ピアノ・トリオの代表的名盤 111
迫力満点のモーダル・ピアノのレジェンド、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)は、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプ。コルトレーンの下で確立したスタイル、ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。タイナーは生涯、このスタイルと奏法を変えることは無かったように思う。
しかし、コルトレーン・ジャズの精神性を踏襲し継承したモード・ジャズは1970年代まで。1980年代は、コルトレーン・ジャズの影響下から離れ、タイナーのピアノのスタイルと奏法はそのままに、タイナー・オリジナルの志向で、モード・ジャズを展開している。
McCoy Tyner『Bon Voyage』(写真左)。1987年7月9日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Avery Sharpe (el-b track 1, ac-b other track), Louis Hayes (ds)。タイムレス・レーベルからリリース。力強いタイナーのピアノ・トリオ演奏を満喫できるアルバムである。
ダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手。タイナーのスタイル・奏法が心ゆくまで堪能できるトリオ演奏である。モーダルな展開が基本ではあるが、タイナーのピアノの底には、しっかりと「バップ・ピアノ」があることが確認出来る。爽快感抜群のタイナー十八番の「ガーン、ゴーンなハンマー奏法」での、1980年代のタイナー流のモード・ピアノ。
レパートリーは至ってシンプルで、5曲の古き良きスタンダード曲を挟み、魅力的なラテン調のタイトル曲「Bon Voyage」と「Blues For Max」が収録されている。そして、その中間に「Jazz Walk」というオリジナル曲がある。どの曲でも、余裕あるエネルギッシュな弾き回しは、聴いていて爽快である。
バップ・ピアノ志向のタイナー・オリジナルのモード・ピアノ。もうコルトレーン・ジャズの面影は全く無い。タイナーも自らの志向をベースに、ガーン、ゴーンとダイナミックで迫力満点のモーダルな右手、そして、ビートを打ち付ける様なハンマー奏法な左手で、のびのび、気持ちよく、タイナー・オリジナルなモード・ピアノを弾きまくる。地味な存在ではあるが「ピアノ・トリオの代表的名盤」としても良い内容の濃さ。好リーダー作です。
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