11月12日、メリーランド州ボルチモアのジャズ・ファン団体「レフト・バンク・ジャズ・ソサエティ」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Hank Mobley (ts), Cecil McBee (b), Jimmy Cobb (ds)。

ウィントン・ケリーのマニア「ケリー者」がこよなく愛する、知る人ぞ知る、ウィントン・ケリー晩期のライヴ・パフォーマンスの記録である。基本は、ウィントン・ケリーのピアノ、セシル・マクビーのベース、ジミー・コブのドラムのピアノ・トリオがメインで、ゲストとして、ハンク・モブレーのテナー・サックスが参加している。

ケリーは、どこまで行っても「ケリー」である。いつの時代も、ケリーのピアノには「ブレ」が無い。健康優良児的に、ポジティブにスイングするピアノが特徴。

コロコロと明るく転がるようにフレーズがスイングする。端正に転がるようにスイングするのではなく、独特の揺らぎをもって、この「揺らぎ」が翳りとなってスイングする。健康優良児的にスイングするところと揺らぎの翳りの対比が「ケリー」の個性。
 

Wynton-kelly-featuring-hank-mobleyinterp

 
そんなケリーの個性が、このライヴ盤の中で弾けている。徹頭徹尾、ハードバップである。モードに傾くことも、フリーに傾くことも無い。ケリー節を振り撒きながら、ファンクネスをそこはかとなく漂わせながら、好調ケリーは弾きまくっている。

モブレーも吹きまくっている。モブレーもこの頃は、ポップに傾いたり、モーダルに走ったり、ジャズの多様化にビビットに反応していたのだが、ここでは、徹頭徹尾、オーソドックスなハードバップである。しかも、バリバリ積極的に、ストレート・アヘッドに吹きまくっている。

これは、バックのリズム隊との相性が良い証拠。モブレーのテナーには、ケリーのピアノが合う。そして、コブのドラムが、そんなモブレーとケリーの「ハードバップ」を的確にフォローし、効果的に鼓舞する。ケリーのピアノの個性とモブレーのテナーの個性を熟知しているコブならではのドラミングは、このライヴ・パフォーマンスの聴きものの一つ。

新進気鋭のマクビーのベースが新しい響きを連れてきている。フロント管のモブレーや、ピアノのケリーは、圧倒的にハードバップなんだが、マクビーのベースは、どこか新主流派のモーダルな響きとフレーズを連れてきている。生粋のハードバップのフロントに、モーダルなベースラインの対比。これがこのライヴ・パフォーマンスの面白さの一つ。1967年のハードバップ最先端である。

ジャズの多様化、モードだのフリーだの全く関係無し。ここでのカルテットの4人は、徹底的にハードバップを演っている。しかも、その時代の最先端のハードバップ。以前から意外と話題に上らないライヴ盤だが、ライヴ特有の熱っぽい雰囲気も芳しい、なかなか熱い内容の、ハードバップな好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月29日 (木曜日)

D.バードの最後の純ジャズ志向

ドナルド・バードは「機を見て敏なる」トランペッター。テクニックは優秀、端正でブリリアントで理知的な吹奏。破綻無く、激情に駆られて吹きまくることなく、理知的な自己コントロールの下、常に水準以上のバップなトランペットを吹き上げる。そして、その時代その時代のジャズの演奏トレンドへの適応力が抜群。ハードバップ、ファンキー・ジャズ、ジャズ・ロック、ソウル・ジャズ、それまでのジャズの演奏トレンドに完全適応する。

Donald Byrd『The Creeper』(写真左)。1967年10月5日の録音。ブルーノートのLT1096番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Red (as, tracks 1, 3–7), Pepper Adams (bs, tracks 1, 3–7), Chick Corea (p), Miroslav Vitouš (b), Mickey Roker (ds)。

ドナルド・バードのトランペット、ソニー・レッドのアルト・サックス、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスがフロント3管のセクステット編成。バックのリズム隊には、新チック・コリアのピアノ、ミロスラフ・ビトウスのベース、という、新進気鋭の「ポスト・新主流派」なメンバーが座り、ミッキー・ローカーのドラムがリズム隊をガッチリ支えている。

出てくる音はといえば、当時、ドナルド・バードが追求していたジャズ・ロックでもなければ、ソウル・ジャズでも無い。ましては、ジャズ・ファンクでは全く無い。聴けば判るが、実に硬派な、当時の最先端を行く、メインストリーム志向の純ジャズ、モーダルなフレーズをメインとした新主流派の一歩先を行く、「ポスト・新主流派」な音が詰まっている。これには、とにかくビックリである。
 

Donald-byrdthe-creeper

 
まず、バックのリズム隊の新進気鋭の二人のバッキングがエグい。モーダルなフレーズで攻めに攻めているのだが、それまでのモーダルなフレーズとは似ても似つかない、新しい響きに満ちたバッキング。この二人の新進気鋭な、新しいモーダルなバッキングを得て、バンド全体が新しい響きに満ちたモーダルな演奏に仕上がっているのだから、ジャズって、本当に面白い。

なんせ、ハードバップ全盛期から第一線を走ってきた、ソニー・レッドのアルト・サックス、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスがフロント3管が、こってこてなハードバップらしさをかなぐり捨て、ポスト・バップでモーダルなユニゾン&ハーモニーを吹き上げ、どこか新しい響きのするモーダルなアドリブ・フレーズを展開している。一流のジャズマンって懐が深い。ハードバップの第一線で活躍してきたにも関わらず、こんなにモーダルな演奏にも完全適応するのだ。

しかし、1967年当時は、ドナルド・バードからして、ジャズ・ロックからソウル・ジャズをメインに好盤を連発していた頃。この『The Creeper』の音世界は、完全ストイックで、当時の最先端を行く、メインストリーム志向の純ジャズ、モーダルなフレーズをメインとした新主流派の一歩先を行く、「ポスト・新主流派」な音。あまりに落差がありすぎる。

恐らく、それが、録音当時「お蔵入り」になった理由かもしれない。実はこの『The Creeper』、録音時点では、ブルーノートお得意の「理由が判らない、なぜかお蔵入り」盤。発掘リリースされたのは1981年。しかもしばらく再発されなかった。しかし、内容は素晴らしい。ドナルド・バードの、新進気鋭のメンバーを交えた、渾身の最後の純ジャズ志向盤。一聴の価値のある好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月28日 (水曜日)

バードの考える ”ポスト・バップ”『Slow Drag』

前作『Blackjack』は、それまでの純ジャズの演奏トレンドの数々を上手くブレンドした、ブルーノート志向の「硬派なソウル・ジャズ」だった。その『Blackjack』から僅か4ヶ月後の録音。再び、ブルーノート志向の「硬派なソウル・ジャズ」を連発するのか、と訝しく思ったが、聴いてみて「これはちょっと違うぞ」。

Donald Byrd『Slow Drag』(写真左)。1967年5月12日の録音。ブルーノートの4292番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Red (as), Cedar Walton (p), Walter Booker (b), Billy Higgins (ds, vocals on "Slow Drag")。前作『Blackjack』(1967年1月録音)から、わずか4ヶ月後に録音されたドナルド・バードのリーダー作。ソニー・レッド、別名シルベスター・カイナーと組んだ3枚目の作品。

まず「Drag」は、”麻薬”では無い。”麻薬”は「Drug」。調べてみると「Drag」とは、ラグのメロディ(=これを ”Drag” というらしい。足を引き摺るように踊るラグタイムの踊りのメロディ)。「Slow Drag」で、ゆったりとしたラグタイムの踊りのメロディ、って感じでしょうか。とにかく「麻薬」では無いので(笑)。

ドナルド・バードは「機を見て敏なる」変化するトランペッター。バランス感覚と方向感覚に優れ、その時代毎の大衆の音のニーズ、その時代毎のジャズの演奏トレンドを敏感に察知し、それを自らのジャズに反映させてきた。その優れた適応力と表現力がこの盤にも溢れている。いわゆる、当時の「ポスト・バップ」の最先端の音世界の一つ。
 

Donald-byrdslow-drag

 
もうここには「硬派なソウル・ジャズ」は無い。緩やかな、ユルユルで粘りのあるファンクネスが横溢するソウル・ジャズ。ジャズ・ファンク一歩手前の、ブラック・ファンクを小粋に取り込んだソウルフルなジャズ。そして、そのグルーヴに、そこはかと漂う、ちょっと怪しげな「サイケデリック」な響き。そして、ブラック・ファンクの重要な音要素「アーシー」な響きがビートにしっかり反映されている。

そう、この『Slow Drag』の音世界は、フレーズはソウル・ジャズ、リズム&ビートは、ファンクネス濃厚+アーシーなファンク・ビート、ブラック・ファンクなリズム&ビートに、ソウルフルなジャズが乗っかった、ゆったりとした、ちょっと退廃的な雰囲気がする音世界。そこに、当時のロック&ポップスに漂い始めていた「サイケデリック」な音要素を忍ばせている。当時の「ポスト・バップ」な音世界として、かなり野心的な内容だと僕は感じる。

ドナルド・バードのトランペットとソニー・レッドのアルト・サックスのフロント2管は好調を維持、バードのアーシーかつブルージー、ブリリアントで端正な吹き回しは安定のパフォーマンス。辛辣なトーンのレッドのアルト・サックスはまさに「ポスト・バップ」。

モードとフリーとソウル・ジャズが混在したフレーズを、ブラック・ファンクなリズム&ビートが底から支える。不思議な響きの、一旦ハマったらとことん癖になる、ドナルド・バードの「ポスト・バップ」な音世界である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月27日 (火曜日)

D.バードの硬派なソウル・ジャズ『Blackjack』

1960年代後半、ジャズの多様化がさらに進む一方、ビートルズのアメリカ公演後、大衆音楽としてジャズの人気が下降線を辿り出した頃である。そんな時代の中、前作『Mustang』(1966年)はジャズ・ロック。当時、ヒットしたらしい。パーソネルを見渡すと、ハードバップど真ん中からモード・ジャズが得意なメンバーだが、なかなかノリの良いジャズ・ロックをかましていた。

Donald Byrd『Blackjack』(写真左)。1967年1月9日の録音。ブルーノートの4259番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Red (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Walter Booker (b), Billy Higgins (ds)。ドナルド・バードのトランペットと、ソニー・レッドのアルト・サックス、ハンク・モブレーのテナー・サックスがフロント3管のセクステット編成。

今回はCDリイシュー時のボートラ「All Members」は、録音日時もパーソネルも、オリジナルの『Blackjack』自体とは全く異なるので、今回は割愛して話を進める。と言うことで、録音日、パーソネルは上記の通り。

さて、前作『Mustang』(2024年6月14日のブログ参照)はジャズ・ロックだった。今回の『Blackjack』はソウル・ジャズ。ドナルド・バードのソウル・ジャズといえば、1964年に大手ヴァーヴからリリースされた『Up with Donald Byrd』(2025年5月17日のブロ参照)があるが、これは「売らんがため」の「一般ウケ」するアレンジが施された、ながら聴きに向いた、イージーリスニング・ジャズ志向の「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」だった。
 

