モードに強いブルーノートです
ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第14位」を聴く。
ジャズをどこよりも理解した、ジャズ・シーンを牽引する老舗レーベルであったブルーノート。1960年代、アーティスティックなジャズの1つのスタイルとして進化した「モード・ジャズ」の範疇のアルバムもかなりの数がリリースされている。
そして、このブルーノートのモード・ジャズ盤を聴くだけで、当時のモード・ジャズのバリエーションの「凡そ」が掴めるほどである。
そんなブルーノートのモード・ジャズを牽引するジャズマンの一人に「アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)」がいる。ライオンはヒルの才能に惚れ込み、積極的な録音〜プロモーションを実施、1963年録音の『Black Fire』から、ライオンがブルーノートから引退、録音から手を引く1967年までの4年間で、なんと8枚ものリーダー作をリリースしている。
Andrew Hill『Point Of Departure』(写真左)。1964年3月21日の録音。ブルーノートの4167番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Eric Dolphy (as on1, 2, 3, b-cl on 3, 4, 5, fl on 3),Joe Henderson (ts, fl on 3), Andrew Hill (p), Richard Davis (b), Tony Williams (ds)。
ヒルの「モード・ジャズ」が完成し、そのアプローチが確立した盤である。もともと、セロニアス・モンクのフォロワー的ピアノでデビューしたのだが、モンクの様に幾何学的にスイングし、音飛びはするが、そのフレーズはモンクよりも、判り易く、確信的。
モンクはモンク独自のフレーズ展開を基本としたが、ヒルは、ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした。僕は、ヒルのピアノをこう解釈している。
ヒルは優れたバックの演奏に触発されて、ヒルならではのモーダルなフレーズをバンバン連発する。流麗な幾何学的スイング、理解出来る範囲で不意に出る音飛び、明るいアブストラクトな響き。ヒルの個性的なモーダルなピアノが実に良く鳴っている。
ヒルの様なモード・ジャズの新しいヒーローを発掘し、売り出しに力を入れたブルーノート、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼にはひれ伏すばかりだ。ヒルの才能と個性は評価された。しかし、人気はイマイチで、思ったほどには売れなかった。決して、ポップでキャッチーな内容では無いからなあ。ジャズに聴き易さ、楽しさを求める向きには「合わなかった」。
それでも、この盤に記録されている、「ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした」ヒルのピアノは特筆に値する。
こんな録音を残したブルーノートは尊敬に値すると僕は思う。しかし、レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」の14位、という順位には、ちょっと違和感は感じるが、この『Point Of Departure』は名盤である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2024.08.24 更新
・イタリアン・プログレの雄「PFM」のアルバム紹介と
エリック・クラプトンの一部のアルバム紹介を移行しました。
・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』の
記事をアップ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から13年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

« 奇跡の名盤『Amtrak Blues』 | トップページ | ブルーノートのロリンズについて »



コメント