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2025年4月19日 (土曜日)

Steve Howe『Guitarscape』

英国はジャズとロックとの境界が曖昧。もっと正確にいうと、英国は「クロスオーバー&フュージョン・ジャズとプログレッシヴ・ロックとの境界が曖昧」。ロック畑のミュージシャンが、クロスオーバー&フュージョン・ジャズに走ったり、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのミュージシャンがロックに走ったりする。

そんな2つのジャンルを股にかけるギタリストの一人に「ステーヴ・ハウ(Steve Howe)」がいる。英国プログレッシヴ・ロックの雄、イエスと、英国プレグレのスーパーバンド、エイジアの人気ギタリストである。超絶技巧なテクニックと歌心溢れる印象的なフレーズ、エレ&アコの両刀使い。僕の大好きなロック・ギタリストの一人である。

Steve Howe『Guitarscape』(写真左)。2024年の作品。ちなみにパーソネルは、Steve Howe (g, key), Dylan Howe (ds, perc)。この盤では、ハウは、ギタリスト本業のアコ、エレ、スティール、ベースギターに加え、キーボードを担当しているところが目新しい。そして、息子のディラン・ハウがドラムで参加している。

スティーヴ・ハウのソロ・アルバムといえば、1975年のソロデビュー作『Beginnings』や1979年の続編『The Steve Howe Album』が浮かぶが、ハウはソロ・アルバムを重ねる度に、様々なスタイルをブレンドして、ハウのギターの個性を深化させている。

しかし、ハウの基本的な独特の個性は、しっかりと演奏の底に存在している。もともと、ロック界の中では独特の、唯一無二は個性を誇っているギタリストである。どのソロ・アルバムでも、これってハウ? って判るくらい、演奏の底に、ハウの基本的な独特の個性が横たわっている。

この『Guitarscape』には、ロックからアコースティック、クラシックまで、様々な音楽スタイルを網羅した、14曲のインスト・トラックが収録され、どれも紛れもない「スティーヴ・ハウ・サウンド」を奏でている。
 

Steve-howeguitarscape

 
ハウは、ギター・マスターよろしく、アコ、エレ、スティール、ベースギターに加え、キーボードも担当し、新しいキーボード、ノベーション・サミットを手に入れている。この新しいキーボードが、ハウに好影響を与えている様で、ハウは新たな作曲手法を用いて、幅広い音の風景を描き出している。

これが、この『Guitarscape』の音世界の「キモ」になっている。今回、ハウはキーボード奏者として、自分独自のキーボード構成、ハウ独特の少し変わったコード進行や構成を作り出している。そして、そのキーボードで作り出した、ハウ独特の少し変わったコード進行や構成をギターに置き換えたりして、新しいイメージの「ハウ・サウンド」の創造に成功している。

「Hail Storm」の脈打つようなシンセ・パターンから「Spring Board」のスローなロックまで、幅広い音の風景を描き出している。「Distillations」では、彼のアコースティックな演奏が際立ち、「Steel Breeze」ではスティール・ギターで楽園の島を想起させる。

ハウの持つ特有の「演奏のバリエーションと色彩」を全面的に使いこなし、特徴的なエ&アコ、そしてスティールのギターの音色と、キーボードの新しい響きをミックスした、チャレンジブルな演奏は、実に魅力的。

音のイメージ的には、まさに「プログレッシヴ・ロックとクロスオーバー&フュージョンの融合」的なイメージで、そのイメージの中で、ハウの独特の個性が映えに映える。

クロスオーバー&フュージョン・ジャズとプログレッシヴ・ロック、そんな2つのジャンルを股にかける、伝説的ギタリスト「ステーヴ・ハウ」。これまで、ソロで魅力的な「プログレッシヴ・ロックとクロスオーバー&フュージョンの融合」的なアルバムをリリースし続けているが、我が国ではほとんど注目されることはない。再評価を望みたい。
 
 

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