Donald-byrdblackjack

 
さて、ブルーノートに戻っての、ドナルド・バードのソウル・ジャズはどうなのか。プロデューサーは、当然、総帥アルフレッド・ライオン。この『Blackjack』を聴き終えて、思う。ドナルド・バードはブルーノートの音と志向を良く理解し、それを明確に具現化している、と。この『Blackjack』には、ブルーノート仕様の、純ジャズ志向のなドナルド・バード流ソウル・ジャズが展開されている。

ジャズ・ファンクまでには至らない、純ジャス志向で硬派なソウル・ジャズが展開される。アドリブ展開ではモーダルなフレーズで展開しまくる面も多々あり、女性コーラスの登場などという、俗っぽくポップな仕掛けは皆無。あくまで硬派に、あくまでアーティステックに、ソウルフルなジャズを展開している。これが、実にブルーノートらしく、ドナルド・バードはジャズの演奏志向において、適応力が幅広で適応力が抜群、ということを再認識する。

ドナルド・バードのトランペットと、ソニー・レッドのアルト・サックス、ハンク・モブレーのテナー・サックスがフロント3管は、分厚く重厚、ファンクネス芳しく、唄うが如くソウルフル。バードのアーシーかつブルージー、ブリリアントで端正な吹き回しが良い。モブレーが迫力はる魅力的な、ファンクネス溢れるモーダルなフレーズを連発している。レッドのフリーキーな吹き回しも凄い。

1967年という時代に、それまでの純ジャズの演奏トレンドの数々を上手くブレンドして、硬派なソウル・ジャズに仕立て上げられた『Blackjack』の音世界。それは、紛れもなく、ブルーノートの音であり、ブルーノートの考えるソウル・ジャズの具現化でもある。ブルーノートのハウス・トランペッター、ドナルド・バードの面目躍如である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月26日 (月曜日)

「収監後」のペッパーの音の安定

このペッパーのリーダー作CDはジャケットがイマイチで、どうしても触手が伸びなかった思い出がある。1970年代とはいえ、純ジャズのアルバムで、こんなポップで凡庸なイラストのジャケットは無いだろう。いかに、1970年代の純ジャズ・シーンが迷走していたかが判る。しかし、このジャケに騙されてはいけない。意外とこの盤、内容グッドの好盤なのだ。

Art Pepper『No Limit』(写真左)。1977年5月26日の録音。コンテンポラリー・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as, ts), George Cables (p), Tony Dumas (b), Carl Burnett (ds)。アート・ペッパー復帰後の3作目。ペッパーはこのアルバムを、1977年11月21日に亡くなったレスター・ケーニッヒに捧げている。

1977年の純ジャズの音世界である。ペッパーのアルト・サックスは好調を維持。「収監後」のペッパーの音、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。ペッパー・オリジナルなモードがほぼ成熟した感のある、好調なパフォーマンスを堅持している。ジョージ・ケイブルスのピアノも良い。流麗でグルーヴィーでソウルフル。ダイナミックな弾き回しで、しっかり、ペッパーをサポートし鼓舞している。
 

Art-pepperno-limit

 
ベースの音はエレベか、はたまた、アコベにアタッチメントを付けて音を増幅したか。いずれにしても、1970年代の純ジャズの音である。このベースの音について評判が悪いが、テクニックはまずまず、リズム&ビートも堅実。音は1970年代のジャズ録音のトレンドである「電気的に増幅された音」をとやかく言うよりは、メンバーそれぞれの演奏内容をしっかり聴くことが肝要かと思う。そんなに忌み嫌うほど、酷いベースとドラムとは感じないんやけどなあ。

とりわけ、ペッパーが、ラジオで、ロバータ・フラックが歌うこの曲を聴いて,感動して吹き込みを決意したという2曲目の「Ballad of the Sad Young Man」や、妻に捧げた3曲目「My Laurie」といった、ペッパーのバラード吹奏が魅力的。そして、CDリイシュー時、ボートラで追加収録された、ラストの「No Limit」がとても良い。「収監後」のペッパーの主要レパートリーだった、ラテン志向のアグレッシブな「Mambo de la Pinta」も良い出来。

この『No Limit』あたりで、「収監後」のペッパーの音は成熟し安定してきたと感じる。コルトレーンの影響とか、コルトレーンのモノマネとか、色々揶揄される「収監後」のペッパーであるが、この盤でも判る様に、「収監後」のペッパーのアルト・サックスは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、ペッパー・オリジナルな吹奏である。そんなペッパー・オリジナルなパフォーマンスが、てんこ盛りな好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月25日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・287

ローリー・ペッパー(アート・ペッパーの妻)のBandcampでのメモを引用させていただく。1978年のアート・ペッパー二度目の来日。自らのバンドを率いてのライヴ行脚であった。

「1978年、私たちは2度目の来日を果たした。 今度はアートが自分のバンドを率いて、自分の曲を演奏した。 とても素晴らしいツアーだった。 これは山形の円形劇場で収録されたラジオ放送だった。 バンドがどんなに不思議で感動的な聴衆を集めていたかがわかるだろう」。

Art Pepper『Live In Japan』(写真左)。1978年3月14日、山形の「YBC TV Hall」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Milcho Leviev (p), Bob Magnusson (b), Carl Burnett (ds)。Art Pepper『Live In Japan Vol. 1 - Ophelia』と、Art Pepper『Live In Japan Vol. 2 - The Summer Knows』と、2枚のアルバムに分けてリリースされていたものをカップリングして、リイシューしたものらしい。

「収監後」のアート・ペッパーである。「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウが、しっかりと記録されている。このライヴでのペッパーは好調。「ペッパー・オリジナルなモード」に展開し、「ダイナミックにスイング」する。コルトレーンの影響下のブロウとするよりは、1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンドに則った、とした方がしっくりくる。
 

Art-pepperlive-in-japan

 
エモーショナルで、時にフリーに時にアブストラクトに展開するのは、確かにコルトレーンっぽいが、このライヴ録音がされた時代では、これは「1970年代の最先端のサックスの吹奏のトレンド」となっている。そして、出てくるフレーズのノリと展開は、コルトレーンとは似ても似つかぬもの。「収監後」のペッパーのアルト・サックスの個性がしっかり記録されている。ここでのペッパーのブロウは素晴らしい。現代の第一線のサックス奏者のパフォーマンスと比べても、勝るとも劣らぬ、素晴らしい個性的なブロウである。

ミルチョ・レヴィエフのピアノも良い味を出している。変幻自在のピアノ、と形容したら良いか。1950年代〜60年代のジャズ・ピアノのスタイルの中から、ペッパーに合ったスタイルを選び出し、そのスタイルをレヴィエフ・オリジナルとしつつ、ペッパーを効果的にサポートし鼓舞する。

気のせいかもしれないが、演奏のところどころで、「至上の愛」的なフレーズがフッと出てくるのには、思わず「へっ」と思ったり、「にんまり」苦笑いしたり。しかし、それが違和感なく、自然とパフォーマンスの中で躍動する訳だから、まさしく、このペッパー・バンドのライヴ・パフォーマンスは、1970年代の、1970年代の演奏トレンドをしっかりと踏まえた、上質のパフォーマンスなんだろうと至極納得した。

1978年を生きるペッパーの極上のパフォーマンスの記録がここにある。1970年代純ジャズの名盤の一枚だと僕は思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月24日 (土曜日)

ベシェの「Summertime」を聴く

シドニー・ベシェ(Sidney Bechet、1897年5月 - 1959年5月)。米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のジャズ・ミュージシャン。クラリネット、ソプラノ・サックス奏者。ニューオーリンズ・ジャズの分野で活躍した。

一方、ブルーノート・レーベルは最長のジャズ専門レーベル。1939年、NYにて設立。設立者は、ブルース大好きドイツ系移民のアルフレッド・ライオン。ブルーノートは、ブギウギ・ピアノの2枚のEPによってそのスタートを切る。そして、1940年には、シドニー・ベシェの「サマータイム」がヒットを記録している。初期のブルーノートの経営は、そのレコードの売り上げでぎりぎり持ちこたえたと言われる。

Sidney Bechet『Jazz Classics with Bunk Johnson, Vol. 1』(写真左)。1993年、仏のEMI Records で制作されたコンピレーション・アルバムである。ちなみにパーソネルは、以下の通り。コンピ盤なので、パーソネルが雑然としているが、我慢していただきたい。

Sidney Bechet (cl, ss), Albert Nicholas (ci, 5, 10), George Lugg (tb, 3, 8), Sandy Williams (tb, 6, 7), Vic Dickenson (tb, 1, 2), Bunk Johnson (tp, 6, 7), Max Kaminsky (tp, 3, 8), Sidney De Paris (tp, 1, 2), Teddy Bunn (g, 4, 9), Art Hodes (p, 1 to 3, 5, 8, 10), Cliff Jackson (p, 6, 7), Meade "Lux" Lewis (p, 4), John Williams, George "Pops" Foster (b), Danny Alvin (ds, 5, 10), Manzie Johnson (ds, 1, 2, 6, 7, 9), Sidney Catlett (ds, 4), Fred Moore (ds, vo)。

シドニー・べシェがリーダーの演奏が10曲収録されているが、この中でも、一番重要な演奏が「Summertime」。

ベシェは、クラリネットの名手であり、デキシーランド・ジャズをはじめとする、ジャズ初期における「クラリネット」をメイン楽器化に大きな役割を果たしている。また、ソプラノ・サックスの先駆的な使用は、後の世代のサックス奏者も継承される、先駆的な事例となっている。
 

Sidney-bechetjazz-classics-with-bunk-joh

 
ソプラノ・サックスのジャズにおける最初の録音時の使用は、ジョン・コルトレーンの1960年10月録音の「My Favorite Things」と間違った情報がまかり通っているみたいだが、正確には、このシドニー・ベジェの1940年録音の「Summertime」が、ジャズにおける最初の録音時の使用になる。コルトレーンは、それを復活させた、と言う訳。なんでもかんでも、コルトレーンを神格化扱いするのは、いかがなものか、と思う。

このコンピ盤での演奏は、基本的に「スイング・ジャズ」の範疇である。聴かせるジャズ、踊れるジャズの基本中の基本の演奏形態であり、ジャズが大衆音楽として認識された最初の演奏形態でもある。

そんなスイング・ジャズのマナーの中で、べシェの「Summertime」の演奏は、アレンジこそまだ単純な、発展途上な簡易なものだが、べシェのソプラノ・サックスによるカヴァー演奏は、後のイージーリスニング・ジャズを大幅に先取りした様な、判り易く端正で流麗なパフォーマンスで、当時、ヒットしたのも頷ける出来である。

