ブルーノートのハッチャーソン
レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第17位」。
Bobby Hutcherson『Happenings』(写真左)。ブルーノートの4231番。1966年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), Herbie Hancock (p), Bob Cranshaw (b), Joe Chambers (ds)。ブルーノートからデビューしたハッチャーソンの4枚目のリーダー作。
1950年代、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)がモダン・バイブの奏法を確立〜飛躍させ、「ヴァイブの神様」と呼ばれるポジションを確立する。以降、ジャズ・ヴァイブについては、バグスのスタイルを踏襲〜深化させるのが通例とされた。が、しかしである。1960年代に入って、ボビー・ハッチャーソンが登場する。彼はミルトとは全く異なる表現テクニックで、そのポジションを確立する。
「新主流派」と呼ばれる、若手中心のジャズの伝統的奏法に則りながらも前衛性を重視し、モード・ジャズをベースとした理知的な演奏をする集団があったのだが、その「新主流派」のイディオムを基にしたジャズ・ヴァイブを展開したのが、ハッチャーソンであった。
純粋に優れたジャズを漏れなく記録し、積極的に世に出すという矜持を強く持っていた、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベル。そのレーベルの矜持に則り、ブルーノートは、いち早く、ハッチャーソンと契約を結び、リーダー作を制作〜リリースしている。こういうところが、21世紀の今でもブルーノートは尊敬され、一目置かれるレーベルであり続けている所以である。
ハッチャーソン自身について、そして、この4枚目のリーダー作『Happenings』の内容詳細については「ハッチャーソンの新主流派ヴァイブ 『Happenings』」(2015年3月28日のブログ)を参照いただきたい。ここでは、ブルーノートらしい「内容と音と響き」という切り口で、この『Happenings』を聴き直したのだが、このアルバムで、「新主流派」のイディオムを基にしたジャズ・ヴァイブが完成された感がある。
理知的でクールで、素晴らしいテクニックに裏打ちされた鋭いタッチ、切り込むような音。それでいて、ジャズの基本を忠実に保持して、決して破綻しないクールな演奏。これをヴァイブをメインに展開している。とても「売れる」内容ではない。しかし、明らかに「アーティスティック」である。この音は、当時、ブルーノート・レーベルにしか、制作〜リリースできなかったのではないか、と僕は思う。
録音ももちろん「ルディ・ヴァン・ゲルダー」印。ブルーノート・レーベル独特の音で録音されていて、その響きは「新主流派」の音をしっかりと引き立てている。この『Happenings』は、いかにも、ブルーノート・レーベルらしいアルバムである。ブルーノートらしい「内容と音と響き」がぎっしりと詰め込まれている。
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