ブルーノートらしさが溢れる盤
ブルーノート創立の1939年以降、ジャズの潮流が変わりつつある1968年までにリリースされたアルバムから、レココレ誌の執筆陣が選んだ「ベスト100」。そんなブルーノート盤の「ベスト100」を順に聴き直していく企画。今日はその「第12位」。
Larry Young『Unity』(写真左)。1965年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts), Elvin Jones (ds)。ショウのトランペットとジョーヘンのテナーが2管フロントのカルテット編成。ベースがいないのは、オルガンがベース・ラインを肩代わりしているため。
ショウのトランペット、ジョーヘンのテナー、エルヴィンのドラム、ときて、ヤングのオルガン、とくれば、これはもう、純正中の純正「モード・ジャズ」だろう。絶対に、オルガンのブルージーな音色を活かした、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズの類では決してない(笑)。
冒頭のウッディ・ショウ作の「Zoltan」から、ラリー・ヤングのモーダルなオルガンが炸裂する。ヤングのモーダルなオルガンは、とてもストイックで硬派なフレーズ。甘さやポップさの欠片も無い。しかし、とても実直で迫力ある、ヤングならではの「モーダルなオルガン」で、このモーダルなオルガンのフレーズはヤングでないと出ない。
そして、ヤングの「モーダルなオルガン」についてのアレンジが秀逸。ラストの有名スタンダード曲「Softly, As in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)」のモーダルな崩し方など絶品である。メロディアスでスインギーなこの楽曲を、ヤングならではの「モーダルなオルガン」で換骨奪胎して再構築している。これが見事。
ヤングのモーダルなオルガンを「オルガン界のコルトレーン」と形容するが、よく聴くと、コルトレーンのモード解釈とは全く異なる、ヤングが考える、ヤングならではのモード解釈がこの盤に詰まっている。
それが良く判るのが、ショウのトランペットとジョーヘンの2管フロントのモーダルなアプローチ。ショウはショウなりの、ジョーヘンはジョーヘンなりのモード・ジャズがあるのだが、この盤では、ショウもジョーヘンも、ヤングの考える、ヤングならではのモード解釈に則って、モーダルなフレーズを吹きまくっている。
これは、ブルーノートがリハーサルにも力を入れて、本番演奏に臨んでいる「賜物」だろう。リハーサルを積むことによって、他のメンバーがリーダーの目指す音を理解し、リーダーの目指す音を「的確に出す」。これは、パッと集まってパッと演奏するジャムセッション方式では絶対に出来ない。この盤では、リーダーのヤングが目指すモーダルな音を、他のメンバーが「的確に出している」。これがこの盤の素晴らしさの一つである。
まとめると、当時の「ブルーノートらしさ」を醸し出す3要素、「ルディ・ヴァン・ゲルダーの創るブルーノートの音」、「リハを積んだことによる演奏の質の高さ」、「キメのアレンジの優秀性」、この3要素をしっかり踏まえた、モード・オルガンの名盤の一つだと思う。
ただし、内容的には「モーダルなオルガン」という、かなり専門性の高い内容が詰まった盤なので、レココレ誌の執筆陣が選んだベスト100の中の「第12位」という順位には、ちょっと疑問が残るけどなあ。内容的には順位が高いと思うが、皆が聴いて楽しめるという点ではなあ。まあええか。
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