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2025年3月16日 (日曜日)

ハッピーで中間派なアーゴ盤

アル・グレイ(1925年6月6日 - 2000年3月24日)は、米国バージニア州アルディーで生まれ。アリゾナ州スコッツデールで74歳で亡くなっている。米国のジャズ・トロンボーン奏者であり、カウント・ベイシー・オーケストラのメンバー。プランジャー・ミュートテクニックで知られる名手である。

Al Grey『Snap Your Fingers』(写真左)。1962年1, 2月の録音。 Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Al Grey (tb), Billy Mitchell (ts), David Burns (tp, tracks 1–5), Donald Byrd (tp, tracks 6–8), Bobby Hutcherson (vib), Floyd Morris (p, tracks 1–5), Herbie Hancock (p, tracks 6–8), Herman Wright (b), Eddie Williams (ds)。

ぼんやり聴いていると、ビッグバンドの演奏かな、と思ってしまう。アレンジが秀逸でその様に聴こえるが、フレイのトロンボーン、ミッチェルのテナー、バーンズ or バードのトランペットの3管フロント、ハッチャーソンのヴァイブ、モリス or ハンコックのピアノ、ライトのベース、ウィリアムスのドラムのセプテット編成の演奏である。

アル・グレイのトロンボーンは実に味わい深い。演奏の基本スタイルは、スイングでもなければ、ハードバップでも無い。どちらの特徴を兼ね備えた「中間派」のトロンボーンである。ジャズ・トロンボーン奏者の中では、ハードバップからモードに対応していった「モダン派」以外は、ジャズ・トロンボーンについては、だいたい、この「中間派」が多い。
 

Al-greysnap-your-fingers

 
演奏全体の雰囲気も「中間派」。中間派独特の陽気でハッピーな演奏で、さすが、アーゴ・レーベルからのリリースで、どこかファンキーでソウルフルな雰囲気も見え隠れする。ハードバップやモード・ジャズには無い、ほのぼのとした雰囲気とおおらかな展開が耳に優しく、これはこれで実に芳しい「ジャズ」である。

冒頭の「Nothing But the Truth」は、陽気なラグタイムを思わせる軽快な演奏。グレイは得意のミュートでのプレイでブイブイ言わせる。フロント3管のユニゾン&ハーモニーなどのアレンジも振るっていて、味わい深いテクニックを披露している。2曲目「Three-Fourth Blues」は、マイナー・ブルースで、シンプルなソロのリレーが耳に優しい。

3曲目の「Just Waiting」は、ミッチェルの泣きのテナーが大活躍のスロー・バラード。4曲目「R.B.Q.」では、ハッチャーソンのスインギーなヴァイブが大活躍。この2曲では、しっかりとリーダーのアル・グレイの「中間派な音」に呼応して、ミッチェルもハッチャーソンも「中間派」なソロを展開しているのが見事である。

アーゴ・レーベルの音を踏襲し、中間派な音志向に、きっちりァンキーでソウルフルな雰囲気を織り込んだ、思わず足踏みし、腰が揺れる様な、中間派独特の陽気でハッピーな演奏が展開される。ジャズの歴史を変える様な先進的な内容ではないが、モダン・ジャズの楽しさがこの盤に溢れている。難しいことを考えずに、シンプルにモダン・ジャズを楽しむ向きに格好の好盤である。
 
 

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