評論家レナード・フェザーいわく「当時こうした(甘い)ポピュラー・チューンを取り上げることは、従来のジャズ・ファンに対して少々乱暴なこと」だったらしいが、今の耳には、良質なイージーリスニング・ジャズ志向のカヴァー演奏と捉えることができる。アレンジがシンプルで成熟していないところだけは、時代が時代だけに仕方が無い。

「Summertime」以外の演奏もスイング・ジャズとして整った、水準以上の演奏が繰り広げられており、1940年頃のスイング・ジャズの良いところがしっかりと記録されている。ブルーノートのごくごく初期の録音の成功例として、ジャズ・マニアとしては、一度は耳にしておくべき音源だとは思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月23日 (金曜日)

BN5000番代のユタ・ヒップ

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。

このベスト100のアルバムを順に聴き直してブログにアップしていこう、なんて思っていたら、すでに感想をアップしているアルバムが結構あって、以前聴いた感想と今、聴いた感想が一致しているのは、聴き直しの感想をアップする必要が無いことに気がついた。

と言うことで、まずは、このレココレ誌が選んだ「ベスト100」のアルバムの中で、当ブログで扱ったことが無いアルバムをピックアップして聴き直していくことにした。

Jutta Hipp Quintet『New Faces - New Sounds From Germany』(写真左)。1954年4月24日、フランクフルトでの録音。ブルーノートの5056番。ちなみにパーソネルは、Jutta Hipp (p), Joki Freund (ts), Emil Mangelsdorff (as), Hans Kresse (b), Karl Sanner (ds)。テナー・サックスとアルト・サックスの2管フロント、バックに、ユタ・ヒップのピアノ、ベース、ドラムのリズム隊が控える、クインテット編成。

ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)は、1925年、ドイツ・ライプチヒ生まれの女性ジャズ・ピアニスト。ドイツにて戦時下に青春時代を過ごし、1946年、米国に移住、30歳でニューヨークに移り住む、という経歴も持つ。
 

New-faces-new-sounds-from-germany  

 
ジャズ奏者としては、1958年、早々に第一線を退き、活動期間は短かった。本当かどうかは判らないが、よく言われる話としては、彼女は人前での演奏について極度に緊張するタイプで、ライヴ演奏に向かなかった為、早々にシーンから姿を消したというものである。

当盤は70年前の欧州ジャズ、独ジャズの音。ユタ29歳の録音。彼女が米国に渡る前、彼女ユタの欧州ジャズ時代を捉えたフランクフルト録音の1枚。ブルーノートの5000番代のレコードになる。米国東海岸NYでは、ビ・バップからハードバップへの変革期。

このユタのアルバムの音は、トリスターノ率いる「クール・ジャズ」的な音が蔓延している。テナーのヨキ・フロイント、アルトのエミス・マンゲルスドルフも、トリスターノ派のテナーのワーン・マーシュ、アルトのリー・コニッツの様な音で吹きまくっている。なるほど、ドイツでは、クール・ジャズが米国から伝播していたとみえる。

この後、ユタは、NY在住の英国人評論家、レナード・フェザーの誘いを受け、大西洋を渡り、NYに移住し、短い間ではあったが、NYのジャズ・シーンで、ドイツから来た女性ジャズ・ピアニストとして活躍することになる。そして、ブルーノートに『Jutta Hipp At The Hickory House Volume 1&2』(1515, 1516番)、『Jutta Hipp With Zoot Sims』(1530番)の3枚を残して、早々にシーンから姿を消す。

この『New Faces - New Sounds From Germany』は、ユタのピアノの個性の源を確認できること、そして、1954年のドイツのジャズ・シーンのトレンドが確認できこと、この2点について意義のある記録である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月22日 (木曜日)

ペッパーの1977年のライヴ音源

実は、アート・ペッパーがお気に入りで、ペッパーのマニアになって、はや45年。アルバム・コレクターをやってた時は、ペッパーについては、海外のネットショップも含めて、入手出来る範囲でのペッパーのリーダー作は、ボックス盤も含めて、コンプリートしていた。

ペッパーについては、1970年代から、ペッパーが、麻薬禍でシナノン(麻薬療養所)に収監される前と収監された後で、演奏のスタイルが変わるんだが、この収監前と収監後、どちらのペッパーが良いか、という不毛な議論があった。

僕は、収監前は「米国ウエストコースト・ジャズ」のマナーに則った、流麗で聴かせるフレーズをメインにしたブロウ。週間後は「米国NYメインの東海岸ジャズ」のトレンドに乗った、1970年代の純ジャズのマナーでのエネルギッシュでモーダルなブロウ。どちらも、ペッパーのアルト・サックスの個性は変わらないと思うのだが、なぜ「収監前と収監後、どちらのペッパーが良いか」と言う不毛な議論が繰り広げられたのか、理解に苦しむ。

Art Pepper『A Night in Tunisia』(写真左)。1977年1月23日、カリフォルニア、ハーフムーンベイの「Bach Dynamite & Dancing Society」でのライヴ録音。1983年のリリース。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Smith Dobsen (p), Jim Nichols (b), Brad Bilhorn (ds)。アート・ペッパーのワンホーン・カルテットのライヴ音源。
 

Art-peppera-night-in-tunisia

 
録音年からすると「収監後」のアート・ペッパーである。ローカルなライヴ・パフォーマンスなんだろう、リズム・セクションを形成するメンバーは知らない名前ばかり。ワンホーン・カルテットなので、ペッパーは誰に遠慮することも無く、伸び伸びとアドリブ・ソロを繰り広げている。

メンバー紹介などのMCがちょっと長いのには閉口する。が、逆に、当時のライヴの雰囲気を味わうには、なかなか臨場感溢れるものなので、まあ仕方ないか、と諦めて耳を傾けると、意外と面白いエピなどを披露していて、聴衆もノリノリである。当時のライヴの雰囲気がダイレクトに伝わってくる。

演奏はバックのリズム隊が無名な割に、整った内容のあるパフォーマンスに仕上がっている。アート・ペッパーのアルトは好調を維持していて、「ペッパー・オリジナルなモード」に展開する2曲目「The Trip」、好調ペッパーの印「ダイナミックにスイング」する、4曲目ラストの「A Night in Tunisia」は聴き物。

ライヴ音源をできるだけそのまま収録したみたいで、長いMCがあったり、PAに不調が発生したり、ちょっと散漫になる部分も多々あるが、とにかくワンホーン・カルテットの演奏の部分だけは、きっちり充実している。ジャズ者一般万民にお勧めする類のライヴ盤ではないが、ペッパーのマニア「ペッパー者」の方々には、意外と楽しめるライヴ盤としてお勧めしたい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月21日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・286

ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリスト、フィル・アップチャーチの1972年のリーダー作。パーソネルを見渡すと、後のクロスオーバー&フュージョン・ジャズを担う曲者ミュージシャンたちがずらりと並んでいる。ダニー・ハサウェイ、チャック・レイニー、ジョー・サンプル、ハービー・メイソン、ベン・シドランなどなど。

Phil Upchurch『Darkness Darkness』(写真左)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Lead Guitar – Philip Upchurch (g), Joe Sample (p), Chuck Rainey (b), Harvey Mason (ds) Arthur Adams (rythm-g), Ben Sidran (org), Don Simmons (ds), Donny Hathaway (el-p), Bobbi Porterhall (congas,tamb) , Nick De Caro (horns- arr, cond)。

1972年といえば、クロスオーバー・ジャズが隆盛に向かいつつある時代。そんな時代に、クロスオーバー&フュージョンの音を先取りした、エレクトリックなソウル・ジャズ。それは、優れたプロデュースとアレンジの賜物で、プロデュースにはトミー・リピューマ、アレンジにAORのニック・デカロ。時代を先取した音作りを実現した、プロデュース&アレンジ、納得である。
 

Phil-upchurchdarkness-darkness

 
収録曲はカヴァー中心。ジェイムス・テイラーの名曲「Fire And Rain」、ジェイムズ・ブラウンの「Cold Sweat」、ブルースカバー「Please Send Me Someone To Love」、マーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」、キャロル・キングの「You've Got A Friend」。それぞれの名曲をソウルフルにファンキーに、アップチャーチ独特の硬質パキパキな音色で、コキコキとソフト&ハードなエレギで弾き進めていく。

キャロル・キングの「You've Got A Friend」など、その典型的な演奏だろう。緩やかなソフト&メロウな前奏から、メインのフレーズを神妙に祈る様に弾き進めていく。しかし、真ん中あたりから、いきなりハードな展開にガラッと変わる。ハードだがグルーヴィーなフレーズで、祈りが天に届く様な叫びに変化し、ダイナミックでソウルフルな弾きっぷりが見事。この変化とグルーヴ感はアップチャーチ独特の、ならではのものである。

時は1972年。インスト中心、カヴァー中心、この盤ってフュージョン・ジャズでしょ、と言われることが多いが、これはまだ、クロスオーバーでもなければ、フュージョンでも無い。上質でユニークな「エレクトリックなソウル・ジャズの成熟形」の一つ。この圧倒的にソウルフルな感覚とハードなグルーヴ感は他にはない、唯一無二なもの。名盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月20日 (火曜日)

超一流のセッション・ギタリスト

Phil Upchurch(フィル・アップチャーチ)。1941年7月19日、米国イリノイ州シカゴ生まれのギタリスト兼ベーシスト。ジャズ、クロスオーバー&フュージョンのみならず、ソウル、R&Bの数々の名盤に参加してきた、超一流のセッション・ギタリストである。

『Phil Upchurch』(写真左)。邦題「フィル・アップチャーチの真髄」。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch, John Tropea (g), keyboards : Richard Tee, Leon Pendarvis, Arron Jamal, Larry Fast (key), Jorge Dalto (p), Will Lee, Chuck Rainey (b),Steve Gadd, Harvey Mason (ds), Jimmy Maelen, Kewu, Tony Carpenter, Henry Gibson (perc)。

フィル・アップチャーチのエレギは、音色と弾き方の「個性」で勝負するエレギ。アップチャーチ独特の硬質パキパキな音色、ミッド・テンポで、コキコキと弾き進める。独特というか、唯一無二な音色と弾き方で、他にこの音色と弾き方を持つギタリストはいないと思う。逆に一度聴いたら忘れられない「音色と弾き方」。

実は、既に1960年代初頭からリーダー作を出しているフィル・アップチャーチ。この盤は、通算9枚目のソロ・アルバムになる。このアルバム、編集が面白くて、アナログLP盤のA面をジョン・トロペイが、B面をジョージ・ベンソンがプロデュースしている。
 

Phil-upchurch

 
トロペイ・サイドは「ダイナミックな演奏」NYのミュージシャンが中心。スティーヴ・ガッドやリチャード・ティー、ウィル・リーらが名を連ねていて、NYクロスオーバー&フュージョン・オールスターって感じ。アップチャーチはリードのみを弾き、収録曲はカヴァー中心。シュギー・オーティス「Strawberry Letter 23」、デニース・ウィリアムス「Free」、ジャクソンズ「Good Times」。

