『Anita Sings the Most』です。
3月である。しかし、である。昨日の午後から、3月初旬らしからぬ、暖かな日が続いている。今日などは、4月上旬の陽気とか。
寒い冬が行き過ぎて、暖かな日がやってくる3月。暖かくなってくると、なぜか聴きたくなるのが、ジャズ・ボーカル。それも女性ジャズ・ボーカル。元々、ジャズ・ボーカルが苦手だった、私こと、松和のマスター。ジャズを本格的に聴き始めて幾年月。最近はジャズ・ボーカル盤も難なくこなすようになった。
Anita O'Day『Anita Sings the Most』(写真左)。1957年1月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Anita O'Day (vo), Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), John Poole, Milt Holland (ds)。オールマイティーなハスキー・ボーカリスト、アニタ・オディのアルバム。バックは、オスカー・ピーターソン・カルテットが務めている。
アニタ・オディ(Anita O'Day)は、「アニタ・コルトン」(本名)として、1919年10月18日、米国カンザスシティに生まれる2006年11月23日(享年87歳)米国ロサンゼルスにて逝去。ジーン・クルーパ楽団、スタン・ケントン楽団などのバンドシンガーとして、そのキャリアをスタート。1958年のニューポート・ジャズ・フェスの映画『真夏の夜のジャズ』により、メジャーな存在に。
ハスキー・ボイスとノリのいいスイング感と、様々なジャンルの歌唱を歌いこなす高テクニック。また一方、薬物で波乱の生涯を送ったことでも有名で、薬物犯罪により実刑判決を受けた為に、米国のマスコミから「ジャズ界のイゼベル」と呼ばれた(注・イゼベルは聖書に登場する王の妻で悪女のイメージ)。しかし、本人はこのニックネームを嫌っていたそうなので、ここでは使わない。
さて、この『Anita Sings the Most』、ジャズ・ボーカル盤として、とても聴きやすく、高度な内容になっていて、モダン・ジャズ・ボーカルのお手本とも言える名盤だと僕は思う。ジャズ・ボーカルの一つの個性&スタイル「ハスキー・ボイスでシンプルにクールに歌い上げる」の、昨日ご紹介した「ペギー・リー」と双璧をなす存在がアニタ・オディだろう。
この盤は、特に、バックのカルテットが、あの鍵盤の帝王、オスカー・ピーターソンが率いるカルテットで、元々、相当な伴奏上手なピアニストのピーターソン。ハーブ・エリスのギターとレイ・ブラウンのベースと併せて、この盤でも絶妙の伴奏を繰り広げている。このピーターソン・カルテットの極上の伴奏が、この盤の魅力をさらに高めている。
スキャットを駆使したアップ・テンポなナンバーから、しっとりとしたバラードまで、様々なジャンルの歌唱を難なくこなしつつ、颯爽と歌いまくるアニタは爽快そのもの。好調アニタをしっかりと捉えた、アニタの個性が手に取るように理解できる、女性による、モダン・ジャズ・ボーカルの好例となる名盤だろう。
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