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2025年2月27日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤 105

いつの時代も、我が国と米国で、大きく評価が異なるミュージシャンって結構存在する。特に、我が国でジャズが一般的になりつつあった、1960年代後半から1970年代にかけて、我が国では不当な評価に甘んじたジャズマンが結構いた(もちろん、その逆もあったのだが・・・)。

ビリー・テイラーというピアニスト。この人は、恐らく、一流と目されるジャズ・ピアニストの中で、我が国と米国で、その評価が大きく異なるピアニストの筆頭だろう。その大きく評価が異なる理由がこの盤にしっかり反映されている。

Billy Taylor『One for Fun』(写真左)。1959年6月24日、NYでの録音。アトランティック・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Earl May (b), Kenny Dennis (ds)。

ビリー・テイラー(Billy Taylor)は、知的で端正な黒人ピアニストである。その個性は、インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った弾き回しにある。クラシック・ピアノの様に端正な弾き回しの底に、そこはかとなく上品なファンクネスが漂う。

冒頭の「Summertime」を聴けば「知的で端正な」そして「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」弾き回し、が容易に理解出来るだろう。この超有名なジャズ・スタンダード曲を、「知的で端正な」アレンジで、「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整ったタッチで、流麗に弾き回す。

そして、2曲目のタイトル曲「One for Fun」から、3曲目「That's for Sure」、4曲目「A Little Southside Soul」と、知的で端正で、心地良く力強く、そこはかとなく「上品なファンクネスが漂う」バップなピアノを弾き回す。6曲目の「Makin' Whoopee」などは、小粋でバップな、スインギーで唄う様な引き回しに惚れ惚れする。
 

Billy-taylorone-for-fun

 
バックのアーリー・メイのベース、ケニー・デニスのドラムのリズム隊は、堅実で端正でスクエアなグルーヴ感を湛えつつ、的確なリズム&ビートを供給し続ける。

地味で我が国では無名のリズム隊だが、さすが、ビリー・テイラーのバックを受け持つリズム隊である。彼らの供給するバップなリズム&ビートのレベルは高い。ベースなソリッドな響きも、ドラムのタイトで堅実なビートも、どれもが実に心地良い。

どうも、このビリー・テイラーのピアノの、「知的で端正な」「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」「上品なファンクネスが漂う」といった部分が、当時の我が国のジャズ者の方々から敬遠された理由だろうと推察する。逆に、米国では、この部分が大いに評価されて、人気ピアニストとして、多くのリーダー作をリリースしている。

我が国では、当時、ジャズマンといえば、天才的ミュージシャンによくある「崩れた魅力」「破天荒なイメージ」「突出した才能の煌めき」などが「よしとされた」時代で、ビリー・テイラーの「知的で端正な」「インテリジェンス溢れ、破綻のない、整った」「上品なファンクネスが漂う」といった部分が敬遠されたのだと感じている。

しかし、21世紀に入って、そんな我が国のジャズマンに対するイメージも大きく変わりました。録音音源もレコード会社経由からだけの時代から、ダウンロードで世界各所からダイレクトに入手できる時代に変わりました。

自分の耳で、ダイレクトにそのジャズマンの音が聴けて、その音を自ら評価できる。そんな時代の中で、ビリー・テイラーのピアノは正当な評価を得つつある、そんなことを実感する、この『One for Fun』というトリオ盤の内容です。
 
 

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