ベンソン・サイドは「ソフト&メロウな演奏」で、LAのミュージシャンが中心。ピアノにホルヘ・ダルト、ドラムにハーヴィー・メイスンが、ベースにはチャック・レイニー。全曲フィル自身の書き下ろし曲で、演奏全体の雰囲気は「裏ブリージン」。アップチャーチはギターリードとリズムの両方を弾き流麗なフュージョン志向の演奏で、アップチャーチのリズムギターが映えに映える。

アップチャーチがリード・ギター、リズム・ギター、ベース、ドラムを一人で演奏し、デオダートがストリングとホーンアレンジをした曲「Cyrenna」がユニーク。演奏全体が心地よいファンクネスで固められて、むっちゃ格好良い。

クロスオーバー&フュージョン志向のエレギ好きにはたまらない、内容充実の「レア・グルーヴ+ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」の傑作盤。我が国のクロスオーバー&フュージョン畑では、なぜか、かなりマイナーな存在のフィル・アップチャーチ。再評価が待たれる「超一流のセッション・ギタリスト」である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月19日 (月曜日)

バグスの ”with BigBand” 優秀盤

ディスコグラフィーを見直してみて、ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)は、自身のリーダー作において、マンネリを避ける為なのか、企画ものが結構ある。ウィズ・ブラスオケや、ウィズ・ビッグバンド、ボサノヴァ&サンバ集、などなど。今回のバグスの企画盤は「ウィズ・ビッグバンド」盤。

Milt Jackson Orchestra『Big Bags』(写真左)。1962年6月19–20日、7月5日の録音。ちなみにパーソネルは、以下の通り。錚々たるメンバーを招集した、特製のビッグバンドをバックにした、バグス・ウィズ・ビッグバンド盤である。

Milt Jackson (vib), Nat Adderley, Dave Burns, Bernie Glow, Ernie Royal, Doc Severinsen, Clark Terry, Snooky Young (tp), Jimmy Cleveland, Paul Faulise, Melba Liston, Tom McIntosh (tb), Willie Ruff (French horn), Earle Warren (as), George Dorsey (as, fl), James Moody, Jerome Richardson (as, fl, ts), Jimmy Heath (ts, fl), Arthur Clarke, Tate Houston (bs), Hank Jones (p), Ron Carter (b), Connie Kay (ds), Tadd Dameron, Ernie Wilkins (arr, cond)。
 
一言で言うと、とても出来の良い「ウィズ・ビッグバンド」盤。バグスのヴァイブ、絶好調。優れたメンバーを集め、優れたアレンジを施したビッグバンド・サウンドをバックに、バグスのヴァイブが映えに映える。
 

Milt-jackson-orchestrabig-bags

 
バンドのアレンジをアーニー・ウィルキンス、タッド・ダメロンが担当。ウィルキンスの豪快かつ大胆なアレンジ。ダメロンの繊細かつ流麗なアレンジ。どちらのアレンジも優秀。

この2つの優秀なアレンジの対比も楽しく、この二つの優秀なアレンジをバックに弾きまくるバグスのヴァイブ。ヴァイブの硬質で暖かな響きが、ビッグバンド・サウンドの中にクッキリ浮かび上がる様な、そんなビッグバンドのアンサンブルが見事である。バグスのヴァイブのスイング感、ビッグバンドのスイング感とが、共鳴し合って、演奏全体が大らかにスイングする様がとても心地良い。

勢いと音の大きさを前面に押し出すのではない、大胆かつ繊細に硬軟自在・強弱自在に変化する、良好にアレンジされたビッグバンドが、バグスの「ヴァイブの神様」的な、目眩く流麗かつブルージーなブレーズを、しっかりとサポートし、しっかりと引き立てる。

とても良好な内容のバグスの「ウィズ・ビッグバンド」盤。これだけ内容優秀な「ウィズ・ビッグバンド」盤なのだが、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の「ウィズ・ビッグバンド」の特集記事などで、このバグスの『Big Bags』を紹介する記事を見たことが無い。これだけ内容のある「ウィズ・ビッグバンド」盤なのになあ。不思議なことである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月18日 (日曜日)

バグス ”ウィズ オケ”+バラード集

ディスコグラフィーを見直してみて、ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)、自身のリーダー作において、マンネリを避ける為か、他の一流のジャズマンとの共演盤が多い。加えて、企画ものが結構ある。ウィズ・ブラスオケや、ウィズ・ビッグバンド、ボサノヴァ&サンバ集、などなど。

Milt Jackson『The Ballad Artistry of Milt Jackson』(写真左)。1959年5月1日、9月9–10日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Don Hammond (alto-fl), Romeo Penque (reeds), Jimmy Jones (p, arr), Barry Galbraith, Chuck Wayne (g), Bill Crow, Milt Hinton (b), Connie Kay (ds), Quincy Jones (arr, cond)。

今回は「ウィズ・弦オーケストラ+バラード集」、いわゆる「ウィズ・ストリングス」盤である。録音時期は1959年、ハードバップ成熟期。演奏される内容は、10年後にやってくる「イージーリスニング・ジャズ」の極上の走り。今回は「ウィズ・弦オケ+バラード集」は弦オケのアレンジが命なんだが、この盤では、アレンジャーにクインシー・ジョーンズが名を連ねている。なるほど、心地良く、良い感じにアレンジされているはずである。
 

Milt-jacksonthe-ballad-artistry-of-milt-

 
ヴァイブの音の響きと重なり、そして、バグスの紡ぎ出す唄うようなフレーズが、バラード曲にぴったりフィットする。そのバックに、良好なアレンジの弦オーケストラが鳴り響いて、バグスのヴァイブがさらに、ブルージーにファンキーにバラード曲を唄い上げていく。弦オーケストラをバックに、バグスのヴァイブの音がクッキリ浮かび上がる、極上のバラード集に仕上がっている。

しかし、バグスにバラードを演奏させるとピカイチ。そもそも紡ぎ出すフレーズに、たっぷりと歌心が乗っているのだから、堪らない。どのバラード曲も、その曲の持つ魅力をバグスのヴァイブが効果的に引き出している。ゆったりとしたテンポで、朗々と広々とヴァイブでバラードを弾き進めていくバグスは見事である。

「ウィズ・ストリングス」盤として、アレンジ良しの好盤、「小粋なバラード集」として、歌心満点の好盤。元々、ヴァイブの持つ、硬質クリスタルで瑞々しい音、そして、それを駆使して、極上の「イージーリスニング・ジャズ」として、聴き心地満点の好盤。難しいこと言いっこなしの、夜のしじまに心地良く響く「ながら聴きジャズ」の好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月17日 (土曜日)

バードのポップなソウル・ジャズ

ドナルド・バードは「機を見て敏なる」変化するトランペッター。ハードバップ初期の頭角を表し、ハードバップの優れた内容のリーダー作を幾枚もリリース。1960年前後、ハードバップが成熟して、ジャズの多様化の時代に移行する際、いち早く、ファンキー・ジャズに手を染める。

モード・ジャズにもチャレンジして、硬派な純ジャズ志向トランペッターとして名をあげたと思ったら、ソウル・ジャズにどっぷりハマっていく。そんな1964年のドナルド・バード。コッテこての「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」のリーダー作を連発していく。

Donald Byrd『Up with Donald Byrd』(写真左)。1964年の10月6日、11月2日、12月16日の録音。 大手のVerveレーベルからのリリースながら、録音場所は「Van Gelder Studios」。

ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Jimmy Heath (ts, tracks 2–5), Stanley Turrentine (ts, tracks 7 & 8), Herbie Hancock (p), Kenny Burrell (g), Bob Cranshaw (b, tracks 1–6), Ron Carter (b, tracks 7–9), Grady Tate (ds), Candido Camero (perc, tracks 7 & 8), The Donald Byrd Singers なる女性ボーカル隊が付く。

録音場所といい、パーソネルを見渡すと、セッションの参加メンバーは、ごっそりと当時のブルーノート・レーベルから借りてきた様な、一流人気ジャズマンが名を連ねている。前半の1–6曲目のアレンジは、当時の人気アレンジャー「クラウス・オガーマン」。さすが、大手のジャズ・レーベルのヴァーヴ。金に糸目はつけない、ゴージャスなアルバム制作である。
 

Donald-byrdup-with-donald-byrd

 
さすが大手のジャズ・レーベルのヴァーヴ、このアルバム、ドナルド・バードのコッテこての「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」を捉えているのだが、とにかく、ポップで俗っぽい。つまりは、ジャズのアーティスティックな面は横に置いて、確実に「一般ウケ」する「売れる」音作りをしている。プロデューサーは誰か、と見たら、のちのフュージョン・ジャズの仕掛け人の代表格「クリード・テイラー」だった。

とにかく、コッテこてファンキーな、聴きやすい「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」。ドナルド・バードのトランペットは、モードも交えて、意外と正統派なトランペットを吹いているんだが、ピアノのハンコック、ギターのバレルなどは、徹底的にソウル・ジャズ志向濃厚なフレーズをこれでもかと連発している。キャンディドのパーカッションが、ファンキー度、ソウルフル度をさらに濃厚にする。

The Donald Byrd Singers なる女性ボーカル隊のコーラスが出てくると、一気に「俗っぽさ」が濃厚になる。この濃厚となる「俗っぽさ」をどう聴くかで、この盤の評価は変わるだろう。但し、その時代の響きを忠実に記録しているので、この音はこの音で意味のあるものではある。頭ごなしに否定するものでもないだろう。

ドナルド・バードの「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」。ブルーノート・レーベルでは、しっかり純ジャズの要素を押さえていて、意外とアーティスティックな雰囲気が漂うソウル・ジャズに仕上がっているのだが、この大手のヴァーヴ・レーベルでは、明らかに「売らんがため」の「一般ウケ」するアレンジが施されていて、ポップで俗っぽいソウル・ジャズになっているのが面白い。

ながら聴きに向いた、イージーリスニング・ジャズ志向の「R&Bテイストを交えたソウル・ジャズ」だろう。真剣に対峙して聴き込む類の盤ではないが、何かし「ながら」の邪魔にならない、ポップで心地良いソウル・ジャズとして、さりげなく聴き流すには良好な盤ではある。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から13年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2025年5月16日 (金曜日)

唄うケニー・バレルは素敵です

ジャズには「異色盤」と呼ばれる、こんなアルバムあったんや、なアルバムがある。本職の楽器以外に、玄人裸足の別の楽器があって、それをメインにしたリーダー作とか、純ジャズ志向の硬派なジャズマンが、いきなりフュージョン志向のリーダー作を出したり、とか、「異色盤」のバリエーションには事欠かない。 

