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2025年3月の記事

2025年3月31日 (月曜日)

1980年代のタウナー・サウンド

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。どの盤にも新しい発見があって、実に楽しい。今回の盤は「1980年代のタウナー・サウンド」の最初の成果。

Ralph Towner『Blue Sun』(写真左)。1982年12月の録音。翌年のリリース。ECMの1250番。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (12-string guitar, classical-g, p, Prophet 5 syn, French Horn, cornet, perc)。ECMのハウス・ギタリスト、ラルフ・タウナーのソロ・アルバム。

ECMのニュー・ジャズの具現化の筆頭。ECMの音志向である「耽美的で、音の「間」と「拡がり」を活かした、即興演奏をメインとした、限りなく自由度の高いインタープレイ」の担い手の一人。欧州ギターの吟遊詩人、ラルフ・タウナーのソロ・アルバム。1980年代仕様のラルフ・タウナーがここにある。

1970年代の「硬質でシャープで耽美的で、少しマイナー志向の思索的なアコギ」がトレード・マークだったタウナー。そう、2枚目のリーダー作『Diary』のジャケット写真の様な、明るい鉛色の、どこか硬質でシャープな、海の風景の様なギター。そんなタウナーのギターが、このアルバムでは、少し明るく、温かみのあるメジャーな響きが加わって、とてもカラフルな、ポジティヴでバリエーション豊かな音に変化している。
 

Ralph-townerblue-sun

 
しかも、このアルバムでは、マルチ・プレイヤーとして、お得意の12弦ギターに加え、クラシック・ギター、ピアノ、プロフェット5・シンセ、フレンチ・ホルン、コルネット、パーカッションを、一人でこなしている。そして、それぞれの楽器の演奏を多重録音にて、一つの作品に仕立て上げている。

タウナーのギターの音は「硬質でシャープで耽美的で、少しマイナー志向の思索的なアコギ」。1970年代の音と変わらない。しかし、そこにメジャーな響きのピアノの音やシンセの音が絡んで、硬質でシャープなギターの音を少しラウンドさせ柔和な雰囲気を醸し出し、フレンチ・ホルンとコルネットの管楽器が硬質なギターの音を包みこみ、1970年代のタイナー・サウンドに、明るさと温かみを加味している。

タウナーは「OREGON」というグループの一員として活動していたが、オレゴンの音志向は「実生活と音楽を切り離すのではなくて、あくまで自然の=海、川、風=リズムを基盤にしたアース・ミュージックの具現化」。このOREGONが志向する「アース・ミュージック」の音要素を、効果的に、自らのソロ・アルバムの音世界に反映している様に感じる。それが「少し明るく、温かみのあるメジャーな響き」なのだろう。

ラルフ・タウナーのディスコグラフィーの中で、ほとんど話題に上がらないアルバムなので、内容はイマイチなのかな、と思って敬遠した時期もあったが、初聴してビックリ。1980年代のタイナー・サウンドの最初の成果がこの盤に詰まっている。マイナーな存在のアルバムだが、これはタイナーの傑作、ECM名盤の一枚だと僕は思う。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

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2025年3月30日 (日曜日)

ブリュニングハウスのECM好盤

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。どの盤にも新しい発見があって、実に楽しい。今回の盤は「初聴き」盤。

Rainer Brüninghaus『Freigeweht』(写真左)。1980年 7月から8月、オスロの「Talent Studio」での録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Rainer Brüninghaus (p, syn), Kenny Wheeler (flh), Jon Christensen (ds), Brynjar Hoff (oboe, cor snglais)。ピアニスト、ライナー・ブリュニングハウスがECMの「ハウス・タレント」と共に録音した、ECMにおける初リーダー作である。

変則な楽器編成である。フリューゲルホルンのケニー・ホイーラー、ドラムのヨン・クリステンセン、オーボエ奏者のブリンジャー・ホフ、そして、リーダーでピアニストのライナー・ブリュニングハウス。まず、定番のベーシストが不在。そして、なぜかオーボエが入っている。パーソネルの楽器記号「cor snglais(仏語・コーラングレ)」は、英語でいう「イングリッシュ・ホルン」。
 

Rainer-bruninghausfreigeweht

 
この変則な楽器編成から、ECMならではの、現代音楽&現代クラシック志向、即興演奏をメインとした「ニュー・ジャズ」だと当たりをつける。ベースが不在だが、ブリュニングハウスのピアノがあるので、ベースラインはピアノが代替している。加えて、演奏メンバーは、ブリュニングハウスがドイツ、ホイーラーはカナダ(英国)、クリステンセンとホフはノルウェーと、欧州ジャズ志向の面々で固められていて、従来の4ビート・メインのモダン・ジャズの雰囲気は皆無。

冒頭の「Stufen」から、即興演奏をメインとした、自由度の高いインタープレイが展開される。ブリューニングハウスの硬質で叙情的で印象派的なピアノ、ホイーラーとホフの、拡がるが如く、漂うが如くの瞑想的なフレーズが、欧州的で叙情的な響きと共に展開、そんな拡がりと間を活かしたインタープレイを、クリステンセンの変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、切れ味よく推進力溢れるドラムが演奏全体を牽引する。

このアルバムの持つ、現代音楽&現代クラシック志向の欧州ジャズ的なサウンド志向、即興演奏をメインとした、柔軟でスピリチュアルなフレーズの展開、そして、拡がりと間を活かしたインタープレイが、ECMのサウンド志向とピッタリと合致して、唯一無二な響きを宿した、コンテンポラリーな欧州ジャズの好盤に仕上がっている。ECMレーベルにしか制作できない、ECMならではの好盤の一枚である。
 
 
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2025年3月29日 (土曜日)

ブルーノートの専属ピアニスト

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第18位」。

Horace Silver『Song for My Father』(写真左)。1963年10月31日、1964年10月26日 の2回のセッションの寄せ集め。ちなみにパーソネルは、当然、以下の2つの編成に分かれる。

1963年10月31日の録音(#3, 6)が、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。1964年10月26日(#1. 2. 4. 5)の録音が、Horace Silver (p), Carmell Jones (tp), Joe Henderson (ts), Teddy Smith (b), Roger Humphries (ds)。

ここでは、ブルーノートらしい「内容と音と響き」という切り口で、この『Song for My Father』を聴き直したのだが、このアルバムでは、ホレス・シルヴァーの「新しいファンキー・ジャズ」が存分に楽しめる。

ホレス・シルヴァーは、ブルーノート・レーベルの「ハウス・ピアニスト」。デビュー作『New Faces New Sounds (Introducing the Horace Silver Trio)』から、1980年リリースの『Silver 'n Strings Play the Music of the Spheres』まで、全リーダー作の37枚中26枚、約7割をブルーノートからリリースしている。
 

Songformyfather_1

 
シルヴァーの活動期のほとんどをブルーノートの「ハウス・ピアニスト」として君臨した訳で、ブルーノートのファンキー・ピアノは、シルヴァーのピアノが筆頭。1952年の録音から1978年の録音まで、シルヴァーのファンキー・ピアノの進化と変遷、バリエーションの全てが、ブルーノートのリーダー作を聴くことで把握することが出来る。

特に、1964年のセッションでは、シルヴァーのファンキー・ジャズの成熟を感じることが出来る。ポップでメジャーな雰囲気で開放感のあるファンキー・ジャズで、いわゆる「聴かせる」ファンキー・ジャズである。そして、その「聴かせる」ファンキー・ジャズの筆頭が、冒頭のタイトル曲「Song for My Father」。

一度聴いたら忘れない、とてもキャッチャーでポップで躍動感溢れるテーマが格好良い。この曲は「売れた」。ちなみに、このタイトル曲「Song For My Father」は、シルヴァーが自分の父親に捧げたもの。この盤のジャケ写の「帽子を被った葉巻のおじいさん」が、シルヴァーの父君そのものである。

ブルーノートは、ハウス・ミュージシャンに対して、彼らが望む、彼らがチャレンジするジャズを認めて、それを全面的に支援し、彼らの進化と変遷、バリエーションを実現する、ハウス・ミュージシャン・ファーストなレーベルだった。

そして、ハウス・ミュージシャンは、その恩義に報いる為、ブルーノートの収入の為にヒット曲を供給する。ホレス・シルヴァーをはじめとして、リー・モーガン然り、ジミー・スミス然り、アート・ブレイキー然り。つまりは、ブルーノートはジャズマン・ファーストなレーベル。だからこそ、1500番台から4000番台、4100番台、4200番台と、数々の名盤が好盤が生まれたのだ。
 
 

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2025年3月28日 (金曜日)

ブルーノートのハッチャーソン

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第17位」。

Bobby Hutcherson『Happenings』(写真左)。ブルーノートの4231番。1966年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), Herbie Hancock (p), Bob Cranshaw (b), Joe Chambers (ds)。ブルーノートからデビューしたハッチャーソンの4枚目のリーダー作。

1950年代、ミルト・ジャクソン(愛称・バグス)がモダン・バイブの奏法を確立〜飛躍させ、「ヴァイブの神様」と呼ばれるポジションを確立する。以降、ジャズ・ヴァイブについては、バグスのスタイルを踏襲〜深化させるのが通例とされた。が、しかしである。1960年代に入って、ボビー・ハッチャーソンが登場する。彼はミルトとは全く異なる表現テクニックで、そのポジションを確立する。

「新主流派」と呼ばれる、若手中心のジャズの伝統的奏法に則りながらも前衛性を重視し、モード・ジャズをベースとした理知的な演奏をする集団があったのだが、その「新主流派」のイディオムを基にしたジャズ・ヴァイブを展開したのが、ハッチャーソンであった。
 

Happenings_1

 
純粋に優れたジャズを漏れなく記録し、積極的に世に出すという矜持を強く持っていた、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベル。そのレーベルの矜持に則り、ブルーノートは、いち早く、ハッチャーソンと契約を結び、リーダー作を制作〜リリースしている。こういうところが、21世紀の今でもブルーノートは尊敬され、一目置かれるレーベルであり続けている所以である。

ハッチャーソン自身について、そして、この4枚目のリーダー作『Happenings』の内容詳細については「ハッチャーソンの新主流派ヴァイブ 『Happenings』」(2015年3月28日のブログ)を参照いただきたい。ここでは、ブルーノートらしい「内容と音と響き」という切り口で、この『Happenings』を聴き直したのだが、このアルバムで、「新主流派」のイディオムを基にしたジャズ・ヴァイブが完成された感がある。

