奇跡の名盤『Amtrak Blues』
いきなり雨になり、いきなり冬に逆戻りの気候になって、朝からずっと、冷たい雨、しかも時々強くなる、あいにくの一日。気温差は10℃を超える。これは、基本的に体に堪える。今日は、午後から、エアコンの暖房の効いた部屋の中で、コーヒーを飲みながらの、女性ジャズ・ボーカルの鑑賞継続である。
Alberta Hunter『Amtrak Blues』(写真左)。1980年のリリース。ちなみにパーソネルは、Alberta Hunter (vo), Doc Cheatham (tp), Gerald Cook (p), Vic Dickenson (tb), Norris Turney, Frank Wess (reeds)。1920年代初頭から1950年代後半にかけて活躍したアメリカのジャズおよびブルース歌手、ソングライターのアルバータ・ハンターのカムバック作の中の一枚。
ちょうど、本格的にジャズを聴き始めて三年目。このアルバムのリリースは、某有名ジャズ雑誌で読んで知っていた。85歳での復活劇、的なものだったと思う。ただ、当時、まだ本格的にジャズを聴き始めて三年目。特にジャズ・ボーカルは苦手だったので、当然、このアルバータ・ハンターのアルバムはスルーだった。
で、つい最近、この盤のジャケに遭遇。即ダウンロード、即リスニング、である。存在感抜群のボーカル。ブルースとジャズが融合した、独特の個性的なボーカル。ブルースの泥臭さをジャズが中和している感じ。唄いっぷりは堂々としていて迫力満点だが、耳に優しく心に心地よく響く。素晴らしいボーカル。
アルバータ・ハンターは、1895年4月1日、米国メンフィスにて誕生。1908年「ダゴ・フランクズ」 という店で歌手デビュー。1922年、パラマウントレーベルにてレコーディング。1920年代はシカゴが拠点。ドリームランドカフェ」で唄う。1923年、NYへ進出。しかし、1954年、彼女は引退。母が病死した日、歌をやめようと決めたのだった。
1957年から看護師。アルバータ62歳。20年間看護師として働き、1977年、82歳で引退。しかし、3ヶ月も経たないうちに、NYの 「クッケリー」からラブコール がかかり、出演決定。86歳までこの店で週5日唄う。そして、この『Amtrak Blues』を録音。アルバータ85歳のレコーディング。そして、このアルバムのリリースから4年後、1984年10月17日 NYにて死去。享年89歳。
50代までジャズ、ブルースの歌手。その後、学校に入り直し病院で仕事。80代に入ってから復活。凄い話だ。そんな波瀾万丈な人生経験をガッツリ反映した様な、アルバータ・ハンターの歌唱。リズムも音程も明確、背筋がスッと伸びた、正統派な印象が強烈。80歳を優に越えた年齢で、この歌唱。見事としか言いようがない。
ブルースだろうが、ジャズだろうが、アルバータの歌唱の前では関係ない。素晴らしい感動的な歌唱だけがここにある。アメリカン・ルーツを彷彿とさせるアルバータの歌唱。この盤、女性ジャズ・ボーカルの名盤である。
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