Kenny Burrell『Weaver of Dreams』(写真左)。1960年10月18日 - 1961年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g, vo), Bobby Jaspar (ts), Tommy Flanagan (p), Joe Benjamin, Wendell Marshall (b), Bill English, Bobby Donaldson (ds)。ボーカル入りのクインテット編成。

ボーカル入りのクインテット編成(5人編成)って、ボーカル入りだとセクステット編成(6人編成)じゃないのか、と直感的に感じる方は、ジャズに精通した「ジャズ者ベテラン」。

確かに、このセッションの楽器編成は、バレルのギター、ジャスパーのテナー、トミフラのピアノ、ベンジャミン or マーシャルのベース、イングリッシュ or ドナルドソンのドラム、の5楽器。ここにボーカルが入るから「6人編成」が正解、では無いのである。

実は、この盤でのボーカルは、漆黒アーバン&ブルージーなギタリスト、ケニー・バレル本人。つまり、ケニー・バレルがギターとボーカルを兼任しているのだ。ケニー・バレルが唄えるなんて、僕はこのアルバムを聴くまで、全く知らなかった。
 

Kenny-burrellweaver-of-dreams

 
全く知らなかった、として、この盤を初めて聴いた時、いきなりボーカル入りの「I'll Buy You a Star」が出てきて、まず「ああ、このアルバムって、ケニー・バレルの伴奏上手をアピールするアルバムかな」と思い、このボーカル、なかなか味があって上手い。誰だろう、この男性ボーカル、と思いつつ、全く、思い当たる節が無い。

「Weaver of Dreams」「The More I See You」「I'm Just a Lucky So-and-So」「A Fine Romance」「Until the Real Thing Comes Along」「That Old Feeling」「If I Had You」「Afternoon in Paris」「Like Someone in Love」など、渋い小粋なスタンダード曲を、丁寧にウォームにアーバンに唄い上げていく、上質なボーカル。

バレル本人が唄っていると知ったのは、このアルバムを聴き終えて、どうにもこのボーカルの主が判らなくて、降参とばかりにライナーノーツを見て、パーソネルを確認した時。いや〜、バレルがこんなに歌が上手いとは思わなかった。脱帽である。

バレルのボーカルを支えるバック・バンドの演奏も小粋。バレル本人の漆黒アーバン&ブルージーなギター、トミフラの伴奏上手のいぶし銀ピアノ、ジャスパーの寄り添う様な優しく力強いテナー、堅実なベース&ドラムに乗って、極上の、ボーカルを支え盛り立てる「伴奏上手な」バッキングが心地よく、思わず心がホンワカする。

これだけ、ボーカルが上手いのだから、もっとボーカルがメインのアルバムを出したら良いのに、と思うのだが、バレルはそうはしない。そこにバレルのギタリストしての強烈な矜持を感じる。でもまあ、それにしても、バレルのボーカルは上手い、良い。この盤、癒しの好盤として、今でも時々、CDプレイヤーのトレイに載ったりする。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月15日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・285

ミルト・ジャクソン(Milt Jackson、愛称「バグス」)。ジャズ・ヴァイブの神様である。ジャズ・ヴァイブを確立したレジェンドであり、始祖である。しかし、我が国では意外とバグスの扱いが薄い。ソロ活動における秀作として挙げられるのは『Opus de Jazz』ばかり。生涯60作以上の優れたリーダー作(ソロでの)をリリースしているにも関わらず、である。これは、ちょっとなあ、である。

Milt Jackson and Coleman Hawkins『Bean Bags』(写真左)。1958年9月12日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Coleman Hawkins (ts), Tommy Flanagan (p), Kenny Burrell (g), Eddie Jones (b), Connie Kay (ds)。ジャズ・ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)と、テナー・サックスの巨人、コールマン・ホーキンス(愛称・ビーン)との共演盤。

バグス(ミルト・ジャクソンの愛称)は、自身のリーダー作において、マンネリを避ける為か、他の一流のジャズマンとの共演盤が多い。共演相手の個性に、効果的に相対するヴァイブを弾くことによって、単調になりがちはヴァイブのフレーズと音色に、多様なバリエーションを生み出している。このテナー・サックスの巨人、ビーン(コールマン・ホーキンスの愛称)との共演盤も、その効果がバッチリ現れていて、なかなかの優秀盤に仕上がっている。
 

Milt-jacksonandcoleman-hawkinsbean-bags

 
フロントの、バグスの硬質だが音のエッジが丸い、切れ味の良いヴァイブのフレーズと、ビーンの骨太で力強いダンディズム溢れるテナーのフレーズの対比が見事で、フロントの音の色彩が豊か。バグズのヴァイブのファンクネスでブルージーな響きが、ビーンのオールド・スタイルでスインギーなテナーと効果的に混ざり合って、アーバンでジャジーな雰囲気がどっぷり濃厚に漂うところが「ニクい」。

そして、バックのカルテットが良い。ピアノに名盤請負のピアノ職人のトミフラ、アーバンでブルージーなギターのバレル、堅実ビッグトーン・ベースのエディに、ドラム職人のコニー・ケイ。穏やかで落ち着いた、それでいて、それぞれがテクニックを披露しつつ、緊張感を保ちながらのジャム・セッション風のバッキングは実に魅力的。

フロント良し、バック良し、ハードバップの魅力が詰まった、素敵な共演盤。不思議とジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の好盤紹介に全く上がることのないアルバムだが、どの演奏もどれもがハードバップしていて、純ジャズしている。アレンジも小粋で、聴き応えのあるものばかり。ビーンとバグス、とても魅力的な共演である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月14日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 113

バリー・ハリス(Barry Harris)。米国のジャズ・ピアニスト。1929年12月15日、米国ミシガン州デトロイト生まれ。2021年12月8日逝去(享年91歳)。COVID-19パンデミックの中、ウイルスの合併症で逝去。

バリー・ハリスは「パウエル派」。バリー・ハリスは、バド・パウエルのスタイルを完璧に踏襲しつつ、パウエルの様に攻撃的では無く、ブルージーで優雅で優しいフレーズが特徴。パウエルより、フレーズは整っていて典雅。端正な弾き回しは爽快感抜群。

そんなフレーズをベースに「優れた総合力そのもの」を個性とするピアニスト。スタイルは「バップ」。ビ・バップの演奏マナーをハードバップに転化した弾きっぷりで、テクニック溢れる流麗な指捌きと簡潔なアドリブ・フレーズが特徴。

Barry Harris『Preminado』(写真左)。1960年12月21日と1961年1月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Barry Harris (p), Joe Benjamin (b), Elvin Jones (ds)。3曲目の「I Should Care」だけ、バリー・ハリスのソロ・ピアノ演奏。その他は、バリー・ハリスのバップ・ピアノをメインとした、オーソドックスなピアノ・トリオ編成。

バップ・ピアニスト、バリー・ハリスのピアノの良いところがギッシリ詰まったトリオ盤である。とにかく、バリー・ハリスの弾きっぷりが見事。
 

Barry-harrispreminado  

 
「パウエル派」のマナーに則りながら、端正で整った、ブルージーで優雅で優しい、それでいて粒だちの良い弾き回しは「優れた総合力そのもの」を個性とするピアニストの面目躍如。明快なタッチは爽快感抜群。

「優れた総合力そのもの」を個性とするピアノで弾き回すスタンダート曲は極上の響き。冒頭の「My Heart Stood Still」、4曲目の「There's No One But You」、6曲目「"It's the Talk of the Town」そして、ラストの「What Is This Thing Called Love?」。スタンダード曲を弾くバリー・ハリスのピアノは切れ味と爽快感抜群。これぞ「バップ・ピアノ」という歯切れの良い弾き回しで、よく唄っている。

バックのリズム隊。ベースのジョー・ベンジャミンは、スタジオ・ベーシストであるが、その弾き回しは堅実で重厚。特に、ベンジャミンのウォーキング・ベースはソリッドで粘りがあって良好。そして、ドラムはエルヴィン・ジョーンズ。鋼のように力強く粘りのある、ハードバップなドラミングを叩きまくる。それでいて、決して耳につかず、効果的に、バリー・ハリスのピアノを引き立て、強力に鼓舞しプッシュする。

優秀なピアノ・トリオ演奏は、フロント&バック両方をしっかり弾きまくるピアノはもちろんのこと、リズム&ビートを支える、ベースとドラムの力量と優れたサポートが必須なのだが、このバリー・ハリスの『Preminado』は、それらを全てを備えている。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚として取り上げたい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月13日 (火曜日)

スピリチュアルなジョーヘン盤

なんだか、複雑でやっつけな収録曲の構成で、これが、ジャズの一流レーベルであるマイルストーンからリリースされているのが意外。プロデュースはあの「オリン・キープニュース」。このスタジオ録音とライヴ録音のちゃんぽん、パーソネルもガラッと違う2つのセッションを混ぜこぜにしたのか、理解に苦しむ。

Joe Henderson『In Pursuit of Blackness』(写真左)。1971年、マイルストーン・レーベルからのリリース。1971年5月12日(#1, 3, 5)、NYのDecca Studiosでの録音。1970年9月25–26日(#2, 4)、L.A.ハモサビーチのLighthouse Caféでのライヴ録音。リーダーは、テナーのジョー・ヘンダーソン(略して「ジョーヘン」)。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

1970年9月25–26日のライヴ録音が、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。

1971年5月12日のスタジオ録音が、Joe Henderson (ts), Curtis Fuller (tb), Pete Yellin (as, fl, b-cl), George Cables (el-p), Stanley Clarke (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。

1970年9月25–26日(#2, 4)、L.A.ハモサビーチのLighthouse Caféでのライヴ音源は、Joe Henderson Quintet『At The Lighthouse』と『Jazz Patterns』があるが、2曲目「Invitation」は『Jazz Patterns』(1982年リリース)の1曲目との重複音源だが、この盤のリリース時点では初出。4曲目「Gazelle」は、この盤だけの収録で初出。
 

Joe-hendersonin-pursuit-of-blackness

 
しかし、ジョーヘンならではのモード・ジャズは、確立されていた感があって、この盤のスタジオ録音にも、ライゔ録音にも、ブレのない、迷いのない、ジョーヘンならではのモード・ジャズが、自信たっぷりに展開されている。

まず、1970年9月25–26日のライヴ録音では、フロント管のジョーヘンのテナーと、ショウのトランペットの相性が抜群なのが良く判る。1971年5月12日のスタジオ録音では、フロント管を担う、ハードバップ時代のトロンボーンの名手フラーが、ジョーヘンならではのモード・ジャズに完全適応しているのにビックリ。

そして、2つのセッション共通の、ケイブルスの端整なエレピが素晴らしく、レニー・ホワイトのドラミングもモーダルに叩きまくっていて素晴らしい。1971年5月12日のスタジオ録音には、ベースにスタンリー・クラークがベースに入っていて、これがまた、スピリチュアルなベースラインを弾きこなしていて素晴らしい。