理知的でクールで、素晴らしいテクニックに裏打ちされた鋭いタッチ、切り込むような音。それでいて、ジャズの基本を忠実に保持して、決して破綻しないクールな演奏。これをヴァイブをメインに展開している。とても「売れる」内容ではない。しかし、明らかに「アーティスティック」である。この音は、当時、ブルーノート・レーベルにしか、制作〜リリースできなかったのではないか、と僕は思う。

録音ももちろん「ルディ・ヴァン・ゲルダー」印。ブルーノート・レーベル独特の音で録音されていて、その響きは「新主流派」の音をしっかりと引き立てている。この『Happenings』は、いかにも、ブルーノート・レーベルらしいアルバムである。ブルーノートらしい「内容と音と響き」がぎっしりと詰め込まれている。
 
 

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2025年3月27日 (木曜日)

セシルなフリー・ジャズの提示

レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、ブルーノートらしい「内容と音と響き」、そんな三拍子揃ったブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第16位」。

Cecil Taylor『Unit Structures』(写真左)。1966年5月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Cecil Taylor (p, bells), Eddie Gale (tp), Jimmy Lyons (as), Ken McIntyre (as, oboe, b-cl), Henry Grimes (b), Alan Silva (b), Andrew Cyrille (ds)。リーダーのセシル・テイラーのピアノをメインに、トランペット1本、アルト・サックス2本、ベース2本、ドラム1セットの変則セプテット。

ジャズにおける演奏ジャンルは「フリー・ジャズ」。フリー・ジャズというからには、自由に吹きまくる、自由に弾きまくる、自由に叩きまくる、というイメージがあるが、演奏楽器全てが自由にやりまくると、一般的な「音楽」では無くなる。無調の音が集まった塊りとしか解釈できず、音楽として成立しない。フリー・ジャズには、必ず、「必要最低限の決め事」があり、その「必要最低限の決め事」を守りながら、ある一定の法則に則って演奏を繰り広げる。

フリー・ジャズには、3つのトレンドがあると思っていて、いずれにも「必要最低限の決め事」は、どのトレンドにもあるのだが...。一つは、コルトレーンなフリー・ジャズ。出だしはハードバップ、即興演奏の部分に入ると、感情の赴くまま、ひらめきのまあ、自由に吹きまくる。しかし、リズム・セクションは、必要最低限のリズム&ビートを供給する。
 
Cecil-taylorunit-structures  
 
もう一つは、オーネット・コールマンなフリー・ジャズ。これは、従来のジャズで「やってはいけないことをやる」をメインに演奏する。つまり、従来のジャズの規則・決め事からの自由。

そして、セシル・テイラーなフリー・ジャズ。ジャズの「肝」の一つである、リズム&ビートを基本として、その上に限りなく、極限までに限りなく自由度を追求した展開。しかし、「無調」には逸脱しない。必要最低限の「調性」を保持した、時にモーダルに、時に無調に、時に現代クラシック風にアブストラクトに弾きまくる。そして、「間」を上手く使う。思いつきでは無い、しっかり計算されて「間」。この「間」が即興演奏のフリー度をさらに加速させる。

このアルバムには、そんなセシル・テイラーなフリー・ジャズがてんこ盛り。全編聴き通すと、もうセシル・テイラーなフリー。ジャズでお腹いっぱいになる。このアルバムにて、セシル・テイラーなフリー・ジャズの全容が明らかになる。そして、フリー・ジャズの「第3のベクトル」を提示し、欧州という支持基盤を得て、セシル・テイラーなフリー・ジャズは、メジャーな存在として、さらなる飛躍を遂げることとなる。

このアルバムの様な、フリー・ジャズの新しい3つ目の演奏トレンドをしっかり記録し、アルバムとしてリリースする。ヴァーヴやキャピトルなどの様な大手レーベルの、売らんが為のジャズでは無く、純粋に優れたジャズを漏れなく記録し、積極的に世に出すという矜持を、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベルは強く持っていた。そういうところが、21世紀の今でもブルーノートは尊敬され、一目置かれるレーベルであり続けている。
 
 

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”サーマン健在” を実感する好盤

月刊誌レココレの2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この特集のアルバム・セレクトが興味深く、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きをしている。今日は、その45選の中から、最近のアルバムをチョイス。

John Surman『Words Unspoken』(写真左)。2022年12月、オスロ、レインボウ・スタジオにての録音。ちなみにパーソネルは、John Surman (ss, bs, b-cl), Rob Luft (g), Rob Waring (vib), Thomas Strønen (ds, perc)。リーダーのジョン・サーマンのサックス&バスクラの1管+ロブ・ルフトのギター、ロブ・ウォーリングのヴァイブのフロントに、トーマス・ストレーネンのドラム&パーカッション、ベース不在の変則カルテット編成。

ジョン・サーマンは英国のサックス&クラリネット奏者。ギターのロブ・ルフトは英国のギタリスト。ヴァイブのロブ・ウォーリングと、ドラムのトーマス・ストレーネンは、ノルウェー出身。英国とノルウェー連合の変則カルテットの演奏。演奏全体の雰囲気は、欧州のコンテンポラリーな純ジャズと北欧ジャズとのハイブリッドな雰囲気。ECMレーベルの音世界とはちょっと外れた、インターナショナルな雰囲気の欧州ジャズである。
 

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ベースがいない分、アドリブ・フレーズのベース・ラインが規定されることは無い。ストローネンの叩き出す、硬軟自在、緩急自在なリズム&ビートにのみ乗って、サーマンのサックス&バスクラ、ルフトのギター、ウォーニングのヴァイブが、モーダルなフレーズをメインとしながら、自由度の高い、有機的なインタープレイを繰り広げている。

効果的に響きユニゾン&ハーモニー、フロントとバックの役割分担を、自由度高く臨機応変にチェンジし、既成のルーチンに陥らない、即興性に重きを置いた、意図的に自由度を高く保持した、変幻自在なインプロビゼーションを繰り広げている。そんな中、ジョン・サーマンのサックス&バスクラが、縦横無尽に飛翔する。そして、そんなサックス&バスクラに効果的に有機的に絡みまくるギターとヴァイブ。意外と今までにあまりない、耳に新しいインタープレイの連続に、思わず集中して耳を傾けてしまう。

このサーマン盤を聴いていると、現代の現在のECMレコードの創出するジャズのレベルが、相変わらず、相当に高いレベルにあることを再認識する。即興性をメインにした、現代の現在のECMの音がこの盤でしっかり確認することが出来る。収録曲の全てをサーマンが作曲。サーマンのサックス&バスクラと併せて、「サーマン健在」を実感する好盤である。
 
 

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2025年3月25日 (火曜日)

ディーディーの声はお気に入り

ここ1〜2年、グッと少なくなった気がするのは僕だけだろうか。ジャズ・ボーカリストの新人のアルバムのリリースである。加えて、ジャズ・ボーカル盤の新譜も少なくなった気がする。新人として出てきたジャズ・ボーカリストが短い期間に続けて、リーダー作をリリースすることも稀になった。

ジャズを本格的に聴き始めてから暫くはジャズ・ボーカルが苦手だった。特に女性ボーカルが苦手。ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介される、本格的な女性ボーカリストのアルバムが、どうにも「耳に合わない」。まだジャズを聴き始めた「ジャズ者初心者」だったから、自分の耳が悪いのかと悩んだ時期もあった(笑)。

そんな「女性ジャズ・ボーカル」アレルギーだった僕が、最初にお気に入りになったのが、ディー・ディー・ブリッジウォーター(Dee Dee Bridgewater、以降「ディーディー」と略す)。1950年生まれ、メンフィス出身の米国の女性ジャズ・ボーカリストである。

Dee Dee Bridgewater『Just Family』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Dee Dee Bridgewater (vo), Stanley Clarke (arr, b, producer), George Duke (key), Ronnie Foster (key, Moogs), Bobbye Lyle (p, key), Chick Corea (el-p), Ray Gomez (g), David T. Walker (g), Alphonso Johnson (b), Scarlet Rivera (vln), Harvey Mason, Leon "Ndugu" Chancler (ds), Airto Moreira (perc)。
 

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ディーディーの3枚目のアルバム。パーソネルを見渡すと、これは、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックにした、コンテンポラリーな女性ジャズ・ボーカル盤である。従来のスインギー&4ビートな本格的な女性ジャズ・ボーカルでは無い、AOR、ポップス、ソウルの要素を上手く取り入れた、コンテンポラリーな女性ボーカル。

これが良かった。クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックに唄いまくるディーディーのボーカルは「ストレートでシンプルでソウルフル」。声に爽やかな力感が心地良く、爽やかなスイング感が心地良い。当時、新しい感覚の女性ジャズ・ボーカルで、クロスオーバー度が高く、ボーダーレスな音志向が耳に新しかった。

今の耳で聴いても、僕の耳には良いボーカルである。当時、大流行していたフュージョン志向かと思いきや、ソフト&メロウな要素は希薄で、ソウルフル&ファンクの要素の方が色濃く、そういう切り口から、このディーディーのボーカルは、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズとして聴いた方が座りが良い。決して、フュージョンでは無い。

クロスオーバー志向のエレ・純ジャズをバックに、ディーディーのボーカルが合わせているのでは無く、ディーディーのボーカルに、クロスオーバー志向のエレ・純ジャズのバックが合わせて、サポートし、引き立てている。そんな雰囲気が見え隠れするところがこのアルバムの良いところ。女性ジャズ・ボーカルの好盤だと僕は思う。
 
 

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2025年3月24日 (月曜日)

スパニッシュ志向のマクラフリン

実験的でシリアスで求道的なアプローチを身上とした「マハヴィシュヌ・オーケストラ」を解散し、インド音楽志向のエレ・ジャズを追求したシャクティを立ち上げたマクラフリン。その傍らで、アル・ディ・メオラ、パコ・デ・ルシアとのスーパー・ギター・トリオを立ち上げ、一世を風靡。そして、マクラフリンは1980年代に突入する。

John McLaughlin『Belo Horizonte』(写真左)。June–July 1981年6〜7月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Paco de Lucía (ac-g), Augustin Dumay (vln, vo), François Jeanneau (sax), François Couturier, Katia Labèque (key), Jean Paul Celea (b), Tommy Campbell (ds, perc), Jean-Pierre Drouet, Steve Sheman (perc)。

アル・ディ・メオラ、パコ・デ・ルシアとのスーパー・ギター・トリオを経て制作された、マクラフリンのソロ・リーダー作。前作『Electric Dreams』の「コズミックなクロスオーバー&フュージョン」志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズの雰囲気を踏襲しつつ、スーパー・トリオで体験した、フラメンコ風のギターのテイストを織り込んで、ユニークな音世界を創出した傑作。

