ジャズ喫茶で流したい・283
グラント・グリーン(Grant Green)。1979年1月31日、NYで、ジョージ・ベンソンのブリージン・ラウンジでの演奏会に出席していた際、車内で心臓発作を起こし倒れ、そのまま、帰らぬ人となった。43歳であった。
しかし、グリーンの逝去時の1979年から、ブルーノートの「お蔵入り」音源から、グリーンの未発表音源のリリースが始まる。なんと、1979年から2006年まで、全部で10枚もの未発表音源リーダー作が、発掘リリースされている。
Grant Green『Matador』(写真左)。1964年5月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Elvin Jones (ds)。録音当時は「お蔵入り」未リリース。1979年、日本のキングレコードからブルーノートの未発表音源として、発掘リリースされた。
独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグリーンのギターが、ハードバップ&ファンキー&ソウルなジャズとして成熟した、絶妙なバップ・ギターが堪能できる逸品である。
まず、パーソネルを見て「唸る」。当時のコルトレーンの伝説のカルテットからピアノのマッコイ・タイナー、ドラムのエルヴィン・ジョーンズを借りてきている。そして、ベースには、柔軟な職人ベーシスト、ボブ・クランショウが座る。
このリズム・セクションの存在感が凄い。そして、このリズム・セクションをバックに、グリーンのギターがワン・フロントのカルテット編成。これ、どんな演奏になってるのか、聴く前から不安になる(笑)。
冒頭のタイトル曲、グリーンのオリジナル曲「Matador」から、そんな不安は杞憂に終わる。11分弱の長尺の演奏だが、これがまあ、凄まじい内容で、グリーンのギターの個性が、クッキリてんこ盛り。魅惑的な反復フレーズ、熱気溢れるミッドテンポなアドリブ展開。
独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグリーンのギターに相対する様に、タイナーの流麗でダイナミックなピアノが後に続く。そして、バッキングに徹するエルヴィンのポリリズミックなドラミングは、演奏のファンキー度合いを増幅し、クランショウの堅実ベースが、演奏の「底」をガッチリと支えている。
この冒頭の「Matador」の演奏だけでも、うへっ、これは凄いなんだが、続く2曲目の「My Favorite Things」の演奏はこれまた凄い。コルトレーンの十八番の名曲だが、このグリーンの「My Favorite Things」を聴いていると、ハードバップ&ファンキー&ソウル・ジャズとして聴いた時、コルトレーンの演奏より、このグリーンの演奏の方が、曲想を良く掴んでいて優れている、と感じるくらいに凄い。
以上の2曲だけでも、この盤は名盤だと思うし、3曲目「Green Jeans」から「Bedouin」、CDのみのボートラ、ラストの「Wives and Lovers」まで、グリーンの成熟したギターの個性を、最優先に楽しむべき演奏が詰まっている。
当時のコルトレーンの伝説のカルテットからピアノのマッコイ・タイナー、ドラムのエルヴィン・ジョーンズを借りてきているからといって、当盤とコルトレーンの諸作と比較するのは「野暮」というものだろう。
ワン・フロント楽器の志向が全く異なるのだから、比較しても仕方がない。もしかしたら、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、そんな「野暮」な比較を嫌ったが故の「お蔵入り」だったのかもしれない。
ジャケはウォーホールのイラスト。これがまた良い。この盤、グラント・グリーンの「ハードバップ&ファンキー&ソウルなジャズとして成熟」を心ゆくまで単横できる名盤と言って良いだろう。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から14年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

« グラント・グリーンの白鳥の歌 | トップページ | ピエラヌンツィの ”地中海物語” »



コメント