この2つのセッションのちゃんぽん盤は、タイトルから何となく雰囲気を感じ取れる「スピリチュアル・ジャズ」な内容がメインと聴いた。この盤は、ジョーヘンならではのモード・ジャズをベースとした「スピリチュアル・ジャズ」と解釈している。

収録されている2つのセッションのどの曲も、テクニック優秀、熱気が溢れ、モーダルでスピリチュアルな雰囲気が横溢する、レベルの高い演奏が展開されている。ジョーヘンのスピリチュアル・ジャズ」な好盤です。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月12日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・284

Oz Noy(オズ・ノイ)。もう一丁、である。NYアンダーグラウンド的なギター・サウンドが芳しい、イスラエル出身でNYで活躍するギタリスト。相当に「尖った」、良い意味での「変態」ギター。コンテンポラリーな、極端にぶっ飛んだエレギ。そんなオズ・ノイのギター・サウンド&ミュージックが個性。

Oz Noy『Oz Live』(写真左)。2002年5月12, 19日, 6月23, 30日、NYのクラブ「Bitter End」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), Reggie Washington (b, trk.: 2-6, 8-10), James Genus (b, trk: 1,7), Will Lee(b, trk: 11), Keith Carlock (ds, trk: 1-,3, 5-7,10), Anton Fig (ds, trk: 4,8,9,11)。オズ・ノイの当時のパーマネント・トリオでのライヴ録音になる。

さすがライヴ録音の音源である。オズ・ノイのギターの個性が良く判る。個性が良く判る。現代のジャズ・エレギの先端を行く、かなり個性的な響きのエレギ。ライヴにおいても、ギター・サウンドの音のバリエーションが豊か。エフェクトやアタッチメントを駆使してはいるが、ライヴが故、演奏に支障を来さないよう、エフェクトやアタッチメントのバリエーションを厳選したパフォーマンスに仕上げている。
 

Oz-noyoz-live

 
ギターのフレーズは「ストレート&シンプル」。他の個性的なジャズ・ギタリストの様に、素敵に捻れたところは少ないが、心地よくファズがかかって、素敵に「くすんだ」エレギの音と響きは、オズ・ノイならではの「くすみ」。速いフレーズでは音が重なることは無く、綺麗に一音一音が、はっきりクッキリ聴こえるところは「爽快感抜群」。

バックのベース&ドラムのリズム隊もパフォーマンス良好。ドラムはバリエーション豊かに、ポリリズミックに叩きまくる。このドラムがオズ・ノイのエレギに良好に絡んで、オズ・ノイのエレギを引き立て、鼓舞している。ベースはライン弾きに徹しているが、このベースのハジき出すベース・ラインが、オズ・ノイのエレギの低音の隙間を埋めて、音全体の重厚感を飛躍的に高めている。

バックがキーボードレスなところが、効果的に「活きる方向」に作用している。ジャズ・エレギの「ジェフ・ベック」という異名を取っているらしいが、このライヴ音源を聴くと、その異名の謂れがとても良く判る。NYアンダーグラウンド的なギター・サウンドをベースとした、ジャムバンド的な要素を含んだ、ジャズ・ファンク~ジャズ・ロックな音世界。実に格好良くて、とにかく「シビれる」。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月11日 (日曜日)

充実, 好盤な3rdアルバムである

20世紀のジャズ・ギターには無い、21世紀ならではの「NYアンダーグラウンド的なギター・サウンド」が個性のOz Noy(オズ・ノイ)。イスラエル出身でNYで活躍するギタリスト。デビュー・ライヴ作『Oz Live』、2ndスタジオ録音作『Ha!』に続く、3rdアルバムになる。

Oz Noy『Fuzzy』(写真左)。2006年9月29日, 10月17日, 10月26日の録音。2007年のリリース。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), Jim Beard (el-p, rhodes, syn), Shai Bachar (syn), George Whitty (org), James Genus, Will Lee, Jimmy Johnson (b), Anton Fig, Keith Carlock, Vinnie Colaiuta (ds)。

オズ・ノイのギター・サウンド&ミュージックの確立を感じる、充実の3rdアルバム。NYアンダーグラウンド的なギター・サウンドをベースとした、ジャムバンド的な要素を含んだ、ジャズ・ファンク~ジャズ・ロックな音世界が、更に洗練され、更にエモーショナルになっている。

しかも、オズ・ノイのギター・テクニックのレベルが更に上がっている。しかも、前作まではシンプルでストレートな音色とフレーズがメインだったのが、独特のファズで音がくすみ、良い意味で「変態」風に捻れる様になっている。
 

Oz-noyfuzzy

 
フレージングからカッティング、アンサンブルからアドリブ・ソロまで、どこから聴いても「オズ・ノイ」のサウンドが溢れている。20世紀のジャズ・ギターには決して無い、アタッチメントやエフェクターの積極的活用した、オズ・ノイ独特のギター・サウンドが完成の域に達している様に感じる。

グループ・サウンドとしても「充実」の一言。5曲目「EpistroFunk」、7曲目「Sometimes It Snows In April」、ラストの10曲目「Evidence」に、ドラムの野生児、ビニー・カリウタとが入って、叩きまくっている。この「ビニー・カリウタのドラム = ジミー・ジョンソンのベース」のリズム隊をバックに、弾きまくるオズ・ノイのエレギは圧巻である。

セロニアス・モンク好きのオズ・ノイ、今回はラストに「Evidence」で、捻れて音がくすんだ、良い意味での「変態」ギターを弾きまくって、ブイブイ言わせている。カッティングのタイミングも、アタッチメントやエフェクターの使い方も、良い意味で「変態」そのもの。

21世紀の、相当に「尖った」、良い意味での「変態」ギター。コンテンポラリーな、極端にぶっ飛んだエレギ。そんなオズ・ノイのギター・サウンド&ミュージックの確立。さて、この確立したギター・サウンド&ミュージックで、次は何をやるのか。次作への期待が高まる、充実、好盤な3rdアルバムである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月10日 (土曜日)

新鮮なエレギの音の響きである

今から振り返ると、21世紀に入って、ジャズ・ギターの有望株が意外と出てきて、現在も活躍しているギタリストが多いなあ、と改めて感心している今日この頃である。

ギラッド・ヘクセルマン、ジュリアン・ラージ、カート・ローゼンウィンケル、オズ・ノイ、マイク・モレノ、ジョナサン・クライスバーグ等々、個性的で、テクニック優秀で、メインストリーム志向なギタリストばかりで、彼らのどのリーダー作も聴き応え十分なものばかり。

Oz Noy『HA!』(写真左)。2005年の作品。ちなみにパーソネルは、Oz Noy (g), George Whitty (org), Shai Bahar (syn), Will Lee (b), James Genus (ac-b), Anton Fig, Keith Carlock (ds)。7曲目「Downside Up」にのみ、ゲストで、Mike Stern が参加している。

Oz Noy(オズ・ノイ)は、1972年4月25日、イスラエルのテルアビブ近郊にて生まれ育ったギタリスト。現在NY在住の現在53歳。もはや中堅〜ベテランに差し掛かる、とても個性的な、エレギがメインのギタリストである。

この『HA!』は、オズ・ノイの初リーダー作(スタジオ録音)である。エレギがメインのジャズ・ギター。雰囲気的には、メインストリーム志向のコンテンポラリーな純ジャズ・ギター。様々なアタッチメントやエフェクターを駆使して、バラエティーに富んだ音色を弾き分ける。まず、このアタッチメントやエフェクターの積極的活用がオズ・ノイの個性。
 

Oz-noyha

 
アタッチメントやエフェクターの積極的活用については、ギターのテクニック自体がプアだと、アタッチメントやエフェクターの効果が上手く現れないことが多いのだが、オズ・ノイについては、テクニックについては全く問題が無い。よって、アタッチメントやエフェクターの効果がダイレクトにギターの音色に反映されるので、まず、このアルバムで感じるのは、ギターの音色の「潤沢な豊かさ」である。

演奏される曲の持つ曲想とオズ・ノイの解釈によって、曲毎にギターの音色を最適の音色に変えていく。これが、実に聴いていて楽しい。オズ・ノイのギターのフレーズについてはシンプルでストレート。捻れたところほとんど無い。このシンプルでストレートなフレーズが、アタッチメントやエフェクターの積極的活用について「トゥー・マッチ」にならずに、アタッチメントやエフェクターの効果が素直に乗っているのに感心する。

フレーズの響きと流れは、米国および欧州ジャズにおけるジャズ・ギターのフレーズとは一線を画している。オズ・ノイはイスラエルのテルアビブ。そのイスラエルな響きが、オズ・ノイのギター・フレーズに宿っている。

このアタッチメントやエフェクターの積極的活用とイスラエルな響きが、如実に現れている演奏が、8曲目の「Blue Monk」。ジャズの奇人、セロニアス・モンクの独特のスイング感を持つ「素敵に捻れた」名曲だが、この曲の持つ不思議なハーモニーとフレーズを、オズ・ノイの独特の解釈で、ブルージーに弾き進める。オズ・ノイのギターの個性が溢れている。

ジャズを基本に、ロックやブルース、ファンクの音要素を融合し、アタッチメントやエフェクターの積極的活用による、新しい音の響きを獲得した「NYアンダーグラウンド的なギター・サウンド」。そんな新鮮なギター・サウンドが醸し出す、21世紀の「新たなジャズ・ロックの響き」も新鮮さに満ちている。とにかく、ジャズ・ギターとして、ジャズ・ロックのギターとして、新しいエレギの音の響きの出現である。
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 9日 (金曜日)

”At ライトハウス” の未発表音源

 一昨日に続いて、ジョー・ヘンダーソン(略して「ジョーヘン」)のアルバムの聴き直し。2025年5月7日 (水) のブログでご紹介した「1970年ジョーヘンの好ライヴ盤」。LP時代の初でのタイトルが『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』。CDリイシュー時のタイトルが『At The Lighthouse』。

その時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている好ライブ盤だったが、確か、未発表音源を集めた別アルバムがあったことを、ふと思い出した。

Joe Henderson Quintet『Jazz Patterns』(写真左)。1970年9月24–26日、米国L.A.、Hermosa Beachの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (flh, tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。テナーのジョーヘンがリーダーの、クインテット編成+コンガ。

1970年9月24~26日、ジョーヘンとウディ・ショウとが共演した、米国西海岸、L.A.ハモサビーチの名門クラブ、ザ・ライトハウスでの未発表ライヴ音源集。1982年に初出の時は、ほとんど粗悪品なものだったらしいが、その音源が『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』の未発表音源と判明し、しっかりとしたパッケージで再発された。
 

Joe-henderson-quintetjazz-patterns

 
未発表音源とはいえ、内容的には決して、正式盤に落ちこぼれたイマイチな内容ではなく、正式盤に採用された音源と比べても、全く引けを取らない、優れた、その時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている。もしかしたら、正式版の音源よりも、一部、優れた内容をしているものもある位だ。