クロスオーバー&フュージョン志向の純エレ・ジャズの中で「アコースティック・ギターをどう活かすか」を最重要テーマに、アコースティック・ギターが映えに映えるアレンジが全編に渡って施されている。エレ・ジャズの要素、フェンダー・ローズやシンセサイザーなどは、このアコースティック・ギターを映えさせる役割に徹している。
 

John-mclaughlinbelo-horizonte 

 
そして、そんなアコースティック・ギターを映えさせる為に選んだテイストが「スパニッシュ」志向。それまで、プログレとジャズの融合がメインテーマだったマクラフリンが、フラメンコ風のギター風のフレーズを、軽快でポップなタッチで弾きまくる。実験的要素は全く無い。

それまで、シリアスで求道的な作品が中心だったマクラフリンが、スパニッシュ志向に転身して、フュージョン・ジャズ志向のポップなエレ・ジャズを展開している。しかも、その内容はとても充実していて濃い。

面白いのは、バックのバンド演奏が全く目立ってこないこと。軽快でポップなスパニッシュ志向のマクラフリンのアコースティック・ギターを引き立て、流麗さを浮き立たせるバック・バンドの演奏なんだが、それまでのマクラフリンのテクニック最優先のバック・バンドの演奏とは正反対のイメージ。

決して、テクニカルでもなく、雰囲気だけでリズム&ビートを醸し出している。しかし、これが、この盤でのマクラフリンのアコースティック・ギターに合っている。プロデュースの妙ですね。

1980年代のマクラフリンの最初の好盤だと思います。スパニッシュ志向のマクラフリンのアコースティック・ギターがとても魅力的に響いています。
 
 

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2025年3月23日 (日曜日)

ジャケーのウィズ・ストリングス

イリノイ・ジャケーのテナーは、テキサス・テナーの代表格。ブルースを基調とした、骨太で気合いや根性を優先、豪快なブロウを身上とした、米国南部の男らしい荒くれテナー。我が国ではあまり人気が無いが、僕はこのテキサス・テナーの奏でるソウル・ジャズが大好物。

Illinois Jacquet『Bosses of the Ballad: Illinois Jacquet Plays Cole Porter』(写真左)。1964年10月29 & 30日、NYでの録音。Argoレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Illinois Jacquet (ts), Tom McIntosh, Benny Golson (arr)。バックにオーケストラが付く。イリノイ・ジャケーのテナーが主役のウィズ・ストリングス盤。

ジャズの多様化が進んだ1964年の、テキサス・テナーの雄、イリノイ・ジャケーがリーダーの「ウィズ・ストリングス」盤。しかし、大衆狙いの「ウィズ・ストリングス」盤だが、リリースは、ソウル・ジャズ&R&B志向ジャズの老舗、Argoレコードから。アレンジがトム・マッキントッシュとベニー・ゴルソン。どう考えても、ジャズの雰囲気を活かした、聴き心地優先のイージーリスニング志向のウィズ・ストリングス」盤とは思えない。

タイトルを直訳すると「バラードのボス。イリノイ・ジャケットとストリングスがコール・ポーターを演奏」となる。アルバム内容はタイトル通りで、収録曲全12曲全て、コール・ポーター作の楽曲で占められている。いずれもバラード基調のアレンジが施されているが、アレンジャーがマッキントッシュとゴルソン。イージーリスニング志向ではあるが、聴き心地優先では無い。あくまで、イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーが映えに映えるアレンジになっている。
 

Bosses-of-the-ballad-illinois-jacquet-pl

 
バックのオーケストラの演奏は、少しジャジーな雰囲気が芳しいが、基本的には水準レベルの普通のオーケストラの音。しかし、そこに、イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーが乗っかってくると、このイージーリスニング志向のウィズ・ストリングスな演奏が、グッとジャジーでファンクネス漂う、唄うが如くのソウル・ジャズ志向のイージーリスニング・ジャズに早変わり。

イリノイ・ジャケーのテナーは、骨太でソウルフルで力感溢れるソウルフルなテキサス・テナー。バラード演奏では、そんなテナーに優雅で優しい響きが加わる。そんなテナーがダンディズムを振り撒きながら、骨太でソウルフルなフレーズを吹き上げる。コール・ポーター作の楽曲の持つ旋律の優しさが、イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーを更に前面に押し出し、映えに映えさせる効果を産んでいる。

ストリングスの少し甘い音色に乗って、イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーが乱舞する。これは、単なる一般狙いのイージー・リスニングでは無い。イリノイ・ジャケーのテナーの存在感が、この盤を、ソウル・ジャズにおけるイージーリスニング志向の純ジャズの好盤、という位置付けに押し上げている。

Argoレコードの「ウィズ・ストリングス」盤。只者では無かった。イリノイ・ジャケーのバラード・テナーを愛でるに相応しい、ソウル・ジャズ志向の「ウィズ・ストリングス」盤である。好盤です。
 
 

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2025年3月22日 (土曜日)

テキサス・テナーの代表格です

イリノイ・ジャケー(Illinois Jacquet)。米国のジャズ・テナー・サックス奏者。1922年10月、ルイジアナ州ブルサード生まれ。テキサス州ヒューストン育ち。2004年7月、NYにて逝去。テキサス・テナーの代表格。

1941年、ライオネル・ハンプトン楽団に入団。「Flying Home」のソロで有名に。1945~46年、カウント・ベイシー楽団に参加。以降、時代のトレンドに流されず、徹頭徹尾、テキサス・テナーのスタイルを貫き通した。

Illinois Jacquet『The Message』(写真左)。1963年3月7, 8日の録音。Argoレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Illinois Jacquet (ts, bassoon), Kenny Burrell, Wallace Richardson (g), Ralph Smith (org), Ben Tucker (b), Ray Lucas (ds), Willie Rodriguez (perc)。

このアルバムは、イリノイ・ジャケー(Illinois Jacquet)のArgoレコード移籍第一弾のアルバム。オルガン入り、ラテンタッチ、バスーンをつかったり、色々な音作りの工夫を施して、なかなか力の入った作りになっている。

イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーがしっかり前面に出て、しっかり映える作りになっていて、イリノイ・ジャケーのテナーの個性が良く判る。
 
Illinois-jacquetthe-message  
 
骨太でソウルフルで力感溢れるテナーが全編に渡って響き渡る。テキサス・テナーは、ソウル・ジャズ志向、R&B志向のジャズに合う。特にファンキーなオルガンやギターとの相性が良く、骨太でソウルフルなテナーのフレーズがグッと浮き出て、ライトなジャズ・ファンクなグルーヴが心地良く、思わず体が動き、思わす足でリズムを取ったりする。

繊細さなど無縁、モードなどジャズの先進的なトレンドなどにも無縁。骨太でソウルフルな力感溢れるテナーが、ダンディズムよろしく、R&Bな雰囲気に乗って、ブリブリと鳴り響く。テキサス・テナーの面目躍如。

野太く濁声の如く響くテナーは、昔の西部劇の無頼漢のガンマンの如くである。これが実に良い。どっぷりソウルフルでダンサフルなテナーの吹き回しが醸し出すグルーヴ感は絶品。逆に、バラードは優雅で温かみのあるテナーに早変わり。しかし、骨太でソウルフル&ダンディーな音の個性には変わりは無い。

ギターのケニー・バレル以外、あまり知られていないメンバーで固められたセッション・バンドではあるが、演奏のレベルは水準以上。ケニー・バレルのギターは当然のことながら、ラルフ・スミスのオルガンがいい味を出している。

バンド・メンバー全員が、ソウル・ジャズ志向、R&B志向のジャズで意思統一されていて、そんな一体感のあるバンド演奏をバックに、イリノイ・ジャケーのテキサス・テナーが映えに映える。意外とこの盤、ソウル・ジャズの好盤の一枚だと思います。
 
 

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2025年3月21日 (金曜日)

マクラフリンの考えるエレ•ジャズ

プログレッシヴ・ロックとエレクトリック・ジャズとのクロスオーバー・ジャズ志向のグループ・サウンドを追求した「マハビシュヌ・オ―ケストラ」は、1975年7-8月の録音の第5作目『Inner Worlds』で、その活動に終止符を打った。しかし、ギタリスト、ジョン・マクラフリンをフィーチャーしたソロ活動については、順調にリーダー作を重ねている。

John McLaughlin『Electric Dreams』(写真左)。邦題『欲望と精霊』。1978年11-12月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (6, 12 & 13-string ac-g & el-g, banjo), L. Shankar (vin), Stu Goldberg (key), Fernando Saunders (b, vo), Tony "Thunder" Smith (ds, vo), Alyrio Lima (perc), David Sanborn (as on "The Unknown Dissident")。

ジョン・マクラフリンと彼の「ワン・トゥルース・バンド」による1979年リリースの5枚目のソロアルバム。演奏全体の雰囲気は、コンテンポラリーなエレクトリック・ジャズ。当時、初期のウエザー・リポートや、チック・コリアのバンドが志向していた「コズミックなクロスオーバー&フュージョン」と同一志向の音作りだが、当然のことながら、マクラフリンのギターが大々的にフィーチャーされている。
 

John-mclaughlinelectric-dreams

 
タイトルを完全無視する様な、印象的なアコギで、短いながらも衝撃的なオープニングから、なかなかの出来。そして、いきなり始まる「Mles Davis」。この曲は、マイルスはアルバム『ビッチズ・ブリュー』の中の曲に「ジョン・マクラフリン」というタイトルを付けた曲を収録しているのだが、この盤での「Mles Davis」は、そのお返し(アンサー・ソング)。マイルス抜きのマイルス・サウンドといった感じで、マクラフリンのギターのソロは、まさに「マイルスのトランペット」風。

バンジョーのソロがユニークなタイトル曲やサンボーンが吹いてるアーバンな曲とか、フェルナンド・サンダースのヴォーカルをフィーチャーしたコンテンポラリーなヴォーカル曲とか、様々な要素の曲が入っているが、基本は、あくまで「コズミックなクロスオーバー&フュージョン」志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズ。内容がバラエティーに富んでいるのは、ウエザー・リポート然り、チック・コリアのバンド然り。そういう点では、このマクラフリンのエレ・ジャズは、ウエザーやチックと比較しても引けを取らない。

1970年代のマクラフリンの傑作。「コズミックなクロスオーバー&フュージョン」志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズの名盤の一枚としても良い内容。しかし、我が国では、この『Electric Dreams』って、人気がないんですよね。まず、邦題『欲望と精霊』が悪かったんやないかと。ウエザーやチックと比較しても引けを取らない、マクラフリンの考える「コンテンポラリーなエレ・ジャズ」。再評価を望みたい。
 
