« バレルとレイニーの2本のギター | トップページ | スタンダーズの飽くなき深化 »

2025年4月 8日 (火曜日)

「スタンダーズ」の安定の好盤

キース・ジャレットは、2018年に2度の脳卒中を発症して以降、療養生活を続けており、ピアノ演奏への復帰は難しいとされている。以前のように弾けなくとも、とにかく元気でさえいてくれれば……と思っている。

お気に入りのジャズ・ピアニストについては、キースは絶対に外せない訳で、キースのアルバムについては、ほぼ全部、聴いている。当ブログでも、キースのアルバムに関する記事についても、順次アップしてきて、残るは10枚程度。今年中にはコンプリートできるかな。

Keith Jarrett Trio『The Out-Of-Towners』(写真左)。2001年7月28日、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場でのライヴ録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。2001年夏の「スタンダード・トリオ」ヨーロッパツアー中に録音されたライブ盤。

1996年、キースは慢性疲労症候群と診断され、同年の秋以降の活動予定を全てキャンセルして自宅での療養を余儀なくされる。2年の闘病の後、1998年に復活。このライヴ盤は、復活後3年経った頃の録音で、慢性疲労症候群の影響は全く無くなり、療養前のキースが戻っている。

病気療養後のキースのピアノは明らかに変わった(良い意味で)。アドリブ展開については、変にこねくり回さずにシンプルで判り易い展開に変わっている。
 

Keith-jarrett-triothe-outoftowners

 
スタンダード曲の解釈については、変にアレンジせずにシンプルになり、スタンダード曲の持つ個性をストレートに押し出している。そして、大きな声で唸らなくなっている。これは良い。3者3様の演奏に耳を集中させることが出来る。

このライヴ盤でも、その傾向は変わらない。病気療養前、自らを体力的にも精神的にも削りに削って、鬼気迫る、テンションMax、切れ味抜群、限りなく耽美的で、息が詰まる様な、限りなくテクニカルなピアノを限界まで弾ききっていたキースが、療養後、自らを追い込むことはせず、自ら浮かんだイメージを信じて、そのままに、フレーズは捻らない。シンプルにそのままにフレーズは展開される。

アドリブ展開はシンプルそのもの。アレンジやアドリブが、ストレートでシンプルになればなるほど、スタンダード曲の良さがポッカリと浮かび上がってくるから不思議。キースの弾くスタンダード曲の旋律が、以前よりもはっきり判る様にアレンジやアドリブがシンプルなものに変わっているのが判る。

ベースのピーコック、ドラムのデジョネットのソロ・パートの長さが増えたなあ、とも感じる。ピーコックの現代音楽的な、硬質な変則ビートで変幻自在、緩急自在なベースラインが見事。捻れて浮遊するベースライン。ピーコックのベースの個性がはっきり判る。デジョネットの究極な「ポリリズミックなドラミング」も素晴らしい。ダイナミズム溢れる、即興要素満載の変幻自在なドラミングは凄い。

キースのピアノの音が美しい。ピーコックのベースの音がソリッド。デジョネットのドラムの音がポリリズミック。このトリオの出す音は、このキースの「スタンダーズ」トリオでしか出せない音。そんな「スタンダーズ」トリオしか出せない音が、このライヴ盤に詰まっている。安心して聞き込むことの出来る、キースの「スタンダーズ」トリオの安定の好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました! 

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.08.24 更新

  ・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
   エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
   記事をアップ。
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から14年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4

« バレルとレイニーの2本のギター | トップページ | スタンダーズの飽くなき深化 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« バレルとレイニーの2本のギター | トップページ | スタンダーズの飽くなき深化 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー