「個人名義のパット」の名盤です
パット・メセニー(Pat Metheny)は、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃から、ずっとお気に入りの「現代のコンテンポラリーなジャズ・ギタリスト」である。志向・テイストが全く異なる、個人名義での「ソロでの活動」と、パット・メセニー・グループでの「グループでの活動」の二面性が、ならではの個性である。
Pat Metheny『80/81』(写真左)。1980年5月26–29日、ノルウェー・オスロの「Talent Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Charlie Haden (b), Jack DeJohnette (ds), Dewey Redman (ts, tracks B1, B2, C1 & C2), Michael Brecker (ts, tracks A1, A2, B2, C1, C2 & D1)。最初のリリースは、LP2枚組でのリリース。
パット・メセニー単独名義の秀作である。内容的には、自由度の高いモーダルな演奏から、フリーに展開するコンテンポラリーな純ジャズ。これが、あの欧州ニュー・ジャズのリーダー的存在、ECMレーベルからのリリースだから、ちょっとビックリする。
パーソネルを見渡してみて、リーダーのパットはともかく、ベースのヘイデン、ドラムのデジョネット、テナーのレッドマンとマイケル・ブレッカー。このパーソネルからして、ECMのニュー・ジャズにはならないだろう。
しかし、このパーソネルで、限りなく自由度の高い「モード・ジャズ、時々フリー・ジャズ」を展開、録音当時、1980年において、最先端をいくコンテンポラリーな純ジャズが展開されるとは思わなかった。
個人名義のパットの音志向は「フォーキー&ネイチャー」そして「フリー&スピリチュアル」の2要素の拮抗。この『80/81』では、そのパットの音志向がはっきりと判る、そして、それがこのアルバムの成功要因となっていることがはっきり判る内容となっている。
まず冒頭の「Two Folk Songs: One / Two」が絶品。パットのギターとマイケルのテナーが素晴らしい。そもそも、このセッション、キーボードレスなので、フロント楽器の自由度が限りなく高い。二人がテーマを演奏する、「フォーキー&ネイチャー」な音志向は、抜群に爽快であり、抜群に印象的である。
そして、ヘイデンとデジョネットのリズム隊が、的確なリズム&ビートを供給し、パットとマイケルのパフォーマンスの自由度を最大限に引き出している。今の耳にも、素晴らしくハイレベルな「モード・ジャズ、時々フリー・ジャズ」が展開される。これがまあ、素晴らしいのなんのって。
「フリー&スピリチュアル」志向が露わになる「80/81」や「Open」、パットが敬愛するオーネット作の「Turnaround」。この「フリー&スピリチュアル」志向がメインの演奏では、テナーについては、レッドマンが活躍する。
が、「フォーキー&ネイチャー」志向がメインの演奏でも、「フリー&スピリチュアル」志向がメインの演奏でも、フリー・ジャズに展開する場面においては、マイケルのテナーの咆哮が突出して凄い。オーネット志向を突き抜けて、完全なマイケル・オリジナルなフリーな咆哮。思わず、ゾクゾクっと「チキン肌」になる。
この盤は、個人名義のパットの音志向、「フォーキー&ネイチャー」そして「フリー&スピリチュアル」の2要素の拮抗がよく判る、個人名義のパットの「音志向の原点」の様なアルバムである。個人名義のパット・メセニーの名盤の一枚です。
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