 

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2025年3月20日 (木曜日)

マハビシュヌのラスト・アルバム

マハビシュヌ・オ―ケストラのエレクトリックなクロスオーバー・ジャズな音世界は、昔からのお気に入り。マハヴィシュヌは、ジャズとロックの融合からのジャズロック。そこにクラシックの要素や英国プログレッシヴ・ロックのテイストを取り入れた、マハヴィシュヌの音の志向は「クロスオーバー」。

Mahavishnu Orchestra & John McLaughlin『Inner Worlds』(写真左)。邦題『内深界』。1975年7-8月の録音。1976年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, g-syn), Stu Goldberg (org, p), Ralphe Armstrong (b), Narada Michael Walden (ds, congas, b-marimba, shaker)。第2期マハビシュヌ・オ―ケストラのラスト・アルバム、マハビシュヌとしては5枚目のアルバム。

マハビシュヌ・オ―ケストラとしては初めてヴァイオリン奏者が不在。その不在となったヴァイオリンに代わって、マクラフリンのギターシンセサイザーがメイン楽器として活躍している。まだ、扱いが難しかった初期のギターシンセサイザーをメイン楽器として導入し、かなり実験的な内容になっている。

その反動なのか、その実験性を中和させる狙いがあったのか、ヴォーカル入りのポップな楽曲もあって、硬派な「マハビシュヌ者」の方々からは評判芳しくないアルバムとして敬遠されている(笑)。
 

Mahavishnu-orchestra-john-mclaughlininne

 
このヴォーカル入りのポップな楽曲は、当時、流行しつつあった、ソフト&メロウなフュージョン・サウンドの先取りとも捉えることが出来、1975年という時代、マハビシュヌの様な硬派でサイケで攻撃的なクロスオーバー・ジャズが過去のものになりつつあった、ということを実感する。

このヴォーカル入りのポップな楽曲を除けば、初期のギターシンセサイザーの積極導入、「360 Systems Frequency Shifter」という装置を活用して、アンビエント・ノイズな音世界の現出など、実験的なサウンド作りが前面に押し出されている。

ギターとヴァイオリンのバトルを、マクラフリン一人での再現とか、12弦ギターでも速弾きで弾きまくるテクニックとか、も含めて、マクラフリンの実験的冒険的なアプローチがてんこ盛り。しかし、これでは「マハビシュヌ・オ―ケストラ」というバンド・サウンドとしては外れたもので、このアルバムが、マハビシュヌ・オ―ケストラのラスト・アルバムになったのも頷ける。

ジャズロックというよりは、プログレッシヴ・ロックとエレクトリック・ジャズとのクロスオーバー・ジャズな内容で、かろうじてマハビシュヌ・サウンドはキープされているが、目立つのはマクラフリンのギターシンセ。アルバムの内容的には統一感に乏しく、趣味性の高いアルバムだと言える。逆に、マクラフリン者には一聴の価値がある実験作ではある。
 
 

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2025年3月19日 (水曜日)

ソウルフル・ピアノの楽しい好盤

僕のお気に入りのジャズ・ピアニストの一人、レイ・ブライアント。どっぷりファンキー&ソウルフル&スインギーなピアニスト。ハードバップ時代は、ソウルフル&スインギーの部分は控えめにしていたが、アーゴ&カデット・レコードに移籍後、レーベルの音志向、ソウル・ジャズ&ジャズロックに、ブライアントのピアノの個性がバッチリあって、ソウル・ジャズ志向の好盤を連発している。

Ray Bryant『Slow Freight』(写真左)。1966年12月8日の録音。Cadetレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Art Farmer, Snooky Young (tp, flh), Richard Davis (b), Freddie Waits (ds)。トランペット日本がフロントの変則クインテット編成。と言って、演奏の中で活躍するのは、ブライアントのピアノがメイン。

冒頭のタイトル曲「Slow Freight」から、ソウル・ジャズ全開。ソウル・ミュージックばりのボーカルがとにかくどっぷり「黒い」。加えて、ブライアントのどっぷりファンキー&ソウルフル&スインギーなピアノが入ってくる。演奏全体がゴスペルチックでソウルフルな雰囲気で溢れかえる。
 

Ray-bryantslow-freight

 
続くドナルド・バードのファンキー&ソウルフルな名曲「Amen」では、そもそもこの曲の持つゴスペルっぽい、コール・レスポンスを含めて、とにかくとんでもなくソウルフルな展開が楽しい。もう思わず手拍子、そして腰が動き、足でリズムを取ってステップを踏む。大ジャズ・ファンク大会である(笑)。

3曲目のジャズ・スタンダードの名曲「Satin Doll」ですら、ブライアントは、ファンキー&ソウルフル&スインギーなアレンジですっ飛ばす。もはやこれはゴスペルな「Satin Doll」。スインギーでダンサフルでソウルフル。こんな「Satin Doll」があっても良い。とにかくとんでもなく楽しい演奏である。

ブライアントの『Gotta Travel On』『Lonesome Traveler』、そして今回の『Slow Freight』を、僕は勝手に「Argo&Cadet三部作」と呼んでいるが、その3作の中でも、この『Slow Freight』が一番ファンキーでソウルフル。ゴスペルチックな響きも満載。ソウル・ジャズの楽しい楽しい好盤ですね。
 
 

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2025年3月18日 (火曜日)

ラムゼイのトーキョー・ライヴ

アーゴ&カデット・レコードを再認識している。こってこてファンクネス漂う、ソウル・ジャズ、ジャズロックを聴きたくなって選盤に迷ったら、アーゴ&カデットの諸作を選盤すれば良い、とまで思う様になった。それほどまでに、アーゴ&カデットのアルバムの制作志向は「ファンキー・ソウル・ジャズロック」で統一されている。

Ramsey Lewis『Live In Tokyo』(写真左)。1968年9月、東京大手町サンケイホールでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), Cleveland Eaton (b), Maurice White (ds)。今は無き日本のジャズの聖地であったサンケイ・ホールで収録されたラムゼイ・トリオのライヴ盤。当時、日本限定発売だったそう。

こってこてのソウル・ジャズ&ジャズロックである。冒頭、ラムゼイ・ルイスの代表曲「The 'In' Crowd」から、もうノリノリ。ファンクネス濃厚、強烈なオフビート、思わず体が横揺れし、足でビートを取り始める。実に黒くてダンサフルなリズム&ビート。アドリブは、歌うが如くソウルフルなフレーズの嵐。
 

Ramsey-lewislive-in-tokyo

 
この東京でのライヴ録音のリズム隊、ドラムには、のちにアース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)を結成するモーリス・ホワイト。ベースには、長くラムゼイを支えたクリーブランド・イートン。このリズム隊のリズム&ビートのファンクネスが強烈。そこに、これまたソウルフルでファンクなラムゼイのピアノが乗ってくるのだ。もはや、ジャズロックなピアノ・トリオの饗宴である。

ファンキーに入りながら、徐々にテンポアップ、ベースとドラムもそれに追従して熱い熱い展開に上り詰めていく。ソウルフルでジャズ・ファンクなアドリブ・フレーズを叩き出しながら、もう演奏はホット&ノリノリ。お馴染みのヒット曲に加えて、ホレス・シルヴァー曲のカヴァー「Song For My Father」、来日を記念してでの新曲なのか「Soul Ginza」など、ファンキー&ソウルフルな好曲のオンパレード。

観客の拍手がライヴらしい熱気を作って、サンケイホールの雰囲気も良好ノリノリ。ヒットを連発してた時期のライヴ演奏なので、とても馬力のあるファンクネスだだ漏れのソウルフルなピアノ・トリオの演奏がこれでもか、というほどに展開されるのには、とことん圧倒される。
 
 

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ピアノ・トリオの代表的名盤 108

ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1950年代は「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。1960年代の終わり〜1970年代の作品は、アーシーで豪快なメリハリのあるサウンドに変化。

Ahmad Jamal『Emerald City Nights: Live at The Penthouse 1963-1964』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Richard Evans (b), Chuck Lampkin (ds)。1963年-1964年のシアトル「ペントハウス・ジャズ・クラブ」で収録された未発表音源がCD2枚組でリリース。

1960年代前半のジャマルのピアノが堪能出来る。「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選したシンプルな弾き回しから、シンプルな弾き回しつつ、メリハリを強くつけた奏法に変化しつつあるジャマルをしっかりと捉えている。1950年代のラウンジ・ピアノっぽい雰囲気から、ダイナミックでファンキーなジャズ・ピアノに変化している。

そんなダイナミックでファンキーなシンプルな弾き回しの中で、巧妙に「間」を活かして「タメ」を作った、独特のフレーズが印象的。ゆったりしたフレーズも、速いフレーズも、巧妙な「間」と「タメ」が特徴のフレーズで、ジャマルはガンガン、バップなピアノを弾き回す。
 

Ahmad-jamal-emerald-city-nights 
加えて、選曲とアレンジが秀逸。ジャマルの巧妙な「間」と「タメ」が特徴のバップ・ピアノは、自由の高いモードに展開することが無いので、演奏が進むにつれ、マンネリに陥り易いのだが、そうはならない。これって、よく聴いてみると、まずはマンネリ防止の「考え抜かれた」な選曲。

そして、その曲を活かしつつ、ジャマルのピアノの弾き回しを映えさせるアレンジが秀逸。意外と気付かないのだが、意識して聴くと、その巧妙さに舌を巻く。このトリオのライヴ演奏、全10曲で、1時間30分に及ぶのだが、全く空きがこない。というか、聞き始めるとあっという間に時間が過ぎる。

また、これらの録音はバランスが良く、粒たちの良い、ライヴ感溢れる音。ジャマルのピアノがどのように機能するかが明瞭に判別でき、バックのリズム隊の効果的サポートとジャマルを盛り立てるリズム&ビートもクッキリ活き活きと耳に飛び込んでくる。テンポが速くても「耳障り」な雰囲気は感じられず、バラード演奏は染み入る様な「音の伸び」。

このライヴ音源は、1963年から1968年までジム・ウィルクがホストを務める KING-FMの番組に生放送された一連の音源の中から発見されたもの。他にも色々とありそうで、現在、情報収集中。もっと聴きたい、もっと感じたい、そんな気にさせる、秀逸なジャマル・トリオのライヴ音源です。
 
 

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2025年3月16日 (日曜日)

ハッピーで中間派なアーゴ盤

アル・グレイ(1925年6月6日 - 2000年3月24日)は、米国バージニア州アルディーで生まれ。アリゾナ州スコッツデールで74歳で亡くなっている。米国のジャズ・トロンボーン奏者であり、カウント・ベイシー・オーケストラのメンバー。プランジャー・ミュートテクニックで知られる名手である。

Al Grey『Snap Your Fingers』(写真左)。1962年1, 2月の録音。 Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Al Grey (tb), Billy Mitchell (ts), David Burns (tp, tracks 1–5), Donald Byrd (tp, tracks 6–8), Bobby Hutcherson (vib), Floyd Morris (p, tracks 1–5), Herbie Hancock (p, tracks 6–8), Herman Wright (b), Eddie Williams (ds)。

ぼんやり聴いていると、ビッグバンドの演奏かな、と思ってしまう。アレンジが秀逸でその様に聴こえるが、フレイのトロンボーン、ミッチェルのテナー、バーンズ or バードのトランペットの3管フロント、ハッチャーソンのヴァイブ、モリス or ハンコックのピアノ、ライトのベース、ウィリアムスのドラムのセプテット編成の演奏である。

アル・グレイのトロンボーンは実に味わい深い。演奏の基本スタイルは、スイングでもなければ、ハードバップでも無い。どちらの特徴を兼ね備えた「中間派」のトロンボーンである。ジャズ・トロンボーン奏者の中では、ハードバップからモードに対応していった「モダン派」以外は、ジャズ・トロンボーンについては、だいたい、この「中間派」が多い。
 

Al-greysnap-your-fingers

 
演奏全体の雰囲気も「中間派」。中間派独特の陽気でハッピーな演奏で、さすが、アーゴ・レーベルからのリリースで、どこかファンキーでソウルフルな雰囲気も見え隠れする。ハードバップやモード・ジャズには無い、ほのぼのとした雰囲気とおおらかな展開が耳に優しく、これはこれで実に芳しい「ジャズ」である。

冒頭の「Nothing But the Truth」は、陽気なラグタイムを思わせる軽快な演奏。グレイは得意のミュートでのプレイでブイブイ言わせる。フロント3管のユニゾン&ハーモニーなどのアレンジも振るっていて、味わい深いテクニックを披露している。2曲目「Three-Fourth Blues」は、マイナー・ブルースで、シンプルなソロのリレーが耳に優しい。

3曲目の「Just Waiting」は、ミッチェルの泣きのテナーが大活躍のスロー・バラード。4曲目「R.B.Q.」では、ハッチャーソンのスインギーなヴァイブが大活躍。この2曲では、しっかりとリーダーのアル・グレイの「中間派な音」に呼応して、ミッチェルもハッチャーソンも「中間派」なソロを展開しているのが見事である。

アーゴ・レーベルの音を踏襲し、中間派な音志向に、きっちりァンキーでソウルフルな雰囲気を織り込んだ、思わず足踏みし、腰が揺れる様な、中間派独特の陽気でハッピーな演奏が展開される。ジャズの歴史を変える様な先進的な内容ではないが、モダン・ジャズの楽しさがこの盤に溢れている。難しいことを考えずに、シンプルにモダン・ジャズを楽しむ向きに格好の好盤である。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年3月15日 (土曜日)

リヴァーサイドのブレイキー・2

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and the Jazz Messengers)。意外と人気が無いなあ、と感じる今日この頃。ネットの記事を眺めてみても、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのアルバムを取り上げるブロガーが少ないなあ、と感じるのは僕だけだろうか。

ブルーノート時代の諸作はまだ良いのだが、その他のレーベルに記録されたジャズ・メッセンジャーズのアルバムについては実に地味。ジャズ・メッセンジャーズの諸作は、長い活動期間を通じて、駄作・駄盤の類は殆ど無いんですけどね。

Art Blakey and The Jazz Messengers『kyoto』(写真左)。1964年2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b), Wellington Blakey (vo, track 3 only))。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズである。

リヴァーサイド・レコードでの「3部作」のラスト。『Caravan』『Ugetsu』と来ての3枚目。1960年代の「伝説の3管フロント時代」。トランペットはフレディ・ハバード。この盤でのハバードは、『Caravan』『Ugetsu』と続く「ほど良く抑制されたハバード」。ほど良く抑制されたハバードは無敵である。この盤でも、ハバードは「抑制の美」を吹き上げる。
 

The-jazz-messengerskyoto

 
3曲目の「Wellington's Blues」が男性ボーカル入り。ジャズ・メッセンジャーズの演奏にボーカル入りは似合わない。LP時代で言うとA面のラスト(3曲目)。なぜここに男性ボーカル入りの楽曲を持ってきたのか。プロデュースの方針に疑問を感じる。このボーカル入り曲の存在で、この盤は損をしている印象は拭えない。

逆にLP時代のB面、CDでの4〜5曲目「Nihon Bash」〜「Kyoto」の演奏が充実している。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズの良さが横溢している。充実の3管フロント、鉄壁のブレイキー御大率いるリズム隊。ジャズ・メッセンジャーズ仕様のモード・ジャズがこれでもか、と展開される。

完璧充実のリヴァーサイドのジャズ・メッセンジャーズ。この『kyoto』で、突如、終焉を迎える。社長のビル・グラウアーが、1963年12月に突然の心臓発作で亡くなり、会社は1964年7月に自主破産を申請した為である。

しかし、ジャズ・メッセンジャーズの発展を記録したブルーノートの諸作と併せて、ジャズ・メッセジャーズの成熟を記録したリヴァーサイドの3部作は、ジャズ・メッセンジャーズにとっての貴重な記録である。
 
 

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2025年3月14日 (金曜日)

リヴァーサイドのブレイキー・1

しばらくの間、ちょっとご無沙汰していたのだが、久々に、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey and the Jazz Messengers)のアルバムの聴き直しを再開した。どの辺りからだったか。そうそう、1963年、リヴァーサイド・レコードへの録音を始めた頃からである。

Art Blakey and the Jazz Messengers『Caravan』(写真左)。1962年10月23–24日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b)。1960年代の「伝説の3管フロント時代」のジャズ・メッセンジャーズである。

改めて、1960年代の「伝説の3管フロント時代」とは、フレディ・ハバードのトランペット、ウェイン・ショーターのテナー、カーティス・フラーのトロンボーンの3管フロントに、シダー・ウォルトンのピアノ、レジー・ウォークマンのベース、そして、リーダーのブレイキー御大のリズム隊のセクステット編成。

リヴァーサイドからの第一弾のアルバムなんだが、ブルーノート時代と内容は変わらない。充実の3管フロント、鉄壁のブレイキー御大率いるリズム隊。「伝説の3管フロント時代」のセクステットの基本は「モード」。ジャズ・メッセンジャーズ仕様のモード・ジャズがブワーッと展開される。3管フロントのユニゾン&ハーモニーが芳しく、3管フロントのソロ・パフォーマンスが凄まじい。
 

The-jazz-messengerscaravan

 
聴いていて面白いのは、ハバードのトランペット。ハバードは基本的に目立ちたがり屋なので、周りへの配慮は皆無、常にグイグイ前へ出てくるのだが、ブレイキー御大の下では、周りの音を聴き、演奏全体の展開を慮りながら、抑制された超絶技巧なトランペットを吹く。これが良い。実は、ほど良く抑制されたハバードは無敵である。恐らく、リーダーのブレイキー御大はそれを良く判っていて、ハバードを指導していたのだろうと思われる。

そして、この盤では、ブレイキー御大のドラムの出番が多い。ブルーノート時代はアンサンブル中心だったが、このリヴァーサイド盤では、結構、長尺&短尺、様々なイメージのドラムソロも織り交ぜて、意外とブレイキー御大のドラミングがしっかりと前面に押し出されている。そういうプロデュースなんだろうが、それまでのブレイキー盤と比べて、ブレイキー御大のドラミングの個性と特徴が良く判る。

この盤に「これ一曲」を選ぶとすれば、やはりタイトル曲の「Caravan」だろう。最強力な3管フロントがカッコよくユニゾン&ハーモニーを奏で、ブレイキー御大のドラムがそんなフロントをモーダルに煽る。ウォルトンのピアノがモーダルな雰囲気の拍車をかけ、ウォークマンのベースが、バンド全体のベースラインを一手に引き受ける。モーダルで柔軟なソロの交歓に時間を忘れる。

ブレイキー御大のドラミングが「タクト代わり」。ブレイキー御大のドラミングで、様々なニュアンス、様々な表情のモード・ジャズが展開される様は見事という他ない。ブルーノートのジャズ・メッセンジャーズと比べて、全く引けを取らないリヴァーサイドのジャズ・メッセンジャーズがこの盤に詰まっている。
 
 

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2025年3月13日 (木曜日)

「1970年代のタル」は秀作揃い

タル・ファーロウ(Tal Farlow)は、1958年に一旦引退、看板画家としてのキャリアに戻ったが、10年後の1968年に復帰。そして、1970年代半ばから、1〜2年のスパンでリーダー作をリリースしたが、この1970年代以降のリーダー作の出来がコンスタントに良い。水準以上の出来ばかりで、聴き応え十分な盤ばかりである。

Tal Farlow『Trilogy』(写真左)。1976年9月の録音。1981年、日本コロムビアからのリリース。ちなみにパーソネルは、Tal Farlow (g), Mike Nock (p), Lyn Christie (b) 。この盤もドラムレスのオールド・スタイルなトリオ編成。CDリイシュー時、ラストにドラム入りの演奏が追加されているが、ここではLP時代の9曲で話を進めたい。

ドラムが無い分、リズム&ビートは、タルのギターとノックのピアノ、リンのベースで、それぞれ分担していて、軽快でウォームなグルーヴがとても良い感じ。軽快でウォームなグルーヴが故に、タルのギターの音色がカチッと立つ。元々、歌心溢れるタルのギターである。タルの歌心溢れるフレーズがクッキリ浮かんでくる。
 

Tal-farlowtrilogy

 
この盤でも、タルのパッキパキ、ピッキピキの硬質ギターとその超絶技巧の限りを尽くした「弾きまくりバップ・ギター」を存分に楽しむことが出来る。スタンダード7曲とオリジナル2曲を、ジャム・セッション風にリラックスして、心地良く、小気味よく、パフォーマンスしている。

ハードなバップ・ピアノのマイク・ノックが好調。豊かなベースラインが印象的なリン・クリスティも好調。この好調な二人のリズム隊のリズム&ビートが実にメロウでスインギー。そんなメロウでスインギーなリズム&ビートが、タルのギターを効果的に鼓舞、1950年代のオフェンシヴな弾きっぷりよりも、幾分優しく丸くなったタルのフレーズを引き立てている。