この未発表音源盤は是非とも、正式盤と合わせて聴いてもらいたい。フロント2管を形成する、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー絶好調、ウディ・ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペット絶好調。そして、ジョージ・ケイブルスのモーダルなエレピ(フェンダー・ローズ)絶好調。コンガ入りのリズム隊も絶好調。

かなり重厚で自由に富んだモード・ジャズでありながら、どこか軽快で軽妙なところがあって、深刻にならない、1970年のジョーヘンの、ポスト・バップのモーダルな極上のパフォーマンスが、この未発表音源盤にもぎっしりと詰まっている。

ジョーヘンのテナーとショウのトランペットのフロント2管は、モーダルな展開をやらせたら「無敵」。二人の「モード」の相性の良さがビンビンに伝わってくる極上のパフォーマンスに惚れ惚れする。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 8日 (木曜日)

マントラの最高傑作 ”Vocalese”

The Manhattan Transfer(略して「マントラ」)は、男女各2人による4人編成。1978年マッセーに代わりシェリル・ベンティーンが正式加入して、最強のメンバー構成となる。ちなみに最強時代のメンバー構成は、ティム・ハウザー(グループの創設者でありリーダー)、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル、シェリル・ベンティーン。グループ名は、ジョン・ドス・パソスの小説「マンハッタン乗換駅(Manhattan Transfer)」から取ったとのこと。

The Manhattan Transfer『Vocalese』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、The Manhattan Transfer = Tim Hauser, Cheryl Bentyne, Alan Paul, Janis Siegel。バックの伴奏のパーソネルは、曲ごとに、純ジャズ畑、フュージョン畑の大物ミュージシャンが沢山参加しているので、ここでは個々のメンバーについては書かない。メインは、マントラのボーカル&コーラスである。

最初に言う。この『Vocalese』は、マントラの最高傑作である。冒頭の「That's Killer Joe」の、イントロのマントラのコーラスを聴くだけで、これは名盤、とピンとくる。以降は「推して知るべし」。マントラのボーカル&コーラスが、波の様に、嵐の様に、微風の様に、押し寄せてくる。マントラの持つ「実力とテクニック」の全てを出し切った、そんな迫力と矜持がみなぎるボーカル&コーラス。
 

The-manhattan-transfervocalese

 
その内容は「往年のジャズの名曲に歌詞をつけ、その旋律を楽器の如く歌いこなした」メインストリームなジャズ・ボーカル&コーラス。全曲、作詞はジョン・ヘンドリックス。ボーカル&コーラスのアレンジが特に優れている。この優れたアレンジに乗って、有名ジャズ・スタンダート曲を歌いまくるマントラ。爽快である。豪快である。すべてがゴージャスだが、決して耳にもたれない。耳に爽快感がしっかり残る。

超優秀なコンテンポラリーなジャズ・コーラスとは言え、難解なところ、小難しいところは微塵も無い。エンターテインメント性溢れ、冒頭「That's Killer Joe」から聴いていて楽しくなる。どの曲のアレンジもアーバンで小粋、NYの小洒落た雰囲気満載で、ほんと聴いていて楽しい。どの曲がどう、と言う類のアルバムでは無い。収録された全ての曲が、歌いっぷりが素敵であり、素晴らしい。

アルバム全体に散りばめられた、小粋なセンス、極上のコーラス、優れたアレンジ、聴かせ所を心得た歌い方。マントラは、このアルバム制作について、トータル2年の歳月を費やし、幾つかの曲は1ヶ月ほどクラブで試演して、内容をブラッシュアップ。さらに、本録音に先駆けて、8ヶ月以上、リハーサルを重ねたとのこと。なるほど、この盤の完成度の高さ、納得です。 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 7日 (水曜日)

1970年ジョーヘンの好ライヴ盤

1970年のジョー・ヘンダーソン(以下「ジョーヘン」)のライヴ盤。LPでの初出のタイトルが『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)、リイシュー時、曲順をちょっと変え、トラックを追加したCDのタイトルが『At The Lighthouse』(写真右)。

ちょっと紛らわしいのだが、どちらも、米国西海岸のロスアンゼルス近郊のハモサビーチにある有名ジャズ・カフェ「ライトハウス」でのライヴ録音になる。ここでは、LPでの初出時の収録曲を基に話を進めたい。

Joe Henderson Quintet『If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem』(写真左)。1970年9月24–26日、米国L.A.、Hermosa Beachの「Lighthouse Café」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Woody Shaw (flh, tp), George Cables (el-p), Ron McClure (b), Lenny White (ds), Tony Waters (congas)。テナーのジョーヘンがリーダーの、クインテット編成+コンガ。

1970年、ジャズは「大衆化」の波に取り残され、マニア化の一途を辿り出す。電気楽器を上手く活用したクロスオーバー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがトレンド化した頃。このライヴ盤もその時代のジャズのトレンドにピッタリ合致した、電気楽器入り、電気楽器を有効活用した、モーダルなジャズが展開されている。

フロント2管を形成する、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー絶好調、ウディ・ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペット絶好調。そして、ジョージ・ケイブルスのモーダルなエレピ(フェンダー・ローズ)絶好調。1970年のジョーヘン・クインテットの好ライヴ盤である。
 

Joe-hendersonquintetif-youre-not-part-of

 
コンガ入りのリズム隊も絶好調。細かくリズムを刻むレニー・ホワイトのドラムが、ジョーヘンとショウのモーダルなパフォーマンスを効果的に鼓舞する。さすがライヴ盤で、ジョーヘンのモーダルなアドリブも、ショウのモーダルなアドリブも熱量があって、ダイナミック。ほんと、自然体のモード・ジャズといった体が実に良い。

選曲も良く、LP時代で考えると、LP収録の全5曲中(1曲は「Closing Theme」なので割愛)、ブルーノート時代の『Page One』から1曲、『Mode for Joe』から2曲、有名スタンダードから1曲、タイトルの自作曲1曲、を採り上げている。

半分の3曲がブルーノート時代のジョーヘン好盤の2枚から選曲されているところが良い。ジョーヘン=ショウのフロント2管による、モーダルで個性的な展開の良いところが、このライヴ盤に詰まっているから堪らない。

かなり重厚で自由に富んだモード・ジャズでありながら、どこか軽快で軽妙なところがあって、深刻にならないのだが、これは、ケイブルスのエレピの存在が、演奏全体に良い影響を与えているからだと思う。

フェンダー・ローズの響きはモーダルな演奏に「よく似合う」。モーダルなジャズの深刻さ・難解さを緩和する様なケイブルスのローズの響き、ジョーヘンのモーダルなウネウネ・テナー、ショウのストレートで切れ味の良いモーダルなトランペットとが融合して、このライヴ盤を好盤としている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 6日 (火曜日)

もう一つのバレル&スミス盤

漆黒ブルージー&アーバンなバップ・ギタリスト、ケニー・バレル。バレルは人気のジャズ・ギタリストで、かなりの数のリーダー作を残している。その中で、バレルのリーダー作には「企画盤」が多い。人気ジャズマンとの共演あり、人気作曲者の楽曲に特化したトリビュートあり、特に大手のレーベルにおいて「企画盤」の制作が多い。

Kenny Burrell & Jimmy Smith『Blue Bash』(写真左)。1963年7月16, 25–26日の録音。Verveレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Jimmy Smith (org), Vince Gambella (g, tracks 1 & 7), Milt Hinton (b, tracks 2–4 & 6), George Duvivier (b, track 5), Bill English (ds, track 5), Mel Lewis (ds, tracks 2–4 & 6)。

漆黒ブルージー&アーバンなバップ・ギタリスト、ケニー・バレルと、ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスとの共演。ジミー・スミスは自己主張が強く、ダイナミックで豪快な弾き回しで、共演者をものともしない、唯我独尊なところがあるのだが、バレルとの相性は良かった様で、以前に『Home Cookin'』や『Midnight Special』(Blue Note, 1961年)、この2枚の名盤を残している。
 

Kenny-burrell-jimmy-smithblue-bash

 
そんなブルーノートでの良き共演の感覚のまま、大手のヴァーヴに移って、このバレルとスミスの二人は再び共演を果たした。大手ヴァーヴなので、アルバムの音の傾向は「売れるファンキー・ジャズ」。ジャズのマニアだけでなく、一般の音楽好きにも訴求する、小粋でお洒落で聴き応えのある「売れるファンキー・ジャズ」を目指しての音志向である。

大手レーベルの、そんな商業ジャズ志向のニーズに、バレルとスミスは堅実に応えている。バレルはスミスの、スミスはバレルの、お互いの音をしっかり聴きながら、お互いの音を引き立てる。そんな大人の職人芸的なパフォーマンスを繰り広げていて、良い感じの、ギターとオルガンがお互いを主役として引き立てあった、大人でブルージーでアーバンなファンキー・ジャズを展開している。

「売れるファンキー・ジャズ」を目指す上で、スミスのオルガンが、バレルのギターの個性である「漆黒ブルージー&アーバン」に合わせたところが、この盤の聴きどころ。伴奏上手のバレルのギター、伴奏上手のスミスのオルガンが聴けるところが、実に味わい深い。ブルーノートの共演の諸作と比肩する、なかなか小粋な内容の、バレルとスミスの共演盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 5日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・283

ケニー・バレルは、米国ミシガン州デトロイトの出身。バレルのギターは、しっかりと芯のある太さがあって硬質な音。硬質の音でありながら、紡ぎ出すフレーズはしなやか。そして、黒くてブルージーな質感が特徴。これぞジャズ・ギターの音、って感じが、僕には「大のお気に入り」。ケニー・バレルは、マイ・フェイバリット・ギタリストの一人。

Kenny Burrell『A Night At the Vanguard』(写真左)。1959年9月16日、NYの「Village Vanguard」でのライヴ録音。Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Richard Davis (b), Roy Haynes (ds)。漆黒ブルージー&アーバンなギタリスト、ケニー・バレルのNYのビレバガでのライヴ録音盤。

冒頭、バレルの自作曲&スタンダード曲の「All Night Long」から始まるバレルのライヴ。冒頭から、バレルのバップ・ギター全開。黒くてブルージー、それでいて、どこか小粋で洒落ていて都会的。バレルの個性全開。バックのリズム隊のサポートも良好。太くソリッドで堅実なディヴィスのベースに、硬軟自在、変幻自在、緩急自在なヘインズのドラム。
 

Kenny-burrella-night-at-the-vanguard

 
そんなバックの好サポートを得て、バレルは気持ちよさそうにブルージーなギターを弾き進めていく。意外と企画盤の多いバレルだが、このライヴ盤はストレート。企画っ気は全く無し。バレルの原点であるバップなギターを飾りっ気無しに、ストレートに弾きまくる。これがこのライヴ盤の一番の良さ。バレルの基本的な個性がしっかり聴き取れる。

