ピアノ・トリオの代表的名盤 110
レッド・ガーランド(Red Garland)のピアノは、心無いジャズ者の方々から、ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノと揶揄されることがある。確かに、シンプルで聴きやすいピアノではある。しかも、その演奏スタイルは、メジャー・デビュー以降、全く同じスタイルで演奏される。「金太郎飴ピアノ」とも揶揄されるくらいである。
しかし、同じスタイルでブレることなく弾き続けているが、多くの彼のリーダー作を聴き通しても、飽きが来ることはない。演奏する曲想に従って、弾き方やニュアンスを効果的に変えているのだ。逆に、弾き方やニュアンスを変えても、ガーランドのピアノの個性の大本は変わらない様に工夫している。目立たないが、これぞ「職人芸」である。
Red Garland Trio『Red Garland at the Prelude』(写真左)。1959年10月2日、NYの「The Prelude Club」でのライヴ録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Jimmy Rowser (b), Charles "Specs" Wright (ds)。シンプルな燻銀ピアニスト、レッド・ガーランドの唯一のライヴ盤。
このライヴ盤のガーランドのピアノを聴けば、ラウンジ・ピアノとか、イージーリスニング・ピアノという印象はすっ飛んでしまうだろう。このライヴ盤を聴くと判るが、ガーランドのピアノは、筋金入りの「バップ・ピアノ」である。ブロックコードを駆使して、強烈なドライブ感とスイング感を醸し出し、シングルトーンな右手は、テクニックよろしくバップなフレーズを振り撒いている。
そして、ライヴなので、様々なイメージの曲、例えば、ブルース、歌もの、スタンダード、バラード、バップ。ガーランドはそれぞれの曲のイメージによって、演奏のニュアンスをしっかりと変えている。ブロックコードとシングルトーンを駆使するところは変わらないので、聴き逃しがちなのだが、ガーランドは、曲のイメージによって、緩急自在、変幻自在、硬軟自在に弾き分けている。
ブロックコードとシングルトーンを駆使するところは全く変わらないのに、アルバムを通じて、全く飽きが来ないのが「その証拠」である。なんだか手品にかかったみたいなガードランドの「弾き分け」である。
ジミー・ロウサーのベース、スペックス・ライトのドラムによるリズム隊は、リズム・キープに徹していて、決して、インタープレイを仕掛けて、ガーランドに絡むことは無い。故に、このライヴ演奏では、ガーランドのピアノだけが映えに映える様にプロデュースされている。
アルバムのジャケットも、やっつけジャケットが多いプレスティッジだが、このアルバム・ジャケは、プレスティッジらしからぬ、趣味とセンスの良い良好なジャケ。ガーランドのNYの「The Prelude Club」でのライヴ演奏が聴こえてきそうな、優れもののジャケットを纏って、このライヴ盤はガーランドの代表作の筆頭として良いだろう。ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚でもある。
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