プロデューサーは「テオ・マセロ」。確かに、この盤のオールド・スタイルのトリオ演奏は、アレンジを含め、しっかりプロデュースされている印象。それほど、この盤のオールド・スタイルのトリオ演奏は「奮っている」。よって、CDリイシュー時のドラム入りのカルテット演奏は「蛇足」の感は否めない。この盤はオリジナルLP通り、オールド・スタイルのトリオ演奏オンリーで聴き込みたい。
 
 

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2025年3月12日 (水曜日)

70年代タル・ファーロウの名盤

タル・ファーロウは、初リーダー作から、そのギターの個性は完成されていた。超絶技巧の限りを尽くした「弾きまくりバップ・ギター」。歌心溢れるバラード・プレイも素晴らしい。とにかく、超絶技巧の弾きまくりギターが目立ちに目立っていた。このパッキパキ、ピッキピキの硬質ギターが実に良い。もう快感の域である。

1958年に一旦引退、ニュージャージー州シーブライトに定住、看板画家としてのキャリアに戻っている。しかし、10年後の1968年に復帰。1974年辺りから、ほぼ1〜2年に一枚の割合でコンスタントにリーダー作をリリースしている。このアルバムは、そんな中の一枚。コンコード・レコードからのリリースになる。

Tal Farlow『A Sign of the Times』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Tal Farlow (g), Hank Jones (p), Ray Brown (b)。ベースのレイ・ブラウンと、ピアノのハンク・ジョーンズという名手を迎えての、ドラムレスのオールド・スタイルなトリオ編成。
 

Tal-farlowa-sign-of-the-times   

 
タルのパッキパキ、ピッキピキの硬質ギターとその超絶技巧の限りを尽くした「弾きまくりバップ・ギター」を存分に楽しむことが出来る。弾きまくりではあるが、適度にリラックスした、ほど良く肩の力が抜けたパフォーマンスが耳に優しい。1950年代のオフェンシヴな弾きっぷりよりも、幾分優しく丸くなったタルのフレーズが印象的。

ドラムレスなので、リズム&ビートは、タルのギターとハンクのピアノ、レイのベースで、それぞれ分担していて、軽快でウォームなグルーヴがとても良い感じ。ハンクの粒立ちの良いバップ・ピアノが好調。レイのソリッドなベースがグルーヴ感を増幅する。そんなリズム隊に恵まれて、タルは「1970年代仕様の」タルのバップ・ギターを弾きまくる。

オールド・スタイルなトリオ編成で、3人の名手たちは、素晴らしいインタープレイを聴かせてくれる。確かに、1950年代のタルに比べるとウォームで優しくなったが、その分、1970年代のタルは適度にリラックスしていて耳に優しい。この盤はリズム隊に恵まれて、タルのギターが存分に楽しめる。
 
 

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2025年3月11日 (火曜日)

ヒップでダンサフルなピアノです

屈指のソウルフル・ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。「一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニスト」の一人である。そんなマッキャンの「ソウル・ジャズな+聴いて楽しい」リーダー盤をもう1枚、ご紹介したい。

Les Mccann『Soul Hits』(写真左)。1963年10月29 & 30日、ハリウッドの「Pacific Jazz Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (p), Joe Pass (g), Paul Chambers (b), Paul Humphrey (ds)。パシフィック・ジャズ・レコードからのリリース。ソウル・ジャズなピアノ・トリオに、ジャズ・ギターの名手、ジョー・パスが入ったカルテット編成。

演奏全体の雰囲気は「ライトなソウル・ジャズ」。どっぷりファンクネスを湛えた、ジャズ・ファンクでは無く、この時点のマッキャンのピアノの基本は「ハード・バップとソウル・ジャズの融合」。まだ、ジャズ・ファンクへは至っていない。ファンキー・ジャズよりも、コッテコテ黒くて、グルーヴ感濃厚。ゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなフレーズが特徴。

この盤は、有名ジャズ・スタンダード曲、ファンキー・ジャズの名曲をチョイスして、ソウル・ジャズのアレンジを施した、実にヒップでダンサフルなピアノ・トリオ+ギター演奏である。この盤の面白さは、ファンキー・ジャズとソウル・ジャズの違いが意外と良く判る点にある。
 

Les-mccannsoul-hits

 
選曲されたスタンダード曲は、ファンキー・ジャズ志向の名曲揃い。「Back at the Chicken Shack」「Groove Yard」「Sermonette」「Sister Sadie」「Work Song」などは、正統派ファンキー・ジャズの名曲なんだが、これらを、ソウル・ジャズなアレンジを施して、ヒップでダンサフルな演奏に早変わり。

ファンキー・ジャズは、ファンクネス濃厚で、粘るオフビートは「ハードバップ志向」。一方、ソウル・ジャズは、ゴスペル・フィーリング濃厚で、リズム&ビートが「ポップ&ダンサフル」。

そう、ソウル・ジャズのリズム&ビートは「ポップ&ダンサフル」。例えば、選曲されたスタンダード曲の中で、ハードバップ時代の名曲、例えば「Sonnymoon for Two」「Bags' Groove」「Li'l Darlin」などが、ソウル・ジャズなアレンジが施されて、ヒップでダンサフルな曲に仕上がっている。ダンサフルな「Bags' Groove」なんて、この盤でないと聴けない。

ベースに、ハードバップ時代のファースト・コール・ベーシスト、ポール・チェンバース(略して「ポルチェン」)が入っているのには、ちょっとビックリする。しかし、このポルチェン、しっかりソウル・ジャズなベースを弾いているから凄い。ジャズ・ギターのレジェンド、ジョー・パスも同様。一流のジャズマンは、彼らの持つ「応用力」も半端ないことが良く判る。
 
 

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エレ・ジャズ・ファンクな名盤

ロバータ・フラックを「発掘」し、デビューさせるなど、1970年代のニュー・ソウルの隆盛を陰で支えたジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン。そんなニュー・ソウルから影響を受け、その要素をソウル・ジャズに融合、クロスオーバー&ソウル・ジャズな音志向にステップアップしていった。

Les McCann『Layers』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Les McCann (ac-p, el-p, syn, clavinet, ds, timpani), Jimmy Rowser (ac-b, el-b, bells, perc), Donald Dean (ds, bells, perc), Buck Clarke (congas, ds, bongos, blocks, bells, perc), Ralph MacDonald (congas, bells, perc)。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品を70年代に多く残しているレス・マッキャン。この『Layers』は、そんな中でも、白眉の出来のクロスオーバー&ソウル・ジャズ盤である。とにかく、どっぷりとソウルフルでメロウ。トロトロのファンクネス。ここまでくれば、1970年代半ば以降の「エレクトリック・ジャズ・ファンク」の先駆けと言っても良いだろう。
 

Les-mccannlayers

 
冒頭の「Sometimes I Cry」から、エレ・ジャズ・ファンク全開。浮遊感タップリのエレピ&シンセの音が実にソウルフル。しっかりと音の底に、濃厚なファンクネスを感じる。「Let's Gather」「Anticipation」と短い小粋でソウルフルなパフォーマンスが続いて、どっぷりグルーヴィーなジャズ・ファンク「The Dunbar High School Marching Band」が熱演。

メロウで静謐な「Soaring (At Dawn) Part I」。メロウな熱演が続く。トロトロなジャズ・ファンク「The Harlem Buck Strut Dance」。次々とメロウなナンバーが続く。メロウなエレピが芳しい、印象的なスローな演奏「Before I Rest」、シンセが鳴り響く、ジャジーでグルーヴィーな「Let's Play ('til Mom Calls)」「It Never Stopped In My Home Town」が続く。ラストはラテン・ムード漂うメロウなナンバー「Soaring (At Sunset) Part II」。

ニュー・ソウルから影響を受けたソウル・ジャズ作品の中での白眉の出来。この「エレクトリック・ジャズ・ファンク」に眉をひそめる硬派なジャズ者の方々もいるだろう。しかし、これもジャズ。モダン・ジャズの歴史の中で、燦然と輝くジャズの演奏トレンド「ソウル・ジャズ」。その濃厚でトロトロ&メロウなグルーヴ感は「ジャズ」でしか出せない。隅に置けない名盤である。 
 
 

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ピアノ・トリオの代表的名盤 107

「いつの時代も、我が国と米国で、大きく評価が異なるミュージシャンって結構存在する。特に、我が国でジャズが一般的になりつつあった、1960年代後半から1970年代にかけて、我が国では不当な評価に甘んじたジャズマンが結構いた(もちろん、その逆もあったのだが・・・)」と書いたが、今回、ご紹介するピアニストも、そんな「一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニスト」の一人である。

Les McCann『Les McCann Ltd. in San Francisco』(写真左)。1960年12月のライヴ録音。1961年、パシフィック・ジャズ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Les McCann (p), Herbie Lewis (b), Ron Jefferson (ds)。屈指のソウルフル・ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャンのサンフランシスコ・ジャズ ワークショップでのライヴ録音。

レス・マッキャン初期の作品。3枚目のリーダー作。初期の作品なので、マッキャンはアコピだけを弾いている。アコピだけのシンプルなトリオ演奏なので、マッキャンのピアノの個性の根本が良く判る。基本はソウル・ジャズ。ファンキー・ジャズよりも、コッテコテ黒くて、グルーヴ感濃厚。ゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなフレーズが個性的。
 

Les-mccann-ltd-in-san-francisco

 
マッキャンはうなり声を上げながらノリノリの演奏。基本的な内容は、短いソウル・ジャズなピアノ・ナンバーがメインで、演奏を彩るグルーヴには教会(ゴスペル)の要素がタップリ注入されている。「Come On & Get That Church」「We'll See Yaw'll After While, Ya Heah」「I Am In Love」「Big Jim」「Oh Them Golden Gates」など、好曲、好演が目白押し。

ベーシストのハービー・ルイス、ドラマーのロン・ジェファーソンのリズム隊も、マッキャンのゴスペル・フィーリングに根ざしたソウルフルでジャジーなピアノを効果的にサポートし、ソウルフルなリズム&ビートで、マッキャンのソウル。ジャズ・ピアノを鼓舞する。このリズム隊も意外と聴きもの。

マッキャンとルイス+ジェファーソンのリズム隊が、ブルース、ゴスペル、ポップスを同等に効果的に取り込み、初期のハード・バップとソウル・ジャズのスタイルに、如何にシームレスに織り込んでいるか、がとても良く判る、ソウル・ジャズなピアノ・トリオの最高のパフォーマンスの一つがこのライヴ盤に記録されている。ソウルフルなピアノ・トリオの代表的名盤の一枚として、取り上げたいと思う。
 
 

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2025年3月 8日 (土曜日)

傑作 Jan Garbarek ”Eventyr”

昨年の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」がある。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。

特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。ということで、久しぶりの「今聴きたいECMアルバム45選」の聴き直し記事、である。

Jan Garbarek『Eventyr』(写真左)。1980年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts,fl), John Abercrombie (g), Naná Vasconcelos (berimbau, talking drum, perc, voice)。ノルウェーのジャズ・サックス奏者で作曲家のヤン・ガルバレクが、ECMからリリースした変則トリオ盤。

この変則トリオには、ヤン・ガルバレクのサックス&フルートに、ギタリストのジョン・アバクロンビーとパーカッショニストのナナ・ヴァスコンセロスが参加している。ピアノ&ベースレス。ピアノとベースがいない、そして、ドラム・セットが無い。

演奏全体の雰囲気は「現代音楽&現代クラシック」。演奏形態は即興演奏。現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏に、パーカッションのリズム&ビートを添えて「ジャズ」として捉え、それが、ECMの考えるニュー・ジャズであり、現代の欧州ジャズとした、そんな雰囲気がビンビンに伝わる傑作。
 

Jan-garbarekeventyr

 
ECMの創立者、マンフレート・アイヒャーの音の美意識、ECMの標榜する音世界を具現化した、その大成功例の一つ。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」、限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音、そんな、アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」を、このアルバムはしっかりと捉えている。

一曲目「Soria Maria」の冒頭、ガルバレクのソプラノ・サックスが、ピューッと伸びて飛翔するだけで、この盤の音世界は『ECMのニュー・ジャズ」。そして、ガルバレクに寄り添う様に絡む、アバークロンビーのエレギ。演奏が進むにつれ、曲が進むにつれ、その二人の演奏の音志向はどんどん「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」になっていく。もはやこれはジャズでは無いなあ、と思いきや・・・。

ナナ・ヴァスコンセロスの、トーキング・ドラムをはじめとする、ワールド・ミュージック志向&エスニック志向のリズム&ビートが、ガルバレクとアバークロンビーの「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」を「ジャズ」の音世界に連れ戻してくれる。欧州ジャズらしからぬ、アフリカン・ネイティヴなリズム&ビートは、ガルバレクとアバークロンビーの「現代音楽&現代クラシック志向の即興演奏」を、モーダルな音世界に瞬間移動させてくれる。

のちのECMレコードが標榜する「ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズ」を、思いっきり先取した、素晴らしいECMレコード志向のニュー・ジャズ盤である。ガルバレクとアバークロンビー、そして、ヴァスコンセロスの途方もない音の「バリエーションと表現力」。欧州ジャズ、ECMジャズの傑作です。

ちなみにタイトルの「Eventyr(イベントュル)」は、ノルウェー語で「冒険」を意味する単語だそうです。 
 
 

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2025年3月 6日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 106

ジャズ・ピアニストには、その個性的なスタイルや奏法を「ウリ」にするピアニストと、演奏全体の総合力を「ウリ」にするピアニストの2種類に分かれると感じている。

前者は、聴けば「あ〜あの人や」と判る位の強烈な個性で、例えば、バド・パウエルやビル・エヴァンス、マッコイ・タイナーなど、1950年代のレジェンド級のピアニストは皆、強烈な個性の持ち主である。

後者は古くはハードバップ後期、1950年代の終わりからポツポツ出始めて、最近ではこの手のピアニストが結構いる。一聴すれば直ぐ判る様な強烈な個性が無い分、ピアニスト個人の判別は難しい。しかし、テクニック、歌心、バッキングなど、ピアニストの総合力で勝負するタイプなので、安心してその演奏に身を委ねることができる。

『The Piano of Roland Hanna: Easy to Love』(写真左)。1959年9月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), Ben Tucker (b), Roy Burnes (ds)。「Sir」の称号を持つ、総合力で勝負するバップ・ピアニストの草分け、ローランド・ハナのトリオ盤である。
 

The-piano-of-roland-hanna-easy-to-love

 
ローランド・ハナのピアノは、テクニック、歌心、バッキングなど、ジャズ・ピアニストとしては、その能力は申し分無い「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストである。しかし、他の「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストと比較すると、弾き回しは流麗だが、タッチが重厚でクッキリ。フレーズもダイナミックでスケールの大きい展開が身上。

そんなハナのピアノが、ジャズ・スタンダード曲を弾きまくる、そんな企画盤。流麗だが重厚なタッチで、ダイナミックな展開がメインのアレンジで、ハナはバップなピアノをガンガンに弾きまくる。タッチが明確な分、耳に新しいアレンジを施していても、そのジャズ・スタンダード曲の持つテーマがはっきり判る。

テクニックに優れ、弾き回しが流麗、そして、歌心満点とくれば、「総合力で勝負する」タイプのバップ・ピアニストとして申し分無い。そんなはハナを、ベン・タッカーのベース、ロイ・ブルネスのドラムが堅実にサポートする。このリズム隊には、自由度の高いインタープレイは無いが、とにかく堅実で安定感をあるリズム&ビートを叩き出しているところは好感度高。

聴き応え抜群の「バップ・ピアノ」なトリオ演奏です。ピアノ・トリオの代表的名盤の一枚として、取り上げたいと思います。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2025年3月 5日 (水曜日)

ブルーノートのロリンズについて

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第15位」を聴く。

Sonny Rollins『A Night At The Village Vanguard』(写真左・写真右は完全版のジャケット)。ブルーノートの1581番。1957年11月3日、ニューヨークのジャズ・スポット、Village Vanguardでのライヴ録音。

ちなみにパーソンネルは、「A Night In Tunisia」のみが、Sonny Rollins (ts), Don Bailey (b), Pete LaRoca (ds)。その他5曲が、Sonny Rollins (ts), Wilbur Ware (b), Elvin Jones (ds)。どちらのセットも、ロリンズのワンホーン、しかも、ピアノレスのトリオ編成である。

ソニー・ロリンズが60枚以上のリーダー作をリリースしてきた中で、ブルーノートからリリースしたのは、スタジオ盤3枚、ライヴ盤1枚。合計たった4枚、しかも、1957年に集中している。ロリンズにとって、ブルーノートはギャラが安かったのか、はたまた、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンとソリが合わなかったのか。

しかし、このブルーノートの4枚のリーダー作が、ソニー・ロリンズの個性と特徴をしっかりと記録している。しかも、モダン・ジャズのグループサウンドとして、相当にレベルの高いパフォーマンスを記録している。これは、やはり、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの手腕の賜物だろう。

そんなこのブルーノートの4枚のリーダー作の中で、突出した出来がこの『ビレッジ・ヴァンガードの夜』。ライヴ盤ということもあるが、この盤の演奏編成が、ロリンズがワンホーンの、ピアノレスのトリオ編成。ロリンズが、他のフロント管に影響されず、ピアノにコードを束縛されない。そんな、稀有のインプロヴァイザー、ソニー・ロリンズにとって、理想的な演奏編成である。
 

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ソニー・ロリンズは、理由は判らないのだが、複数のフロント管の編成になると、他のフロント管のメンバーに気を使うのか、存分にソロ・パフォーマンスのスペースを与えたりする。加えて、ピアノが入ると、バッキングのピアノのコード進行に合わせるきらいがある。故にロリンズのアドリブ・フレーズが窮屈に感じることがある。

しかし、ロリンズは、なぜか、自らがワンホーンの編成が少ない。しかもピアノレスはほとんどない。しかし、ロリンズのソロ・パフォーマンスにとっては、ワンホーン+ピアノレスが一番、その実力、イマージネーションが発揮できる理想的な演奏編成なのだ。

そんな「ワンホーン+ピアノレス」の演奏編成が、この『ビレッジ・ヴァンガードの夜』であり、しかもライヴ録音である。一発勝負、即興演奏を旨とするジャズのアドリブ展開において、ロリンズ最高のパフォーマンスをこのライヴ盤は記録している。そういう意味で、ロリンズを理解する上で、このライヴ盤は必須のアイテムなのだ。

このライヴ盤でのロリンズのアドリブ・ソロは秀逸で、ロリンズのテナー・マンとしての卓越した能力を見せつけてくれる。テクニック優秀、硬派なブロウ、満点の歌心。ロリンズは、歴代のテナー・マンの中で「ピカイチ」の存在である。

こういうライヴ盤を、そのリーダーのジャズマンにとって最適な内容の録音を企図し実行する。ブルーノートはそういうことが日常で出来るレーベルであり、そのブルーノートで采配を振るう、総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの賜物である。

このロリンズの『A Night At The Village Vanguard』は、ブルーノートのレーベルとしての優秀性を如実に証明する、優れた内容のライヴ盤である。レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」の中での15位は低すぎるくらい。10位以内にあっても納得の名盤です。
 
 

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2025年3月 4日 (火曜日)

モードに強いブルーノートです

ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく当ブログの企画。今日はその「第14位」を聴く。

ジャズをどこよりも理解した、ジャズ・シーンを牽引する老舗レーベルであったブルーノート。1960年代、アーティスティックなジャズの1つのスタイルとして進化した「モード・ジャズ」の範疇のアルバムもかなりの数がリリースされている。

そして、このブルーノートのモード・ジャズ盤を聴くだけで、当時のモード・ジャズのバリエーションの「凡そ」が掴めるほどである。

そんなブルーノートのモード・ジャズを牽引するジャズマンの一人に「アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)」がいる。ライオンはヒルの才能に惚れ込み、積極的な録音〜プロモーションを実施、1963年録音の『Black Fire』から、ライオンがブルーノートから引退、録音から手を引く1967年までの4年間で、なんと8枚ものリーダー作をリリースしている。

Andrew Hill『Point Of Departure』(写真左)。1964年3月21日の録音。ブルーノートの4167番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Eric Dolphy (as on1, 2, 3, b-cl on 3, 4, 5, fl on 3),Joe Henderson (ts, fl on 3), Andrew Hill (p), Richard Davis (b), Tony Williams (ds)。
 

Andrewhillpointofdeparture_2

 
ヒルの「モード・ジャズ」が完成し、そのアプローチが確立した盤である。もともと、セロニアス・モンクのフォロワー的ピアノでデビューしたのだが、モンクの様に幾何学的にスイングし、音飛びはするが、そのフレーズはモンクよりも、判り易く、確信的。