選曲が親しみ易いのもこのライヴ盤の良いところ。2曲目のアップテンポの「Will You Still Be Mine」や、続く「I’m Fool to Want You」の唄ものスタンダード曲での、バレルの弾き回しがセンス良く小粋。バレルは唄ものが得意と見た。「I’m Fool to Want You」のラテン風のアレンジも捻りが効いている。モンク作のユニークな曲「Well, You Needn’t」も、バレルはこともなげに、サラリと小粋に弾き切ってしまう。

ピアノや管の無い、ギター・ベース・ドラムのシンプルなトリオ演奏だからこそ、メロディーとハーモニーを一手に担うバレルのギターの個性と良さが手に取るように判る、という内容。演奏全体のリラックスした雰囲気も好印象。ギター、ベース、ドラムの三者が、まさに三位一体となり創り出しているサウンドは極上。ジャズ・ギターの名盤の一枚でしょう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 4日 (日曜日)

ECMの無国籍ニュー・ジャズ『Codona 3』

欧州のニュー・ジャズの牽引役であるECMは、欧州ジャズらしい「エキゾチックでありながら、無国籍的なワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズ」が得意ジャンルの一つだったりする。ワールド・ミュージック志向の音を敬遠せず、音志向の一つとして、しっかり認識し適応した、珍しい類の懐の深いレーベルである。

Collin Walcott, Don Cherry & Nana Vasconcelos『Codona 3』(写真左)。1982年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, sanza, voice), Don Cherry (tp, org, doussn' gouni, voice), Naná Vasconcelos (perc, berimbau, voice)。

シタール兼タブラ奏者のコリン・ウォルコット、トランペット奏者のドン・チェリー、パーカッショニストのナナ・ヴァスコンセロスからなるジャズ・トリオ、コドナの3枚目で最後のアルバム。コドナは「free jazz and world fusion group」とされており、欧州ジャズ独特の整然としたワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズが、ECM独特の録音とエコーを纏って展開されている。
 
Collin-walcott-don-cherry-nana-vasconcel  
 
エキゾチックでありながら、無国籍的なワールド・ミュージック、国籍不明のニュー・ジャズなところが、この盤の個性で、即興演奏をベースとした、確実にフリーな展開なのだが、どこか理路整然としていて、規律の取れたインタープレイが独特。国や地域の音の色が付かないが、土着的なリズム&ビート、タブラなどの民族音楽楽器の響きが、どこまでも「ワールド・ミュージック志向」。それでいて無国籍なのが、いかにも欧州ジャズらしい。

そして、途中から入ってくる「ボイス」の存在が、そんな「ワールド・ミュージック志向」を、「無国籍的なエキゾチックな雰囲気」を増幅する。しかし、ECM独特の録音とエコーが、アフリカンな、土着的な雰囲気を抑制する。どこかアーバンっぽい雰囲気も漂う、独特のワールド・ミュージック志向」を振り撒いている。

欧州のニュー・ジャズの牽引役であるECMらしい、不思議な響きと魅力に満ちた、無国籍的なエキゾチックな雰囲気を色濃く宿した「ワールド・ミュージック志向」のニュー・ジャズ。ウォルコット、チェリー、ヴァスコンセロス、それぞれが、自らの個性を最大限に発揮して、即興にフリーに展開した、極上のパフォーマンスがここに記録されている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 3日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 112

ミシェル・ルグランは、仏映画音楽界の巨匠。「シェルブールの雨傘」「華麗なる賭け」「おもいでの夏」など、手掛けた有名曲は多数。そして、優秀なジャズ・ピアニスト兼アレンジャーでもあった。本場米国のジャズマンや批評家からも高く評価されていたというから立派なものだ。

Michel Legrand『At Shelly's Manne-Hole』(写真左)。1968年9月5日、ハリウッドの「Shelly's Manne-Hole」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Michel Legrand (p), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。ミシェル・ルグランが映画音楽の仕事でハリウッドに滞在していた時期に実現した「Shelly's Manne-Hole」でのライヴ録音。

ミシェル・ルグランのピアニストとして、卓越した才能を最大限に発揮したトリオ盤である。冒頭のトリオの3人の名前を冠した「The Grand Brown Man」でのルグランのピアノが凄い。アップテンポでダイナミック、シングルトーンからブロックコードまで、ルグランの持つピアノのテクニックを総動員した、挨拶代わりのパフォーマンスに思わず度肝を抜かれる。
 

Michel-legrandat-shellys-mannehole

 
アップテンポ&ダイナミックでガンガン飛ばすかと思いきや、ルグランのオリジナル曲「A Time for Love」と「Watch What Happens」では、オリジナルのメロディーを愛しむように弾き進める、流麗で耽美的なルグランのピアノで、不意を突かれる。超スタンダード曲「My Funny Valentine」では、ルグランのスキャットまで飛び出す始末。歌心満点のルグランのピアノが素晴らしい。

そして、このピアノ・トリオ、バックのリズム隊の二人、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのシェリー・マン、このウエストコースト・ジャズにおける、代表的名手の存在が大きい。丁々発止とルグランのピアノを受け止め、極上のテクニックでルグランのピアノを引き立て、鼓舞する。有名スタンダード曲「Willow Weep for Me」での、レイ・ブラウンのベースとルグランのピアノとの掛け合いは見事。

名手二人と繰り広げるトリオ編成による、極上のパフォーマンス。ミシェル・ルグランのピアニストとしての真価を存分に披露した、ピアノ・トリオの名盤である。ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の特集には、なかなか、このアルバム・タイトルが上がることは無いが、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では、謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚に認定させて頂きたい。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 2日 (金曜日)

第一期カシオペアの音の究極

前々作『SUN SUN』の、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向を踏襲しつつ、ボーカルを導入したり、バック・ボーカルを工夫して織り込んだり、よりポップな仕上がりになって、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの成熟を見た、前作の『PLATINUM』。

CASIOPEA『EUPHONY』(写真)。 1988年1月7日~2月5日、東京の「Studio Jive」での録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。カシオペアの18枚目のアルバム。ゲスト無し、メンバー4人のみで制作されたシンプルな原点回帰的なアルバムである。櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds) が参加した最後のアルバムでもある。

自身の新レーベル、新レーベルAURAの設立後、第二弾のアルバム『EUPHONY』は、どんなサウンドに仕上がっているのか。新しい音の展開はあるのか。興味津々でこの『EUPHONY』を聴いた記憶がある。事前にライナーノーツを読んで、ゲスト無し、メンバー4人のみで制作されたことは、事前知識として頭に入っていた。

で、出てくる音は、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの成熟形がベースなんだが、前作まで、その音の個性を捻り出していた「純和製のクロスオーバー&フュージョンの特徴である、乾いたファンク・ビート」が後退し、カシオペア初期のクロスオーバー&ジャズロック志向のリズム&ビートに置き換わっている印象。
 
Casiopeaeuphony  
 
アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの成熟形の、「乾いたファンク・ビート」を「クロスオーバー&ジャズロック志向のリズム&ビート」に置き換えた、カシオペア独特のアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のギターバンド・サウンドに仕上がっている。

「クロスオーバー&ジャズロック志向のリズム&ビート」に置き換えたところを、カシオペア・サウンドの「原点回帰」と捉えるか、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの「究極形」と捉えるか、でこの盤の評価は分かれるが、僕は後者である、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの「究極形」と捉えている。

このクロスオーバー&ジャズロック志向のリズム&ビートがベースの、カシオペア独特のアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のギターバンド・サウンド。これが第一期カシオペアの最終到達点だと僕は感じている。和フュージョンからスタートしたカシオペア初期。ここでは、カシオペア初期のリズム&ビートを残しつつ、内容的にはグローバル・レベルのフュージョン・ジャズに進化した、第一期カシオペアの音の「究極形」である。

和フュージョンの傑作であり、グローバル・レベルのクロスオーバー&フュージョン・ジャズの傑作である。「EUPHONY」とは「快い音、美しい響き、好音調」を意味する言葉。この盤には、第一期カシオペアの「快い音、美しい響き、好音調」が詰まっている。名盤だと思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

2025年5月 1日 (木曜日)

第一期カシオペアの音の成熟

前作『SUN SUN』の、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズの音を踏襲しつつ、ボーカルを導入したり、バック・ボーカルを工夫して織り込んだり、よりポップな仕上がりになっている。サウンド・ファクターとしては、NYらしいダンスビートを積極採用し、ドラムには深いデジタル・リバーブが掛けられている。

CASIOPEA『PLATINUM』(写真左)。 1987年6月11日~6月23日は、NYの「SOUNDTRACK」、1987年6月23日は、LAの「STUDIO SOUND」での録音。1987年9月1日のリリース。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。

カシオペアの17枚目のアルバム。 自身の新レーベル、新レーベルAURAの設立後、第一弾のアルバム。ゲストに、楠木勇有行, Djavan (vo), Steve Thornton (perc), Earl Gardner (tp), Alex Foster (as), Lenny Pickett (ts, bs)。ボーカルとブラスの導入が、いかにも、米国フュージョンっぽい。

しかし、である。アメリカナイズされたフュージョン・ジャズの音ではあるが、ファンクネスはほとんど感じられない。さすが、純和製のクロスオーバー&フュージョンである。ファンク・ビートは採用されてはいるが、粘りがなく、さらっと乾いている。これが、純和製のクロスオーバー&フュージョンのリズム&ビートの特徴である。
 

Casiopeaplatinum  

 
ポップなアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向の音作りで、当時流行のダンスビートを取り入れ、ドラムには深いデジタル・リバーブがかかっているが、純和製のクロスオーバー&フュージョンの特徴である、乾いたファンク・ビートお陰で、「大味で単調で飽きが来る」という米国フュージョンの欠点をクリアしている。

乾いたファンク・ビートお陰で、メインの楽器のフレーズが、重厚なビートに埋まることなく、しっかりとビートと折り合いをつけて、しっかりと前面に出てきている。カシオペアの個性である「疾走感」も損なわれることなく、しっかりと「ある」し、カシオペアの特徴である「バカテク」が、ビートに負けることなく、しっかり聴き取れる。

ポップなアメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向の採用のお陰で、演奏のテンポが、ミッド・テンポが中心になったことで、以前のカシオペアの「バカテク・疾走」フュージョンの個性が薄れて、これはカシオペアではない、とされた向きもあるが、今の耳で聴き直してみても、メインの楽器のバカテク・フレーズがしっかり聴こえているので、ミッド・テンポの演奏とは言え、疾走感は十分に「ある」。

このアルバムは、アメリカナイズされたフュージョン・ジャズ志向のカシオペア・サウンドの成熟形だと解釈している。さすが、自身の新レーベル、新レーベルAURAの設立後、第一弾のアルバム。バンド全員、気合いが入って、爽快な仕上がりである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー