ピアノ・トリオの代表的名盤 106
ジャズ・ピアニストには、その個性的なスタイルや奏法を「ウリ」にするピアニストと、演奏全体の総合力を「ウリ」にするピアニストの2種類に分かれると感じている。
前者は、聴けば「あ〜あの人や」と判る位の強烈な個性で、例えば、バド・パウエルやビル・エヴァンス、マッコイ・タイナーなど、1950年代のレジェンド級のピアニストは皆、強烈な個性の持ち主である。
後者は古くはハードバップ後期、1950年代の終わりからポツポツ出始めて、最近ではこの手のピアニストが結構いる。一聴すれば直ぐ判る様な強烈な個性が無い分、ピアニスト個人の判別は難しい。しかし、テクニック、歌心、バッキングなど、ピアニストの総合力で勝負するタイプなので、安心してその演奏に身を委ねることができる。
『The Piano of Roland Hanna: Easy to Love』(写真左)。1959年9月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), Ben Tucker (b), Roy Burnes (ds)。「Sir」の称号を持つ、総合力で勝負するバップ・ピアニストの草分け、ローランド・ハナのトリオ盤である。
ローランド・ハナのピアノは、テクニック、歌心、バッキングなど、ジャズ・ピアニストとしては、その能力は申し分無い「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストである。しかし、他の「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストと比較すると、弾き回しは流麗だが、タッチが重厚でクッキリ。フレーズもダイナミックでスケールの大きい展開が身上。
そんなハナのピアノが、ジャズ・スタンダード曲を弾きまくる、そんな企画盤。流麗だが重厚なタッチで、ダイナミックな展開がメインのアレンジで、ハナはバップなピアノをガンガンに弾きまくる。タッチが明確な分、耳に新しいアレンジを施していても、そのジャズ・スタンダード曲の持つテーマがはっきり判る。
テクニックに優れ、弾き回しが流麗、そして、歌心満点とくれば、「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストとして申し分無い。そんなはハナを、ベン・タッカーのベース、ロイ・ブルネスのドラムが堅実にサポートする。このリズム隊には、自由度の高いインタープレイは無いが、とにかく堅実で安定感をあるリズム&ビートを叩き出しているところは好感度高。
聴き応え抜群の「バップ・ピアノ」なトリオ演奏です。ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚として、取り上げたいと思います。
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