モンクはモンク独自のフレーズ展開を基本としたが、ヒルは、ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした。僕は、ヒルのピアノをこう解釈している。

ヒルは優れたバックの演奏に触発されて、ヒルならではのモーダルなフレーズをバンバン連発する。流麗な幾何学的スイング、理解出来る範囲で不意に出る音飛び、明るいアブストラクトな響き。ヒルの個性的なモーダルなピアノが実に良く鳴っている。

ヒルの様なモード・ジャズの新しいヒーローを発掘し、売り出しに力を入れたブルーノート、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼にはひれ伏すばかりだ。ヒルの才能と個性は評価された。しかし、人気はイマイチで、思ったほどには売れなかった。決して、ポップでキャッチーな内容では無いからなあ。ジャズに聴き易さ、楽しさを求める向きには「合わなかった」。

それでも、この盤に記録されている、「ヒル独自のモーダルなフレーズ展開を基本として、モンクの様に幾何学的にスイングし、モンクの音飛びを参考にした」ヒルのピアノは特筆に値する。

こんな録音を残したブルーノートは尊敬に値すると僕は思う。しかし、レココレ誌の執筆陣が選んだ、ブルーノート盤の「ベスト100」の14位、という順位には、ちょっと違和感は感じるが、この『Point Of Departure』は名盤である。
 
 

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2025年3月 3日 (月曜日)

奇跡の名盤『Amtrak Blues』

いきなり雨になり、いきなり冬に逆戻りの気候になって、朝からずっと、冷たい雨、しかも時々強くなる、あいにくの一日。気温差は10℃を超える。これは、基本的に体に堪える。今日は、午後から、エアコンの暖房の効いた部屋の中で、コーヒーを飲みながらの、女性ジャズ・ボーカルの鑑賞継続である。

Alberta Hunter『Amtrak Blues』(写真左)。1980年のリリース。ちなみにパーソネルは、Alberta Hunter (vo), Doc Cheatham (tp), Gerald Cook (p), Vic Dickenson (tb), Norris Turney, Frank Wess (reeds)。1920年代初頭から1950年代後半にかけて活躍したアメリカのジャズおよびブルース歌手、ソングライターのアルバータ・ハンターのカムバック作の中の一枚。

ちょうど、本格的にジャズを聴き始めて三年目。このアルバムのリリースは、某有名ジャズ雑誌で読んで知っていた。85歳での復活劇、的なものだったと思う。ただ、当時、まだ本格的にジャズを聴き始めて三年目。特にジャズ・ボーカルは苦手だったので、当然、このアルバータ・ハンターのアルバムはスルーだった。

で、つい最近、この盤のジャケに遭遇。即ダウンロード、即リスニング、である。存在感抜群のボーカル。ブルースとジャズが融合した、独特の個性的なボーカル。ブルースの泥臭さをジャズが中和している感じ。唄いっぷりは堂々としていて迫力満点だが、耳に優しく心に心地よく響く。素晴らしいボーカル。
 

Alberta-hunteramtrak-blues

 
アルバータ・ハンターは、1895年4月1日、米国メンフィスにて誕生。1908年「ダゴ・フランクズ」 という店で歌手デビュー。1922年、パラマウントレーベルにてレコーディング。1920年代はシカゴが拠点。ドリームランドカフェ」で唄う。1923年、NYへ進出。しかし、1954年、彼女は引退。母が病死した日、歌をやめようと決めたのだった。

1957年から看護師。アルバータ62歳。20年間看護師として働き、1977年、82歳で引退。しかし、3ヶ月も経たないうちに、NYの 「クッケリー」からラブコール がかかり、出演決定。86歳までこの店で週5日唄う。そして、この『Amtrak Blues』を録音。アルバータ85歳のレコーディング。そして、このアルバムのリリースから4年後、1984年10月17日 NYにて死去。享年89歳。

50代までジャズ、ブルースの歌手。その後、学校に入り直し病院で仕事。80代に入ってから復活。凄い話だ。そんな波瀾万丈な人生経験をガッツリ反映した様な、アルバータ・ハンターの歌唱。リズムも音程も明確、背筋がスッと伸びた、正統派な印象が強烈。80歳を優に越えた年齢で、この歌唱。見事としか言いようがない。

ブルースだろうが、ジャズだろうが、アルバータの歌唱の前では関係ない。素晴らしい感動的な歌唱だけがここにある。アメリカン・ルーツを彷彿とさせるアルバータの歌唱。この盤、女性ジャズ・ボーカルの名盤である。
 
 

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2025年3月 2日 (日曜日)

好盤『The Nearness Of You』

今日の日中は暖かかった。聞けば四月中旬の暖かさだった、とか。先週は今年最大級の寒波がやってきた、と大騒ぎだったので、この気温の落差は大きい。

これだけ暖かいと、先週が寒かっただけに「疲れる」。こういった「疲れた時」は、激しいジャズや難しいジャズは避けたくなる。よって、今日も女性ジャズ・ボーカルの好盤の聴き直しが続く。

Helen Merrill『The Nearness Of You』(写真左)。1957年12月18日-19日と1958年2月21日の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。

1957年12月18日-19日の録音(Tracks01, 03, 04, 05, 06, 08, 11)。パーソネルは、Helen Merrill (vo), Mike Simpson (fl), Dick Marx (p), Fred Rundquist (g), Johnny Frigo (b), Jerry Slosberg (ds), David Carroll (arr, cond)1958年2月21日の録音。

1958年2月21日の録音(Tracks02, 07, 09, 10, 12)。パーソネルは、Helen Merrill (vo), Bobby Jaspar (fl), Bill Evans (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds), George Russell (arr, cond)。

「ニューヨークのため息」と形容される、ヘレン・メリルの好盤である。ヘレン・メリルが、十八番のハスキー・ヴォイスで、軽やかにスタンダート曲を唄う。
 

Helen-merrillthe-nearness-of-you

 
2つのセッションからの選曲になる。特に、1958年2月21日の録音は、ビル・ヴァンスのピアノ、ボビー・ジャズパーのフルート、オスカー・ペティフォードのベース、ジョー・ジョーンズのドラム、と当時のモダン・ジャズ界の中の一流どころが集結している。しかも、アレンジがジョージ・ラッセル。

しかし、面白いのは、バックの演奏のレベルが多少違っても、全くお構いなしの、バックの演奏に左右されない、ヘレン・メリルの歌唱が素晴らしい。ヘレン・メリルのボーカルは、一定の高い水準のレベルを保っていて、出来不出来の差がほとんどない。

これにはいつも感心するんだが、バックの演奏内容、レベルがいかなる場合でも、バックの演奏が普通の水準以上であれば、ヘレン・メリル自身は全く気にすることなく、一気に朗々と歌い上げる。

つまりバックの演奏のレベルが高ければ高いほど、そのアルバム全体の出来は良くなる、という寸法。ヘレン・メリルの歌唱に好不調の波は無い。水準以上の歌唱で固められていて、安定感抜群である。黒人女性ボーカリストの「コブシ」を回した、情感溢れまくり、感情移入過多気味の歌唱よりも、シンプルでクールでフラットなメリルの歌唱は、いつ聴いても「癒される」。

今回、改めて聴き直してみても、ヘレン・メリルの少しハスキーなヴォイスは、明らかに魅力的。音程もしっかりしているし、速い曲もゆったりしたバラード曲も難なくこなす高テクニック。この盤は、ヘレン・メリルのハスキー・ボイスと、ノリのいいスイング感と、様々なジャンルの歌唱を歌いこなす高テクニック、この3つを心ゆくまで堪能する好盤だろう。
 
 

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『Anita Sings the Most』です。

3月である。しかし、である。昨日の午後から、3月初旬らしからぬ、暖かな日が続いている。今日などは、4月上旬の陽気とか。

寒い冬が行き過ぎて、暖かな日がやってくる3月。暖かくなってくると、なぜか聴きたくなるのが、ジャズ・ボーカル。それも女性ジャズ・ボーカル。元々、ジャズ・ボーカルが苦手だった、私こと、松和のマスター。ジャズを本格的に聴き始めて幾年月。最近はジャズ・ボーカル盤も難なくこなすようになった。

Anita O'Day『Anita Sings the Most』(写真左)。1957年1月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Anita O'Day (vo), Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), John Poole, Milt Holland (ds)。オールマイティーなハスキー・ボーカリスト、アニタ・オディのアルバム。バックは、オスカー・ピーターソン・カルテットが務めている。

アニタ・オディ(Anita O'Day)は、「アニタ・コルトン」(本名)として、1919年10月18日、米国カンザスシティに生まれる2006年11月23日(享年87歳)米国ロサンゼルスにて逝去。ジーン・クルーパ楽団、スタン・ケントン楽団などのバンドシンガーとして、そのキャリアをスタート。1958年のニューポート・ジャズ・フェスの映画『真夏の夜のジャズ』により、メジャーな存在に。
 

Anita-odayanita-sings-the-most

 
ハスキー・ボイスとノリのいいスイング感と、様々なジャンルの歌唱を歌いこなす高テクニック。また一方、薬物で波乱の生涯を送ったことでも有名で、薬物犯罪により実刑判決を受けた為に、米国のマスコミから「ジャズ界のイゼベル」と呼ばれた(注・イゼベルは聖書に登場する王の妻で悪女のイメージ)。しかし、本人はこのニックネームを嫌っていたそうなので、ここでは使わない。

さて、この『Anita Sings the Most』、ジャズ・ボーカル盤として、とても聴きやすく、高度な内容になっていて、モダン・ジャズ・ボーカルのお手本とも言える名盤だと僕は思う。ジャズ・ボーカルの一つの個性&スタイル「ハスキー・ボイスでシンプルにクールに歌い上げる」の、昨日ご紹介した「ペギー・リー」と双璧をなす存在がアニタ・オディだろう。

この盤は、特に、バックのカルテットが、あの鍵盤の帝王、オスカー・ピーターソンが率いるカルテットで、元々、相当な伴奏上手なピアニストのピーターソン。ハーブ・エリスのギターとレイ・ブラウンのベースと併せて、この盤でも絶妙の伴奏を繰り広げている。このピーターソン・カルテットの極上の伴奏が、この盤の魅力をさらに高めている。

スキャットを駆使したアップ・テンポなナンバーから、しっとりとしたバラードまで、様々なジャンルの歌唱を難なくこなしつつ、颯爽と歌いまくるアニタは爽快そのもの。好調アニタをしっかりと捉えた、アニタの個性が手に取るように理解できる、女性による、モダン・ジャズ・ボーカルの好例となる名盤だろう。
 
 

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東日本大震災から13年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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