カデットのブライアント・トリオ
アーゴ/カデット・レーベルの諸作を順に聴き進めていると、面白いことに気が付く。
ハードバップ時代にバリバリ第一線で活躍した、ごりごりハードバップなピアニストが、アーゴ/カデット・レーベルからリーダー作をリリースすると、皆、押し並べて、アーゴ/カデット・レーベルの音志向に適応して、「ファンキー&ソウルフル」なピアノとアレンジがベースのリーダー作に仕上げる。これって、アーゴ/カデット・レーベルの「プロデュース力」の賜物なんだろう。
Ray Bryant Trio『Gotta Travel On』(写真左)。1966年2月17–18日の録音。Argo/Cadetレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ray Bryant (p), Walter Booker (b), Freddie Waits (ds), Snooky Young (tp, tracks 2, 5, 6 & 9), Clark Terry (tp, flh, tracks 2, 5, 6 & 9)。レイ・ブライアントのピアノ・トリオがメインで、4曲にトランペットがフロント管として入っている。
こってこてファンキー&ソウルフルなバップ・ピアニスト、レイ・ブライアントのアーゴ/カデット・レーベル移籍後の最初のリーダー作。レイ・ブライアンとは、もともとハードバップ時代から、ファンクネス濃厚なバップ・ピアノを身上としていたのだが、1960年代に入ってからは、ソウルフルな音志向が強くなる。そこに、1960年代半ば、「ファンキー&ソウルフル」な、アーゴ/カデット・レーベルへの移籍があって、このリーダー作をリリースしている。
冒頭のタイトル曲「Gotta Travel On」が良い。この曲、レイ・ブライアントのソロの大名盤『Alone at Montreux』の冒頭でも、ガツンと一発かましているのだが、当盤が初演。タッチは硬質で重量感があって、とにかく、こってこてファンキー&ソウルフル、そして、ゴスペルチック。僕の好みの音志向の一つの「ど真ん中」なので、何度、繰り返し聴いても、この曲は全く飽きない。
2曲目のブライアントの自作曲「Erewhon」以降、ブライアントのピアノが、重厚かつ強靭な弾き回しで次々と、ファンキー&ソウルフルでキャッチャーなフレーズを連発して、爽快感抜群。R&B的響き、ゴスペル的響きも見え隠れして、いかにも「アーゴ/カデット・レーベルの音世界」満載、といった感じがとても良い感じ。
曲によってフロントにトランペット2本が加わるが、これは、曲の持つ主旋律をはっきり浮き立たせる為だけの役割みたいで、特筆すべきものは無い。無くても良いよな、なんて思っている。これは、オーバー・プロデュースだろう。
レイ・ブライアントのピアノの個性にバッチリ合った、アーゴ/カデット・レーベルの音世界。録音も良く、ブライアントの重厚かつ強靭な弾き回しもしっかり捉えられていて良好。ピアノ・トリオの演奏で統一されていないのが残念だが、レイ・ブライアントの名盤の一枚です。
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