ハミルトンのドラミングを愛でる
米国ウエストコースト・ジャズにおける代表的ドラマーは二人。チコ・ハミルトンとシェリー・マン。マンのドラミングは複合リズムをベースとした高テクニックなハードバップ・ドラミング。一方、ハミルトンのドラミングは伝統的なバップ・ドラミング。どちらもウエストコースト・ジャズには欠かせない資質を持ったドラマーで、甲乙つけ難い。
『Chico Hamilton Quintet featuring Buddy Collette』(写真左)。1955年8月、ハリウッドでの録音。パシフィック・ジャズ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chico Hamilton (ds), Buddy Collette (sax, fl, cl), Fred Katz (cello), Jim Hall (g), Carson Smith (b)。米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーの一人、チコ・ハミルトンのクインテット演奏。
タイトルにあるように、マルチ楽器奏者のバディ・コレットを迎えてのクインテット編成。フロント楽器にコレットのサックス、ジム・ホールのギター。ピアノレスで、リーダーのハミルトンのドラムとカールソン・スミスのベースがリズム隊。そこに、フレッド・カッツのチェロが加わる。ピアノレス、チェロ入りの異色のクインテットである。
いかにも、米国ウエストコースト・ジャズらしいユニークな編成で、ウエストコースト・ジャズの最大の個性である「ジャズを聴かせる小粋なアレンジ」が施され、いかにもウエストコースト・ジャズらしいパフォーマンスが記録されている。
しかし、この盤のアレンジは、演奏の流麗さや楽しさを追求するより、リーダーのハミルトンのドラムが映える、そして、客演のコレットのサックスが印象に残る、そんなアレンジが施されている。
このチコ・ハミルトンのクインテットは「室内楽ジャズ」と形容される様に、演奏自体はシンプルなアレンジ。シンプルが故に、ハミルトンのドラミングが要所要所で映え、要所要所で記憶に残る様なアレンジは見事。ハミルトンのドラミングを全面に押し出す為の「ピアノレス」。打楽器の役割も担えるピアノを排除して、打楽器の生み出すリズム&ビートは一手にハミルトンが担う様に仕向けられている。
実は、この「室内楽ジャズ」なアレンジは、ハミルトンのドラムを徹底的に全面に押し出し、しっかり聴かせる、しっかり印象に残る、そんなウエストコースト・ジャズ的なアレンジだということに、今回、思い当たった次第。確かに、このアルバム、ハミルトンのドラミングの個性、優秀性がとてもよく判る内容になっている。
米国ウエストコースト・ジャズの代表的ドラマーの一人、チコ・ハミルトンの、チコ・ハミルトンによる、チコ・ハミルトンのためのアレンジが施された、チコ・ハミルトンのドラミングが映えに映えるアルバムである。
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