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2025年3月 4日 (火曜日)

モードに強いブルーノートです

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第14位」を聴く。

ジャズをどこよりも理解した、ジャズ・シーンを牽引する老舗レーベルであったブルーノート。1960年代、アーティスティックなジャズの1つのスタイルとして進化した「モード・ジャズ」の範疇のアルバムもかなりの数がリリースされている。

そして、このブルーノートのモード・ジャズ盤を聴くだけで、当時のモード・ジャズのバリエーションの「凡そ」が掴めるほどである。

そんなブルーノートのモード・ジャズを牽引するジャズマンの一人に「アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)」がいる。ライオンはヒルの才能に惚れ込み、積極的な録音〜プロモーションを実施、1963年録音の『Black Fire』から、ライオンがブルーノートから引退、録音から手を引く1967年までの4年間で、なんと8枚ものリーダー作をリリースしている。

Andrew Hill『Point Of Departure』(写真左)。1964年3月21日の録音。ブルーノートの4167番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Eric Dolphy (as on1, 2, 3, b-cl on 3, 4, 5, fl on 3),Joe Henderson (ts, fl on 3), Andrew Hill (p), Richard Davis (b), Tony Williams (ds)。
 

Andrewhillpointofdeparture_2

 
ヒルの「モード・ジャズ」が完成し、そのアプローチが確立した盤である。もともと、セロニアス・モンクのフォロワー的ピアノでデビューしたのだが、モンクの様に幾何学的にスイングし、音飛びはするが、そのフレーズはモンクよりも、判り易く、確信的。

モンクはモンク独自のフレーズ展開を基本としたが、ヒルは、ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした。僕は、ヒルのピアノをこう解釈している。

ヒルは優れたバックの演奏に触発されて、ヒルならではのモーダルなフレーズをバンバン連発する。流麗な幾何学的スイング、理解出来る範囲で不意に出る音飛び、明るいアブストラクトな響き。ヒルの個性的なモーダルなピアノが実に良く鳴っている。

ヒルの様なモード・ジャズの新しいヒーローを発掘し、売り出しに力を入れたブルーノート、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼にはひれ伏すばかりだ。ヒルの才能と個性は評価された。しかし、人気はイマイチで、思ったほどには売れなかった。決して、ポップでキャッチーな内容では無いからなあ。ジャズに聴き易さ、楽しさを求める向きには「合わなかった」。

それでも、この盤に記録されている、「ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした」ヒルのピアノは特筆に値する。

こんな録音を残したブルーノートは尊敬に値すると僕は思う。しかし、レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」の14位、という順位には、ちょっと違和感は感じるが、この『Point Of Departure』は名盤である。
 
 

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