ブルーノートのロリンズについて
ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第15位」を聴く。
Sonny Rollins『A Night At The Village Vanguard』(写真左・写真右は完全版のジャケット)。ブルーノートの1581番。1957年11月3日、ニューヨークのジャズ・スポット、Village Vanguardでのライヴ録音。
ちなみにパーソンネルは、「A Night In Tunisia」のみが、Sonny Rollins (ts), Don Bailey (b), Pete LaRoca (ds)。その他5曲が、Sonny Rollins (ts), Wilbur Ware (b), Elvin Jones (ds)。どちらのセットも、ロリンズのワンホーン、しかも、ピアノレスのトリオ編成である。
ソニー・ロリンズが60枚以上のリーダー作をリリースしてきた中で、ブルーノートからリリースしたのは、スタジオ盤3枚、ライヴ盤1枚。合計たった4枚、しかも、1957年に集中している。ロリンズにとって、ブルーノートはギャラが安かったのか、はたまた、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンとソリが合わなかったのか。
しかし、このブルーノートの4枚のリーダー作が、ソニー・ロリンズの個性と特徴をしっかりと記録している。しかも、モダン・ジャズのグループサウンドとして、相当にレベルの高いパフォーマンスを記録している。これは、やはり、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手腕の賜物だろう。
そんなこのブルーノートの4枚のリーダー作の中で、突出した出来がこの『ビレッジ・ヴァンガードの夜』。ライヴ盤ということもあるが、この盤の演奏編成が、ロリンズがワンホーンの、ピアノレスのトリオ編成。ロリンズが、他のフロント管に影響されず、ピアノにコードを束縛されない。そんな、稀有のインプロヴァイザー、ソニー・ロリンズにとって、理想的な演奏編成である。
ソニー・ロリンズは、理由は判らないのだが、複数のフロント管の編成になると、他のフロント管のメンバーに気を使うのか、存分にソロ・パフォーマンスのスペースを与えたりする。加えて、ピアノが入ると、バッキングのピアノのコード進行に合わせるきらいがある。故にロリンズのアドリブ・フレーズが窮屈に感じることがある。
しかし、ロリンズは、なぜか、自らがワンホーンの編成が少ない。しかもピアノレスはほとんどない。しかし、ロリンズのソロ・パフォーマンスにとっては、ワンホーン+ピアノレスが一番、その実力、イマージネーションが発揮できる理想的な演奏編成なのだ。
そんな「ワンホーン+ピアノレス」の演奏編成が、この『ビレッジ・ヴァンガードの夜』であり、しかもライヴ録音である。一発勝負、即興演奏を旨とするジャズのアドリブ展開において、ロリンズ最高のパフォーマンスをこのライヴ盤は記録している。そういう意味で、ロリンズを理解する上で、このライヴ盤は必須のアイテムなのだ。
このライヴ盤でのロリンズのアドリブ・ソロは秀逸で、ロリンズのテナー・マンとしての卓越した能力を見せつけてくれる。テクニック優秀、硬派なブロウ、満点の歌心。ロリンズは、歴代のテナー・マンの中で「ピカイチ」の存在である。
こういうライヴ盤を、そのリーダーのジャズマンにとって最適な内容の録音を企図し実行する。ブルーノートはそういうことが日常で出来るレーベルであり、そのブルーノートで采配を振るう、総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの賜物である。
このロリンズの『A Night At The Village Vanguard』は、ブルーノートのレーベルとしての優秀性を如実に証明する、優れた内容のライヴ盤である。レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」の中での15位は低すぎるくらい。10位以内にあっても納得の名盤です。
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